複製された男 (日本語、吹替用字幕付き) [Blu-ray]
自分にそっくりな男と出会った男性が体験する悪夢のような出来事を描く異色のミステリー「複製された男」。現実と妄想世界が混濁するストーリーの答は、一つではなさそうだ。

平凡な大学教授のアダムは、ある日、何気なく見ていた映画の中に、自分とそっくりの人間をみつけて驚く。その俳優アンソニーについて住所や電話など徹底的に調べあげたアダムは、しばらく彼を監視していたが、ついに直接彼と対面する。顔、声、体型、生年月日も体にある傷痕までも同じだと分かり、2人は激しく混乱する。なぜこんな人物が存在するのか。自分は本当にオリジナルなのか。アダムとアンソニーは、それぞれの妻と恋人を巻き込みながら、極限状態へと陥っていく…。

原作はポルトガルのノーベル文学賞作家ジョゼ・サラマーゴの小説。自分と瓜二つの人間というと、分身、ドッペルゲンガーなどがすぐに思い浮かぶ。出会うと死ぬ、この世にはそっくりな人間が3人いて…などなど、まことしやかな都市伝説もあるようだ。実際に確認された事例もあり、研究も盛んだそうが、視覚的な面白さがあり、非常に映画的な魅力的な題材でもある。本作では、瓜二つの存在と出会い、実際に対面し、互いに触れるという現実的な展開が興味深いが、劇中にさまざまな謎めいたモチーフが散りばめられていて、謎が謎を呼ぶ仕掛けだ。妊娠している妻、繰り返し登場する蜘蛛、なぜかこだわるブルーベリー…。終盤になればなるほど非現実的でシュールな映像が挿入され、観客を激しい混乱に導いていく。要するに「?」な映画なのだが、カナダの鬼才で、今、最注目のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の手にかかると、そのワケのわからなさが、自己確立という深淵なテーマ性を持って立ち上がってくる。前作「プリズナーズ」でも組んだジェイク・ギレンホールが、一人二役を意図的に曖昧に演じ分けていて、上手い。普通に解釈すれば、2人は同一人物で、意識下での分裂で、その原因はどうやら浮気で…と、生臭い答にたどりつくのだが、個人的には、カフカ的な不条理劇と思いたい。だって、ラストショットが“あれ”だもの。
【65点】
(原題「ENEMY」)
(カナダ・スペイン/ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督/ジェイク・ギレンホール、メラニー・ロラン、サラ・ガドン、他)
(シュール度:★★★★☆)
チケットぴあ

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