映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ジャスティス・リーグ」「火花」「ギフテッド」「光」etc.

プチレビュー09下旬

ずっとあなたを愛してる

ずっとあなたを愛してる [DVD]ずっとあなたを愛してる [DVD]
心に抱いた悲しみを描く物語にふさわしい、抑制の効いた演出が光る佳作だ。15年の刑期をおえたジュリエットは、歳の離れた妹レアの家に身を寄せる。再会した姉妹は互いに遠慮して、打ち解けることができない。ジュリエットの犯した罪は、幼い我が子を殺したことだ。その理由を決して語ろうとせず、自分の殻に閉じこもる姉の心に、懸命に近づこうとするレア。妹や周囲の人々とのぎこちない触れ合いの中で、ジュリエットは少しずつ変化を見せ始める…。

硬質な表情のジュリエットの抱える孤独は、見ているこちらの体まで青く染めてしまいそうなほど、冷たく深い。妹のレアもまた、姉の罪ゆえか自分の子を産むことを恐れている。最初、けなげに姉を支えようとするレアの存在に、ジュリエットがとまどいと怒りを感じているのが分かる。自分の苦悩は誰にも分からないといわんばかりの頑なな態度は、自分で自分を罰しているかのようだ。印象的なのは姉妹の母親との再会の場面である。レアのことが娘と分からない認知症の母は、ジュリエットのことはすぐに彼女と分かる。母から自分の存在そのものを否定されていると思い込んでいたジュリエットには、母親の抱擁は激しいカンフル剤だ。どんな理由があるにせよ、母親の心から我が子を消し去ることなどできない。この物語の本質である、罪のつぐないと、自分自身の再生という問いの答えが、この母との再会から見えてくる。

物語は殺人の理由を終盤まで明かさずミステリアスに展開するが、ついにジュリエットが自分の罪を語るシークエンスに圧倒された。その激しさは、さざ波のような物語が一気に嵐に見舞われたかのよう。すべての感情をぶつけて激昂し涙を流すクリスティン・スコット・トーマスの演技は圧巻だ。初めて本気で向き合った姉妹が静かにみつめる雨が、心の浄化の見事なメタファーになっている。悲しみを受け止め痛みを分け合ったこの瞬間、姉妹は本当の再会を果たしたのだ。劇中に、ジュリエットと、彼女に好意を抱いているミシェルが並んで螺旋階段から下を見る図があるが、その上に、天使のオブジェがある場面の、アーティスティックな構図が素晴らしい。それは人間世界を見つめる赦しのまなざしだ。フィリップ・クローデル監督の本業は小説家だが、映像感覚もすばらしい人のようである。
【70点】
(原題「Il y a longtemps que je t’aime/I'VE LOVED YOU SO LONG」)
(仏・独/フィリップ・クローデル監督/クリスティン・スコット・トーマス、エルザ・ジルベルスタイン、他)
(再生度:★★★★☆)

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

バグダッド・カフェ ニュー・ディレクターズ・カット版

バグダッド・カフェ ニュー・ディレクターズ・カット版 Blu-rayバグダッド・カフェ ニュー・ディレクターズ・カット版 Blu-ray
タンクをせっせと磨く太めの中年女性と言えば、1989年に公開された「バグダット・カフェ」のポスターだ。映画を見たことがない人でも、主題歌「コーリング・ユー」のメロディには聞き覚えがあるだろう。監督のパーシー・アドロン自らフィルムを再編集し、クリアな映像で蘇った。ドイツから来た旅行者のジャスミンは、夫婦喧嘩の末に、さびれたモーテル兼ガソリン・スタンド“バグダッド・カフェ”に辿り着く。変わり者ばかりのこの場所で、ジャスミンは次第に自分の居場所を見つけていく。一方、この大女のジャスミンが来たことで、最初は不機嫌に怒鳴り散らしていた経営者のブレンダをはじめ、気力をなくしたバグダッド・カフェの人々も変わり始めた…。

