映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」「ベイビードライバー」etc.

プチレビュー10上旬

アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち

アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち [DVD]アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち [DVD]
タンゴを愛する人たちにとって至福の音楽ドキュメンタリーだろう。高齢だが音楽への情熱がほとばしる巨匠たちの演奏に感動必至だ。2006年、40年代から50年代にかけて活躍し、アルゼンチンタンゴの黄金期を築いた世界的音楽家たちが、ブエノスアイレスに集まる。アルバム「CAFE DE LOS MAESTROS」に収める曲を演奏するためだ。タンゴに一生を捧げた彼らは、タンゴの魅力と共に自らの激動の人生を語り始める…。

2006年、ラテン・グラミー賞を受賞したアルバムは、出来上がった楽曲の素晴らしさと共に、軍事クーデターやゲリラ運動など、どんな苦しい時代も音楽と共に生きた誇りを感じる格調高いものだ。素晴らしい演奏と歌の合間に、父親がなけなしの金でバンドネオンを買ってくれたこと、街角のカフェでの演奏が成功のきっかけになった話など、興味深いエピソードが披露される。深いしわが刻まれた巨匠たちの演奏はどれも素晴らしいのだが、サッカーに熱狂したり、競馬に夢中になったりする素顔もまた微笑ましい。印象的だったのは、二人の女性歌手の存在だ。隣国ウルグアイ出身でアフリカ系の血を引く女性歌手ラグリマ・リオスのタンゴへの解釈は、黒人音楽“カンドンベ”とタンゴをクロスオーバーさせるもの。独自のタンゴを歌うことで、自らの出自への誇りをアピールしていた。歌手で女優でもあるビルヒニア・ルーケの貫録の美しさにも見惚れてしまう。クライマックスは、世界三大劇場に数えられるブエノスアイレスのコロン劇場での一夜限りのコンサート。もはや故人となった巨匠も揃い、二度とは実現しない貴重なコンサートという意味で、音楽の歴史資料としても大変価値がある作品になった。プロデューサーに「ブロークバック・マウンテン」でオスカーを受賞した世界的音楽家グスタボ・サンタオラージャと「モーターサイクル・ダイアリーズ」のウォルター・サレスの名前が。ラテンアメリカの才能が結集して作り上げられた作品であることにも注目したい。
【60点】
(原題「CAFE DE LOS MAESTOROS」)
(アルゼンチン/ミゲル・コアン監督/レオポルド・フェデリコ、ニコラス・レデスマ、ラグリマ・リオス、他)
(資料的価値度:★★★★★)

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イエロー・ハンカチーフ

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日本映画「幸福の黄色いハンカチ」のハリウッド・リメイクだが、欧米で“黄色の布”と言えば、それは「Tie a Yellow Ribbon」の歌を連想し、兵士の無事と帰還を祈るというもの。その意味で黄色の布のモチーフは、日本とアメリカでは少し受け取り方が違うのかもしれない。6年の刑期を終えて出所した中年の男ブレッド。出迎えもなく一人で街の食堂でビールを飲む。偶然出会った若い娘マーティーンと、変わり者の青年ゴーディと共に、元妻メイが暮らすニューオリンズを目指す旅に出ることに。やがてブレッドは自分とメイとの間に起こった不幸な出来事と、ある約束を話し始めた…。

このリメイクは、NY生まれのピート・ハミルが生み出した物語が、北海道を経由して米国南部に旅をするようなものだろうか。主人公ブレッドと妻メイはとても孤独な人間だ。そんな寂しい魂が寄り添ったときに、二人を試すかのように悲しい出来事が起こる。子供を亡くしたこと、偶然の喧嘩から思いがけない殺人が起きてしまうこと。そんないきさつが、若いカップルを聞き手として静かに語られる。まだ出会ったばかりで人生の苦味も知らないマーティーンとゴーディに、幸福になるための努力を惜しむなと諭すようだ。ブレッドは刑務所からメイに手紙を書くが、そこには、もし自分を待っていてくれるのなら黄色いハンカチを家に飾ってくれと書いてある。オリジナルや原作を知る観客にとっては、結果は分かっているのだが、それでも何ともいえない幸福感がじんわりと胸に広がるのは、やはり、黄色の布がはためく場面の映像の持つ力だろう。自分を待っていてくれた。それだけのことがこれほど美しい一編になる。ブレッドとメイの中年カップルの少し疲れた風情はオリジナルに通じる味わいだが、マーティーンとゴードンの若いカップルの描写は、オリジナルの武田鉄也と桃井かおりの少々クドいやりとりと違い、現代らしくクールで淡々としているのが好ましかった。
【60点】
(原題「YELLOW HANDKERCHIEF」)
(アメリカ/ウダヤン・プラサッド監督/ウィリアム・ハート、マリア・ベロ、クリスティン・スチュアート、他)
(再生度:★★★★☆)

