映画通信シネマッシモ


映画通信シネマッシモは、2018年4月をもって、終了しました。

ブログ終了にあたり、たくさんのあたたかいコメントをお寄せいただき、本当にありがとうございました。
皆さまの映画ライフに少しでもお役に立てたならこれほど嬉しいことはありません。
長い間のご愛顧に心より感謝いたします。

映画レビュー2001

2001年宇宙の旅

2001年宇宙の旅 [DVD]2001年宇宙の旅 [DVD]
◆プチレビュー◆
難解なのに圧倒的に支持される傑作映画。その2001年も、もう過去とは感無量だ。

遥かな過去のある日、猿人たちの前に異様な黒石板が出現。彼らが恐る恐るそれに触ると知性が芽生え、骨を道具にすることを覚える。その骨を空へ放り投げると、それは一瞬にして宇宙船に変じた。西暦2001年、月面上に基地を建設中に、またも謎の黒石板が現われる。その調査のために、宇宙船ディスカバリー号は目標に接近するが、宇宙船の全ての機能を握る人工知能コンピューター、ハル9000が故障、不可解な行動をとるようになる…。

子供向けの冒険活劇のイメージが強かったSFを、極めつけの美しい映像と音楽で、哲学的境地にまで導いた記念碑的作品と言ってよい。難解で、観客に疑問を投げかける内容ながら、未だにこの映画をベストムービーに挙げる人も多く、その後の映画制作に与えた影響は計り知れない。観た人の数だけ異なった解釈がある。そんな偉大な映画なのだ。

冒頭20分間はまったくセリフなし。敵を倒し興奮した猿が空に放った骨が一瞬にして宇宙船に変貌する美しくも戦慄的な場面。数百万年を瞬時にジャンプするセンスに脱帽だが、人類が手にする道具の本質は、人殺しの道具なのだということを意味する怖いシーンでもある。時は流れて2001年。人工知能ハル9000によって全ての機能が制御されている宇宙船ディスカバリー号では人間VSコンピューターの闘いが。ディスカバリー号は時空間の流れを果てしなく越え、無限の彼方へたどり着く。そこには巨大な胎児「スター・チャイルド」が宇宙空間に浮かび地球を見下ろしている。

シュールな展開に頭の中が混乱するが、静かでスケールの大きな映像には思わず見惚れてしまうはずだ。宇宙ステーションのシーンに「美しき青きドナウ」の流麗なメロディをぶつけてくる斬新なセンス。黒石板が現われる度に流れる不気味で破壊的な音楽はリゲッティの「レクイエム」。そしてR.シュトラウスの「ツァラトストラはかく語りき」の劇的な使い方など、音楽テクニックもすばらしい。

しかし、この映画の一番スゴイ点は、その先見的な文明批判の鋭さにある。完全無欠なはずのハルの故障の原因は、人間のミスだ。人間は永遠に過ちを繰り返す。これはハル自身のセリフだが、これこそがこの映画の重要なメッセージなのだ。自らの創造物によって滅びゆく皮肉は、ハルは人間の本性であることも表している。スターチャイルドは、永遠の生命の象徴であると考えたい。過ちを繰り返す人類の未来には悲観的ながらも、空に浮かぶ胎児は、力強い救済の予感を感じさせ、人間を肯定する。人間も宇宙も大きな意思に守られていて、決して孤独ではないのだ。その意思を「神」と見る人も。

皆が驚くようなSF映画を作りたかったというキューブリックの意思は、見事に結実。想像力をかき立てる難解な物語と、完璧な未来空間を描いた映像で、今なお観客を圧倒している。解釈は無限にあるが、最後に希望を感じ取ることができるかどうかが評価の分かれ目だ。

□1968年 アメリカ・イギリス合作映画 原題「2001:A Space Odyssey」
□監督:スタンリー・キューブリック
□出演:ケア・デュリア、ゲイリー・ロックウッド、他

人気ブログランキング用バナー

←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックしてもらえると嬉しいです\(^o^)/

アメリ

アメリ [DVD]アメリ [DVD]
◆プチレビュー◆
キッチュな映像が魅力で、想像力に富んだ秀作。「幸せになる」。このコピーが最高!

