映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ジャスティス・リーグ」「火花」「ギフテッド」「光」etc.

プチレビュー13下旬

くもりときどきミートボール2 フード・アニマル誕生の秘密

くもりときどきミートボール2 フード・アニマル誕生の秘密 [Blu-ray]
発明家の青年とその仲間たちが冒険を繰り広げる人気アニメの続編「くもりときどきミートボール2 フード・アニマル誕生の秘密」。プルプルしたルックスのフード・アニマルがキモ可愛い。

偉大な発明家になることを夢見る青年フリントは、自らが発明した、水を食べ物に変える「食べ物マシーン」による暴走を何とかくい止める。だが、その壊したはずのマシンは実はまだ稼動していて、フリントの故郷であるスワロー・フォール島で、食べ物と動物が合体した奇妙な生き物を生み出していた。フリントは憧れの発明家で巨大企業のCEOであるチェスターVに命じられて、地球と人類を救うために、島に向かい、世にも不思議な生き物“フード・アニマル”と対決することになるのだが…。

ジュディ・バレット、ロン・バレット原作の児童書を映画化した人気アニメーションの続編だ。偉大な、だけど迷惑な発明ばかりしている夢見がちな青年フリントは、前作で故郷スワロー・フォール島に空から食べ物を降らせてみせた。本作では、水を食べ物に変える画期的なマシンが、食べ物と動物が融合したフード・アニマルを生んでしまったことから事件が始まる。島を占領したフード・アニマルは、ネギの形をした恐竜やタコス型のワニ、チーズと合体したクモなど、楽しいのかキモいのか微妙なキャラなのだが、作り手のユーモア・センスを感じるものばかりだ。なんといってもプルプルした形状やカラフルな色がいい。そんな中、手足があっておしゃべりをするイチゴちゃんが、実は重要な役割を果たすことになる。このフード・アニマル、本当に敵なのか、はたまた仲間なのか。異形のものへの対峙という映画では定番の問題が提起されるが、そこに見るからに怪しいのに主人公が盲目的に信頼してしまっているチェスターVの密かな企みがからむ…という展開だ。ストーリーはあくまでもファミリー向けで、大人が鑑賞するには少々キビしいのだが、故郷を思う気持ちや、仲間との絆、冒険心など、ワクワクする要素がつまっている。それにしてもタイトルにもあるミートボールは今回はなしなのか? ミートボールのアニマルも作ってほしかった!
【55点】
(原題「CLOUDY WITH A CHANCE OF MEATBALLS 2」)
(アメリカ/コディ・キャメロン、クリス・パーン監督/(声)ビル・ヘイダー、アンナ・ファリス、ジェームズ・カーン、他)
(カラフル度:★★★★☆)
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くもりときどきミートボール2 フードアニマル誕生の秘密@ぴあ映画生活

ハンガー・ゲーム2

ハンガー・ゲーム2 プレミアム・エディション(Blu-ray3枚、DVD2枚の5枚組)(初回限定生産)
大人気サバイバル・アクションシリーズ第2弾「ハンガー・ゲーム2」。歴代優勝者による生き残りゲームはより高度に進化している。

近未来。独裁国家パネムが毎年開催する少年少女たちが互いに殺しあう“ハンガー・ゲーム”で生き残った少女カットニスは、見せ掛けの恋人ピータと共に英雄として帰還する。彼女の奮闘は、虐げられた人々の希望となっていたが、それを懸念したスノー大統領は、歴代勝者結集の記念大会のハンガー・ゲームを開催することを決め、カットニス抹殺を計画する。再び死のサバイバル・ゲームに参加せざるを得なくなったカットニスだったが…。

