ザ・グレイ [Blu-ray]ザ・グレイ [Blu-ray]
思わず体感温度が下がる雪原のサバイバル劇「THE GREY 凍える太陽」。単なるアクション活劇ではない、崇高なラストが用意されている。

石油掘削現場で働く男たちを乗せた飛行機が大嵐に巻き込まれ、アラスカの山中に墜落する。野獣の攻撃から現場の作業員を守るために雇われた射撃の名手で、狼の生態に詳しいオットウェイら、7人の男たちが奇跡的に生き残るが、放り出されたそこは猛吹雪の雪原のド真ん中。助けは望めず、極寒の気候が体力と気力を奪っていく。その上、彼らの行くところには、縄張りを侵された獰猛な野生の狼の群れがつきまとう。満足な武器や食料もない状態では、間違いなく命を落とすと判断したオットウェイは南へ移動するしかないと提案し、歩き始めるが…。

リーアム・ニーソンは、ベテランの域に達してから演技派からアクション俳優へと芸域を広げた珍しい俳優だ。彼が出演するアクション映画はかなりの確率で“当たり”なのだが、本作もまたその好例である。主人公は射撃の名手だが、飛行機墜落時に銃や武器は失い、狼に関する知識も、逃げるときに役立つくらい。主人公はタフガイだが、大自然の猛威の前ではほとんど無力だ。しかも本作の生存者7名はニーソンを除いて、ほぼ無名の俳優ばかり。これでは誰が生き残るかなど予測は不可能で、ストーリーとしても緊張感をはらんでいる。オットウェイがリーダーシップをとる生存者7名の中には反抗的な態度をとるものもいるが、人間の意地や知恵など、狼の容赦ない攻撃や、アラスカの激烈な自然の前では、物の数にも入らない。一人、また一人と、生存者の命が奪われる中、少しずつ、男たちの人生が語られていく。そこにあるのは、別れた妻への思いや、娘への愛だ。極限状態のサバイバル劇の中でも、きちんとしたドラマを盛り込むジョー・カーナハン監督の丁寧な手腕に感心するが、驚くのは、主人公オットウェイの運命の“落とし前”のつけ方だ。最愛の妻との別れから人生に絶望していた彼の生存への本能はすさまじいのだが、愛と確執が共存していた亡き父との思い出を、最後の“決闘”と重ね、主人公を、孤高の高みへと導く展開に、感動さえ覚えた。全編、雪と氷で覆われた灰色の世界を、水墨画のように美しくとらえて活写した、日本人カメラマン、マサノブ・タカヤナギの、文字通りクールな映像にも注目したい。
【70点】
(原題「THE GREY」)
(アメリカ/ジョー・カーナハン監督/リーアム・ニーソン、ダーモット・マローニー、ジェームズ・バッジ・デール、他)
(先読み不能度:★★★★☆)
チケットぴあ

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ザ・グレイ(原題)@ぴあ映画生活