モンマルトルのカフェ・ムーランで働くアメリは空想好きで内向的な女の子。彼女の趣味は、人をちょっとだけ幸せにするイタズラをすること。そんなアメリは、ある日、捨てられたスピード写真のコレクターである青年ニノに出会って恋をするが、現実との対決が最も苦手なアメリは、なかなか恋心を打ち明けられず悩む。人を幸せにするアメリ。今度は自分が幸せになる番だが…。

アメリは夢見がちな少女がそのまま大人になったような、ちょっと変わった女の子。しかし、両親はもちろん、アメリを取り巻く人々は、もっとヘンな人たちばかり。ひとクセある奇妙な面構えの面々が登場し、ジュネ監督の世界を構成している。好きなものと嫌いなものを3つまで挙げて、登場人物を説明するところがユニークだ。観客は思わず微笑むけれど、アメリ自身は劇中はあまり笑顔をみせず、真剣な表情が多い。彼女はいつでもマジなのだ。

徹底して作りこんだ映像が見所。一見レトロなパリの街角の様相は、実は良く見ると非現実的な世界。地下鉄や通りのポスター一枚まで張り替えたという装飾は、全て監督のこだわりと物語の小さな伏線をなしている。観客は気が付いたらアメリと同じ高さの視線を持たされている。くすんだ色彩の映像が特徴の仏映画の常識を翻す鮮やかな色彩とキッチュな感覚。この映画がファッション雑誌で多くとりあげられているのも納得だ。

元々フランスという国は個人主義で世界に名をはせるお国。他人に干渉しない、私のことはほっといて、という国民性がレッテルのその国で、「アメリ」のようなファンタジックな映画が爆発的な人気を博しているのも考えてみたら不思議な話。アメリの行う悪戯や小さな親切は、一歩間違えれば大きなお世話で、偽善に陥りやすい。絵本のような不思議な世界とノスタルジックな感覚が、それを何気なく救っているのだ。ジュネ監督が本来持つグロテスクな方向性が、映画の端々に悪戯のように隠されているのも逆に楽しい。

フランスからやってきた超話題作は、意外なほどこじんまりとした愛らしい作品。ダイアナ妃の死が新聞に載るような現代を時代設定にしながら、携帯電話もパソコンも登場しない。レトロで情緒あふれるモンマルトルの風景が、どこか懐かしい。風変わりな住民たちの暮しや表情に心が和むが、実は細部にまでとことんこだわった手の込んだ作品。フランス人の持ついい部分を集めて作ったような映画だ。日々の暮しのなかの“ちょっとしたお気に入り”を見つけて幸福を感じよう。人が幸せになる映画を作りたかったというジュネ監督の想いが伝わってくるようだ。

□2001年 フランス映画 原題「LE FABULEUX DESTIN D'AMELIE POULAIN」
□監督:ジャン・ピエール・ジュネ
□出演:オドレイ・トトゥ、マシュー・カソヴィッツ、他

人気ブログランキング用バナー

←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックしてもらえると嬉しいです\(^o^)/

ハリー・ポッターと賢者の石

ハリー・ポッターと賢者の石 [DVD]ハリー・ポッターと賢者の石 [DVD]
◆プチレビュー◆
さすがは世界的なベストセラー、期待感は200パーセントだ。まずは導入部でウォーミングアップといったところ。

叔母一家に虐げられて育った孤児のハリー・ポッター。11歳の誕生日に届けられた手紙は、魔法学校の入学許可証だった。そこで自分の能力と、自分の両親が邪悪な魔法使いに殺されたことを知る。次第に解き明かされていく謎。友人と共に両親を殺した闇の魔法使いに立ち向かうハリーだったが…。