スーザン・コリンズの人気小説を原作とする物語はアメリカ版「バトル・ロワイヤル」ともいうべき過激なサバイバルだが、映画はどうやら3部作(3作目は2部構成)になるようで、本作はその2作目に当たる。3部作の真ん中は通常テンションが下がるが、本作に関してはその傾向は見られない。むしろ、ヒロインのカットニスの救世主としての自覚や、さらに洗練されたサバイバルなど、そつのない作りで、シリーズ2作目をきっちりと盛り上げている。何しろ、今回の脚本は「フル・モンティ」や「スラムドッグ$ミリオネア」のサイモン・ビューフォイと、「リトル・ミス・サンシャイン」のマイケル・アーントという才人2人なのだから、内容が充実しているのも頷ける。前作で勝利した“炎の少女”ことカットニスは、決して望んで戦っているわけではないが、持てる技術をすべて出し切って戦う彼女の姿に、希望を失くして生きる人々は勇気付けられ、それはやがて国家に対する革命への動きとなる。歴代優勝者が集うチャンピオン大会では、誰と同盟を結び誰を倒すかの判断や、観察力、駆け引き、殺戮の創意工夫などすべてがハイレベルである。今回登場する謎の悪役フィリップ・シーモア・ホフマンの役割がラストに明かされ、本作がやがてくる革命の火蓋を切る役割を担っているのが分かるのだから、次回作への期待度もグンと上がるという仕掛けだ。今やオスカー女優で超売れっ子のジェニファー・ローレンスは、相変わらず達者な演技で、悩みながら戦うヒロインを熱演。この人はまだ若いがハリウッド大作からインディーズ作品まで縦横無尽に活躍し、作品ごとにまったく違うキャラになりきるからさすがだ。今、最も旬の若手女優がシリーズを力強く牽引しているのは間違いない。
【65点】
(原題「THE HUNGER GAMES: CATCHING FIRE」)
(アメリカ/フランシス・ローレンス監督/ジェニファー・ローレンス、ジョシュ・ハッチャーソン、リアム・ヘムズワース、他)
(サバイバル度:★★★★☆)
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ハンガー・ゲーム2@ぴあ映画生活

FLU 運命の36時間

FLU 運命の36時間 Blu-ray
鳥インフルエンザを題材にしたウイルス・パニック・ムービー「FLU 運命の36時間」。医者のヒロインの行動に一貫性がなく感情移入できない。

郊外の街・盆唐で、謎のウイルスが発生する。空気感染し、瞬く間に拡散したウイルスは、次々に人々の命を奪う。救助隊員のジグは1人でも多くの人を助けようとするが、政府は国家災難事態を発令して盆唐の完全封鎖を決定。さらに地球規模での拡散を恐れたアメリカ軍は、盆唐を丸ごと消滅させる攻撃計画を進めていた。ジグは、愛する女性で、感染内科の医師イネと彼女の幼い娘ミルを救おうと奔走するが…。

韓国で発生した鳥インフルエンザH5N1をモデルにしたバニック・ムービーは、風邪とそっくりな症状から始まり、空気感染によってあっという間に広がるという恐ろしい設定だ。主人公で、正義感あふれる救助隊員のジグは、偶然出会って一目ぼれした気が強い女医のイネと彼女の娘ミルを助けつつ、同時に、町の人々もせっせと救うのだから、八面六臂の活躍である。大群集の中でもピンポイントでイネ母娘にめぐり合う偶然や、幼い娘ミルをことごとく見失う設定には苦笑するが、それには目をつぶろう。だが感染医療の専門家であるイネの、医者としての行動はいかがなものか。娘と離れたくない気持ちは分かるが、我が子の感染を隠すばかりか、抗体を作るための行動もあきれるほど無計画で強引だ。これで本当に専門医なのか?!…というか、医者としての責務や倫理観はどうなのか。母性愛といってしまえばそれまでだが、自分だけ助かりたいヤクザまがいの男とやってることはたいして変わらないのだ。専門医であるイネの行動があまりに素人くさいのでどうにも感情移入できない。クライマックス、子供を使っての泣かせの演出も、相当あざとい。とはいえ、この映画は韓国ならではのリアルさがある。街の完全封鎖や人々がパニックに陥る様は、これまでのウイルス・バニック映画と同様だが、鳥インフルエンザの人への感染が現実のものになっていること、さらに、日本以上にアメリカの顔色を伺わねばならない韓国特有の政治状況のため、より現実味を増していて、背筋が凍った。
【50点】
(原題「FLU」)
(韓国/キム・ソンス監督/チャン・ヒョク、スエ、パク・ミナ、他)
(パニック度:★★★★☆)
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FLU 運命の36時間@ぴあ映画生活

