カルト・ムービーの魅力
2007年07月26日

ブルー・ベルベット4

ブルーベルベット 特別編 オリジナル無修正版

デビッド・リンチの最も得意とする、のどかで平和な田舎町の裏側にうごめく倒錯的で異常な世界を描く物語。大学生の主人公ジェフリーが、野原で人間の片耳を発見、警察に届けるが、独自に調査するうちに謎めいた歌手ドロシーと彼女の周辺の異常な人間関係を知ることになる…。

暴力やSM風な描写でカルト・ムービーとして名をはせる、リンチの初期の代表作。だが、今となってはリンチにしては分かりやすく筋が通ったストーリーに、ノーマルで古典的な雰囲気さえ感じてしまう。

白々しいほどに平和な街の描写の対局に、異常者のデニス・ホッパー、崩れきった体をさらすイザベラ・ロッセリーニなどが位置する。不条理や歪んだ人間描写などが満載で、カルト・ムービーのセオリーに忠実だ。

タイトルは劇中で歌われる歌で、1963年のボビー・ヴィントンのヒットソングから。
リンチいわく、「最も美しいものは、最も暗いものだ」そうだ。
見てはいけないシュールな世界をのぞいてみたい人におすすめ。
出演は、カイル・マクラクラン、イザベラ・ロッセリーニ、デニス・ホッパーなど。

(1986年/アメリカ/デビッド・リンチ監督/原題「Blue Velvet」)

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2007年06月13日

ピンクフラミンゴ3

ピンクフラミンゴ

めでたく日本公開の運びとなった「ボラット」のように“悪趣味”を売りにした映画が時々登場して、日本の“良識的な”映画ファンを驚かせるが、元祖と呼べるのがジョン・ウォーターズが生み出したこのカルト・ムービー「ピンクフラミンゴ」だ。

彼は故郷ボルチモアにこだわって作品を発表し続ける極めつけの鬼才監督である。本作でも、ボルチモア市の郊外でトレーラーを根城に生活する巨女ディヴァインの奇妙な生活を描くが、そのストーリーは「地上でもっとも破廉恥な人間」の座を巡り、考えられる限りの変態行為を繰り返すディバインと、彼女に挑戦状をたたきつけたマーブル夫妻の戦いを描くというから、まったくもう信じられない内容だ。はたして仁義なき「世界一お下劣な戦い」の決着とは?!

「悪趣味の帝王」の異名を取るジョン・ウォーターズ監督の伝説的カルト・ムービーは、多くのファンを持つ。鑑賞に当たっては、どんなことでも笑いとばす懐の深さが必要だが、何よりも単純にバカバカしいところがいい。

怪女優(?)ディヴァインがラストに見せる“カストロ”な名演技は、とてもシラフでは耐えられないものだ。気が弱い人はトラウマになりかねないので見るのはお勧めできないが、下品も極めると芸術へと昇華するのか?!との深い考察も可能な1本だ。

(1972年/アメリカ/ジョン・ウォーターズ監督/原題「Pink Flamingos」)

ミッドナイト・ムービー

なお、「ピンク・フラミンゴ」についてはドキュメンタリー映画「ミッドナイトムービー」内で、ウォーターズ監督自ら言及しているので、こちらもぜひ参考にしてほしい。

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2007年01月10日

ブレードランナー5

ブレードランナー 最終版 ― ディレクターズカット

新企画「カルト・ムービーの魅力」スタート!

近未来のアメリカを舞台に、レプリカント(人造人間)とそれを狩るブレードランナーとの闘いを描く物語。キャストは、ハリソン・フォード、ルトガー・ハウワー、ショーン・ヤング、ダリル・ハンナと、80年代の華が揃う。原作はフィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」。

常に酸性雨が降り続くLAの街の造形が奇妙にして絶妙。日本寄りの東洋系の映像はフィルム・ノワールの趣だ。ロボットが意思を持つというストーリーは数多くあるが、この映画がベスト。今や古典と呼べる域に達しているが、公開当初は、難解で暗い作品としてカルト・ムービーと位置付けられ、一部の熱狂的なファンに支持された。

主人公がレプリカントの美女に言う「愛してると言え」との命令口調が流行してしまうほど、もてはやされるSF映画だが、落ち着いて考えると、ニヒルな男が美女と恋に落ちるという、立派で平凡な(?)恋愛映画だったりもする。それをディストピア(ユートピアの反語)的な近未来で展開して映画ファンを歓喜させた、センスの勝利だろう。

最初に作られた商業主義的なバージョンは、監督の意図に反して編集されたもの。これに納得がいかなかったスコットは、最終的に自分で心ゆくまで編集したディレクターズ・カット版(最終版)を作成した。これにはナレーションが付帯していない。

大友克洋の「AKIRA」はこの映画に影響を受けたと言われているが、真相は?おそらく傑作は呼応しあうのだ。

(1982年/アメリカ/リドリー・スコット監督/原題「BLADE RUNNER」)

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