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エルム街の悪夢

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1984年の同名ホラー映画のリメイクだが、本作は、夢の中に現われる殺人鬼で、最強のホラーキャラ・フレディの新たな物語だ。郊外のエルム街に住むティーンエイジャーのナンシーやジェシーたち5人の男女は毎晩同じ悪夢に悩まされてた。それは、顔にはやけど、フェドーラ帽、赤と緑のストライプのセーターを着た醜悪な殺人鬼フレディ・クルーガーから襲われる夢だった。夢の中で執拗に襲い掛かるフレディだが、やがて仲間の一人が死んだことで、悪夢は現実とつながっていることを知る。なぜ自分たちが?眠らずにいるにはどうすれば?やがて彼らは自分たちの両親がひた隠す、ある恐ろしい事実を知ることになる…。

夢に巣食う殺人鬼と、夢と現実がリンクする不思議。名作ホラー「エルム街の悪夢」はこの二つの斬新な設定が魅力だった。本作はまったく新しいフレディであると同時に、恐ろしい怪物を生むきっかけは、人間の疑心暗鬼であると訴える。真実を知るとどちらにも非があるように思えるし、夢の中が住み家というルールが崩れるラストには、納得しかねる点も。だが眠れない時間があまりに長いと、自動的に脳が“充電”するために、無意識のうちに眠りに入るという学説は面白い。これをマイクロ・スリープ状態と呼ぶらしいが、この点をもっと掘り下げれば、新生フレディの新たな誕生として迫力を増しただろうに。起きていようと眠っていようとフレディのえじきになるとなれば、もう彼らには逃げ場はない。フレディを演じるジャッキー・アール・ヘイリーは、ほとんど素顔を見せないが、それでも存在感は抜群。エルム街の都市伝説は、まだまだ続きそうな気配である。
【50点】
(原題「A NIGHTMARE ON ELM STREET」)
(アメリカ/サミュエル・ベイヤー監督/ジャッキー・アール・ヘイリー、カイル・ガルナー、ルーニー・マーラ、他)
(ブラック・ユーモア度:★★★☆☆)

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ラスト・ソング

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全米で大人気のトップ・アイドルが主演の青春物語だが、ストリーがおそまつな上、主演のマイリー・サイラスの魅力がまったく伝わらない。両親の離婚で傷つき、誰に対しても素直になれないロニーは、父と夏休みを過ごすために、幼い弟と共に海辺の町にやってくる。かつてはピアノの天才と呼ばれ、父とも音楽の絆で結ばれていたロニー。だが今はピアノに向かうこともない。父と一緒の時間が気詰まりなロニーは、海岸で知り合った青年ウィルと親しくなる。それはロニーには初めての恋だったが、ウィルにはある秘密があった。さらに父が病で余命僅かだという事実を知り、ショックを受ける…。

「シークレット・アイドル ハンナ・モンタナ」で大ブレイクした歌手のマイリー・サイラスは、はつらつとした明るさが魅力。だが、不必要にシリアスなこの物語は、ラブ・ストーリーとしても家族ドラマとしても中途半端なものだ。多感な少女が非行に走ったり家族に対して反抗的な態度を取るのは分かる。だがウィルと知り合って付き合い始めた途端に、いきなり“いいコ”になる展開はあまりに単純すぎる。ウィルのいったいどこに少女を更生させる力があるというのか。さらに万引きや放火という罪が実は無実でその裏に隠された秘密があるという設定もとってつけたよう。教会の再建、ピアノへの情熱、友人への思いなど、あれこれと詰め込みすぎて何もかも舌足らずになっている。ダメ押しは、父親の難病というお涙頂戴の展開で、思わず力が抜けてきた。わざわざマイリー・サイラスを主役に据えるなら、音楽の才能がある少女が再びピアノに向かうというシンプルなストーリーこそ描くべき。少し大人っぽくなったマイリーは可愛らしいし、演技も自然体で意外にも上手い。どうやら作品選びを間違えてしまったようだ。
【35点】
(原題「THE LAST SONG」)
(アメリカ/ジュリー・アン・ロビンソン監督/マイリー・サイラス、ボビー・コールマン、グレッグ・キニア、他)
(ご都合主義度:★★★★☆)

