二流小説家 シリアリスト(コレクターズ・エディション) [Blu-ray]
売れない小説家がにわか探偵になって事件を解決する「二流小説家 シリアリスト」。思わせぶりなキャラクターが多数いるが謎解きは案外まっとうだ。

売れない中年小説家の赤羽一兵のもとに、12年前に連続猟奇殺人事件を起こし死刑が確定して獄中にいる呉井大悟から告白本の執筆を依頼する手紙が届く。この仕事を引き受ければ、一流の小説家になれる。そう考えた一兵は呉井に面会に行くが、そこで呉井は「自分と自分の信者の女性たちをモデルにした官能小説を、自分のためだけに書け。そうすれば事件の内容を話して聞かせる」という条件を出す。しぶしぶ承知する一兵だったが、彼が女性たちに取材にいくとその先々で、12年前の事件と同じ手口の殺人事件が起こる…。

原作は、デイヴィッド・ゴードンの同名小説。日本の海外ミステリランキングで史上初の三冠に輝いた人気作だ。売れない小説家とカリスマ死刑囚。主人公である二流の一般人が“一流の犯罪者”に出会い、事件に巻き込まれ、自らの無実を証明するために奔走する姿を追うストーリーだ。女性の頭部を切り落とした裸体を真っ赤なバラの花びらで飾り立て、写真に収める呉井は“シリアル・フォト・キラー”と呼ばれ、多くの信者(ファン)がいる。自分を一流のアーティストだと信じている呉井には、独自の美意識、価値観、さらに秘められた過去がある。一兵がひとつ謎を解決するたびに、新たな謎や事件が浮かび上がる展開は、かなりスピーディだ。謎めいた行動を取る遺族の美女、呉井が憎む里親の老婆、呉井の無実を主張する高圧的な態度の女性弁護士と、周囲は怪しい人物だらけ。さらに事件が起こるたびにエキセントリックになっていく呉井の真意と彼を呪縛する暗い過去と、焦点があちこちに飛びながら、ラストのどんでん返しに突入する。とはいえ、謎解きそのものは、終わってみれば、さしてひねりがあるわけではない。むしろ、一兵も呉井も互いに本音と打算を駆け引きしながら向き合うため、彼らの面会室での一対一のやりとりの方が、エキサイティングな場面に思えた。特殊能力などない普通の人物が、徹底的に病んだキャラクターと向き合うことで、二流のもの書きに甘んじていたぬるい日常を脱却し、命がけで“書く”情熱に目覚めていく。このミステリーの極意は、そんな主人公の内面の変化にある。上川隆也と武田真治が熱い演技バトルを繰り広げるが、曇天や霧など、どこか幻想的な自然描写が謎めいたストーリーを効果的に演出していた。
【65点】
(原題「二流小説家 シリアリスト」)
(日本/猪崎宣昭監督/上川隆也、武田真治、片瀬那奈、他)
(どんでん返し度:★★★☆☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

二流小説家−シリアリスト−@ぴあ映画生活