実は原作を読んでいない。それでも、世界中で1億部を突破した前代未聞のベストセラーであることは知っているし、物語のあらすじもおのずと耳に入ってしまって、すっかり読んだ気になっている。まさに老若男女が今か今かと待っていた、期待度も世界規模のこの映画。シリーズ化も必至だ。

まん丸メガネのラドクリフ少年は、聡明さと愛らしさを兼ね備え、好感度が高い。大ベストセラーの映画化は主人公のイメージが最も大切だ。全編に漂う英国調の雰囲気が、重みと不可思議さを違和感なくかもし出す。また、従来の冒険ものと違い、魔法が身近に感じられるのも特徴だ。つえでモノを宙に浮かせたり、猫に変身してみたり、空飛ぶほうきに乗るなど、昔ながらの魔法使いのイメージを大切にしていてうれしくなる。

魔法の世界に誘う導入部分も実に巧み。階段下の物置でのハリーの日常から、魔法界の商店街ダイアゴン横丁に入った途端に、不思議な世界に引き込まれ、キングス・クロス駅の9と3/4番線からホグワーツ特急の列車に乗れば、もうそこは夢のような魔法の世界。子供達だけでなく大人も一緒に冒険の旅の始まりだ。

本を読んだ人はどう感じたんだろう。自分なりのハリーの世界と違うと感じるのか、それとも想像通りと喜ぶのか。監督のクリス・コロンバスは子供向きの作品に実力を発揮する人だが、あきれるくらい原作に忠実にこの映画を仕上げている。これでは恐らく彼のオリジナリティなど入り込む余地はなかったはずだ。だが、これほどのベストセラー、しかも子供達に愛読されている物語を映像にするのは、とても危険な作業。ヘタに変えるわけにはいかないのだ。無難な仕上がりは製作者側の意図通り。原作を読んでない観客が見てもちゃんと物語を把握できるような、丁寧な作りだが、その分登場人物の顔みせ的な印象と、やや状況説明調になってしまっているのが残念。良くも悪くも定番的な映画作りは、シリーズ第1作のお約束。終わり方もあっさりしたものだった。導入部分に当たる「賢者の石」は映画的にはハリーの冒険とは程遠いオーソドックスな作り方。本当の“冒険”はきっとこれからだ。

□2001年 アメリカ・イギリス合作映画
□原題「Harry Potter and the Philosopher's Stone」
□監督:クリス・コロンバス
□出演:ダニエル・ラドクリフ、リチャード・ハリス、アラン・リックマン、他

人気ブログランキング用バナー

←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックしてもらえると嬉しいです\(^o^)/

パール・ハーバー

パール・ハーバー 特別版 [DVD]パール・ハーバー 特別版 [DVD]
◆プチレビュー◆
延々と続くメロドラマにうんざり。友情か愛に絞れば、まだ救われたか?!

幼馴染みのレイフとダニーは優秀なパイロット。しかしレイフは美しい看護婦の恋人イブリンと親友のダニーを残して英国戦線へ志願。ダニーとイブリンはハワイへ転属。レイフの訃報、イブリンに惹かれていくダニー。過酷で皮肉な運命に翻弄される3人。そして、そこには日本軍の壮絶な奇襲攻撃が目の前に迫っていた…。

どこかで見たような画面のオンパレードは、まるでパロディ。映画前半から、チンケな三角関係メロドラマが冗漫にだらだらと続く。最新のCG技術を駆使して作られた戦闘シーンはさすがに迫力があり、かなりの時間をさいて描かれるが、真珠湾攻撃が終わってからがまた長い。男同士の友情や、引き裂かれる恋人、更に過酷な運命に試されるかのような愛の選択、そして愛国心や命を賭けた闘いと、泣きの要素がてんこもり。総製作費用は200億円と、こちらも桁違いだ。

