ヒューゴの不思議な発明 3Dスーパーセット(3枚組) [Blu-ray]ヒューゴの不思議な発明 3Dスーパーセット(3枚組) [Blu-ray]
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◆プチレビュー◆
巨匠スコセッシが描く大人のためのファンタジー「ヒューゴの不思議な発明」。あふれる映画愛に感動する傑作だ。 【90点】

 1930年代のパリ。駅の時計台に隠れ住む孤児のヒューゴ。ひとりぼっちの彼の唯一の友達は、亡き父が遺した不思議なからくり人形だ。壊れたその人形には、ヒューゴ自身だけでなく、偶然出会った少女イザベルや駅の玩具店の主人のパパ・ジョルジュら、多くの人々の人生を変えてしまう秘密が隠されていた…。

 暴力、犯罪、流血。そんな世界を描き続けてきたマーティン・スコセッシが、ファンタジーを作るのは意外に思えるが、本作があふれる映画愛に満ちた作品であることを思うと、スムーズに納得できる。スコセッシは、映画の保存と保護、古典映画の復元などに誰よりも熱心な映画人なのだ。本作は映画黎明期に初の職業監督として活躍した、映画の魔術師ジョルジュ・メリエスを重要なキーパーソンに、スコセッシの映画愛を、3Dという“魔法”を使ってフィルムに焼きつける。

 孤独な少年ヒューゴが修理する壊れた機械人形は、その胸にある鍵穴にあうハート型の鍵を持つ少女イザベルに導いていく。さらに彼女の祖父は、想像性豊かな映画を量産しながらも、時代に見捨てられた元映画監督ジョルジュ・メリエスだった。偉大な才能を持ちながら、過去も未来も、映画への夢さえも捨ててしまったジョルジュを見たヒューゴは、彼の心を“修理する”ことを誓う。これが、ヒューゴとその周辺の人々の運命を変える冒険と奇跡の始まりだ。

 初めての3Dに挑んだ巨匠の手腕は、表情豊かで、見事のひと言に尽きる。幻想的なパリの風景、夢をみるかのような機械人形の動き、古典的映画の芸術性。とりわけ、メリエスの無数のイラストが空中を舞うシーンは、まるでイマジネーションの泉が湧き出るようで、素晴らしい。観客を引き込む3Dの効果を心得たテクニックに、思わず息を呑む。

 物語はフィクションだが、描かれるメリエスのエピソードは、ほとんどが事実だ。劇中には、映画の父リュミエール兄弟の「列車の到着」やメリエスの代表作の「月世界旅行」も登場し、映画史を巧みに取り入れている。しかもそれらが3D映画として再構築されているから、嬉しい驚きだ。これぞオマージュ。さすがは筋金入りのシネフィル(映画狂)のスコセッシである。

 世間から見放され居場所がなかった孤独な少年と、世間との絆を断ち切っていた映画の魔術師の交流は、どこか寂しげな影を持つファンタジーだ。映画愛と人間愛が立体的にスクリーンに立ち現れたこの夢の万華鏡は、私たち観客に、映画のマジックの本当の喜びを教えてくれる。これはスコセッシの新境地ではない。集大成なのだ。紛れもない傑作だと断言したい。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)映画愛度:★★★★★

□2011年 アメリカ映画
□原題「HUGO」
□監督:マーティン・スコセッシ
□出演:エイサ・バター・フィールド、クロエ・グレース・モレッツ、ジュード・ロウ、他
チケットぴあ

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