最愛の人を失った人間とロボットとの心の交流を描くSFアニメ「ハル」。近未来的設定と古風な京都の暮らしのミスマッチを味わいたい。

近未来の京都。最愛の人、ハルを飛行機事故で失ったくるみは、ハルとけんか別れしたままの自分を悔い、生きる力を失って心を病んでいた。くるみの笑顔を取り戻すため、ヒト型ロボットQ01(キューイチ)が、ハルそっくりの“ロボハル”として一緒に暮らすことになる。最初は心を閉ざしていたくるみだったが、ハルがくるみが願い事を書いたルービックキューブの色をそろえるたびに、少しずつ打ち解け、頑なだった心もほぐれていく…。

原作は咲坂伊緒の人気漫画。プロダクションI.Gから独立し、制作されたアニメスタジオ、WIT STUDIOが作画を手がけたアニメーションが本作だ。物語は人とロボットの奇跡のようなラブストーリーである。近未来ではロボットが介護を担うなど、生活に溶け込んでいることが基本背景にあり、ケアセンターの荒井博士がハルを作ったこと、人間のハルが幼い頃奴隷同然の環境から仲間のリュウと逃げたこと、貧困の中での生活からお金が第一と考えて、恋人のくるみが大切にしている“思い出の品物”を無常に売り飛ばしたことなどが判ってくる。同時にハルとくるみの幸せな日々の回想や、仲間のリュウとはなにやら危険な状態にあることもぼんやりと判明していく。何しろ上映時間が約1時間と短いので、ストーリーはかなり乱暴に進んでいくのが気になった。とはいえ、丁寧なビジュアルは好感が持てる。何より、ロボットが生活の一部となっている近未来に、京都の古い町並みや日本情緒あふれるアイテムというミスマッチが不思議な魅力になっている。物語は中盤に大きな仕掛けが隠されていて、深い心の傷を負った人間が、大切なものを守ることで再生し、生きる力を取り戻すラストへとつながっていく。もっとも個人的には、最愛の人を失った人間に対して、そっくりさんのロボットをあてがうという発想そのものが、何か間違っている気がしてならないのだが、それは言ってはならないお約束なのだ。Production I.Gやマッドハウスの作品で手腕を発揮してきた牧原亮太郎の初監督作だが、中編という中途半端な長さでは、難しさもあったはず。長編次回作に期待したい。
【55点】
(原題「ハル」)
(日本/牧原亮太郎監督/(声)細谷佳正、日笠陽子、宮野真守、他)
(日本情緒度:★★★★☆)
チケットぴあ


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