歴史的に誤った描写はかず知れず。真珠湾攻撃は最近の検証ではアメリカ側は既に情報を入手していたというのが通説になりつつあるが、このことは目をつぶろう。しかし、真珠湾攻撃の司令官が本当は南雲忠一中将なのに山本五十六になっていたり、零戦が史実に反して陸軍病院を襲撃したり、とても時代考証がなされたとは思えない。日本軍が一国の命運をかけて行う作戦会議は、隣で子供が凧上げをしているような野原でオープンに行われているし、迫力の零戦も、真珠湾攻撃当初は機体は灰色だったはずで、濃緑色に塗られたのは日本の敗戦が色濃くなった大戦後半から。映画で完璧な時代考証を再現しろとは言わないが、日本とアメリカでセリフを変えて上映したり、わざわざ、時代考証はしたがこれはエンターティメントと言い訳するところがムシが好かない。

最悪なのは看護婦のイブリンのキャラクターだ。イブリンは初めはレイフを愛し、彼の死を知って親友のダニーに惹かれる。レイフが戻ると「私はダニーを愛しているけど、心はあなたのもの」。何なんだ、これは?!確かにのっぴきならない状況だし、戦争という非常事態でもある。死んだと思った彼が戻るのも悲劇だし、幸せを求める権利は彼女にもある。だが、超大作の悲劇のヒロインとしてとるべき行動ではないのだ。彼女がヤケになってダニーと結ばれたり、逆に本気でダニーに惚れたならまだしも、煮え切らない態度が観客の反感を買うのだ。もう少しスジってもんがあってもいいんじゃないのか。だいたい、奇襲攻撃を受けて病院に駆けつけるのに、ばっちりメイクしてるんじゃないっ!戦争は若者達の愛さえも引き裂いた、などと判り切ったことを今更やるのなら、登場人物のキャラも王道にするべきだ。

日本では批判されながらもヒットしたこの作品。本国アメリカでは観客が入らず不評だったそう。いくら自国を賛美しても映画としての質が悪ければ当然だ。こういう映画を大々的に宣伝して配給してしまう日本の映画産業のあり方に疑問を感じずにはいられない。

□2001年 アメリカ映画 原題「Pearl Harbor」
□監督:マイケル・ベイ
□出演:ベン・アフレック、ジョシュ・ハートネット、ケイト・ベッキンセール、他

人気ブログランキング用バナー

←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックしてもらえると嬉しいです\(^o^)/

ムーラン・ルージュ

ムーラン・ルージュ [DVD]ムーラン・ルージュ [DVD]
◆プチレビュー◆
トム・クルーズ夫人という肩書きも利用しつくして見事独り立ち。頑張れ、ニコール!

19世紀末のパリ。有名ナイトクラブ、ムーラン・ルージュのスターにして高級娼婦のサティーンと貧しい戯曲作家クリスチャン。二人は出会ってたちまち恋に落ちる。しかし、投資家の公爵も彼女を手に入れようと画策。二人の行く手には暗雲が…。

この映画の前半はれっきとしたコメディなのだ。それもかなり笑えるスクリューボールコメディ調。これが悲恋だということを一瞬忘れてしまいそうなほどだ。話そのものは何の新鮮味もない古典的なものだが、その物語に目も眩むような絢爛豪華な映像とポップな音楽がドッキングしている。宝石箱をひっくり返したような映画とはこのことだろうか。ヘンテコにしてドハデな悲恋ものミュージカルだ。

圧倒的な映像の美しさに目を奪われる。禁断の酒アブサンの幻想そのままに、俗っぽく猥雑、それでいて魅惑的な世界に引き込まれいく。また、ミュージカルといっても完全に時代考証無視で、現代のポップスが続々と登場。意外なアレンジで観客を飽きさせない。踊りはショー形式の群舞が中心。また、サティーンが空中ブランコに乗りながら歌う「ダイヤモンドは女性の親友」は、伝説のスター、マリリン・モンローが「紳士は金髪がお好き」の中で歌った曲で、アメリカ映画の大女優への敬意が見て取れる。