ファイアbyルブタン

ファイアbyルブタン [Blu-ray]
伝説のステージを映画用に再構築したドキュメンタリー「ファイアbyルブタン」。ヌードとアートとシューズの完全なる合体で生まれた映像ショーだ。

フランス・パリにある世界に名だたるナイトクラブ“クレイジー・ホース”は、超人気のスポットだ。世界中のセレブを魅了するシューズ・デザイナーのクリスチャン・ルブタンが演出を手がけたショーが「FIRE」。わずか80日間のみ上演されたこのショーを映画用に再構築し、演出のルブタンやダンサーたちのインタビューを盛り込んで、美と官能の世界へと導いていく。

パリの超人気エンターテイメントスポット“クレイジー・ホース”を扱ったドキュメンタリーとしては、かつてフレデリック・ワイズマンが撮った「クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち」が記憶にある。同じクレイジー・ホースを取り扱う本作は、演出が世界中のセレブに支持されるシューズ・デザイナーのクリスチャン・ルブタン、音楽を担当するのがデヴィッド・リンチ監督だというから、それだけでも“事件”である。映画は、まるで宝石のように華麗な靴を身に着けた美しいヌードダンサーたちのアーティスティックなショー「FIRE」を紹介するが、ショーをそのまま映すのではなく、映画用に新たに撮影を敢行しているのがポイントだ。観客席にいては絶対に見ることが出来ないアングルで堪能できるショーは、舞台とはまた別の臨場感をたっぷりと味わえるが、映像資料としての保存性も価値が高い。リンチの音楽が何とも怪しげで官能的なので、モダンなショーにぴったりとフィットしている。ダンサーたちのインタビューから垣間見えるのは高いプロ意識と美しく磨き上げた肉体への誇り。ルブタンは「服を脱がせる靴を追い求める」と宣言し、アクロバティックなヌードショーの中にあっても主役級の存在感をみせる靴で大いにアピールしている。「Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」の撮影スタッフによる美しい3D映像は煽情的だが、あくまでもアートとエロスの融合の芸術品だ。これぞ大人のためのエンタテインメントである。
【60点】
(原題「FEU: CRAZY HORSE PARIS」)
(フランス/ブルノ・ユラン監督/クリスチャン・ルブタン、クレイジーホースのダンサーたち、他)
(官能的度:★★★★★)
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ファイアbyルブタン@ぴあ映画生活

オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ



21世紀を生きる吸血鬼の男女の奇妙なラブ・ストーリー「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」。音楽を重要な脇役にするあたり、ジャームッシュらしい。

アメリカ・デトロイトの寂れた屋敷に隠れるように暮らすアダムは、表舞台には姿を現さないが、どんな弦楽器も引きこなすカリスマ・ミュージシャン。実はアダムは何世紀も生き続けている吸血鬼で、純粋な血液を病院からひそかに調達して生きている。その一方で、堕落し蛮行を繰り返す人間たちに眉をひそめていた。ある時、何世紀も恋人として愛し合ってきた同じ吸血鬼の恋人のイヴがモロッコのタンジールからアダムに会いにやってくる。甘い時間を過ごす二人だったが、そこにイヴの妹で型破りな性格のエヴァが現れたことから、彼らの運命が狂いはじめる…。

