映画通信シネマッシモ


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

プチレビュー09上旬

パンドラの匣

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全編にレトロ・モダンな雰囲気が漂う、異色の青春映画にして文芸映画だ。終戦を迎えた年、結核を患う少年・利助は、風変わりな療養施設・健康道場に入る。患者や看護婦を互いにあだ名で呼び合うその場所で彼は“ひばり”と呼ばれ、看護婦の竹さんやマア坊、同じ病を患う仲間と過ごすうち、少しずつ希望を見出していく。

2009年は太宰治の生誕100年に当たるが、この原作は珍しく明るくポップな小品だ。それでも太宰タッチは健在で、主人公のひばりは、神経症でナルシスト、他人を冷めた目で見下すくせに、自分自身は傷つきやすい。映画は、ひばりが年上の親友で詩人のつくしに宛てた手紙を上手く使った構成が効いていて、時に自意識過剰なひばりの言動をコミカルに見せることに成功している。「頑張れよ」「よしきた」という決まり文句の合言葉も楽しいもので、耳に心地よいリズムとなって残る。「新しい男」になると決意しながら、新しさの定義に悩むといった、軟弱なインテリならではのおかし味など、ちょっと自虐的なユーモアがいい。映像は非常に丁寧で美しく、古い木造の建物や不思議な習慣の道場での衣食住など見応えがある美術も魅力だ。新人の染谷将太や芥川賞作家の川上未映子を起用するなど、異化効果を狙ったユニークなキャスティングが目を引く。小悪魔的な魅力の仲里依紗の光る金歯と、川上未映子の妙にどっしりした存在感が印象的。彼女たちの生命力がパンドラの匣のスミっこにある希望なのだ。
【65点】
(日本/冨永昌敬監督/染谷将太、川上未映子、仲里依紗、他)
(映像美度:★★★★☆)

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扉をたたく人

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地味だが丁寧に作られた人間ドラマだ。60歳を超えて初主演の名脇役リチャード・ジェンキンスの渋い演技が味わい深い。孤独な大学教授ウォルターは、NYでシリア出身の青年タレクと出会い心を通わせるが、タレクが突然不法滞在を理由に拘束されてしまう。9.11以降、米国は、移民や不法滞在者に対して厳しい態度をとっている。移民によって作られた国が扉を閉ざす不寛容は、悲痛なものだ。だが映画は難しい社会派ドラマには寄らず、アフリカン・ドラムのジャンベという楽器の音色に思いを託すクレバーなスタイルをとった。湧き上がるリズムと人との出会いで、主人公は生きる喜びを再び感じ始める。物語の結末は現実を反映した苦いものだが、ウォルターが地下鉄の構内でジャンベを演奏するラストに希望を見出したい。
【70点】
(原題「THE VISITOR」)
(アメリカ/トム・マッカーシー監督/リチャード・ジェンキンス、ヒアム・アッバス、他)
(不寛容度:★★★★☆)

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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 EVANGELION:2.22 YOU CAN (NOT) ADVANCE.[DVD]ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 EVANGELION:2.22 YOU CAN (NOT) ADVANCE.[DVD]
前作「序」は復習モードで不満だったが、本作「破」はまずは合格点。迫力のCGはもちろん、新キャラの登場、中学生らしい恋愛感情や大人もニヤリのセクシーショット、さらにはスポンサーに配慮した細部の描写と、実にサービス精神が旺盛だ。物語は、汎用ヒト型決戦兵器エヴァンゲリオンに乗って戦う14歳の少年シンジが、父との関係や戦うことの意義で悩みながらも、謎の敵・使徒との激戦に巻き込まれていく様を描くもの。エヴァの特徴である抒情性と残酷性の両面がエモーショナルで、ファンならずとも圧倒的な映像美に目を見張るだろう。

メガネっ子というマニアックなルックスの新キャラのマリと、登場時間は少ないが意味深なセリフが気になるカヲルの二人の存在は、本作ではまだ謎めいている。その分、レイとアスカの心理描写は丁寧だ。彼女たちの感情の揺れや他者への思い、シンジとの距離が近くなる展開は、心の底の悲しみがにじむようで胸が詰まる。レイが言う“ポカポカ”する気持ちをみんなが味わう日は来るのだろうか。まだまだ物語は途中だが、混沌から始まるであろう次回作への期待は高まった。ただ、激しい戦闘シーンで流れる有名曲の選曲にビックリ。激しく好みが分かれそうだが、妙に記憶に残るという意味で効果は絶大だ。稀に見る“後ろ向きな性格”の主人公には案外ピッタリかもしれない。例によってエンドロールの後に予告編と重要なシーンがあるので席を立たずに最後まで鑑賞しよう。
【70点】
(日本/(監督)摩砂雪、鶴巻和哉 (総監督)庵野秀明/(声)緒方恵美、林原めぐみ、宮村優子、他)
(ポカポカ度:★★★★☆)