モハヴェ砂漠の荒涼とした空気、モーテルのけだるい気配、どこかシュールなジャスミンの肖像画が出来上がっていく時間の流れ。この映画ほどそこに流れるムードをうまくすくいとった作品は珍しい。名曲「コーリング・ユー」は耳から体内に入り、心臓の鼓動と同じくらい自然に響いてくる。ジャスミンを演じるマリアンネ・ゼーゲブレヒトの揺るぎない存在感は、物語の登場人物だけでなく、観客の心までやすらぎで満たしてくれる。彼女は、バグダット・カフェに舞い降りた愛の伝道師のような存在なのだ。ジャスミン目当てに集まってくる人々の表情を見れば、彼女が人の乾きを癒し、疲れを癒しているのがよく分かる。ジャスミンは、他人を幸せにすると同時に、自らも画家のルーディの愛情をナチュラルに受け入れ、ブレンダとも理解し合っていく。彼女の幸福感が砂漠にオアシスを作りだした。80年代末に公開されミニシアター・ブームの走りとなった作品だが、今見てもまったく古さを感じない。他人を幸福にする愛すべきヒロインの物語は、自分の周囲にいるジャスミンを見つけることができるかぎり、決して古くならない。
【70点】
(原題「BAGDAD CAFE」)
(西ドイツ/パーシー・アドロン監督/マリアンネ・ゼーゲブレヒト、CCH・パウンダー、ジャック・パランス、他)
(ヒーリング度:★★★★☆)

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

海角七号 君想う、国境の南

海角七号/君想う、国境の南 [DVD]海角七号/君想う、国境の南 [DVD]
日本統治下の時代の悲恋と現代の若者の恋を、今はない住所“海角七号”宛ての手紙が静かに結びつける、詩情あふれる佳作。1940年代の台湾で、若い日本人教師が台湾人女性と恋に落ちるが、終戦を迎え二人は離れ離れに。60年後、ミュージシャンの夢を諦め、郵便配達のアルバイトをしている青年アガは、古い住所「海角七号」宛ての小包を見つけ、つい開封してしまう。そんな時、アガは、日本の歌手のライブの前座に駆りだされることになるが…。

青春音楽映画でもある本作は、台湾映画の興行成績を塗り替えたという。日本統治下の台湾は、台湾人に日本人名を付け、日本語を強要したにも係わらず、なぜか反日感情は薄い。もちろん一概には言えないが、少なくとも本作の監督で1968年生まれのウェイ・ダーションは、日本と台湾の関係を穏やかな目線でみつめている。その証拠に、伝統楽器・月琴の名手で足を怪我した郵便配達夫の老人は、シューベルトの名曲「野ばら」を日本語で口ずさんだりする。寄せ集めのバンドの成長と、台湾人青年・アガと日本人女性でマネージャーの友子の恋が軸となるが、その背景のように、遠い時代の悲恋が届かなかったラブレターを朗読する形でつづられるノスタルジックな構成だ。独特の歌声が印象的な歌手・中孝介が、日本人教師役として手紙を読み、後半には、中本人の役としてライブを披露。ソフトな歌声に癒される。ラストに、老人が歌っていた「野ばら」を全員で歌う場面は、感動的だ。やはり音楽の持つ力は素晴らしい。台湾南部の海辺の街・恒春のロケーションも魅力的だ。「自分は故郷へ向かおうとしているのか、それとも故郷を後にしようとしているのか」とつぶやく言葉が心に残る。切なくてみずみずしい恋物語を描いたこの映画を、美しい絵葉書のように大事にとっておきたくなった。
【70点】
(原題「海角七号」)
(台湾/ウェイ・ダーション監督/ファン・イーチュン、田中千絵、中孝介、他)
(ノスタルジー度:★★★★☆)

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

ヴィクトリア女王 世紀の愛

ヴィクトリア女王 世紀の愛 [DVD]ヴィクトリア女王 世紀の愛 [DVD]
19世紀、英国は「太陽の沈まない帝国」と呼ばれるほどの黄金期だったが、その時代に国を治めていたのがヴィクトリア女王である。彼女の若き日を描くこの歴史劇は、真実の愛で結ばれた夫婦の物語だ。英国の王位を継ぐヴィクトリアは窮屈な暮らしにうんざり気味だ。旧態然とした風習に縛られ、自由のない生活を送っているヴィクトリア。王室での権力争いが激化する日々の中で、ドイツ出身のアルバート公と心を通わせ結婚することに。だが、政治家とのかけひきから国民の暴動や、女王を狙った暗殺計画まで起こるようになる…。