オフビートな作風が魅力のジム・ジャームッシュの新作は、吸血鬼映画。昨今流行のファンタジーやアクションものとは一線を画す、アンニュイなラブ・ストーリーだ。何世紀も生きている吸血鬼の恋人同士の名前がアダムとイヴとは随分と古典的だが、アダムが天才ミュージシャンという設定がいかにも音楽好きのジャームッシュらしい。夜のドライブではジャック・ホワイトの生家、元ミシガン劇場の跡地などを巡ってみせる。財政破綻して寂れたデトロイトの夜景は不思議なほど魅力的だ。だが街の荒廃が自己破壊的な人間の姿に重なり、高潔な吸血鬼がそれを嘆くという構図や、吸血鬼が人間をゾンビと呼ぶなど、随処にシニカルな視点がうかがえる。アダムとイヴがあたりかまわず人間を襲って血を吸ったりせず、病院で調達する“上物の血液”しか飲まないのは、人間を軽蔑しているからなのだ。イヴの妹で少々問題児のエヴァは運命を転がすトリックスターで、彼女の登場でアダムとイヴは、デトロイトを離れざるをえなくなる。だが頼りにしていた、キットこと異端の作家クリストファー・マーロウは、汚染された血をうっかり飲んで死に至る。この世はもはや吸血鬼が生きるにはあまりにも汚れた世界なのか。しかし衰弱していく恋人たちが選択する道は、原初的な欲望に立ち返るものだ。原点回帰こそ生きる活路ということだろうか。吸血鬼カップルを演じるのは、不健康な美しさが持ち味のトム・ヒドルストンとティルダ・スウィントン。知的で獰猛、エレガントでスタイリッシュな吸血鬼役は、あまりにもハマッていた。
【65点】
(原題「ONLY LOVERS LEFT ALIVE」)
(米・英・独/ジム・ジャームッシュ監督/トム・ヒドルストン、ティルダ・スウィントン、ミア・ワシコウスカ、他)
(シニカル度:★★★★☆)
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21世紀を生きる吸血鬼の男女の奇妙なラブ・ストーリー「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」。音楽を重要な脇役にするあたり、ジャームッシュらしい。 アメリカ・デトロイトの寂れた屋敷に隠れるように暮らすアダムは、表舞台には姿を現さないが、どんな弦楽器も引きこなすカリスマ・ミュージシャン。実はアダムは何世紀も生き続けている吸血鬼で、純粋な血液を病院からひそかに調達して生きている。その一方で、堕落し蛮行を繰り返す人間たちに眉をひそめていた。ある時、何世紀も恋人として愛し合ってきた同じ吸血鬼の恋人のイヴがモロッコのタンジールからアダムに会いにやってくる。甘い時間を過ごす二人だったが、そこにイヴの妹で型破りな性格のエヴァが現れたことから、彼らの運命が狂いはじめる…。 オフビートな作風が魅力のジム・ジャームッシュの新作は、吸血鬼映画。昨今流行のファンタジーやアクションものとは一線を画す、アンニュイなラブ・ストーリーだ。何世紀も生きている吸血鬼の恋人同士の名前がアダムとイヴとは随分と古典的だが、アダムが天才ミュージシャンという設定がいかにも音楽好きのジャームッシュらしい。夜のドライブではジャック・ホワイトの生家、元ミシガン劇場の跡地などを巡ってみせる。財政破綻して寂れたデトロイトの夜景は不思議なほど魅力的だ。だが街の荒廃が自己破壊的な人間の姿に重なり、高潔な吸血鬼がそれを嘆くという構図や、吸血鬼が人間をゾンビと呼ぶなど、随処にシニカルな視点がうかがえる。アダムとイヴがあたりかまわず人間を襲って血を吸ったりせず、病院で調達する“上物の血液”しか飲まないのは、人間を軽蔑しているからなのだ。イヴの妹で少々問題児のエヴァは運命を転がすトリックスターで、彼女の登場でアダムとイヴは、デトロイトを離れざるをえなくなる。だが頼りにしていた、キットこと異端の作家クリストファー・マーロウは、汚染された血をうっかり飲んで死に至る。この世はもはや吸血鬼が生きるにはあまりにも汚れた世界なのか。しかし衰弱していく恋人たちが選択する道は、原初的な欲望に立ち返るものだ。原点回帰こそ生きる欲望ということだろうか。吸血鬼カップルを演じるのは、不健康な美しさが持ち味のトム・ヒドルストンとティルダ・スウィントン。知的で獰猛。エレガントでスタイリッシュな吸血鬼役は、あまりにもハマッていた。【65点】(原題「ONLY LOVERS LEFT ALIVE」)(米・英・独/ジム・ジャームッシュ監督/トム・ヒドルストン、ティルダ・スウィントン、ミア・ワシコウスカ、他)(シニカル度:★★★★☆)