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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破@ぴあ映画生活

夏時間の庭

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老いと孤独。家族の崩壊。この物語の穏やかな喪失感は、どこか小津映画を思わせる。パリ郊外の瀟洒な一軒家に住んだ母の死後、家と美術品コレクションを処分することになり、3人の兄妹はそれぞれの思いで人生に向き合うことに。

緑あふれる家と庭はすべてが絵画的。それに対し、時代の流れやグローバリズム、遺産分割など、子供たちの現実は決して甘くない。結局残るのは物ではなく共に過ごした時間をいつくしむ心なのだ。美は思い出の中にあるというアイロニカルな視点が仏映画らしい。ちょっぴり問題児で現代っ子の孫娘が、祖母と暮らした家や絵がなくなることに対して悲しむラストが秀逸だ。未来の象徴である彼女の心が本当の財産なのだとこの映画は告げている。オルセー美術館20周年企画の美しい小品だ。
【65点】
(原題「L'Heure d'ete」)
(フランス/オリヴィエ・アサイヤス監督/ジュリエット・ビノシュ、シャルル・ベルリング、ジェレミー・レニエ、他)
(喪失感度:★★★☆☆)

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築城せよ!

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ブレないと評判の戦国武将が大ブーム。そんな流れにのった快作だ。観光地にもならず工場誘致さえキビしい現代の田舎町に、400年前の戦国武将の亡霊が蘇り、悲願の築城を宣言する。

廃材のダンボールでの城作りというムチャな計画に巻き込まれ、いつしか魅了されていく建築学科のナツキや町の人々と、武将の思いがひとつになり、城が出来上がっていくプロセスがすこぶる楽しい。ただ、材料集めの工夫は丁寧だが、城作りの細部の描写が雑なのが残念。特に天守閣としゃちほこの製作はものづくりの喜びを謳う物語のカギだけにきちんと描いてほしかった。すばらしいのは情けない公務員と尊大な武将の二役を演じる歌舞伎役者の片岡愛之助。品格のある声と立ち居振る舞いが美しく、ありえない物語に説得力を与えている。
【65点】
(日本/古波津陽監督/片岡愛之助、海老瀬はな、江守徹、他)
(創意工夫度:★★★★☆)

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人生に乾杯!

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老人版「俺たちに明日はない」と呼びたい痛快なハンガリー映画だ。主人公は、年金だけでは暮らしていけず、そおっとやってみた強盗がうっかり成功してしまった老夫婦。ぎっくり腰を気遣いながらの彼らの逃避行は、愛車のクラシックカー“チャイカ”を駆っての、ほのぼのとした旅行のよう。同時に警察側のカップルの恋の行方も活写し、飽きさせない。高齢者福祉はどこの国でも深刻な問題だが、ハンガリーには、共産主義から資本主義へ移行した歪みがある。そんな社会の矛盾に対し、勇気を持って行動した二人が“ボニーとクライド”に見えた。悲劇的なラストの果てのオチが洒落ていて、思わずニッコリ。複雑な歴史とのどかな国民性を持つハンガリー。映画的な小国からこんな快作がやってくるから、世界はやっぱり広いのだ。
【70点】
(原題「KONYEC」)
(ハンガリー/ガーボル・ロホニ監督/エミル・ケレシュ、テリ・フェルディ、ユディト・シェル、他)
(老人パワー度:★★★★☆)

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守護天使

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カッコ悪くてカッコいい男3人組は、形容矛盾のヒーローだ。メタボで薄給の冴えない中年男・須賀の初恋の相手は、心優しい女子高生。だが彼女は闇サイトの罠にハマッて大ピンチに。幼馴染のチンピラと引きこもりの高校生を巻き込んで、誘拐された彼女を救出するため勝手に大奮闘を繰り広げる。