あまりにも前半がハジケているので、後半の悲恋部分が少々退屈に感じるのは気のせいか。障害や犠牲は悲劇へ進むお約束だが、カビ臭いストーリーだからこそ、ゴージャスな映像が際立ったのかもしれない。

冒頭で20世紀フォックス社のロゴマークをおしゃれなアレンジで登場させる演出は必見。華やかに開く真紅の緞帳は、期待感を高めると同時に、この物語が全てひとときの夢の世界、舞台の上での虚構であることを告げている。フレンチカンカンは世紀末の快楽の象徴で、エロティックな狂乱の中に純粋な恋が咲く。高級娼婦と貧乏作家の悲恋を歌と踊りで綴った本作は、今までにないタイプの、異色の悲恋コメディミュージカルだ。

□2001年 アメリカ映画 原題「Moulin Rouge!」
□監督:バズ・ラーマン
□出演:ニコール・キッドマン、ユアン・マクレガー、他

人気ブログランキング用バナー

←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックしてもらえると嬉しいです\(^o^)/

おいしい生活

おいしい生活 [DVD]おいしい生活 [DVD]
◆プチレビュー◆
異様にモテる神経質なインテリ役が多かったアレン。今回はサエないドジ亭主。似合うゾ!

自称天才泥棒の夫レイと毒舌家の妻フレンチーは、仲間と銀行強盗を企てる。しかし、カムフラージュに始めたクッキー屋が大当たり。思いもよらず大金持ちに。念願のリッチな生活が始まるが…。

解りやすいキャラの登場人物と笑いのセンスは、古典落語を味わっているような気分。W.アレンは古き良きアメリカ映画のドタバタ・コメディを意識したギャグの連発で、身振りや手振りはジャック・レモンばりの可笑しさ。天才的に口が悪い上流志向の妻フレンチー役の“アメリカで一番笑わせる女”と異名をとるT.ウルマンとの、ボケとツッコミのかけあいは上方漫才を思わせる。

ケガの巧妙の大成功で、夫婦とその仲間達は、あれよあれよと大金持ちになる。しかし、念願のリッチでハイソな生活が始まってからは、むしろシニカルな展開だ。衣食住足りて、生活に余裕が出てきたら、次なる目標は教養。お金で買いにくいもののひとつに知性や品格があるが、皮肉屋アレンはそこを逆手にとって笑わせる。大金持ちを夢見ていたはずの夫婦二人の価値観が、どんどんズレていく。

ハリウッド嫌いのアレンの映画が、スピルバーグのドリームワークス配給?!こんな疑問も、映画の出来さえ良ければ些細なことだ。ワインの銘柄は知らなくても、肉団子入りのスパゲッティをうれしそうに食べてくれる愛しい夫と、口は悪いが、とびきり美しい夕焼けを一緒に見たい唯一の女性の妻。まだ若い頃、ドジな亭主が教えてくれた金庫破りの方法は、大切な愛の証。そんな二人は世界に一対しかないカップ&ソーサーで、代替品はない。ケンカばかりしていてもやっぱり仲がいい夫婦の絆を感じて、思わずハッピー。大笑いして、ちょっと心配して、でも最後にはちゃんと丸く収まってくれる。アレンらしい上手いオチもついて、めでたし、めでたし、なのだ。

□2000年 アメリカ映画 原題「Small Time Crooks」
□監督:ウッディ・アレン
□出演:ウッディ・アレン、トレーシー・ウルマン、ヒュー・グラント、他

人気ブログランキング用バナー

←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックしてもらえると嬉しいです\(^o^)/

ソードフィッシュ

ソードフィッシュ 特別版 [DVD]ソードフィッシュ 特別版 [DVD]
◆プチレビュー◆
悪のカリスマ、トラボルタ。しかし、あの髪型、どうにかならんのか?!