麦子さんと



亡き母の故郷で母の素顔を知り成長するヒロインを描く人間ドラマ「麦子さんと」。脱力系成長物語に、人気女優・堀北真希とは意外な組み合わせ。

アニメの声優を目指しアルバイト生活を送る麦子は、パチンコ店で働く兄・憲男と二人暮らし。父は亡くなり母は二人を置いて家を出ていたが、その母親・彩子が突然戻ってきて同居することになる。とまどう麦子だったが、ほどなく母は病で死亡。麦子は納骨のために母の故郷の田舎町を訪れる。そこで知ったのは、母が若い頃アイドル歌手を目指していたこと。町の人々は、かつての町のアイドルにそっくりな麦子の登場に活気づく。そんな彼らと交流するうちに、麦子は母の知られざる一面を知るようになるのだが…。

冴えない田舎町を舞台に描く、冴えない人々の冴えない日々。そんなヌルい空気の中に人生の真実をそっと忍び込ませるのが吉田恵輔監督の作風だ。作る映画は愛すべき小品。そんなささやかな作品に、メジャー系配給会社の顔である堀北真希がニット帽をかぶったオタク系女子というユニークな役柄で出演していることは、ちょっとした事件である。声優を目指すといってもさほど真剣な感じも受けないし才能もなさそう。兄は恩着せがましいばかりでどこか頼りない。そこに兄妹を捨てた母親が転がり込んだかと思ったらあっさりと他界。これでドラマになるのだろうか?と心配になるが、母の故郷で、かつての母を知る人々との交流を通して、ヒロインが大嫌いだった母親の“青春の続き”の日々を過ごす。過去と現在が交錯するような不思議な人間関係の中で、成長していくというドラマは、劇的な要素は何もなく、あくまでもまったりとしたものだ。麦子が目指すアニメの声優という設定が何も生かされていないことや、田舎町でアイドルを目指す女性の苦悩などがまったく描かれていないことなど、不満点は多い。それでも娘が母を理解し、母親に対して素直になりたかった自分を発見する姿は、心温まる。オフビートな笑いの中にちょっぴり涙。ユルいムードを楽しんで見てほしい。
【60点】
(原題「麦子さんと」)
(日本/吉田恵輔監督/堀北真希、松田龍平、余貴美子、他)
(母娘愛度:★★★★☆)
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麦子さんと@ぴあ映画生活

プレーンズ

プレーンズ MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
飛行機が主人公のアドベンチャーアニメーション「プレーンズ」。安心感のあるストーリーと個性的なキャラで楽しめる。

農薬散布機のダスティの夢は、世界一周レースに出場しチャンピオンになること。だがダスティは、飛行機なのに高所恐怖症という致命的な弱点があった。それでも、どうしても夢をあきらめられないダスティは、伝説の元海軍飛行教官として名高い戦闘機スキッパーの協力で訓練を積み、レースに出場することになる。高性能のライバルたちは最初はダスティをバカにしていたが、彼の勇気や仲間を助ける友情に打たれ、次第にダスティを助けてレースを盛り上げていく。グングン順位を上げていくダスティだったが、高所恐怖症の彼の前に、最大の難所ヒマラヤ越えが控えていた…。

