007/スカイフォール 2枚組ブルーレイ&DVD (初回生産限定) [Blu-ray]007/スカイフォール 2枚組ブルーレイ&DVD (初回生産限定) [Blu-ray] [Blu-ray]
◆プチレビュー◆
007生誕50周年記念の2012年に登場したシリーズ第23作「007 スカイフォール」。悩み多き人間ボンドがここにいる。 【75点】

 ジェームズ・ボンドはイスタンブールで、世界中の諜報員のリストを奪った敵と対峙するが、上司のMの命令を受けた味方の誤射により狙撃されてしまう。死んだと思われた彼は、MI6が爆破されサイバーテロの標的になっていることを知り、現場に復帰。これらのテロ行為は、元エージェントの犯行だった…。

 荒唐無稽な娯楽作だったかつての007は、6代目ボンドのダニエル・クレイグになって以来、ハンサムで女にモテる超人的なスパイという側面以外のシリアスパートが増えている。過去の恋愛の傷は理解したが、今回は、なんとボンドの幼年期が語られる。そこまで出自を遡る理由はなぜか。

 それはボンドにとって絶対的上司であり、母親的存在でもあるMに起因する。公開前には、ボンドガールが3人になるという噂が流れたが、なるほどエキゾチックな美女2人の他に、3人目の女性がいた。その人こそボンド“ガール”ならぬボンド“マザー”のMだ。母の危機を前に、沈黙するわけにはいかない。

 MとMI6を破滅させようと企むのは、かつてのMの部下でボンド以上に優秀なエージェントだったシルヴァだ。国家を守るためなら部下を切り捨てる非情なMに見捨てられたシルヴァがMに復讐を誓うのに対し、同じく一度は切り捨てられたボンドは、憎まれ口をたたきつつも再びMに忠誠を誓う。“2人の息子”は、まるでネガとポジなのだ。イスタンブール、上海、マカオ、ロンドンと、相変わらず世界的スケールで物語は展開するが、本作の犯罪の動機は、まったくの個人的な恨みで、世界観は極めて小さい。擬似親子の愛憎というパーソナルな内面世界がテーマとして浮かび上がっている。

 このような動機の犯罪に決着を付ける場所は、ボンドの出生の地スコットランドしかない。彼が育った屋敷スカイフォールで、Mと一緒に銃を手に戦うボンドは、体内回帰のよう。その果てに待つのは、破滅か、あるいは新しい未来か。ボンド映画の存在意義とも重なる、興味深いクライマックスが待つ。

 スタイリッシュなトム・フォードのスーツに身を包み、アストンマーチンDB5を駆る姿もサマになってきたダニエル・クレイグだが、本作では、IT時代の波や諜報員の存在意義、世代交代など、華麗ならぬ、加齢を感じさせる設定が多く、やるせない一面も。だが、オスカー監督サム・メンデスは、ミドルエイジのボンドを人間としてとらえることで、アクションとドラマを融合させた、大人のスパイ映画の香りを漂わせた。

 スモーキーボイスが魅力的なシンガー、アデルは、“スカイフォール、それは私たちの出発点”と歌う。主演俳優が交代しながら世界中のファンを魅了し続ける007という稀有なシリーズは、どうやら原点回帰を果たしたようだ。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)人間ドラマ度:★★★★☆

□2012年 米・英合作映画 □原題「SKYFALL」
□監督:サム・メンデス
□出演:ダニエル・クレイグ、ハビエル・バルデム、ジュディ・デンチ、他
チケットぴあ

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