王位継承者である苦労は分からなくとも、本物の絆で結ばれた夫婦になる苦労は一般庶民でも理解できる。ヴィクトリア女王といえば、教科書に載る肖像画から、黒いドレスに身を包んだふっくらとした晩年の姿が思い浮かぶが、これは、夫のアルバート公が死去した後、ずっと喪に服した姿なのだ。女王がこれほどまで深く愛したアルバート公は、最初は叔父であるベルギー王に強要されてヴィクトリアに近付くが、やがて彼女を権力の道具としてではなく、人間として愛するようになる。そんなアルバート公は、実の母親との確執や王室での権力争いに苦悶するヴィクトリアにとって、唯一の心の拠り所だったに違いない。ただ、物語は表層的で、女王と公の理想の夫婦像を賛美する内容にすぎず、特別な破綻がない分、興奮もない。強烈な印象を与える敵役がいないのも抑揚に欠ける原因だろうか。ヴィクトリアの統治した期間は、7つの海を支配したと言われた栄光の時代。史実そのものが穏やかなのでは、やむを得ない。映画にするには、静かな平和より、権謀術数の嵐が吹き荒れる戦時の方が盛り上がるというのは因果な話だが。エミリー・ブラントが若い女王を演じるが、最初はどこか頼りなげにみえたが、次第に歴史劇ならではの重厚さを感じさせ、まずまずの好演だ。また、コスチューム劇ならではの豪華な衣装や華麗な家具調度品を楽しみたい。
【50点】
(原題「THE YOUNG VICTORIA」)
(英・米/ジャン=マルク・ヴァレ監督/エミリー・ブラント、ルパード・フレンド、ポール・ベタニー、他)
(新鮮度:★★☆☆☆)

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

釣りバカ日誌20 ファイナル

釣りバカ日誌 20 ファイナル [DVD]釣りバカ日誌 20 ファイナル [DVD]
ハマちゃんとスーさんの名コンビによる人気シリーズもとうとうファイナルを迎える。一流企業の鈴木建設も近年の不況により業績悪化の一途をたどっていた。会長のスーさんこと鈴木一之助は責任を感じ、無期限の給料全額返還を宣言、周囲を驚かせる。そんなスーさんのために奮起した万年ヒラ社員・ハマちゃんこと浜田伝助は、得意の釣りの人脈から、大型受注に成功。会長賞で有給休暇をもらい、スーさんとともに憧れの北海道へと釣り旅行に出かける。

タイトルには20とあるが、正確にはスペシャル版を加えて22作目だ。ついにラストを迎えるのは、キャストの高齢化や健康状態よりも、ハマちゃんのようなお気楽社員を雇える社会ではなくなった世相を反映せざるを得なかったのかもしれない。物語の舞台は意外にも初めてとなる北海道だ。美しく雄大な大自然を舞台に、幻の魚イトウにチャレンジしたり、若者の恋を手助けしたりと、ハマちゃんは相変わらず大活躍する。だが、スーさんは、なんと病で倒れ危篤状態に。ファイナルでついに死人が…と心配した矢先、三途の川を前にして、お祭り騒ぎになるところがやっぱり釣りバカで、大いに笑わせる。このシリーズの良さは確信犯的なマンネリズムだ。ファイナルの割には、釣りの場面が少なすぎるのはちょっぴり不満だが、最後だからといってヘンに力まず、ユルいテイストの演出スタイルを貫いたことを評価したい。感動のフィナーレは、観客というより出演者の納会のようだった。ともあれ、長いシリーズを演じきったキャスト・スタッフにご苦労様でしたと言いたい。
【55点】
(日本/朝原雄三監督/西田敏行、三國連太郎、松坂慶子、他)
(感無量度:★★★★☆)

