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◆プチレビュー◆
名作「東京物語」を現代に置き換えた家族ドラマ「東京家族」。小津の愛した“紀子”が希望を象徴する。 【70点】

 瀬戸内の小島で暮らす周吉ととみこの老夫婦が、子供たちに会いに上京してくる。だが子供たちはそれぞれ忙しくて両親の面倒を見られない。寂しさをつのらせる老夫婦だが、心配の種の次男・昌次に気立てのいい恋人がいることを知り、安心もするのだった。そんな時、とみこが突然倒れてしまう…。

 映画界の宝物である「東京物語」は、名匠・小津安二郎の代表作だ。家族のゆるやかな崩壊を、冷徹なまなざしでみつめた不朽の名作である。その傑作を、現代の名匠・山田洋次監督が、小津へのオマージュを随所に散りばめながら再構築した。その時代、時代の家族を描き続ける山田監督は、本作で、これからの日本の家族はどうなってしまうのか、どこへ向かおうとしているのかという普遍的な問いを投げかける。

 上京してきた両親に優しくしたいのに、都会で忙しく暮らす子供たちと老いた両親とでは、生活のリズムが合わない。なかなか親の思うようにはいかないものだとの老夫婦の諦観と寂しさ。家族間の溝は「東京物語」と同じだ。

 異なるのは次男の描き方である。「東京物語」では次男は戦死していて、原節子演じる次男の嫁が、実の子供たちとは対象的に、細やかに老夫婦の世話を焼く。次男の不在が戦争の傷跡を照射していたのに対し、本作では父親と確執がある次男の存在によって、若者が生きづらい不安な現代を浮き彫りにした。

 この映画は当初の脚本から山田監督自身の手により改変を加えられている。東日本大震災が起こり、もはや同じ気持ちで作品は作れないと感じたそうだ。次男と恋人は、被災地のボランティアで出会ったという設定になり、震災の影響がさりげない形で盛り込まれた。個人的には、大震災という視点がはたしてこの作品に必要だったのか?!との疑問はある。それでも、悲劇の中にもある出会いは、復興への願いと重なる。山田監督は、震災後の日本は大きく変わるのだと確信しつつも、そこには必ず希望があると訴えているのだろう。

 希望の象徴として登場する次男の恋人の名前は、もちろん“紀子”。伝説の名女優・原節子が小津作品で演じた女性の名前の多くが、紀子だった。原節子とはタイプは違うが、蒼井優演じる“紀子”はとてもいい。心優しく正直な紀子に、頑固で寡黙な父親が「息子をよろしく頼みます」と頭を下げる場面は、感動的だ。この心に染み入るシーンを、小津の代名詞であるローアングルで撮る心配りが、いかにも山田監督らしい。それぞれの場所でそれぞれが精一杯生きていく。やっかいで煩わしいのに、愛しくてたまらない家族と共に。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)普遍性度:★★★★☆

□2012年 日本映画 □原題「東京家族」
□監督:山田洋次
□出演:橋爪功、妻夫木聡、蒼井優、他
チケットぴあ

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