映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
英・仏合作映画「パディントン2」

プチレビュー11上旬

ロスト・アイズ

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「ロスト・アイズ」は地味だが、心理サスペンスとしては見所がある。スパニッシュ・ホラーらしいダークな映像は、視界が消えていく恐怖と重なって上手い演出だ。

角膜移植手術を終えたばかりの全盲の女性が自殺。その死を不審に思った双子の妹セリアは姉に恋人らしき男がいたことを突き止める。セリアはその男のことを調べるが、周囲は誰も顔を覚えていない。やがてセリアの周囲で不審な人影がチラつきはじめる。自身も次第に視力が衰える病を抱えながら、真相に迫るセリアだったが、彼女が完全に失明するまで1ヶ月しか残されていなかった…。

角膜移植手術後に恐怖を体験するというとタイ映画「the EYE」を思い出すが、本作はオカルトやホラーというよりサスペンスというべき。怖いのは超自然的な何かではなく“盲人を必要とする人間”の歪んだ思いである。セリアが探す、誰も顔を覚えていない男という設定は、深い人間ドラマになりうるプロットだ。だが、その周辺のディテールがちぐはくなのが残念。怪しい隣人やその娘、実はビックリの秘密がある、姉と親しかった老婦人などの描写はいずれも中途半端に終わっている。何よりも夫の愛情をもっと上手く演出してほしかった。そうすれば「君の瞳に宇宙が見える」の言葉も生きただろうに。セリアの視力が次第に失われるのと並行するように、カメラアングルが周囲の闇を増幅、観客の視界も狭くなり、やがて闇に支配される恐怖を擬似体験できるのが上手い。スクリーンが暗いのは映画としては弱点なのだが、本作の場合、ストーリーと巧妙に重なっていて、効果的だった。
【60点】
(原題「JULIA'S EYES/LOS OJOS DE JULIA」)
(スペイン/ギリェム・モラレス監督/ベレン・ルエダ、ルイス・オマール、パブロ・デルキ、他)
(ホラー度:★★☆☆☆)
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ロスト・アイズ@ぴあ映画生活

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デンデラ

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「楢山節考」のアフター・ストーリーは、パワフルな老女たちの活劇。生きる執念に圧倒されるが、終盤はスプラッタ映画のようで驚く。

村の掟に従って口減らしのために雪深い姥捨て山に捨てられた70歳のカユ。力尽き気を失って目覚めたそこは、捨てられた女たちが山の裏側に作った共同体“デンデラ”だった。デンデラの創設者で自分たちを捨てた村人への復讐を誓うメイや、デンデラを豊かにして村を見返そうとするマサリらに出会い、死ねば極楽浄土に行けると信じていたカユは、今までの人生とは違う生き方を初めて考える。だが、圧倒的な自然の脅威が彼女たちの前に立ちふさがった…。

今村昌平監督の「楢山節考」のその後を描いたのは、今村監督の息子である天願大介。共同体デンデラは、あの世に行く前に残り少ない人生をもう一度“生き直す”場所だ。復讐を決意するものや、静かな人生を求めるもの、移住すべきだと主張するものと意見は違うが、老女たちはそこで自分を見つめ、皆で支えあわねばならない。最初はとまどっていた主人公のカユが、やがて生まれて初めて自分自身で考え実行に移す術を知るプロセスが、映画に躍動感を与えている。大女優・浅丘ルリ子が、汚れ役などという簡単な言葉では語りきれないボロボロの役を熱演し、さすがの存在感だ。特に終盤、カユが雪山を走り、生きると決めた時のりりしい表情は素晴らしい。これはある意味で、老女たちの“青春映画”なのだ。ただ、老人が主役の物語で、のんびり、しみじみの人間ドラマだと思っていると、ガツンとやられる。雪崩に熊と、後半の展開は、アクションというよりスプラッタで、唖然とした。延々と血しぶきが舞う映像には嫌悪感を覚える観客もいるだろう。いずれにしても新しいタイプの日本映画を見た気がする。
【65点】
(原題「デンデラ」)
(日本/天願大介監督/浅丘ルリ子、倍賞美津子、山本陽子、他)
(スプラッタ度:★★★★☆)


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アンダルシア 女神の報復

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ゴージャスな“観光付き”サスペンス映画。ストーリーは表層的だが、前作「アマルフィ」よりは出来がいい。