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

よなよなペンギン

よなよなペンギン [DVD]よなよなペンギン [DVD]
日本のアニメ界の重鎮で、「銀河鉄道999」で知られるりんたろう監督が、日・仏・タイなどの国際的なスタッフで作り上げたファンタジー・アニメだ。主人公は、ペンギンのコートを着て夜な夜な街を歩く少女ココ。ある晩、ペンギンストアの閉店セールに招待されるが、そこでチャリーという名のゴブリンの少年と出会い、自分の住む世界に来てほしいと頼まれる。見知らぬ世界に来たココは、平和な村を守るために伝説の勇者“飛べない鳥”として奮闘するのだが…。

「ペンギンだって空を飛べる」とは、ありえないことが起こる奇跡を信じる言葉だ。登場人物は、人間以外に、英国発祥の精霊ゴブリン、天使や悪魔、七福神など。宗教、神話、土着の信仰などの、ごった煮のような世界では何が起こっても不思議じゃない。日仏合作アニメというから、さぞ大人向けの内容かと予想していたが、夢見がちな少女が知らない世界で大冒険を繰り広げるという物語は、オーソドックスで可愛らしいものだった。絵の具箱をひっくり返したような色彩に、思わず目を奪われる。個性的なのは、フルCGアニメに、日本アニメの伝統的な技術で、動きを簡略化しセル画の枚数を減らすリミテッド・ニメーションが組み合わされていること。それはデジタル世代のクリエイターたちにとって、ココの冒険以上に、アニメ製作の大冒険に思えただろう。終盤にココが、亡き父親から励まされるように“飛ぶ”ことにチャレンジするが、このことがストーリーにほとんど生かされてないのは惜しいが、ポップで幻想的な世界で、ペンギン姿の“不思議ちゃん”がのびのびと活躍するこの映画は、なぜだか憎めないのだ。
【60点】
(日本/りんたろう監督/(声)森迫永依、田中麗奈、太田光、他)
(カラフル度:★★★★★)

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

ティンカー・ベルと月の石

ティンカー・ベルと月の石 [DVD]ティンカー・ベルと月の石 [DVD]
ディズニーの人気キャラクター、ティンカー・ベルを主人公にした全4部作のアニメの第2弾。前作ではティンカー・ベルの誕生と彼女が持つ素晴らしい才能を開花させる物語だったが、本作では、その才能の応用ともいえる物語が描かれる。自然界の素晴らしい出来事は、すべて妖精たちの仕事。特に大切なのは四季を届けることだ。秋の準備に取り掛かる頃、ティンクは、妖精の女王に呼ばれ、秋の祭典に使う聖なる杖を作るという名誉ある任務を与えられる。杖に納めるのは、魔法の石でとても貴重な“月の石”だ。親友で、妖精の粉の番人テレンスがそのミッションを手伝うことになるが…。

好奇心旺盛だがおっちょこちょい、元気一杯だが短気で癇癪持ち。ティンクの魅力は、欠点だらけだということだ。今回は聖なる杖作りを手伝ってくれていた親友テレンスとの友情にヒビが入る。それと呼応するように、月の石が壊れてしまうという事態に。このことでネバーランドが危機に陥ると知ったティンクは、願いをかなえる魔法の鏡を見つけ出すために冒険の旅に出る。本作の色彩設計はいつにも増して見事で、カラフルな中にも、秋らしい落ち着きがあって、豊穣を感じさせるのがいい。物語は伝説に導かれた冒険の旅の中でのティンクの成長を、素直な筆致で描くものだ。特に重要なのは、友情。離れてみて初めて分かる友達の大切さ、「ごめんなさい」と素直に謝ること。失敗を恐れずにチャレンジできるのもそばに友だちがいるからだ。劇中に「もの作りの妖精は、間違いから学ぶ」という含蓄のあるセリフがある。妖精だけじゃない。人間だって同じだ。失敗することを恐れてはいけない。そして互いの間違いを許しあうことも。新キャラであるホタルのブレイズの愛らしさや、ティンクの新しいコスチューム、さらにケルト風の音楽と、見所は数多い。家族そろって安心して楽しめるファンタジーだ。
【70点】
(原題「TINKER BELL AND THE LOST TREASURE」)
(アメリカ/クレイ・ホール監督/(声)メイ・ホイットマン、ルーシー・リュー、アンジェリカ・ヒューストン、他)
(安心感度:★★★★★)

