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◆プチレビュー◆
ウソの映画製作で人質を助け出す驚きの実話「アルゴ」。監督ベン・アフレックの緩急をつけた演出が見事だ。 【80点】

 1979年11月4日、テヘラン。イラン革命が激化する中、過激派がアメリカ大使館を占拠し52人が人質となる。混乱の中、大使館員の6名が脱出し、カナダ大使の自宅に潜伏。彼らが過激派にみつかり殺害されるのは時間の問題だった。そんな時、CIAのトニー・メンデスはある奇想天外な救出作戦を提案する…。

 イランの過激派がアメリカ大使館で人質をとり、米国に逃げた前国王の引き渡しを要求するという大事件は世界中が知るところだ。政治的な側面はさておき、この人質救出作戦の顛末は面白すぎる。こんな突拍子もないことをやってのけるCIAという組織の本質を改めて考えてしまうが、この作戦は常識を超えて暗躍するエキスパートの存在があってこそだ。

 その人とは、人質奪還スペシャリストのトニー・メンデス。彼の“名案”とは、嘘の映画製作を企画し、6人をロケハンに来た撮影スタッフに仕立て上げて出国させるという作戦だ。あきれ気味のお偉方を不思議な説得力で説き伏せ、メンデスは、偽の映画製作を実行に移していく。脚本を買い上げ、映画の名をSF超大作「アルゴ」と決定。製作発表、記者会見、プロモーションと、盛大なウソが続くさまはハリウッド的ともいえる痛快さだ。

 一方で、人質たちの緊張感はマックスに達し、アメリカからフォローするはずのCIAは国際情勢に左右されブレまくる。三つのストーリーが同時進行するスリリングな展開は、結果を知っていても手に汗を握る。偽の映画製作を、光と影の幻影にすぎない映画で描くという虚構の複眼が、何より素晴らしい。

 ベン・アフレックは、本作が監督第3作。今回は脚本こそ担当していないが、その演出力は確かで、才能は疑いがない。人質救出というヒロイックな事件は、社会派サスペンスにもなる固い素材だが、とぼけたユーモアを漂わせるセンスには感心した。これには、嘘っぱちに慣れ切ったハリウッドの映画人役に、ジョン・グッドマン、アラン・アーキンなどの渋い脇役をキャスティングしたことが効いたと見る。「嘘の映画製作?まかせろ!」には笑った。

 アフレック自身が演じる主人公は、もっさりとした風貌の寡黙な人物だ。今見るとどうにもダサい70年代ファッションに身を包んだメンデスは喜怒哀楽が乏しく、笑顔もほとんどない。そんな彼が「何としてでも6人の命を救う」と決意する瞬間に、静かなヒロイズムが炸裂する。派手な銃撃戦や爆発などないのに、尋常ではない緊張感が漂う脱出劇のクライマックスは、間違いなく一級のサスペンス。隠し味は映画愛なのだから、映画好きにはこたえられない。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)荒唐無稽度:★★★★★

□2012年 アメリカ映画 □原題「ARGO」
□監督:ベン・アフレック
□出演:ベン・アフレック、アラン・アーキン、ブライアン・クライストン、他
チケットぴあ

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