11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち [Blu-ray]11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち [Blu-ray]
文豪・三島由紀夫の衝撃的な自決とそれに至るまでを描く「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」。三島よりも時代にフォーカスしている。

1960年代、三島由紀夫は「仮面の告白」「金閣寺」「憂国」など、次々に話題作を発表し、ノーベル文学賞の候補にもなるなど、作家として絶頂期にあった。時は学生運動全盛期。三島は、文筆業の傍ら、民族派の若者たちを組織化し、民兵組織「楯の会」を結成し、有事の際には自衛隊とともに出動し命がけで決起するべく、訓練を行っていた。だが、暴動が起きても警察と機動隊がこれを治め、自衛隊の出る幕はない。三島と楯の会の若者たちの苛立ちは頂点に達し、ついに自ら行動を起こす決意を固める。向かったのは、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地だった…。

メッセージ性の強い作品を発表し続ける若松孝二監督の、「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」「キャタピラー」に続く“昭和3部作”の完結編だ。作家・三島由紀夫が、1970年11月25日に陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地に篭城し、バルコニーで演説、その後、割腹自殺した事件をテーマとするが、映画は三島の行動を否定も肯定もせず、また、作家としての三島論も登場しない異色の三島像となっている。若松監督らしいのは、ニュース映像をふんだんに用いて、時代の空気を再現していることだ。浅沼稲次郎社会党委員長刺殺事件、安田講堂事件、新宿騒乱、金嬉老事件、よど号ハイジャック事件と、まるでドキュメンタリーか実録もののように、モノクロの映像と新聞記事が登場する。三島自身も常に国を憂いてはいたが「楯の会」の若きメンバーの熾烈な祖国愛と三島信奉が、次第に三島を破滅へと追い詰めていく様が、痛々しい。本作は三島の美学や右翼的政治思想などには深く言及せず、あくまでも世界的な文豪が壮絶な最期を遂げるに至った経緯を、淡々と描くことで、当時の空気を読み解こうとしているのだ。だがいいようのない怒りをスクリーンにぶつけた前作「キャタピラー」に比べ、メッセージ性は薄い。時折、色彩がストンと落ちてモノクロに近い映像になるのは、やがて起こる悲劇を象徴しているのだろうか。「死は文化だ」と独自の美意識を説く三島を演じた井浦新の熱演、満島ひかりの弟の満島真之介が演じる森田必勝の一途な表情が印象的だ。
【65点】
(原題「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」)
(日本/若松孝二監督/井浦新(ARATA)、満島真之介、寺島しのぶ、他)
(壮絶度:★★★★☆)
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