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

こま撮りえいが こまねこのクリスマス 迷子になったプレゼント

こま撮りえいが こまねこのクリスマス ~迷子になったプレゼント~ [DVD]こま撮りえいが こまねこのクリスマス ~迷子になったプレゼント~ [DVD]
こま撮りとは、いわゆるストップモーション・アニメのこと。膨大な時間と労力を要する作業だが、その独特の味わいで多くのファンを獲得している。本作は大人気の「こまねこ」シリーズの待望の第2弾。監督の合田経郎はNHKの人気キャラクター・どーもくんの生みの親で、日本を代表するアニメ作家だ。山の上のおうちにおじいと暮らす、もの作りが大好きな子猫の女の子・こまちゃん。クリスマスに、離れて暮らすパパとママに会えるのを楽しみにしていたこまちゃんは、少し早く届いたクリスマス・プレゼントに大喜びする。だがその中には、二人がクリスマスに帰れないと書かれた手紙も同封されていた。がっかりしたこまちゃんに、友達の発明少年ラジボーがある提案を持ちかける…。

自慢じゃないが、私はこの「こまねこ」の大ファンである。絵本だって持っている。2006年公開の「こま撮りえいが こまねこ」を、2007年からスタートした当ブログ内でいつか紹介しようと思っていたら、いつのまにか第2弾が公開されてしまった。なまけものの自分を反省している。せめて、第2弾をクリスマス・イブに紹介するのは、今度のお話はクリスマスにちなんだものだからだ。離れて暮らす家族の絆や、ヘコんでしまった時に勇気づけてくれる大切な友だち、そしてクリスマスならではのステキな不思議。ハートウォーミングな物語と、キャラクターの愛らしさに、心がほっこりする。人形や衣装を手作りして映画を作るこまちゃんや、得意の機械いじりでオリジナルのそりを作ってしまうラジボーが、創意工夫に富んだもの作りの精神を大切にしているところも、もの作り大国ニッポンのアニメとして誇らしい。セリフは“にゃあにゃあ”だけだが、ちゃんと物語が伝わるのは、すべてのシークエンスに確かな力があるからだ。もっと言えば、ひとコマひとコマに作り手の確かな技術と愛があるからなのである。
【75点】
(日本/合田経郎監督/(声)瀧澤京香、相田海斗、阪脩、他)
(キュート度:★★★★★)

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

ウルルの森の物語

ウルルの森の物語 通常版 [DVD]ウルルの森の物語 通常版 [DVD]
実話をもとにした映画「マリと子犬の物語」のスタッフが、再び子供と動物という鉄板ネタで仕掛ける感動物語だが、あまりに露骨な二番煎じの内容に苦笑した。母親の入院をきっかけに獣医の父がいる北海道で暮らすことになった幼い兄妹のすばるとしずく。ほとんど一緒に暮らしたことがない父や慣れない土地での生活に戸惑っていたが、美しい自然の中で、少しずつ日々の暮らしになじんでいった。そんなある日、森でオオカミに似た子犬と出会い、ウルルと名付けて飼うようになる。だが、ウルルが絶滅したエゾオオカミである可能性が出てきたことで、野生動物保護協会がウルルをしかるべき機関で育てるべきと主張する。

北海道には「オオカミの国」と伝えられる伝説の“ホロケシ”という場所がある。幼い兄妹がウルルをその場所に連れて行こうとするのは、ウルルが自分たちと同じように母親と離れ離れになっていると思うからだ。だが、それなら森でウルルを拾って自分たちのもとで飼うことだって引き離すことじゃないか。そもそもこの時点で、人間に都合が良すぎる物語だ。幼い兄妹が大自然の中で、野生動物にとって何が大切かを学べば、それがそのまま、家族の絆を学ぶことになるだろうに。絵本で見た伝説のホロケシを目指す旅は、よく知らない場所を子供だけで歩いて目指すにはあまりにも無理があるし、ウルルが演技らしい演技をせず、オオカミの本能を感じられないのも説得力に欠ける。終盤は、無理やりこじつけた感動ファンタジーになり脱力してしまった。キタキツネやエゾシカ、エゾリスなど、劇中に出てくる動物たちはとても愛らしい。物語に無理が多いのが残念だが、北海道の自然の素晴らしさは堪能できる。
【30点】
(日本/長沼誠監督/船越英一郎、深田恭子、濱口優、他)
(家族愛度:★★★★☆)

