ジャンゴ 繋がれざる者 ブルーレイ プレミアム・エディション(初回生産限定)(2枚組) [Blu-ray]ジャンゴ 繋がれざる者 ブルーレイ プレミアム・エディション(初回生産限定)(2枚組) [Blu-ray] [Blu-ray]
◆プチレビュー◆
元奴隷と元歯医者の賞金稼ぎコンビが大暴れする「ジャンゴ 繋がれざる者」。ジャンルの境界線を飛び越え、奴隷制の暗部を射抜く快作。 【90点】

 1959年のアメリカ南部。奴隷のジャンゴは、ドイツ人の賞金稼ぎのシュルツに助けられ、自由を得る。二人はコンビを結成。次々とお尋ね者たちを仕留めていった。ジャンゴの目的は、奴隷市場で離れ離れになってしまった妻ブルームヒルダを捜し出すこと。彼女が、極悪非道の農園主カルビン・キャンディのところにいることを知ったジャンゴは、生死を賭けた闘いを挑むことになる…。

 ジャンゴ。言わずと知れたマカロニ・ウェスタンの代名詞的なキャクター名だ。クエンティン・タランティーノは筋金入りの映画オタクだが、中でもマカロニ・ウェスタンへの偏愛はハンパではない。「続・荒野の用心棒」の棺桶を引きずったガンマン、ジャンゴがそうであったように、本作のジャンゴもまた正義漢ではないアウトロー。複雑な倫理観を抱えたダーティな主人公だ。

 凄腕の賞金稼ぎのシュルツは奴隷制を忌み嫌うが、彼がジャンゴを助けるのは、ジャンゴがブルームヒルダというドイツ名を持つ妻を探している“ジークフリート”だからだ。勇者が姫を助けるロマンチシズムに反応しないドイツ人はいない。かくして、おかしな賞金稼ぎコンビは、極悪非道な農園主カルビン、黒人なのに差別主義者の老執事スティーブンらと、想像を絶する死闘を繰り広げることになる。

 早撃ちのガンマン姿がハマリすぎのフォックスと、気取ったしゃべりのドイツ人賞金稼ぎをひょうひょうと演じるヴァルツ。このオスカー俳優コンビに、初の悪役に燃えるディカプリオ、タランティーノ作品の常連のサミュエル・L・ジャクソンが加わる。マンガ的に立ちまくったキャラが、いかにもタランティーノ流だ。もちろんタランティーノ自身も珍妙な役で顔を見せる。

 ともあれ、この21世紀のマカロニ・ウェスタンは、奴隷制の蛮行をあますところなく描くが、ヘタなモラルや友愛などは、口が裂けても語らない。そもそもジャンゴは、白人に復讐したいわけでも、奴隷制を廃止したいわけでもない。ただただ愛する妻ブルームヒルダを取り戻したいだけなのだ。正義感に欠けるこのアンチ・ヒーローには、とんでもない大銃撃戦の末にあっと驚く痛快なラストが待っている。血しぶきが舞うバイオレンス活劇を、ラブ・ストーリーとして昇華させるとは!この荒業、さすがは鬼才タランティーノである。

 特徴的な赤い文字のタイトルロールに始まり、乾いた空気感と壮絶なバイオレンスは、マカロニ・ウェスタンのお約束だ。そこに、癖のあるキャラクターにとぼけたユーモア、ハイセンスな音楽をからませる。娯楽アクションの中で、奴隷制という米国史の暗部に鋭いメスを入れてみせたタランティーノは、もはや凡百な映画オタク小僧ではない。あふれるばかりの映画の知識から最も濃いエッセンスを抽出し、クロス・ジャンルの野心作を作って見せる、堂々たる映画オタク中年にして骨太な映画作家なのだ。必見の快作である。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)血しぶき度:★★★★☆

□2012年 アメリカ映画 □原題「DJANGO UNCHAINED」
□監督:クエンティン・タランティーノ
□出演:ジェイミー・フォックス、クリストフ・ヴァルツ、レオナルド・ディカプリオ、他
チケットぴあ

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