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◆プチレビュー◆
甘く切ないラブストーリー「アーティスト」は、映画愛に満ちた傑作。サイレントを現代に蘇らせた意欲作だ。 【95点】

 1927年のハリウッド。無声映画の大スター、ジョージは、新人女優ペピーと出会い、彼女を人気女優へと導く。だがトーキーへの移行期に無声映画に固執したジョージは没落し、逆にペピーはスター街道を駆け上がっていく…。

 ロマンティック。ノスタルジック。珍しい“新作の”無声映画である本作を形容するには、こんなフレーズがぴったりくる。だが、単なる懐古趣味ではないことは、映画を見れば一目瞭然だ。監督のミシェル・アザナヴィシウスは、制作前に300本以上のサイレント映画を見たそう。現代でも通用する、セリフなしで物語を伝えるためのテクニックを徹底的に研究し、見事に成功している。

 さりげなく目をふせ、小粋に眉を上げるなど、俳優の演技が細かく、背中や横顔に哀愁を漂わせれば、キャラクターの心情や状況が演技だけで完璧に理解できる。音楽もまたセリフ以上に雄弁だ。さらに、陰影が美しいモノクロの映像は、最初はカラーで撮影しそれを白黒に処理するという手が込んだもの。構図も秀逸で、とりわけ、ジョージに恋するペピーが、彼のタキシードに手を通して恋心を表すシークエンスは、近年でも屈指の名場面だ。もちろん、カンヌ映画祭、アカデミー賞の両方で主演男優賞を受賞した、主演のジャン・デュジャルダンの素晴らしい演技は、全編を通して観客を魅了するだろう。

 モノクロ、サイレントと異例づくしだが、ストーリーは逆にシンプルでオーソドックスである。大スターと新人女優が出会い、やがて立場が逆転するのは、何度も映画化された「スター誕生」を、無声映画からトーキーへの移行期の映画界の内幕はミュージカルの名作「雨に唄えば」を思い出す。だが本作には、あふれるほどの映画愛と、CGや3D全盛の今だからこそ、映画の原点に立ち返って、もう一度映画を“愛し直そう”とのメッセージが感じられるのだ。映画好きは、こんな心優しい作品を無条件で好きになってしまう。

 「サイレント映画こそ芸術。自分はアーティストだ」と無声映画に誇りを持ち凋落したジョージは、どんなに落ちぶれても品格とユーモアを忘れない好人物だ。そんな彼だからこそ、新人女優、運転手、愛犬までもが切望する“奇跡”が起きることになる。銀幕のスターの復活と恋の行方は、映画が音を持った喜びを味方につけて、極上のハッピーエンドを迎えることに。21世紀の今、サイレント映画を作るのは、温故知新のスピリットとチャレンジ精神があってこそだ。この愛すべき傑作との出会いこそ、本当の奇跡かもしれない。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)ロマンティック度:★★★★★

□2011年 フランス映画 □原題「THE ARTIST」
□監督:ミシェル・アザナヴィシウス
□出演:ジャン・デュジャルダン、ベレニス・ベジョ、ジョン・グッドマン、他
チケットぴあ

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