車に顔をつけて魅力的なキャラクターを生み出した「カーズ」の世界観を踏襲し、今度は夢を追う飛行機を主役にすえた冒険ファンタジーが生まれた。本来なら到底世界一周レースになど参加できるはずがない農薬散布機のダスティの冒険は、アメリカ、ヨーロッパ、アジア、中米と世界中を巡る壮大なスケールのものだ。大空を雄大に飛行する映像は、気象の変化や機体の質感までリアルに再現されていて素晴らしい。だが最大の魅力は、主人公をはじめ、それぞれの国の代表機たちの、くっきりと描き分けられたキャラクターの楽しさだ。陽気なメキシコ代表、誇り高い英国代表、エキゾチックなインド代表。日本代表機サクラは、切れ長の瞳でクールな美女だ。彼らがダスティのチャレンジ精神に魅せられ、やがて仲間意識が芽生えていくプロセスは、危険を共有する出場者たちがレースで競いながらも助け合う友情を描いてテッパンの作りである。そこに悪役のスター飛行機の陰謀や、伝説の戦闘機スキッパーの秘密もからみ、ついにクライマックスへと突入する頃には、観客全員が小さなプロペラ機ダスティの応援団になっている。彼は名もない労働者の代表であり、世界中の働く機械たちの希望なのだ。個人的には、最高の技術と知識でダスティを支えるフォークリフトのドッティの控えめなキャラが気に入っている。安全な場所・農園から出て初めて知る、世界の広さと素晴らしさ。たとえそこに多くの危険が待っていても自らの恐怖心を克服し挑んでいく勇気が胸を打つ。欠点をもちながらもそれを長所に変えて夢に挑んだ飛行機のアドベンチャーは、子供はもちろん大人が見ても十分に楽しめる作品に仕上がっている。
【60点】
(原題「Planes」)
(アメリカ/クレイ・ホール監督/(声)デイン・クック、ステイシー・キーチ、ブラッド・ギャレット、他)
(勇気度:★★★★☆)
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プレーンズ@ぴあ映画生活

永遠の0

永遠の0 豪華版(Blu-ray2枚組) 初回生産限定仕様
特攻で亡くなった祖父の真実を描く「永遠の0」。生真面目な映画だが零戦を美化していないところがいい。

2004年。自らの進路に迷う青年・佐伯健太郎は、実の祖父で太平洋戦争の零戦搭乗員として亡くなった宮部久蔵のことを調べ始める。宮部のかつての戦友たちを訪ねるが、その評判は「海軍一の臆病者」と「誰よりも勇気ある素晴らしい人」という両極端なものだった。天才的な飛行技術を持ちながら、生きることに強く執着した宮部の実像に迫るにつれ、祖父・宮部の思いもよらない真実を知ることになる…。

原作は百田尚樹の同名小説。天才パイロットである祖父・宮部久蔵は、臆病者だったのか、それとも勇気ある軍人だったのか。また、誰よりも生に執着した宮部が、なぜ死を意味する特攻隊を志願したのか。物語は、それらの謎を、現代に生きる青年・健太郎が少しずつ解き明かしていくミステリー仕立てで進んでいく。0(ゼロ)とは零戦のことだが、宮部は自分の卓越した飛行技術を、戦うためではなく戦闘を避けるために最大限利用し、部下にも生きることをあきらめるなと諭す。「生きたい」との願いはそれだけで蔑視された時代に「死ぬのが怖い、生きて家族のもとへ帰りたい」と明言し続けた宮部がいかに勇気ある人間なのかは、現代人ならば簡単に理解できるが、それほど生に執着した彼が特攻を志願したその理由は、戦争の悲劇そのもので見ていてつらくなる。そして彼が命を落とした本当の理由を知ればなおさらだ。戦争の記憶がなくなりつつある今、この物語の最大のメッセージは、語り継ぐこと。真珠湾、ミッドウェー海戦、ラバウル、ガダルカナルと激戦地をめぐる展開が駆け足なのがちょっと惜しい。演技力に定評がある岡田准一は、本作では得意のアクションは封印しているが、裏表のない真摯な人間を静かに熱演している。見所のひとつである空中戦や戦闘シーンは、やはりハリウッドのそれを見慣れた目には物足りないが、今の日本映画では最高レベルで、ダイナミックだ。ラストに流れる主題歌「蛍」が胸にしみる。
【65点】
(原題「永遠の0」)
(日本/山崎貴監督/岡田准一、三浦春馬、井上真央、他)
(家族愛度:★★★★☆)
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永遠の0@ぴあ映画生活

ウォーキング with ダイナソー

ウォーキング with ダイナソー 2枚組ブルーレイ&DVD (初回生産限定) [Blu-ray]
太古の地球に生存した恐竜たちの世界を描く「ウォーキング with ダイナソー」。3Dの迫力に感動ドラマがドッキング。

