世界にひとつのプレイブック Blu-rayコレクターズ・エディション世界にひとつのプレイブック Blu-rayコレクターズ・エディション [Blu-ray]
◆プチレビュー◆
心を病んだ男女の出会いと再生の物語「世界にひとつのプレイブック」。シリアスな題材を、笑いでくるんだ演出に魅せられる。 【80点】

 妻の浮気が原因で精神のバランスを崩したパットは、仕事も家庭も全て失って実家で両親と同居しながらリハビリ中。魅力的な女性ティファニーと出会うが、彼女もまた最愛の夫を亡くし立ち直れずにいた。心に傷を抱えた二人は、人生を取り戻すためにダンスコンテスト出場を決意するが…。

 心を病んだ男女が再生しようと懸命にもがく。こう聞くとシリアスなドラマになりそうだが、本作はそんな予想を軽やかに裏切ってくれた。まじめに悩めば悩むほど笑いを誘うパットの存在は、時に世間に迷惑を及ぼすが、彼の周囲の人間は誰もがパットが大好きで、彼の再起を願っている。この物語は、登場人物たちの非常識な言動で笑わせながら、いつしか、本当に幸せに生きるために必要なものとは何か?という人生の真のテーマへと導いていく。

 そんな意外にも奥深い本作の魅力は、抜群に立ったキャラにある。何しろ誰もが素敵に“イカれている”のだ。寝取られ男のパットは根拠のない復縁を信じているし、ティファニーは夫と死別したショックで、会社の同僚11人と寝たという過激な美女。パットの父親は超が付くアメフト狂だし、息子と夫を溺愛する母親はどこまでも天然である。誰もがイタいキャラでありながら、集まるとナンとも愛おしい。もちろん個性的な男女は反発しながらも惹かれあう。無論ダンスコンテストだって、優勝などという“ありふれた”オチにはならない。

 イケメンだがどこか印象が薄かったブラッドリー・クーパーと、逆境に負けないタフな美少女役が定番だったジェニファー・ローレンス。今、最も旬な二人が、それぞれ今までとは少し違う雰囲気の演技を披露し、実に魅力的だ。ロマンティック・コメディの枠内で、心を病む不安定な男女という役は決して簡単ではない。軽くて、イタくて、愛らしい。さりげない名演とはこのことだ。

 監督のデヴィッド・O・ラッセルは「ザ・ファイター」で知名度を上げた人。もともとこの物語は、今は亡き二人の名匠、シドニー・ポラックとアンソニー・ミンゲラが映画化権を取得していたそう。ラッセル監督は、笑いと涙をブレンドした絶妙の演出で、巨匠たちの意思を見事に継いでくれた。

 タイトルにある“プレイブック”とは、アメフト用語で、チームの作戦すべてが書かれた戦術指示書を指す。だが、どんなプレイブックにも、人生のハプニングへの対処法は記されていないのだ。予定した戦術がすべてじゃない。思いもかけない出会いと、過去を否定せずに前を向く勇気こそが、必勝のフォーメーションを生み出すのだ。希望にあふれたラストを見れば良く分かる。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)ユニーク度:★★★★☆

□2012年 アメリカ映画 □原題「Silver Linings Playbook」
□監督:デヴィッド・O・ラッセル
□出演:ブラッドリー・クーパー、ジェニファー・ローレンス、ロバート・デ・ニーロ、他
チケットぴあ

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