マリーゴールド・ホテルで会いましょう [Blu-ray]マリーゴールド・ホテルで会いましょう [Blu-ray] [Blu-ray]
◆プチレビュー◆
インドで見い出すセカンドライフの輝きを描く群像劇「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」。英国の名優たちが贅沢に競演する。 【65点】

 インドの高級リゾートホテル「マリーゴールド・ホテル」で余生を送ろうと、英国からやってきたシニア世代の男女7人。しかし到着するとホテルはおんぼろで、いきなり異文化の洗礼を受けてしまう。夫に先立たれたイヴリンは、とまどう周囲を尻目に、積極的に街に出て仕事を探し、新しい土地に溶け込もうとする。やがて7人それぞれは少しずつ前に進んでいくのだが…。

 曇天の英国から一転、色彩と喧騒あふれる、灼熱の地インドへ。それぞれの事情や悩みを抱えるシニア世代の男女には、新しい仕事、病気治療、忘れられない人との再会、思いもよらぬロマンスが待つ。7人は、老いによる不安はあっても、枯れたところや達観はなく、むしろ欠点だらけ。物語は、そんな彼らが新しい生き方を模索する姿を、ユーモアとペーソスを交えてスケッチする。

 高級とはほど遠いオンボロホテルは、電話もシャワーも故障中、ドアがない部屋さえある。どう見ても経験不足だがやる気だけは人一倍の若きオーナー、ソニーに調子よく丸め込まれた7人だったが、ジャイプールの街にあふれる色彩と音に触れれば、何やら面白いことが起こる予感も。前金も払ったし、受け入れるしかないのだと腹をくくる。「とにかく、街へ出てみよう!」。

 中心軸となるのはいつも前向きなイヴリンだ。夫の死後に覚えたインターネットを駆使し、自分の日常と心のうち、インドでの“冒険”をブログにつづっていく。それが私たち観客にも、人生の岐路に立って迷う老人たちの思いを伝えてくれるツールになっている。

 名匠ジョン・マッデン監督の演出は手堅く、英国屈指の名優たちをまとめるオーケストラの指揮者のようだ。特に、ゲイの元判事グレアムが忘れられない人を訪ねるエピソードと、身分の低いインド娘の優しさに触れて変化する極端な差別主義者のミュリエルのエピソードは味わい深い。

 かつてインドを植民地として治めていた英国。今も厳然たるカーストが存在するインド。どちらの国も階級制度にとらわれながらも、新しいエネルギーを渇望し発信している国だ。英国の老人たちの変化と、インドの若者たちの恋を同時進行させ、人種や偏見を超えたところに人間の幸福があると訴える。

 原作は人気作家デボラ・モガーの小説「These Foolish Things」。人生の黄昏を迎えた英国人男女7人に、インドはすばらしいセカンドライフをプレゼントしてくれた。おんぼろホテルを高級ホテルと宣伝したソニーは「将来像を載せた」と悪びれない。インドのことわざには“最後には万事めでたし”とあるのだそう。なるほど、この映画を見ていると、そんなポジティブな生き方を肯定したくなってきた。老人映画と侮って敬遠すると間違いなく損をする。“インド時間”に身を委ねながら、人生を豊かにするヒントを学びたい。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)ヴィヴィッド度:★★★★☆

□2011年 英・米・アラブ首長国連邦合作映画 
□原題「THE BEST EXOTIC MARIGOLD HOTEL」
□監督:ジョン・マッデン
□出演:ジュディ・デンチ、ビル・ナイ、デヴ・パテル、他
チケットぴあ

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