映画の中のオペラ
2006年08月12日
ディーバ
ディーバ -ニューマスター版-決してレコードを出さない黒人歌手シンシア。密かにコンサートで彼女の歌を録音したジュールは、そのテープと、売春組織の証拠テープを偶然に入手してしまったために、警察と犯罪組織の両方から追われることに…。
ジュールが録音するのは、カタラーニ作曲のオペラ「ワリー」の中のアリア。この悲恋物語の初演はトスカニーニが指揮している。ちなみに「ワリー」は「クリムゾンタイド」や「フィラデルフィア」でも登場する。
ディーバとは歌姫、歌の女神のことで、偉大な歌手への畏敬の念が込められている。サスペンス、ロマンス、アクションの要素もあり、ベネックスの代表作。パリ中を逃げ回る様子が実にスタイリッシュだ。
(1981年/フランス/ジャン・ジャック・ベネックス監督/原題「DIVA」)
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ハンニバル
ハンニバル スペシャルプライス版医学博士のレクターは猟奇殺人鬼。一度は捉えられたが脱獄してフィレンツェに潜伏。今は名前を変え、ダンテの研究家として優雅に暮らしていた。しかし、クラリスFBI捜査官の危機を知り、アメリカに戻る…。
レクターが野外オペラ劇場で聴く演目は、この映画のために作った新作オペラで、曲名は「ヴィードゥ・コル・メウム」。作曲はハンス・ジマー。歌詞はダンテの戯曲からとられたものでレクターの役に関連付ける演出。
「羊たちの沈黙」の続編で、レクターに強い恨みを持つ大富豪やクラリスの上司などが今回の餌食。映像はとびきり美しいが、内容はレクター賛美のイメージビデオのようで、映画作品としては失敗作といえるだろう。
(2000年/アメリカ/リドリー・スコット監督/原題「Hannibal」)
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ルートヴィヒ/神々の黄昏
ルートヴィヒ ? 神々の黄昏 完全復元版ヴィスコンティのドイツ3部作の中でも最も華麗でオペラ的要素が満載なのが、ヴァヴァリアの狂王ルートヴィヒの短い生涯を描いたもの。作曲家ワーグナーに心酔し、徐々に正気を失っていく若く美貌の王の運命を映像化。
ルートヴィヒが唯一愛した従妹で絶世の美女エリザベートに、これを観てくれれば自分の気持ちが判ると話すのがワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」。当然の如く悲恋で主人公は死をもって結ばれる物語のオペラだ。
ヴィスコンティのオペラ通は筋金入り。彼の家系はミラノのスカラ座の経営者で、本国ではオペラの演出家としても有名だ。マリア・カラスの「椿姫」も演出している。ちなみにワーグナーはヒトラーのお気に入りでもある。
(1972年/イタリア・西ドイツ/ルキノ・ヴィスコンティ監督/原題「LUDWIG」)
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1900年
1900 1900年(1.運命の出会い/2.宿命の5時間に及ぶ大作で、1900年の同じ日に生まれた地主と小作人の男の生涯を、激動の時代とともに描く一大叙事詩。階級差と封建制度、ファシズムなどを盛り込み、R.デニーロとG.ドパルデューをはじめ豪華キャストの長編。
冒頭「ヴェルディが死んだ!」と大騒ぎする農民の姿が印象的。実際には1901年に亡くなっている。映画の舞台となるパルマは、ヴェルディと監督のベルトルッチの出身地。劇中には「トロヴァトーレ」が用いられている。
イタリア映画とオペラは切っても切れない関係。本作でも友情、恋愛、政治、裏切りなどオペラ的な物語が展開する。ベルトルッチはこの他に「暗殺のオペラ」でも全編にヴェルディの曲を散りばめている。
(1976年/イタリア・フランス・西ドイツ/ベルナルド・ベルトルッチ監督/伊語原題「1900 NOVECENTO」)
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トゥーランドット
トゥーランドット~チャン・イーモウ演出の世界~中国が舞台のオペラには中国の演出家がふさわしいとのコンセプトで、世界的な監督であり、中国政府に批判的な作品が多いチャン・イーモウがオペラ演出に初挑戦する様子を克明に記録したドキュメンタリー。
指揮はズービン・メータ。映画タイトルのプッチーニ最後の作品「トゥーランドット」が北京の紫禁城を舞台に演じられる贅沢さ。世界に名だたる一流歌手、豪華な衣装、大がかりなセット…。全てが桁違いの現場は圧巻だ。
英語、中国語、イタリア語が飛び交う現場では、意思の疎通がしばしば困難で、照明や衣装の色彩にこだわるイーモウ監督の葛藤がさらけだされる。様々な困難を乗り越えて迎えた初日、東西文化の融合が実現した瞬間が至福だ。