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

アサルトガールズ

アサルトガールズ [DVD]アサルトガールズ [DVD]
鬼才・押井守の久々の実写映画には、監督がこだわる美しい女戦士と銃器に対するフェティシズムが満載だ。舞台は、アヴァロン(f)と呼ばれるゲームの仮想空間。荒廃した砂漠を模した場所で、突然変異で生まれた巨大モンスター“マダラスナクジラ”を仕留めるべく、3人の女ハンター・グレイ、ルシファー、カーネルと、強力な武器を持つ一匹狼の男性ハンター・イェーガーが、パーティーを組むことに。はたして彼らは敵を倒しポイントをゲットできるのだろうか…。

黒木メイサ、菊地凛子、佐伯日菜子がそれぞれセクシーで個性的なコスチュームをまとった女ハンターに扮し、時に素手で戦い、時に銃をぶっ放す様は文句なしに絵になる。うねる蛇のようなスナクジラの造形も見事。ビジュアルは相変わらずハイ・クオリティだ。だが、ストーリーを追うにはコツがいる。まずゲームの世界観は映画「アヴァロン」に、女ハンターたちも過去の押井作品にリンクしている。それらを見ていない観客が作品を楽しむには、物語を追うのは潔くあきらめ、ひたすら視覚的な快感に身をませるのが正解だろう。一方、押井作品に精通するファンにとっては、時折挿入される二宮金次郎の像のように、意味深なようで意味がないような細部を独自の視点で分析するマニアックな楽しみがある。かつてないほどの激しい闘いの果てに、皮肉な仕掛けを施して、バトルはまだ終わらないと示唆。飛び立つ女戦士たちと地上で吠える男性ハンターの構図に押井監督の男女観を見るのもいいだろう。虚構の中の闘いが永遠に繰り返されるスパイラルもまた、監督がデビュー以来、ずっとこだわってきたファクターだ。セリフがなくパントマイムのような動きで演じた菊地凛子の存在感が際立っで面白い。
【55点】
(日本/押井守監督/黒木メイサ、菊地凛子、佐伯日菜子、他)
(スタイリッシュ度:★★★★★)

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)

シネマッシモにようこそ
◇ シネマッシモについて ◇

このブログが気に入ったら、ポチッとクリックお願いします♪
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

映画レビュー用BRバナー
インフォメーション


映画ライター渡まち子が運営するセカンド・ブログ「映画の中に猫がいる」もよろしく!【猫目線】で語る映画評で、のんびり、まったり運営中です(笑)。 猫好きの方、映画好きの方、ぜひ遊びにきてください。相互リンクも募集中!
こちらからどうぞ!
おすすめ情報
作品検索はこちら
Google
WWW を検索
このブログ内を検索
コメント(承認済)
映画レビュー(長文)索引

    
    
    
    
    
    
    
  
    

A−Z
0−9
カテゴリ
お仕事受注
映画評やコラムの執筆、講演など、映画に関する仕事を承ります。連絡はメールでお気軽にどうぞ。

 メールはこちらから↓
cinemassimo555★jcom.home.ne.jp
(★を@に変更して下さい)

執筆やラジオ出演など、メールと電話で対応可能な場合は、全国から仕事を受注していますので、まずはお問合せください。
プロフィール
プロフィール more
◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
おすすめ情報
おすすめ情報

おすすめ情報

楽天市場
おすすめ情報

Archives
相互リンクについて
相互リンクについて

  ↑ 必ずお読みください。
タグクラウド
  • ライブドアブログ