銀行に眠る政府の闇資金をネット回線から奪おうと企てるガブリエル。図らずも彼に協力することになった天才ハッカーのスタンリーは、謎の美女ジンジャーらと銀行のシステム侵入を成功させるが、なぜかガブリエルは人質をとり銀行襲撃を強行する。彼の真の狙いはいったい…。

観客を錯覚させるミスディレクションがうたい文句のこの映画、その割にはなんとなく先が読める展開。それなのに楽しめるのは、冒頭シーンの完成度とミュージックビデオ出身というこの監督のテンポの良さのせいだろうか。ジョン・トラボルタ扮するガブリエルが、アル・パチーノ主演の「狼たちの午後」を痛烈に批判するところから映画は始まる。会話から銀行強盗事件の幕開けのシーンへと突入。さらにはこの映画最大の見せ場ともいえる迫力の爆発シーンへと続く冒頭は、上手いの一言。鋭い映像やノリのいい音楽が一体となって、ゴージャスな爆破シーンに釘付けだ。

注目は、一点を中心にカメラの視点がスローモーションで周囲を移動していくという、独特の表現法“ブレッドタイム”。「マトリックス」で初めて使われた手法だ。時間にすると1.5秒ほどに過ぎない爆破シーンを、約30秒間のスロー映像として表現。銀行を中心に、周囲のカフェの店内やパトカーの車の中を、ゆっくり、そして複雑に通り抜け、弧を描きながら移動するカメラ。空に吹き飛ぶ人間や割れて飛び散るガラスの破片の映像を織り交ぜながら描かれる臨場感あふれる爆破シーンは、まるで自分が爆発の中心にいるかのような錯覚を起こさせる。

映像的にすばらしい分だけ、人物の描き方には穴が目立つ。スタンリーだけは詳しく描かれるが、黒幕と思われる政治家もあっさりおダブツ。せっかくサム・シェパードが演じているのだから、もうちょっと説明してくれても良さそうなのに。悪の権化ガブリエルの背景もほとんど語られない。マジシャンの業界用語で人間の“思い込み”を利用した高等技術ミスディレクション。これも、とりたてて言うほど大した効果はなく、ラストも予想通りなのだ。

冒頭の銀行襲撃シーンから時間がさかのぼる展開がスリリング。短時間に二転三転するストーリーを追っているうちに、観客は細かい欠点はいっさい気にしない思考回路が出来上がっている。劇中に登場するハリウッド映画のリアリティのなさを批判するセリフも、この監督特有のパラドックスに違いない。

□2001年 アメリカ映画 原題「Swordfish」
□監督:ドミニク・セナ
□主演:ジョン・トラボルタ、ヒュー・ジャックマン、ハル・ベリー、他

人気ブログランキング用バナー

←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックしてもらえると嬉しいです\(^o^)/

愛のエチュード

愛のエチュード [DVD]愛のエチュード [DVD]
◆プチレビュー◆
美しいコモ湖の景色が魅力。困難な恋を凛々しくまっとうする姿に拍手だ。

1920年代。北イタリアの高級リゾート地コモ湖畔で、世界チェス大会が開かれる。天才チェスプレイヤーのアレクサンドル・ルージンは亡命貴族の令嬢ナターリアにひと目で恋をする。不器用だが純粋な彼にナターリアもまた強く惹かれるのだった。チェスの天才ゆえに神経を過度にすり減らすルージンは、ナターリアにささえられ決勝まで登りつめるが、勝負が進むにつれ徐々に神経を蝕まれていく。そして、結婚式当日、ついに悲劇が起こってしまうのだった…。

本来チェスにおいては、エチュードというのは専門用語のひとつで、芸術的なエンドゲームのこと。“エチュード”を鑑賞して堪能することはチェスの大きな楽しみのひとつだ。また、ルージンは、相手との勝負に、攻防策、すなわちディフェンスを練り上げる。ルージンの眼には全ての駒の動きが見える。彼の一連の手筋は美しくも見事な“エチュード”で、対戦相手さえも魅了するものだった。