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サバイバル・オブ・ザ・デッド

サバイバル・オブ・ザ・デッド [DVD]サバイバル・オブ・ザ・デッド [DVD]
ゾンビ映画のマエストロ、ロメロの新作は、まるで西部劇のようでワクワクする。突如、死者が蘇り、人々を襲いはじめて4週間。世界は地獄と化していた。混乱状態の中、元州兵のサージと仲間たちは、強盗を繰り返す日々を嫌悪しながら安全な場所を求めてさまよっていた。ある時、ゾンビのいない島があるとの情報を耳にする。わずかな望みをかけて島に辿り着いた彼らだったが、そこで目にしたのはさらなる衝撃の現実だった…。

本作は「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」のサイド・ストーリーという位置付けで、前作で軍を離脱したサージ一行の行く末を描く物語だ。このストーリー展開に、思わずニヤリとするならば、その人は西部劇ファンに違いない。閉鎖的な地域を二分する勢力争いと、そこに割って入る外部の人間。対立するそれぞれの家長の言い分の矛盾と、彼らに従う者たちの思い。これはまさしくゾンビ版「大いなる西部」である。だが銃声の果てに新時代の到来を迎えるW・ワイラーの名作西部劇と違うのは、どれほど戦ってもゾンビとの死闘には終わりがないということだ。その島に希望などないことは、サージやその仲間たちは知っていたに違いない。だが、秩序を失った世界で軍の機能もマヒした現状では、わずかな望みに賭けてみるしかないのだ。今回のゾンビの新しさは、水中でも元気に動き回るということ。ロメロのゾンビは常に進化している。また、人間対ゾンビの戦いと平行して、人間対人間という争いの構図も。ゾンビと見ればソク射殺すべし!という一派とそれに反対する人々の差異とは、大切な家族や知人がゾンビになった時、ためらわずに引き金が引けるかどうかだ。おぞましい世の中でいかに人間性を保てるかを、自問し続ける。それがロメロが今もなおゾンビ映画にこだわる理由なのかもしれない。
【65点】
(原題「SURVIVAL OF THE DEAD」)
(アメリカ/ジョージ・A・ロメロ監督/アラン・ヴァン・スプラング、ケネス・ウェルシュ、デヴォン・ボスティク、他)
(社会派度:★★★★☆)

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ソフトボーイ

ソフトボーイ【DVD】ソフトボーイ【DVD】
不純な動機で始めたソフトボールがいつしか若者たちを夢中にさせていく、さわやかな青春エンタメ・ムービーだ。佐賀県のとある高校で最後の夏を迎えようとしていたオニツカは、仏料理のシェフになるのが夢。しかし、家業は中華料理屋で自らの進路に悩んでいる。そんな時、幼なじみのノグチが「県内には男子ソフトボールが一校もない。部を作れば、ソク全国大会。俺たちはヒーローだ!」と言い出す。オニツカを強引に誘い部員集めに奔走するが、何とか集まった9人はキャッチボールも満足にできない素人集団だった…。

佐賀県の高校での実話をベースにしたこの物語は、冷静な主人公オニツカと、ノリが勝負のノグチの凸凹コンビの漫才のようで楽しめる。男女比1:9というその高校は、料理や裁縫など、家庭科の専門高校で、生徒はシェフやデザイナーなどを目指し将来のことを見越して学んでいる。現実的な高校生活を送る彼らが、ヒーローになってモテタイ!と不純かつ直情的に思うのは、自分の進路がほぼ決まっている中で、何か新しい可能性を見出したいとの思いがあるのだろう。その場の気分で周囲を巻き込み、何の計画もないノグチのキャラに、なぜか周囲が魅せられてついていくのが面白い。こんな人物になりたいと思っても普通はなかなかなれないものだが、何はともあれ挑戦!というノグチの姿勢は、青春の本来あるべき姿に思える。ただ、寄せ集めの部員は個性的だが、残念ながらあまり魅力はない。高校生なのに恋愛要素があまりに少ないのもマイナスだ。だが、この物語には最後にちょっとした“驚き”が仕込まれている。そのことが分かって初めてノグチがいう「やってみなければわからない」という言葉の大切さが身に染みるのだ。永山絢斗や賀来賢人ら、若手俳優たちが躍動している。
【55点】
(原題「ソフトボーイ」)
(日本/豊島圭介監督/永山絢斗、賀来賢人、波瑠、他)
(エンタメ度:★★★☆☆)

