ヘルタースケルター スペシャル・エディション(2枚組) [Blu-ray]ヘルタースケルター スペシャル・エディション(2枚組) [Blu-ray]
◆プチレビュー◆
全身整形の美女りりこの疾走を活写する「ヘルタースケルター」。沢尻エリカのいなおり的熱演にシビれる。 【65点】

 美、名声、金、愛。すべてを手に入れたトップモデルのりりこ。だが彼女の美しさは全身整形によって作られたものだということは、限られた人間しか知らない究極の秘密だった。手術の後遺症と決して知られてはいけない秘密を抱えるストレスで、りりこは、次第に精神的に追いつめられていく…。

 原作は岡崎京子による伝説的コミック。それを映画化するのが極彩色を見事に使いこなす蜷川実花監督で、主演は5年ぶりのスクリーン復帰となる沢尻エリカ。どうだ!と言わんばかりの話題性だが、沢尻自身が、映画を上回る混乱としっちゃかめっちゃか(Helter Skelter)を実演中で、商業的価値を大いに上げた。おかげで、イベント・ムービー的高揚感があり、観客の満足度はかなり高いだろう。

 ともあれ、美しさというのは、お金と時間と労力がかかる。りりこの人工美は、術後のメンテナンスなしではキープできない。劇中には「神様は人間に若さと美しさを与え、そして奪う」との哲学のごとき深いセリフも。だが、ヒロインはそんな運命に宣戦布告した。自分と周囲をとことん傷付けながら、欲望うずまく世界で次々に事件を起こすりりこという存在は、誰もが自分の中に飼っているケダモノのようなもの。りりこはいわば、全女性の闇のアイコンなのだ。

 それにしても沢尻エリカの体当たり演技ときたら、あきれるほどすがすがしい。脱ぎっぷりの良さは言うまでもなく、あえぎ声も高らかに濡れ場を熱演。ここではとても書けないような言葉も叫ぶ。だが、まるでバービー人形のようなルックスの彼女からは、生身のエロスより、サイボーグの持つ機能美しか感じない。むしろ、寺島しのぶが演じるドM女の、暗いエロティシズムに注目したいところだ。

 整形手術の後遺症で顔にアザが浮かび、玉の輿を狙っていた御曹司は他の女と婚約。ナチュラル・ビューティーの後輩モデルの台頭に、美容クリニックの歪んだ秘密。何より、転落する自分をシュミレートする恐ろしさ。はたして追いつめられたりりこの選択とは? 良くも悪くもドギついこんな物語は、落としどころが難しい。このオチには少々甘さを感じるが、一瞬の美を切り取って、それをバベルの塔のように積み上げる蜷川実花監督の美学と見た。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)スキャンダラス度:★★★★★

□2012年 日本映画 □原題「ヘルタースケルター」
□監督:蜷川実花
□出演:沢尻エリカ、大森南朋、寺島しのぶ、他
チケットぴあ

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