(2000年/アメリカ・ドイツ/アラン・ミラー監督/原題「The Turandot Project」)
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かくも長き不在
出征したまま帰らぬ夫を待ち続けるカフェの女主人(アリダ・ヴァリ)と、夫らしき浮浪者。だがその男は記憶を失くしていた。浮浪者を夕食に招待し、夫なのかどうか確かめる彼女だったが…。浮浪者が街をうろつく時に口ずさむのはロッシーニの「セビリアの理髪師」のアリア。また、劇中にはドニゼッティの「愛の妙薬」も使われている。
戦争に翻弄された男女の悲劇を描く傑作。夫かもしれない男の後頭部の深い傷跡に、消すことができない悲劇を見る。戦争中の記憶が身体にしみつき、名前を呼ばれた途端に両手を挙げて走りだすラストが衝撃的で忘れ難い。
(1960年/フランス/アンリ・コルピ監督/仏語原題「Une aussi longue absence」)
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トスカの接吻
トスカの接吻ミラノに実在する引退したオペラ歌手のための養老院を舞台に、往年の名歌手たちへのインタビューで綴るドキュメンタリー。タイトルはプッチーニ作曲の「トスカ」の中で、ヒロインが警視総監を刺殺する場面から。
イタリアの大作曲家ジュゼッペ・ヴェルディが残した遺産に音楽家のための養老院建設があり、遺言で彼の死後に機能するようになっていた。セレモニーなどで煩わされたくないという、苦労人の大作曲家の意志だったとか。
「ヘカテ」「ラ・パロマ」などのスイス映画界の第一人者ダニエル・シュミット監督は、大変なオペラ通として知られている。往年の歌手の老いた姿を映すのは少し残酷な気がした。
(1984年/スイス/ダニエル・シュミット監督/伊語原題「Il Bacio Di Tosca 」)
王女メディア
Medea (1970) 王女メディアこの映画には歌は含まれないので「映画の中のオペラ」に入れるのは躊躇したが、マリア・カラス唯一の映画出演ということで、あえてこのカテゴリーで紹介する。
エウリピデスのギリシャ悲劇「メディア」を映画化。親族を裏切ってまでイアソンと夫婦となったメディア。愛する夫に裏切られたメディアは、復讐のために我が子を刺殺する…。
20世紀最高のソプラノ歌手であるマリア・カラスの最初で最後の映画主演作。トルコやシリアでロケを行い、相手役にはメキシコ五輪の三段跳びの選手を起用するという異色作。残念ながらカラスの歌は聞けない。
ギリシャ悲劇の映画化というギリシャ人のカラスにふさわしい作品。オペラを基盤とした演技力で作品に重厚さを与えている。監督は鬼才パゾリーニ。音楽は日本やチベットのエキゾチックなものを使用している。
(1970年/イタリア/ピエル・パオロ・パゾリーニ監督/原題「Medea」)
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プリティ・ウーマン
プリティ・ウーマン 特別版実業家のエドワードと娼婦のビビアンの恋は、シンデレラ物語の定番。リチャード・ギアとジュリア・ロバーツという美男美女による現代版「マイ・フェア・レディ」とも呼ばれるラブ・ストーリー。
エドワードがビビアンをオペラに連れて行く場面で鑑賞するのは、ヴェルディの「椿姫」。オペラ初体験のビビアンは感動のあまり思わず涙する。映画のラスト、男性が女性を迎えに行く場面でも「椿姫」が流れている。
オペラは悲劇に終わるが、映画はハッピーエンド。ヴェルディも「椿姫」と似た体験をしているが、それは妻となる女性の献身の部分。二人が生涯添い遂げることとなるのは、映画「歌劇王ヴェルディ」で描かれている。
(1990年/アメリカ/ゲイリー・マーシャル監督/原題「Pretty Woman」)
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月の輝く夜に
月の輝く夜に満月の輝きは人の理性を狂わせる?!婚約したばかりの未亡人ロレッタは、フィアンセの弟と恋に落ちてしまう。家族のつながりが強いイタリア人たちが、月の魔法にかかって騒動を巻き起こすが…。
N.ケイジとシェールのカップルが向かうのはNYのメトロポリタン歌劇場。演目はプッチーニの「ラ・ボエーム」。ドレスアップして鑑賞するオペラは悲劇的なもので、愛し合いながらも別れようとする二人の心にしみる。
大人のユーモアが満載のロマンチック・コメディでありながら、家族の絆も描く秀作。人生を諦めかけていたシェールがオペラ鑑賞のために髪を染め、美しく変身する様がいい。オペラの筋を映画と上手くからませたのも上手い。
(1987年/アメリカ/ノーマン・ジュイソン監督/原題「Moonstruck」)
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