外交官の黒田康作は、日本人投資家の殺人事件を調べるため、スペイン北部に位置する小国・アンドラにやってくる。海外で極秘任務を遂行する「邦人テロ対策室」に所属する黒田は、そこで遺体の第一発見者で、ビクトル銀行行員・新藤結花と会い、何者かに狙われ怯える彼女をバルセロナの領事館に移送・保護することに。一方、事件を担当するインターポール捜査官の神足誠は捜査情報を隠そうとし、黒田と対立する。事件の裏には巨額な不正資金が絡んでいた…。

真保裕一の小説を基に、全編海外ロケで華麗に展開するサスペンスだ。思わず「?!」の真相に脱力した「アマルフィ」に比べ、ストーリーは比較的しっかりしている。今回は、黒田に恋愛感情らしきムードが漂ったりもするが、ひとときのヨーロッパ観光気分を味わう表層的なサスペンス作品なのは変わりない。例によって、特殊任務を帯びているとはいえ、いち外交官の黒田がここまでやれるのか?!との疑問はぬぐえないが、今回は、インターポール捜査官・神足との二人三脚。このシリーズ、もはや織田裕二だけの魅力では支えきれないと踏んだのか、サービスショットのように登場する福山雅治も含め“みんなで支え合いましょう”的な雰囲気が漂っていて苦笑する。実際、本作は神足を主役にした方がよほど自然なのだ。事件の鍵を握る結花も、捜査する神足も、過去に深い心の傷を負っていて、そのことが解決の鍵となる。雪深いアンドラから、芸術の都バルセロナ、太陽の地アンダルシアへと移動するにつれ、国際犯罪と日本の権力構造のからみあった糸がほぐれていく。結花の出自や背景の掘り下げが浅いのが惜しいが、新しいタイプの役に挑戦した黒木メイサの今後には期待したい。
【60点】
(原題「アンダルシア 女神の報復」)
(日本/西谷弘監督/織田裕二、黒木メイサ、伊藤英明、他)
(観光気分度:★★★★★)



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アンダルシア 女神の報復@ぴあ映画生活

SUPER 8/スーパーエイト

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どこか懐かしい作風にはスピルバーグ映画へのオマージュが満載。「SUPER 8/スーパーエイト」は、SF大作であると同時に、映画への愛を描いた作品だ。

1979年、オハイオ州の田舎町に住む少年ジョーは仲間たちと8ミリカメラでの映画作りに熱中していた。深夜の駅で撮影していた彼らのそばで貨物列車の衝突事故が発生。脱線した貨車には“米国空軍”の文字があり、空軍施設・エリア51から“何か”を極秘に輸送していたのだ。事故を目撃した子供たちのカメラには、一部始終が記録されていた。それ以来、平穏な町は封鎖され、ジョーたちは、真実を探しに行くことを決める…。

タイトルの“SUPER 8”とは、1965年にコダックが発売したカセット式のフィルム、およびその規格のカメラのことだ。劇中では子供たちが8ミリフィルムでゾンビ映画を作るのに使っていて、そのカメラが偶然にも、政府や軍が隠ぺいする重大な秘密を記録してしまうというわけだ。こうなると国家的陰謀がからむクライムサスペンスを連想するが、物語はノスタルジックな雰囲気と、寂しさを抱えた少年の心の成長を描いて「E.T.」を思わせる。軍がひた隠す“それ”は凶暴な姿をしているが、その出自を知った主人公ジョーは、深い悲しみを感じ取る。子供の喪失感とイノセンスを描くのはスピルバーグの十八番で、J.J.エイブラムスはスピルバーグへの敬意そのままに、母を亡くした少年のピュアな心をストレートに描いてみせた。美少女アリスをめぐる少年たちのライバル意識、親同士の確執、強烈な体験を共有した者だけが持ちうる友情と結束。その延長線上に、悲しみや孤独を乗り越えて生きていく決意があった。ジョーとアリスの心理描写が丁寧で、クライマックスの感動へと自然と導かれる。ストーリーを追いながらも、頭のすみっこで少年たちの映画作りの行方が気になっていたのだが、それにもエンドロールで鮮やかに答えてくれたのが嬉しかった。何よりも、TVドラマの映画化や続編ものばかりの映画界で、ヒットメーカーが手掛けた大作映画が完全オリジナルであるという意味は大きい。
【70点】
(原題「SUPER 8」)
(アメリカ/J.J.エイブラムス監督/カイル・チャンドラー、エル・ファニング、ロン・エルダード、他)
(ノスタルジー度:★★★★☆)
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SUPER8/スーパーエイト@ぴあ映画生活