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ダブル・ミッション

ダブル・ミッション [DVD]ダブル・ミッション [DVD]
香港のスター、ジャッキー・チェンのハリウッド進出30周年を記念して作られた、アクション・コメディーは、緊張感はないが安心して見ていられるのが嬉しい。表向きはさえないセールスマンだが、実は中国から出向しているCIAの凄腕エージェントという二つの顔を持つボブ。隣に住むシングル・マザーのジリアンとの結婚を考え、危険な任務であるスパイ業からの引退を決意していた。なかなかなついてくれないジリアンの3人の子供たちの面倒をみているとき、子供の一人がボブのパソコンからロシア当局の秘密データをダウンロードしてしまう。やがて彼らは巨大な陰謀に巻き込まれてしまい…。

冷蔵庫やフライパン、自転車など、身近な道具を上手く使った見事な動きのアクション。親しみやすい笑顔のジャッキー・チェンの持ち味を十分に生かした本作は、子供や動物を相手にした創意工夫に満ちた動きで笑わせ、恋人の子供たちと絆を育む過程で家族愛を描いてホロリとさせる。子供のいたずらが発端で起こる大事件は、あくまでユルいテイストの“大ピンチ”。ロシア人の悪役のいちいち大げさなファッション・ショーなど、ダサかわいい演出も忘れない。豪快なアクションはないが、ファミリー向けアクション・コメディーとしてライト感覚で楽しめる。ただ、ダサいおやじだと思っていた隣人が実はキレ者のスパイだったというギャップの面白さはジャッキーではやや迫力不足。その分、過去のジャッキー作品へのオマージュをたっぷり詰め込んだ演出が、長年のジャッキーファンへのプレゼントのようだった。ジャッキーも50歳を越えたが、それでもCGやスタントを使わず、生身で見せてくれる格闘シーンには敬意を覚える。一時期、シリアス路線の作品に傾いたが、ジャッキーにはやっぱり笑顔が良く似合うのだ。
【55点】
(原題「THE SPY NEXT DOOR」)
(アメリカ/ブライアン・レヴァント監督/ジャッキー・チェン、アンバー・ヴァレッタ、マデリン・キャロル、他)
(コミカル度:★★★★☆)

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瞬 またたき

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不幸な事故で恋人を失ったヒロインが、失った記憶をたどる喪失と再生の物語だ。泉美は恋人の淳一とバイクで花見に出かけた帰り、交通事故に遭ってしまう。一人だけ生き残った彼女は、事故当日の記憶を失ってしまい、精神科で治療を受けながら失意の日々を過ごしていた。偶然知り合った女性弁護士の真希子の力を借りて、失われた記憶を取り戻そうと決心し、事故原因の解明を真希子に依頼する。自らも心に傷を負っている真希子は、最初は「知らないほうがいいこともある」と断ろうとする…。

薄紅色の桜の花や緑の木々、水色の空など、北国・北海道ならではの透明感ある情景にまず惹かれる。その美しい風景と、一人生き残った罪悪感で抜け殻のようなヒロインがくっきりと対比する。泉美は、自分の記憶の欠如の中に、大切な何かが残されていると感じている。それを探ろうとするきっかけとなるのが弁護士の真希子との偶然の出会いだ。真実と対峙するのは怖いけれど、それでも何が起こったのか知りたい。物語は少しずつ事故の断片を拾い集めて真実のパズルを埋めるミステリーのように進んでいく。泉美が必死で真実に向き合おうとする姿は、過去に妹を傷つけてしまい家族から逃げている真希子をも前向きに変えていくことになるが、このサブ・ストーリーは部分的に記憶を失ったヒロインとの共通性が見られず、あまり効果的とは思えない。とはいえ、真希子の協力で、やがて事故当時のことが分かり、恋人の純一がいかに自分を愛していくれていたかを知る展開は、通常の純愛ものとは一味違う面白味がある。ただ、ついに思い出した事故の場面が、あまりに凄惨なので、思わず目をそむけた。いわゆる純愛ものなので安心して見ていたのに、こんなに残酷なシーンを見せられるとは。北川景子が、一見弱くみえて、実は芯が強い一途なヒロインを好演している。
【55点】
(原題「瞬」)
(日本/磯村一路監督/北川景子、大塚寧々、岡田将生、他)
(衝撃度:★★★★☆)