ジョン・タトゥーロとエミリー・ワトソンという、エキセントリックな役をやらせたら右にでるものがいないクセ者俳優がそろっているにもかかわらず、2人とも抑えた演技の中で心の情熱や悲しみを表現していて、素晴らしい。特にJ.タトゥーロの、天才であるがゆえに不器用で、ピュアな心の持ち主のルージン役は、入魂の演技だ。エレガントなファッションや優雅な音楽が、美しいコモ湖畔の風景に映える。撮影には実際にヴィスコンティの別荘が使われていて、そのあたりも見所のひとつ。

チェスにのめりこみ、ナターリアへの想いと過去のトラウマが交錯して精神を病んでいくルージンの運命は、確実に悲劇へと向かう。残されたナターリアは、ほとんどチェスのことはしろうとだが、ルージンの書き残したメモを頼りに、ライバルとの勝負を引き継ぎ、彼に替わって戦う。静かなラストは必見だ。

チェスは頭脳スポーツとしてとらえられ、近い将来にはオリンピックの正式種目として採用される可能性もあるとか。1920年代の競技は時間制限も長く、いったん引き分けとしたり、翌日に日を改めたりと、今とは若干異なるルールながら、高度な神経戦であることは同じ。チェスの駒は対戦相手と色が分けられていたり、ひとつひとつの駒の形が違う上に造形的で美しいので、静かながら非常に映画的な素材なのだ。

□2000年 イギリス・フランス合作映画 原題「The Luzhin Defence」
□監督:マルレーン・ゴリス
□出演:ジョン・タトゥーロ、エミリー・ワトソン、他

人気ブログランキング用バナー

←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックしてもらえると嬉しいです\(^o^)/

オー・ブラザー!

オー・ブラザー! [DVD]オー・ブラザー! [DVD]
◆プチレビュー◆
ナチュラルな色合いの映像がグッド。サントラも人気。コーエン初心者にはお勧めだ。

1930年代のアメリカ南部、エヴェレットとピートとデルマーの3人組は、秘密の場所に眠る宝物を手に入れるために脱獄を敢行。しかし、その道のりはハプニングの連続だった。小銭稼ぎのために果たした「ズブ濡れボーイズ」としての歌手デビューが、知らないうちに全米中の人気者に。さらに旅路で彼らを待ち受けるのは、一筋縄ではいかない個性豊かな面々。沢山の出会いと別れを繰り返しながら、いつしか3人はお金では買えない本当の「宝物」に気が付いていく…。

もともとは世界最古の文学作品、ホメロスの「オデュッセイア」が題材。アメリカ南部ののどかな風景の中で、三人の脱獄囚が遭遇する冒険が、楽しい音楽と供に展開し、心温まるコメディに仕上がっている。全編に流れる古いアメリカンフォークソングやカントリーが、懐かしさを感じさせて、いい感じだ。

ポマードを手放さず、夜はヘアネットを被って寝る洒落者エヴェレット。いつも文句ばかり言っているが、洗礼式に感動するピュアな心の持ち主ピート。ちょっと頭が弱く、魔女がピートをカエルに変えたと涙を流す心優しいデルマー。この3人のキャラクターがはっきりと解り易く描かれていて、とても愉快だ。

独特のクセが特徴のコーエン兄弟。だが、この作品は、コメディということや楽しいサウンドも手伝って、比較的万人向けの作品に仕上がっている。ひとつひとつのエピソードもいい。コーエンのサービス精神がたっぷりつまっていて、この話が古代ギリシアの叙事詩の最高傑作とまで言われる「オデュッセイア」が下敷きだということなど、すっかり忘れてしまうほどだ。摩訶不思議な映像が笑いを誘い、愛すべき登場人物に魅了される。

本当の宝物、それは家族の愛情だった。幸せの青い鳥は近くにいたという、チルチルミチルと双璧をなす、ロード・ムービーの普遍のテーマも、コーエンが描くとこんなにも痛快でエンターティメントだ。

