亡き母の故郷で母の素顔を知り成長するヒロインを描く人間ドラマ「麦子さんと」。脱力系成長物語に、人気女優・堀北真希とは意外な組み合わせ。

アニメの声優を目指しアルバイト生活を送る麦子は、パチンコ店で働く兄・憲男と二人暮らし。父は亡くなり母は二人を置いて家を出ていたが、その母親・彩子が突然戻ってきて同居することになる。とまどう麦子だったが、ほどなく母は病で死亡。麦子は納骨のために母の故郷の田舎町を訪れる。そこで知ったのは、母が若い頃アイドル歌手を目指していたこと。町の人々は、かつての町のアイドルにそっくりな麦子の登場に活気づく。そんな彼らと交流するうちに、麦子は母の知られざる一面を知るようになるのだが…。

冴えない田舎町を舞台に描く、冴えない人々の冴えない日々。そんなヌルい空気の中に人生の真実をそっと忍び込ませるのが吉田恵輔監督の作風だ。作る映画は愛すべき小品。そんなささやかな作品に、メジャー系配給会社の顔である堀北真希がニット帽をかぶったオタク系女子というユニークな役柄で出演していることは、ちょっとした事件である。声優を目指すといってもさほど真剣な感じも受けないし才能もなさそう。兄は恩着せがましいばかりでどこか頼りない。そこに兄妹を捨てた母親が転がり込んだかと思ったらあっさりと他界。これでドラマになるのだろうか?と心配になるが、母の故郷で、かつての母を知る人々との交流を通して、ヒロインが大嫌いだった母親の“青春の続き”の日々を過ごす。過去と現在が交錯するような不思議な人間関係の中で、成長していくというドラマは、劇的な要素は何もなく、あくまでもまったりとしたものだ。麦子が目指すアニメの声優という設定が何も生かされていないことや、田舎町でアイドルを目指す女性の苦悩などがまったく描かれていないことなど、不満点は多い。それでも娘が母を理解し、母親に対して素直になりたかった自分を発見する姿は、心温まる。オフビートな笑いの中にちょっぴり涙。ユルいムードを楽しんで見てほしい。
【60点】
(原題「麦子さんと」)
(日本/吉田恵輔監督/堀北真希、松田龍平、余貴美子、他)
(母娘愛度:★★★★☆)
チケットぴあ

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麦子さんと@ぴあ映画生活