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ザ・ウォーカー

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文明が崩壊し、荒廃した世界で、一冊の本を運ぶ孤独な男の物語には、ラストに驚きが隠されている。すべてを失った近未来。イーライはこの世に一冊だけ残る本を運んでいる。彼自身、その旅の目的や到着地を知らないのだが、ひたすら西へと向かうことだけを手がかりに旅を続けているのだ。本に近づくものは容赦なく殺すイーライ。そんな中、その本を狙う独裁者カーネギーが現われ、イーライの前に立ちはだかる…。

セピア色という美しい形容より、すすけて黒ずんだディストピアのような映像が、この世界がいかに絶望的なものかを物語る。物語の最大の謎は、本の中身は何か?ということだが、おそらく映画を見始めればすぐに予想がつくはずだ。独裁者カーネギーの「その本の言葉を使えば、全人類を操ることができる」とのセリフから、それは世界一のベストセラーの“あの宗教本”だと分かる。人は信仰の名のもとに戦いを繰り返してきたが、すべてを失ったその世界でさえ、まだ宗教の威力は衰えていないようだ。イーライは彼を助ける女性ソラーラと共に旅をすることになるが、そこには想像を絶する苦難が待ち受けている。荒野で繰り広げられるマカロニ・ウェスタン風の激突もあれば、マトリックスばりのスタイリッシュなアクションも。常に黒いサングラスで無表情のデンゼル・ワシントンの圧倒的な存在感とともに、緊張感を持続させる演出が素晴らしい。そして最後の最後に明かされるその本の秘密。「おぉ、そうきたか!」と思わず驚いた。ヒントは、カーネギーの愛人で盲目の美女クローディアとの、不思議なほど穏やかな出会いの中に隠されている。使命、犠牲、信念。イーライという名前には実は深い意味が。暗く絶望的な世界で孤独な使命をまっとうする主人公には神々しさが漂っていた。スタイリッシュなビジュアルが堪能できる、異色SF黙示録映画である。
【65点】
(原題「THE BOOK OF ELI」)
(アメリカ/アレン・ヒューズ、アルバート・ヒューズ監督/デンゼル・ワシントン、ゲイリー・オールドマン、ミラ・クニス、他)
(アクション度:★★★★☆)

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ACACIA−アカシア−

ACACIA-アカシア- DVDACACIA-アカシア- DVD
演技初挑戦のアントニオ猪木の存在感なしには成立しない作品だが、北の町・函館の風景が一人の登場人物のような役割を担っている。時代に取り残されたようなさびれた団地には、生活保護を受ける住人たちが暮らしている。元・覆面プロレスラーの大魔神は、用心棒の役を務めていた。学校でイジメを受け、母親からもかまってもらえない孤独な少年タクロウが、偶然、ひと夏を大魔神のもとで暮らすことに。親の愛を知らない少年と、事故で死んだ息子に十分な愛を与えられなかったことを悔やむ初老の男は、いつしか心を通わせていく…。

アントニオ猪木扮する主人公の大魔神は、大きな身体を猫背に折り曲げて縫い物をする。そして何度も不器用に針で指を刺す。彼が縫うのは、いじめっ子に破られたタクロウのTシャツや、息子の形見である子供用の覆面だ。まるで自分の人生を繕うように丁寧に針仕事をする姿が何よりも切ない。タクロウにプロレスを教えるときの嬉しそうな顔は父性そのもので、この主人公が深い喪失感を抱えているのがよく分かる。物語は擬似親子のような二人が、それぞれの家族と向き合い、一歩前に踏み出す様子を描くが、夏なのにどこかひんやりとした空気を感じさせるロケ地・函館のたたずまいが何ともいえない。夜の闇にまぎれて船の中で演じる“冒険ごっこ”は、普通に演じれば白々しくなるのだが、風の声が聞こえてきそうな北の海に浮かぶ船では、ファンタジックな世界さえも現実にしっくりと溶けていく。物語には、高齢化社会や離婚、いじめ、福祉の問題も織り込まれている。監督・脚本は、作家、ミュージシャンなど多方面で活躍する辻仁成。監督の実体験も踏まえたこの小品には、悔恨の中に新しい希望を見出すあたたかさが感じられた。
【55点】
(原題「ACACIA」)
(日本/辻仁成監督/アントニオ猪木、石田えり、北村一輝、他)
(家族の絆度:★★★★☆)

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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