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◆プチレビュー◆
頑固な父と不器用な娘の和解を描く「人生の特等席」。ストーリーは平凡だが、イーストウッドの存在感で魅せる映画。 【75点】

 メジャーリーグの伝説的スカウトマンのガスは、最近は、年齢による衰えを隠しきれない。フロント側は彼を引退させようとし、ガスは苦しい立場に追い込まれる。そんなガスに手を差し伸べたのは疎遠な関係の娘ミッキーだった…。

 イーストウッドは渾身作「グラン・トリノ」で実質的な俳優引退宣言をしたが、彼が“唯一の弟子”と認めるロバート・ロレンツが監督デビューするとあっては出演しないわけにはいかない。役柄は老いたスカウトマン。キャリアの終焉と父娘の関係修復を2つの軸に、再生のドラマが端正な筆致で語られる。

 主人公ガスは己の目と耳で才能ある新人を嗅ぎ分ける力があり、スカウトした選手が不調になれば、彼の家族を呼び寄せ心を落ち着かせるという“情”に寄ったオールドスタイルの人間だ。そんな男には、必ず味方がいる。

 ガスの味方とは、長年の友で、スカウト主任のピートであり、ガスに見出された元投手で、今はライバルチームのスカウトをしている青年ジョニーだ。何より、敏腕弁護士ながら、父と同じ野球愛というDNAを持つ娘のミッキーが誰よりも強い味方となるのは、予想通りである。

 無論、疎遠だった父娘の関係にも変化が。父が娘と距離を置いたその理由を聞けば、ガスが誰よりもミッキーを愛していることが分かる。「おまえに苦労させたくなかった、こんな三等席の人生で」とつぶやく父に、ミッキーはきっぱりと言うのだ。「三等席じゃない。目覚めるといつもパパの野球を見て…。人生の特等席だった」。心はちゃんとつながっていたのだ。

 ベテランの底力と親子の和解。手垢のついた物語なのだが、ウェルメイドな安心感がある。その最大の理由は、しわだらけの顔にしゃがれた声の老優イーストウッドの魅力につきる。この映画のイーストウッドは渋い。冒頭からおしっこが出ず、ブツブツと文句を言い、視力が衰え、パソコンも使わない(使えない)にも係わらず、渋い。酒場で娘にからんだ男をぶっ飛ばす時の鋭い表情は、誰にもマネできないだろう。

 データ野球で新時代の扉を開いた「マネーボール」とは真逆のこの物語は、出来すぎなほどハッピーな結末を迎える。意外性はないし、この厳しい時代に、それでは甘いという意見もあろう。だが、それでいいじゃないか。“君は僕の輝く太陽。僕を幸せにしてくれる”。劇中に登場する名曲「ユー・アー・マイ・サンシャイン」の最も有名な一節だが、この曲の歌詞はフルバージョンで聞くとなかなか切ない。酸いも甘いも知りつくした老スカウトマンのラストには、球場を見渡せる特等席からの穏やかな陽射しがふさわしい。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)安心感度:★★★★★

□2012年 アメリカ映画 □原題「Trouble with The Curve」
□監督:ロバート・ロレンツ
□出演:クリント・イーストウッド、エイミー・アダムス、ジャスティン・ティンバーレイク、他
チケットぴあ

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