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◆プチレビュー◆
ジョージ・クルーニーが絶妙の演技をみせる「ファミリー・ツリー」。ほろ苦いドラマだが後味はさわやかだ。 【80点】

 ハワイ・オアフ島に住む弁護士マット・キングは、妻と二人の娘と順調な人生を送っていた。だが妻がボートの事故で昏睡状態になった上に、浮気していて、離婚を考えていたことが発覚する。そのことを、長女や友人夫妻までもが知っていたことに愕然とするマット。ともあれ妻の浮気相手に会う決心をするが…。

 洒脱でさっそうとしたナイスガイ。あるいは社会悪に立ち向かう正義漢。はたまたコミカルでクセのある変わり者。ジョージ・クルーニーは変幻自在に役を生きる。そんな彼が父親を演じるのは初めてではないが、今回の役は、実に情けない。妻に浮気され、思春期の長女からは信用されず、文無しの従兄弟たちからは金銭面でのみ頼られている中年男なのだ。

 なんともピリッとしない主人公マットだが、彼が置かれた状況はすこぶるやっかいである。妻の生命維持装置をはずすべきかという決断と、先祖代々の土地を売却すべきかという難題を同時に抱えることになったのだ。マットは、生まれて初めて、自分の人生に正面から向き合うことになる。

 順調な人生を送ってきたかに見えて、家庭は妻にまかせっきり、子供たちとまともに会話したことさえなかったマットは、本当は大切なことに目をそむけて生きてきた。予期せぬ形で転機を迎えることにはなったが、彼は、人生、家族、命の意味を子供たちと共に、不器用に、でも本気で考える。私たち観客もまた、そんなマットに寄り添いながら、彼が出す答えを見守ることになる。

 監督のアレクサンダー・ペインは、寡作ながら上質の作品を送り出す職人肌の監督だ。「サイドウェイ」以来の7年ぶりの監督作となる本作でも、ハワイの独特の風土や歴史を存分に生かした。家族の絆を見直すプロセスを、土地を手放すことが祖先から子孫へのつながりを断ち切ることになると気付く主人公の心の変化に重ねる手腕は見事だ。

 最悪と思った出来事が、意外な形で主人公の人生をリロードし、導いていく。タイトルのファミリー・ツリーとは、大地に根を張り、受け継がれる家族の系譜を指している。ラスト、父娘がソファに座ってTVを見るシーンで、皆がひとつのハワイアン・キルトを足元にかけている場面がとてもいい。それは入院時の母にかけてあげていたキルトだ。誰もが欠点を持ち、誰もが完全には正しくない。互いを補いあう家族だからこそ、それでいい。映画全編をそっと包み込む、柔らかなハワイアン・ミュージックがそう告げている。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)ペーソス度:★★★★★

□2011年 アメリカ映画 □原題「THE DESCENDANTS」
□監督:アレクサンダー・ペイン
□出演:ジョージ・クルーニー、シャイリーン・ウッドリー、アマラ・ミラー、他
チケットぴあ

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