主役を務めるカンニング竹山をはじめ、クセもの役者の組み合わせが面白い。抜群に立ったキャラの造形は「キサラギ」同様に冴え渡った。みっともない男たちはどこまでもみっともなく、それでいて集まると不思議な力になる。カネなし、職なし、未来なしとはこの映画の宣伝文句だが、そこにはストーカー級の執着とピュアなハートがあったのだ。ふんどし姿などの悪ノリもあるが、鬼嫁の寺島しのぶが最後に言うセリフはちょっと泣ける。
【65点】
(日本/佐藤祐市監督/カンニング竹山、佐々木蔵之介、與真司郎、他)
(ストーカー度:★★★☆☆)

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劔岳 点の記

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日本地図誕生にこんな秘話があったとは。明治40年、未踏峰の劔岳山頂を目指す測量手と山の案内人がいた。軍部が、日本山岳会への強いライバル意識をあらわにする中、命がけで地図作りに挑んだ男たちの気骨に胸を打たれる。名カメラマン木村大作の初監督作だが、圧巻なのは、CGや空撮を使わずに撮影した本物嗜好の映像。冬山の厳しい美しさと同時に色鮮やかな緑や紅葉の木々が素晴らしい。クラシック中心の音楽が荘厳すぎて少々重苦しいのが惜しいが、それを緩和するのが飄々としながらも軽くならない浅野忠信の存在感だ。ラストには意外な展開が用意され聖なる山のイメージを新たにする。長期にわたる危険な撮影ではスタッフに怪我人も出たと聞く。地図作りと同じくらい、この映画製作の労をもねぎらいたい。
【70点】
(日本/木村大作監督/浅野忠信、香川照之、宮崎あおい、他)
(映像美度:★★★★☆)

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いけちゃんとぼく

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いけちゃんとは何者か?この謎が本作の感動の震源だ。謎が解けたとき、ファンタジックな愛に泣かされる。悪ガキのいじめに屈しない少年よしおのそばには、彼にしか見えない不思議な生き物いけちゃんがいた。

幼いながらに現実の痛みを知るよしおは、自分だけの世界を持っている。その異界に入れる唯一の存在、それがいけちゃんだ。いけちゃんの声を担当する蒼井優のおおらかな“演技”が魅力的で、思わず感情移入してしまう。よしおがいけちゃんと別れるときのやるせなさ。そして思いがけない再会の驚き。いけちゃんの告白に、切なさがこみあげた。この物語がラブストーリーだったとは。思い出が最も輝くのは、過去と現在が交錯した瞬間なのだと分かる。見終わると、冒頭に登場するお墓参りのシーンが胸にしみた。
【65点】
(日本/大岡俊彦監督/蒼井優(声)、深澤嵐、ともさかりえ、他)
(不思議度:★★★★☆)

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トランスフォーマー/リベンジ

トランスフォーマー/リベンジ スペシャル・コレクターズ・エディション  [DVD]トランスフォーマー/リベンジ スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
前作同様、ぶっ壊してばかりの騒々しい映画だが、予算もスケールも各段にアップしただけに、ビジュアルは驚異的だ。総勢60体以上のトランスフォーマーの変身のバリエーションは実に創意工夫がある。宇宙から地球へ戻った悪玉ディセプティコン軍団と、親地球派で善玉のオートボットたちはついに全面戦争に。主人公サムは、またしても地球と人類を救うはめになる。

この続編に、深いドラマ性など求めてはダメ。そう割り切れば、機械たちの人間臭いキャラに笑い、金属生命体同士の肉弾バトルに興奮できるはず。後半の「インディ・ジョーンズ」ばりの古代の秘密と、米軍がよりにもよってイスラム圏で戦争ごっこに興じる狂乱には目がテンになるが、マイケル・ベイの映画に固いことは言いっこなしだ。サムの良き友でカマロのバンブルビーの優しさがグッとくるが、元は敵側ながら、途中から主人公たちを助ける超小型のディセプティコンのノリやすいキャラが気に入っている。ただ、意外な形で再登場したシモンズの“勝負パンツ”などという淫らなものを大画面で見たショックが抜けない。どうしてくれる。
【60点】
(原題「TRANSFORMERS: REVENGE OF THE FALLEN」)
(アメリカ/マイケル・ベイ監督/シャイア・ラブーフ、ミーガン・フォックス、ジョン・タトゥーロ、他)
(大騒ぎ度:★★★★★)

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