□2000年 アメリカ映画 原題「O brother,Where Art Thou?」
□監督:ジョエル&イーサンのコーエン兄弟
□出演:ジョージ・クルーニー、ジョン・タトゥーロ、ティム・ブレイク・ネルソン、他

人気ブログランキング用バナー

←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックしてもらえると嬉しいです\(^o^)/

ガールファイト

ガールファイト [DVD]ガールファイト [DVD]
◆プチレビュー◆
ミシェル・ロドリゲスの三白眼の目つきが最高!ガール・ムービーとして上出来だ。サンダンス映画祭グランプリ受賞。

退屈で無気力な毎日を送る少女、ダイアナ。全てに嫌気がさす彼女は、訳もなく攻撃的な態度をとってしまう自分をもてあましている。ある日彼女は、弟が通うボクシングジムを偶然訪れ、これこそ自分が打ち込むものだと直感して強引に入門、みるみる実力を発揮し、トーナメントで勝ち進んでいく。しかし、ジムの仲間エイドリアンと恋に落ちたダイアナは、彼とアマチュアボクシングの決勝戦で対戦することを知り思い悩む…。

冒頭やファイトシーンで流れるフラメンコのリズムに惹きつけられる。眼光鋭い不敵なツラ構えのダイアナを演じるミシェル・ロドリゲス。彼女のド迫力の三白眼は、いままでにない“こびないヒロイン”を、目つきだけで十分に現していて、この映画が彼女を魅せる映画だとひと目で気づく。

無気力な女の子が、ボクシングを通じて様々なことを学び、成長するストーリーは、女の子がボクシングという点を除けば、ありがちな青春映画。しかし、自らも実際にボクシングをやっていたというクサマ監督は、前代未聞のボクシングでの恋人対決という素材を、新鮮な恋物語にまとめた。

最初はただ怒りややるせなさをぶつけるだけだったダイアナのボクシングは、コーチの指導を受けるうちに自己鍛錬の大切さやトレーニングの質を学び、心も身体も明らかにたくましく変化していく。ロドリゲスも熱演で、演技はまだまだ荒削りだが、獣のような激しさの中に少女らしいナイーブな横顔をのぞかせる。計らずも恋人と戦わねばならなくなり、思い悩む二人。ダイアナとエイドリアンの試合は、いわば濃厚なラブシーンだ。

ラストは希望でもなく絶望でもない、非常に現実的な一面をみせる。ヒロインには恋もボクシングも、大人になっていく確かな原動力。10代の二人に将来の約束など必要ないし、お互いを認め合う姿が何よりも清々しい。残念なのは、家族、特に父親との確執が中途半端に終わっていることか。

この映画の特徴は、「試合に勝つ」ことに焦点がおかれていないこと。思春期というのは誰もが経験する独特な季節で、とまどいと行き場のないエネルギーをボクシングによって昇華させていくヒロインは、チャンピオンになりたいわけでもなく、闘魂そのものや誰かを倒すことがカタルシスなわけでもない。彼女は他の誰のためでもなく、自分自身のために戦っていて、それは社会に力強く踏み出すためのトレーニングなのだ。何かに夢中になったり、自分なりに成し遂げることで、人はこんなにも変わることができる。そうすることで、きっと日々の悩みなど砕け散っていくに違いない。

□2000年 アメリカ映画 原題「Girlfight」 
□監督:カリン・クサマ
□出演:ミシェル・ロドリゲス、サンティアゴ・ダグラス、他

人気ブログランキング用バナー

←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックしてもらえると嬉しいです\(^o^)/

おすすめ情報
最新コメント
作品検索はこちら
Google
WWW を検索
このブログ内を検索
映画レビュー(長文)索引

    
    
    
    
    
    
    
  
    

A−Z
0−9
おすすめ情報
おすすめ情報

おすすめ情報

楽天市場
おすすめ情報

  • ライブドアブログ