最強のふたり [DVD]最強のふたり [DVD]
◆プチレビュー◆
車椅子の大富豪と貧しい黒人青年の友情物語「最強のふたり」。実話をベースにした笑って泣ける愛すべき佳作だ。 【70点】

 事故で全身麻痺になった大富豪フィリップ。気難しい彼の介護人の面接に、スラム出身の黒人青年ドリスがやってくる。彼の目的は不採用になって失業手当をもらうことだったが、なぜか採用されることに。社会的立場、性格、好みまですべてが正反対の二人は、最初は反発するが、次第に心を通わせていく…。

 日本で知名度があるスターは皆無のこの仏映画の小品は、第24回東京国際映画祭では最優秀作品賞(東京サクラグランプリ)と、主演のフランソワ・クリュゼとオマール・シーが最優秀男優賞をW受賞するという快挙を成し遂げた。それもそのはず、障害と介護というデリケートな素材を扱いながら、ドライなユーモアにあふれ、最後にはほろりと泣けるスグレモノなのだ。健常者や障害者という言葉使いにさえ、過剰反応してしまう“臆病な”日本では、まず生まれないタイプのコメディである。

 インテリでシニカルな全身不随の大富豪のフィリップが、なぜ粗野でお調子者のスラム育ちの黒人青年ドリスに興味を持ったのか。それはたぶん、ドリスの持つ、障害者を障害者として扱わない“有意義なタブー”を見抜いたからだ。案の定、ドリスは介護人にあるまじき遠慮のない言動で周囲をハラハラさせるが、腫れ物にさわるような同情にウンザリしていたフィリップには、ドリスの存在は光明だったに違いない。経済力や文化的背景など、正反対の二人は、その衝突をプラスのエネルギーに変え、共に、生きる希望を取り戻していく。

 屋敷に引きこもるフィリップを、ドライブやカフェに連れ出し、恋愛の手助けまでするドリスは、フィリップに対し、大富豪の病人ではなく、対等な友として真摯に接した。スラム育ちゆえに何かとトラブルが多いドリスを、フィリップもまた、友達として助けていく。数々の笑えるエピソードは、人間を豊かにするために本当に必要なのは、同情や階級主義ではなく、誇りと信頼なのだと教えてくれる。

 映画は、でこぼこコンビのかけあいが楽しくて、笑いが絶えないが、気付けばしっかり感動している自分がいた。これは、典型的な“いい話”で、一種のおとぎ話かもしれない。だが、本作が実話に基づくストーリーだと知れば、奇跡の友情はにわかに真実味を帯びる。障害や失業といった“ハンディキャップ”を笑いのパワーで包み込むそのセンスこそ、最強の所以(ゆえん)だ。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)笑いと涙度:★★★★☆

□2011年 フランス映画 □原題「UNTOUCHABLE」
□監督:エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ
□出演:フランソワ・クリュゼ、オマール・シー、アンヌ・ル・ニ、他

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