悪の教典  Blu-ray エクセレント・エディション(特典Blu-ray付2枚組)悪の教典 Blu-ray エクセレント・エディション(特典Blu-ray付2枚組) [Blu-ray]
貴志祐介原作の衝撃作の映画化「悪の教典」。サイコパスを怪演する伊藤英明が見もの。

生徒から絶大な人気を誇る模範的な高校教師ハスミンこと蓮実聖司。親しみやすい彼の笑顔の裏側には、他者への共感能力が欠如した生まれついてのサイコパスという恐ろしい顔が隠されていた。知性と体力、行動力で周囲の人間たちを自由に操り、自分の目的の邪魔になる人間を次々と殺すことも厭わない蓮実だったが、自分の凶行を知り、疑うものたちの存在を知る。そこで彼が考えた解決策は、学園祭の夜、クラスの生徒全員を殺してしまうことだった…。

原作は、「黒い家」の貴志祐介の同名小説。「海猿」シリーズで正義のヒーローのイメージが定着している伊藤英明が、イケメンで爽やかなルックスの下に、他人への共感や良心を持たない反社会性人格障害者を演じるという意外性がポイントだ。主人公は、両親をはじめ邪魔者を何の躊躇もなく殺害してきた過去を持つ。そんな彼の異常性を敏感に感じ取る、同僚の教師やカンのいい生徒がいることに気付いた蓮実が、自らの悪事を隠すために選んだ手段が、クラス全員を皆殺しにすること。乱暴すぎるこの計画が凶行を隠ぺいする最良の解決策であるかどうかは別として、夜の学校という閉じられた空間で、これでもかとばかりの殺戮が繰り返される様は、三池流の暴力の美学といえる。「忍たま乱太郎」「一命」「愛と誠」と、多彩すぎるジャンルを徘徊する三池監督の才能と立ち位置が分からなくなりつつあったが、本作で重要なモチーフとして用いた名曲“マック・ザ・ナイフ”の使い方のセンスには思わず唸った。無論、ブレヒトの芝居で映画にもなった「三文オペラ」の挿入歌「メッキー・メッサーのモリタート」がオリジナル。主人公自らが丁寧に解説する、明るいメロディにおぞましい歌詞のこの曲が流れるたびに、戦慄が走る。ただ、生徒殺害のほぼ9割が散弾銃によるものというのは少し工夫が足りない。生徒の中でハスミンと互角に渡り合う者があまりに少ないのも物足りなかった。だが、高圧的なセクハラ教師や、モンスターペアレンツ、独りよがりな恋愛に浸る少女を、ピュアな悪意で血祭りにあげるハスミンの行動に、一瞬だが爽快感を覚えてしまうのもまた事実。主人公に共感するわけにはいかないが、こんないびつな人格を生む現代社会の悪臭を感じ取るのは有意義なことかもしれない。
【65点】
(原題「悪の教典」)
(日本/三池崇史監督/伊藤英明、二階堂ふみ、染谷将太、他)
(流血度:★★★★★)
チケットぴあ

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