ぶどうのなみだ【初回限定仕様】 [Blu-ray]
北海道を舞台にワインと小麦を作る兄弟と自由奔放な女性との触れ合いを描く「ぶどうのなみだ」。表層的な心地よさだが、空知の風景はとても魅力的。

北海道・空知。かつて家族の反対を押し切って家を出た兄アオは故郷に戻って父が残した葡萄畑でワインを作っているが、中々思うようなワインが作れず悩んでいる。一回り歳が離れた弟のロクはそんな兄を黙って受け入れながら、父から受け継いだ畑で小麦を作っている。ある日、エリカと名乗る女性がキャンピングカーで現れ、いつしか小さな町の人々に溶け込み、兄弟二人きりの静かな生活にも新風を吹き込んでいく…。

三島有紀子監督は北海道にこだわりを持っているのだろうか。前作「しあわせのパン」同様、北海道を舞台に、北海道出身の大泉洋を再び主演として、少しファンタジックなヒューマンドラマを作り上げた。兄のアオは元世界的指揮者だったが、病にかかり挫折してワイン醸造家へ。この安直な転職にそもそも疑問が沸くが、黒いダイヤと呼ばれる葡萄“ピノ・ノワール”の醸造で失敗を繰り返す設定は、ワイン作りはそう簡単ではないという真実の表れだろう。だが物語はワイン作りに特化したものではなく、どこかおとぎの国のような風景の中で、傷ついたり疲れたりした人々が、互いに関係性の中でいつのまにか癒されるという再生のドラマだ。美味しそうな食事とワイン、ゆったりとしたスローライフ、エミール・クストリッツァを思わせるようなジプシー風の楽団の演奏と、女性好みの要素がたっぷりだが、ストーリーに説得力が少ないのが残念。対照的な兄弟のわだかまりも、不思議な魅力をたたえた女性との恋も、ラストにあれよあれよとハッピーエンドへ。タイトルの“ぶどうのなみだ”とは。厳しい冬を乗り越え春を迎えた葡萄の木が雪解け水をいっぱい吸い上げて、小さな枝から落とすひとしずくのことだそう。物語は、良く言えば寓話、悪く言えばイメージ先行のファンタジーである。それでも、ロケ地の空知の四季をとらえた美しく澄んだ映像と、隅々までこだわった丁寧な小道具に好感を持った。
【55点】
(原題「ぶどうのなみだ」)
(日本/三島有紀子監督/大泉洋、染谷将太、安藤裕子、他)
(北海道の魅力度:★★★★☆)
チケットぴあ

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