ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 4枚組コレクターズ・エディション(特製ブックレット付) (初回生産限定) [Blu-ray]ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 4枚組コレクターズ・エディション(特製ブックレット付) (初回生産限定) [Blu-ray] [Blu-ray]
◆プチレビュー◆
摩訶不思議なサバイバル劇「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」。圧倒的に美しい3D映像に息を呑む。 【85点】

 インドで動物園を経営するパテル一家は、カナダに移住するため動物たちと貨物船に乗船していた。しかし、大嵐で船は沈没。16歳の少年パイだけが救命ボートに逃れて生き残るが、そのボートには腹を空かした獰猛なトラが身を潜めていた。わずかな水と食料を頼りに、パイの究極の漂流生活が始まる…。

 物語はパイという風変わりな名を持つ中年男性が、太平洋上を227日もトラと一緒に漂流して生き延びた、不思議な体験を回想し、小説の素材を探すライターに語る形で始まる。インドでの幼少期はどこかコミカルだが、船に乗って嵐に遭ってからは、家族を失くした悲しみに浸る間もなく、怒涛のサバイバル生活がスタート。驚くのは少年パイの生命力の強さだ。

 荒れ狂う嵐から一転、鏡のように静かな海上で、パイは、救命ボートにある水と非常食を整え、遭難時の心得が記された小さなマニュアル本を頼りに、即席のいかだを作り、魚を捕って、生きるためにやるべきことを着々とこなしていく。その中で最も大切なのは、自分が“食料にならないために”獰猛なトラを飢えさせないことだ。敵対してはいるが、バランスがとれたトラとの距離感が興味深い。次第に変化する彼らの関係性こそが、この物語のテーマだ。

 運命共同体であるトラとパイは、よくある動物映画のようになれあったりはしない。最初は逃げ回りトラを敵視するパイだが、やがてトラとは、大自然に対し共闘する“戦友”のようになる。敵としか思えなかった相手と、距離を保ちながら共存することが、互いの生命力を呼び覚ます展開が、実に奥深い。彼らの関係は、どこまでもクール。そこが魅力である。

 もうひとつの魅力は、斬新な映像美で彩られた迫力の3D映像だ。漂流生活の描写は、オレンジ色の朝焼け、神秘的な海洋生物、満天の星空と、圧倒的な美しさに満ちている。巨大なクジラの大ジャンプが、3D映像でとらえられ、思わずその美しさに見惚れてしまうほど。それはやがて辿り着く、ある秘密が隠された楽園のような無人島のシークエンスでも同じだ。孤独で過酷なサバイバルの物語は、いつしか幻想譚の趣を帯びてくる。クライマックス、パイとトラには、思いもよらない運命が待っている。

 原作は、作家ヤン・マーテルの世界的ベストセラー小説「パイの物語」だ。奇想天外なアドベンチャーだが、根底にあるのは、生きるための勇気と命の尊さ。物語の聞き手であるライターには、このストーリーは嘘かまことかとの疑問が最後に浮かび上がるが、観客にはそんなことはどうでもよくなるはず。映画に登場するトラのほとんどは高度なCGによるものである。そこに存在しないトラがエモーショナルな感動をリアルに提供するのだ。パイの物語に魅せられたとしても何ら不思議はない。虚実を越えた神話が常に感動的であるように。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)幻想的度:★★★★☆

□2012年 アメリカ映画 □原題「LIFE OF PI」
□監督:アン・リー
□出演:スラージ・シャルマ、イルファン・カーン、ジェラール・ドパルデュー、他
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