キミとボク

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大人気Flashアニメーションが映画へ。猫好きにはたまらないショート・ムービーだ。

漫画家志望の青年は、七夕の日、公園で子猫を拾う。七夕にちなんで銀王号と名付けた子猫と青年は、心を寄せ合い、友達に、そして家族になっていく。出会いから10年の歳月が流れ、銀王号の身体に異変が生じ病院に連れていくが…。

原作は、クリエイターとして活躍するやまがらしげとが2001年からインターネット上に掲載したFlashアニメーションだ。Flashアニメが映画化された例はあるが、実写映画化は初となる。チャプターに分けられているなど、連載の形をほんのりと残しつつ、過剰な説明はほとんど省いたスタイルが潔い。ただ、45分という非常に短い作品のためか、10年間の歳月を一気にすっ飛ばすなど、映画としての体裁が未熟なのは否めない。それでも飼い主の青年“キミ”とネコの“ボク”の心の交流は十分に伝わってくるのだ。銀王号の心の声を担当するのは、トップクラスの声優・坂本真綾。必ず訪れるペットとの別れの場面は、“ボク”が“キミ”と共に過ごしたことへの喜びと感謝があふれていて、涙なしには見れないものだ。猫好きにはたまらない映画だが、ペットを大切な人に置き換えれば、誰の胸にもそのメッセージは伝わるはず。何しろアメリカンショートヘアの猫・銀王号の可愛らしさがハンパではなく、ほとんどルール違反!と思えるほど。銀王号がスクリーンに映るたびに目が釘付けになった。エンドロールのアニメはオリジナルで、その後に加えられたワンシーンで改めて心がほっこりする。
【55点】
(原題「キミとボク」)
(日本/窪田崇監督/中村蒼、坂本真綾(声)、小林優斗、他)
(切なさ度:★★★★☆)
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キミとボク@ぴあ映画生活

スカイライン −征服−

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VFXスタジオのハイドラックスが手掛ける壮大なSFパニック・ムービー。ドラマに魅力はないが映像は見応えたっぷりだ。

ジャロッドは恋人のエレインと共にLAに住む友人宅を訪ねる。早朝、強烈な青白い光で目を覚ますと、友人の一人が一瞬にして光に吸い寄せられ、姿を消してしまう。外では、空を埋め尽くすほどの数の巨大な宇宙船が浮かび、人間たちを次々と吸い上げていた。にわかに信じがたい光景に立ちつくすジャロッドだったが…。

監督のグレッグとコリンのストラウス兄弟は、「アバター」「2011」などの超大作を手掛けたVFX工房ハイドラックスの創設者。メジャースタジオの制約から離れ、初めて自由に制作した作品が本作だ。青白い光を放ちながら人間を吸い上げる宇宙船のビジュアルや、巨大で凶暴なエイリアンの姿は、醜悪で強烈。しかも白昼堂々の暴挙である。SFパニックでまっ昼間が舞台というのは珍しく、よほどVFXに自信があると見た。その証拠に、逃げ場も隠れ場所もないパニック状態を見事に表している。さらに、明るい中では、人間が何の抵抗も出来ずやられっぱなしの惨劇をはっきりと目撃できるので無力感も倍増するというわけだ。非友好的な宇宙人襲来というパニック状態に陥った時、そこにはヒーローや愛や奇跡は存在しない。そんな冷徹な設定は今までの“終末映画”とは一線を画すものだ。だが、映像に力を入れすぎたせいなのか、人物の掘り下げやドラマとしての魅力はないに等しい。VFX出身の監督として、今後の方向性には課題がある。とはいえ、本作はあくまでも自分たちのチームだけですべてを行う小さな予算のインディペンデント映画。それでこれだけのスケールのパニック・ムービーに仕上げた力量は評価したい。
【40点】
(原題「SKYLINE」)
(アメリカ/グレッグ・ストラウス、コリン・ストラウス監督/エリック・バルフォー、スコッティー・トンプソン、ブリタニー・ダニエル、他)
(救い度:★☆☆☆☆)
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スカイライン-征服-@ぴあ映画生活

あなたの初恋探します

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韓国映画らしいキュートなラブ・ストーリー。ミュージカルシーンに監督のこだわりが見える。

