ムーンライズ・キングダム [Blu-ray]ムーンライズ・キングダム [Blu-ray] [Blu-ray]
◆プチレビュー◆
少年少女の駆け落ち騒動を描くハートフルなドラマ「ムーンライズ・キングダム」。無名の子役を大物スターたちが支える構図がいい。 【70点】

 1960年代のニューイングランド島。12歳のサムとスージーは“駆け落ち”を決意する。二人は、ボーイスカウトのキャンプを黙って抜けだし、森で自由を満喫していた。やがて大人たちが二人を探して大騒ぎになるが…。

 可愛くて、毒があって、どこかヘンテコ。それが鬼才ウェス・アンダーソンの世界だ。これまで父と子の確執を繰り返しテーマとしてきたが、本作では、人形劇のような世界観で、少年少女の“ひと夏の冒険”を遊び心たっぷりに描いている。毒気は薄いが、ノスタルジックな優しさがあって好感度は高い。

 変わり者のサムはボーイスカウトの仲間内でも浮いた存在。読書好きのスージーは、本の中のキャラクターの世界に没頭する孤独な少女。共にアウトサイダーだが、2人の愛の逃避行は、個性的かつロマンチックで微笑ましい。養子である寂しさや母の不倫というショックが残酷な現実ならば、運命の相手と共に、海で遊び、夢を語り合って、初めてキスをすることもまた現実。とぼけたセリフや突飛な演出とは裏腹に、物語は意外なほど地に足が着いているのだ。

 子供たちの駆け落ちを知った大人は、二人を見つけ、引き離そうとする。さらには身寄りのない問題児のサムを、福祉局は少年収容所に入れようとする。加えて大嵐と火事が島を襲い、平和な小島はかつてない大騒動に。先読み不能な物語の中、孤独な警官や、頼りないボーイスカウトの隊長、サムを嫌っていた仲間までもが、意外な優しさと正義感を発揮しながら活躍する様子は、アンダーソンならではのマジカル・ワールドである。

 そのウェス・アンダーソンと言えば、豪華キャストがおなじみだ。今回は子役が無名な分、大物ハリウッドスターやオスカー俳優が、冴えない大人をすっとぼけた味わいで演じているのが見所だ。アクション抜きのブルース・ウィリス、間の抜けた表情のエドワード・ノートン、冷酷な福祉局を怪演するティルダ・スウィントン。誰もが、今まで演じた役柄とはかけ離れた、不器用で愛おしい表情を披露する。彼らがこんなにキュートな役者だったとは、驚きだ。

 タイトルのムーンライズ・キングダムとは、サムとスージーがみつけた、手つかずの自然が残った美しい入り江のこと。思えば「小さな恋のメロディ」も「リトル・ロマンス」も、欠点だらけの大人たちの運命を、子供たちのピュアな思いが変えていく物語だった。本当は大人たちにこそ“月の昇る王国(ムーンライズ・キングダム)”が必要なのである。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)おかし味度:★★★★☆

□2012年 アメリカ映画 □原題「MOONRISE KINGDOM」
□監督:ウェス・アンダーソン
□出演:ブルース・ウィリス、エドワード・ノートン、ビル・マーレイ、他
チケットぴあ

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