スノーピアサー [Blu-ray]
氷河期の地球を舞台にした階級闘争を描く近未来SFアクション「スノーピアサー」。極限状態での人間模様はポン・ジュノ監督の十八番だ。

2014年、地球温暖化を食い止めるために散布した人工冷却物質が仇になり、地球には氷河期が訪れ、あらゆる生物が死滅する。生き残ったわずかな人間は“スノーピアサー”と呼ばれる永久不滅のエンジンを搭載した列車に乗り込み、あてもなく地球を周回していた。17年後の2031年、列車の中は究極の格差社会で、前方車両の富裕層が氷河期前と変わらぬ贅沢な暮らしを送る一方で、後方車両に押し込められた貧困層は食料も満足にない中、奴隷のような扱いを受けていた。最後尾車両にいるカーティスは、悲惨な現状を変えるために仲間と共に反乱を起こし、スノピアサーの開発者で、権力者ウィルフォードが乗る先頭車両を目指すのだが…。

原作はフランス人漫画家、ジャン・マルク・ロシェットによるグラフィックノベル「LE TRANSPERCENEIGE」。バンド・デシネ(仏のコミック)のSFは、近未来なのにどこかノスタルジックな香りがするものが多いのだが、本作では、列車版“ノアの箱舟”と、聖書にまでさかのぼるかのような設定がユニークだ。氷河期の地球を走り続ける列車や、縦長の列車内の究極の格差社会は、設定としてはかなりムチャクチャ。だが、超個性的な登場人物を贅沢すぎる国際派キャストが演じる面白さと、斬新な映像と演技の迫力で魅せるポン・ジュノ監督の演出手腕で、グイグイと引きこまれる。革命のリーダーである主人公のカーティスには、さまざまな葛藤があり、先頭車両を目指すプロセスで、彼の過去やなぜこういう事態になってしまったかを的確にストーリーに盛り込んだ構成は、異形のロード・ムービーのようだ。絶対権力者フィルフォードがいる車両では、衝撃の事実が待っている。「グエムル 漢江の怪物」で親子を演じたソン・ガンホとコ・アソンが再度親子役で出演するのも見所だが、個性派女優ティルダ・スウィントンの怪演はほとんどギャグで、かなりの見ものだ。氷河期の到来と究極の格差社会。何やら実現しそうなディストピア的未来に不安がつのるが、今や“アジアのスピルバーグ”とまで称される鬼才ポン・ジュノ監督の作品は、ほとんどはずれがない。スピード感と皮肉に満ち、それでいて希望の光が見える、寓話的エンタテインメントだ。
【65点】
(原題「Snowpiercer」)
(韓国・米・仏/ポン・ジュノ監督/クリス・エヴァンス、ソン・ガンホ、ティルダ・スウィントン、他)
(階級闘争度:★★★★☆)
チケットぴあ

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