舞台監督として忙しい日々を送るジウは、恋愛に前向きになれない30代の女性。かつて旅したインドで出会った初恋の人が忘れられないのだ。そんな娘を心配した父に無理やり連れてこられたのが「初恋探し株式会社」。社長のギジュンは生真面目な性格で、初仕事となるジウの初恋探しに懸命に取り組む。非協力的なジウに困り果てるギジュンだったが…。

第一印象は最悪で、反発しあう男女が、やがて恋に落ちる。ラブコメの定番の展開をしっかり踏襲した作品だ。そこに初恋というロマンチックな味付けを施し、さらに偶然や運命というスパイスを降りかければ、美味しい韓国映画の一丁上がりである。日本でも人気の韓流スターのコン・ユが、生真面目でどこか抜けた「初恋探し株式会社」社長のギジュンと、ヒロインの初恋の相手でワイルドなキム・ジョンウクの一人二役に挑戦し、全く異なるタイプの男性を演じ分けているのが面白い。本作のオリジナルは、韓国で大ヒットを続けるミュージカルで、その名も「キム・ジョンウク探し」。監督のチャン・ユジョンのオリジナル・ミュージカルだそうだ。初監督となる映画でも舞台を意識していて、ジウが思いがけなくミュージカル女優としてステージに立つ「ラストショー」の演出には気合が入っている。一方で、映画ならではの魅力はインドロケ。“ブルーシティ”と呼ばれるジョドプールの風景は、不思議な混沌とさわやかさが混じり合い、エキゾチックに思い出を彩った。最後の最後に登場するエピソードこそ運命の不可思議さ。10年間思い続ける純愛を信じられる粘り強いロマンチスト向けの恋愛映画といえようか。
【55点】
(原題「FINDING MR. DESTINY」)
(韓国/チャン・ユジョン監督/イム・スジョン、コン・ユ、他)
(キュート度:★★★★☆)
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東京公園

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優しさがあふれるようなカメラワークが印象的。「EUREKA ユリイカ」で世界に認められた青山真治監督の新境地だ。

カメラマン志望の大学生・光司は東京の公園を巡って家族写真を撮っている。ある日、子供を連れた美しい女性を写真に収めた。すると、ひとりの男性から「彼女を尾行して、写真を撮って欲しい」と強引に頼まれる。理由も分からないまま引き受けた光司だったが、このことをきっかけに、自分の周囲にいる、複数の女性との関係性を見つめ直すことになる…。

名匠・小津安二郎監督には“東京”という言葉を含むタイトルの映画がいくつかある。そのせいだろうか、この作品はどこか小津作品を思わせるムードがある。共通しているのは、東京を舞台に家族の関係を見つめることと、その背景に死があること。違いは、人との距離感が冷たさではなく心地よさとして伝わってくることだ。光司を取り巻く3人の女性は、それぞれ立場や雰囲気が異なっている。何でも話せる幼なじみの富永、いつも優しく支えてくれる義理の姉の美咲、記憶の中の誰かに似ている被写体の女性。やがて光司は、対象物をまっすぐにみつめることで少しだけ成長していくことになる。依頼者の男性がなぜ被写体の女性を追うのかという謎はあっさりとしたもので、本筋はあくまでも光司の心の成長にある。青山真治監督らしからぬ、ふわふわした浮遊感に最初は違和感を覚えるが、物語の中にはファンタジックな演出で死者が紛れ込み、生と死を同じフィールドで考えさせる演出に“らしさ”も感じた。秋のやわらかな日射しに包まれた公園が魅力的で、美しいカメラワークが見所。静かなストーリーだが、じんわりと染みてくる。三浦春馬が、青年期の揺れる心情を自然体で演じていて好演だ。
【65点】
(原題「東京公園」)
(日本/青山真治監督/三浦春馬、小西真奈美、井川遥、他)
(映像美度:★★★★☆)



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東京公園@ぴあ映画生活

ロシアン・ルーレット

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グルジア映画「13/ザメッティ」のハリウッド・リメイク。衝撃度は低下したが、有名スターを得て娯楽性は高まった。

森の奥にある豪邸では、一貫千金を狙う17人の男たちによる集団ロシアン・ルーレットが行われようとしていた。そこは金持ちたちが自分の駒である人間に引き金を引かせ、大金を賭ける裏の賭博場だ。父の入院費用が必要な貧しい青年ヴィンスも、偶然を利用してその館に辿り着く。囚人のパトリックや、謎の男ジャスパーらも加わり、勝ち残れば100万ドルを手にできるゲームがスタートする。息詰まるカウントダウン、死の恐怖、運命の瞬間。果たして生き残るのは誰なのか…?!

他国の作品をハリウッドがリメイクするのは珍しくないが、この映画は同じ監督によるハリウッド・リメイクという点が特筆。オリジナルのグルジア映画は、ノーマークの作品ながら素晴らしい出来栄えで思わず唸った。なじみのない役者の不敵な面構え、東欧的な寒々しい景観、何よりザラザラした質感のモノクロの画面が異様な迫力を醸し出し、見るものを釘づけにした。本作では、究極の緊張感やおぞましい設定はそのままに、そこにジェイソン・ステイサムをはじめとした有名スターを放り込んでエンタテインメントに仕上げている。主人公ヴィンスは、最初はオドオドし引き金さえ引けないのに、勝ち残るに連れて自分の強運を信じて肝が座ってくる。この変化は、人間的な成長でも成熟でもなく、やけっぱちや居直りによるものなのだから、人間とは案外しぶとい生き物かもしれない。回を重ねるごとに死亡率が上がる禁断のゲームだけで、グイグイ引っ張る演出はオリジナル同様たいしたものだ。正直、ミッキー・ローク演じる囚人や、彼の監視役の50セントなどは、ストーリー上、必要ないとも思えるが、これもまたハリウッド的サービスだろう。衝撃度という点ではオリジナルを下回る。しかし、金持ちたちの歪んだ愉しみと、わずかな確率にすがる貧困層という構図は、リーマン・ショック後の米国にこそふさわしい。狂気のゲームの緊張感からアイロニカルなラストに漂う寂寥感まで、キリリとしまった1本。これを機会にオリジナルもぜひ見てほしい。
【65点】
(原題「13」)
(アメリカ/ゲラ・バブルアニ監督/サム・ライリー、ジェイソン・ステイサム、ミッキー・ローク、他)
(狂気度:★★★★☆)
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ロシアン・ルーレット@ぴあ映画生活

あぜ道のダンディ

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不器用な父親のダンディズムをあたたかい視点で描いたヒューマン・コメディの秀作。石井裕也監督の豊かな才能に改めて驚いた。

地方都市に住む宮田淳一は、妻に先立たれ、配送会社で働きながら男手ひとつで子供を育てている。だが浪人中の息子と高3の娘とはうまく会話がかみ合わない。父として見栄をはり、やせ我慢する淳一だったが、ある日、胃がんで逝った妻と同じ症状を覚え、自分は余命僅かだと思い悩む…。

「川の底からこんにちは」で高い評価を受けた俊英・石井裕也監督の新作の主人公は、50歳を迎えた父親である。“ダンディ”という名の衣を着た中年男に意地と見栄を貫き通させるストーリーは、優しさと笑いに溢れ、時にファンタジーも交えながら巧みに展開し、切なくも魅力的だ。帽子へのこだわり、愛猫と一緒に撮る写真、自分を競走馬に見立てて自転車で走り抜けるあぜ道。すべてがとぼけた可笑し味があるのだが、地方都市で懸命に生きてきた主人公が言う「地位も金もいらないから、せめてダンディでいたい」や「平凡であることを恥じたら終りだ。それはつまり生きていることを恥じるなということなんだ」などのセリフは、シリアスぶらないのに重みがあり、脚本も手掛けた石井監督の、希望を持って生きようという確かなメッセージが感じられる。時にくじけそうになりながらも、家族の絆を守り抜く主人公には、何でも相談できる親友がいるし、2人同時に大学進学してしまう子供たちも本当はしっかりしていて、終盤はホロリとさせられた。主役を演じる名バイプレイヤーの光石研をはじめ、役者陣は皆好演。一生懸命な中年男の美意識をこんなにもカッコよく見せる映画はなかなかない。世の中のお父さん、いや、男性だけじゃなく“ダンディ”に生きる女性までも励ましてくれる、そんな作品だ。
【80点】
(原題「あぜ道のダンディ」)
(日本/石井裕也監督/光石研、田口トモロヲ、西田尚美、他)
(不器用度:★★★★★)
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あぜ道のダンディ@ぴあ映画生活

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
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新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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