7000万年前のアラスカ。草食恐竜のパキリノサウルスたちは厳しい冬を生き抜くために南へ向かっていた。その中にはひときわ体が小さい子供の恐竜パッチの姿もあった。新たな居住地と食物の確保のために南下するパキリノサウルスたちは、大型の肉食恐竜ゴルゴサウルスの群れや自然の脅威と闘いながら進んでいく。だがパッチは、群れのリーダーである父を亡くし、兄のスカウラーや仲間ともはぐれてしまう。歯のある鳥アレックスを相棒に旅を続けるパッチはやがて大人へと成長し、思いがけない形で兄と再会を果たすが…。

ネイチャー・ドキュメンタリーに定評があるイギリスBBCアースフィルムズが、恐竜たちの世界を再現したドキュメンタリーの世界と、ディズニー・アニメを手がけたスタッフによる、一匹の恐竜が成長していく感動物語を融合させた壮大なドラマだ。小さな恐竜パッチが旅で体験する試練は、父の死、弱肉強食の戦い、兄との対決、リーダーとしての自覚など。自然の法則を知って生き抜く術を学び、可愛い女の子恐竜との恋もある。ストーリーはありきたりだが、驚異的な映像を存分に体験するために物語はあえて平凡な展開になっているのだ。何しろ見たことがないはずの恐竜が、皮膚の質感や色、造形までリアルに再現され、まるで古代世界へタイムスリップしたかのよう。「アバター」で使用された3D技術と最新のCGを駆使した迫力の映像は、まさに体感型のアドベンチャーだ。同時に、オーロラや雪原、氷の川や深い森の描写など、静謐な美しさにも満ちている。個人的には、これだけの映像を作れるのだから、恐竜が話す擬人化は必要ない気がするのだが、より多くの観客に見てもらうために、わかりやすいストーリーが必要だったのだろう。入念な科学的リサーチに基づくこの映画を3Dで鑑賞すれば、そこはまさに恐竜たちが息づく白亜紀の太古の地球。学ぶべきことは生きる厳しさそのものだ。
【60点】
(原題「WALKING WITH DINOSAURS 3D」)
(英・米・豪/ニール・ナイチンゲイル、バリー・クック監督)
(臨場感度:★★★★☆)
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ウォーキング with ダイナソー@ぴあ映画生活

武士の献立

武士の献立 Blu-ray
料理で藩に仕える包丁侍の家に嫁いだヒロインの奮闘を描く人情時代劇「武士の献立」。江戸時代って、実はグルメな時代だったのだ!

江戸時代。優れた味覚と料理の腕を見込まれた春は、加賀藩の料理方・舟木伝内に懇願されて跡継ぎの安信の嫁になる。だが夫・安信は剣術の稽古ばかりで料理は大の苦手。年上で離婚歴もある春を古ダヌキと呼び、料理方などつまらぬ仕事とボヤく安信に、堪忍袋の緒が切れた春は料理勝負を挑んで見事に勝利。安信は春の指南で次第に料理の腕を上げていく…。

時代劇としては異例のヒットとなった「武士の家計簿」に続く、資料から物語をつむいでいく“生活時代劇”の第2弾。今回は、石川県の加賀藩を舞台に、料理の腕で殿様に仕えた包丁侍とその家族の絆を描いていく。ヒロインの春は、気が強い出戻り娘。夫の安信は料理下手の落ちこぼれ包丁侍。こんな凸凹コンビの夫婦が、少しずつ絆を深めるプロセスには、本気でぶつかり合い、共に料理を工夫し、時には藩の危機にも遭遇する紆余曲折がある。物語のベースは春の内助の功だが、包丁侍としての運命を受け入れることができず仕事に不満ばかりいう安信に、春が「つまらない仕事だと思っているからつまらない料理しかできないのではないのですか」と諭す言葉は、仕事に悩みを抱える現代人には、ハッとさせられることだろう。加賀騒動と呼ばれたお家騒動が意外なほど残酷で、ユーモラスなグルメ時代劇であるこの物語の中で少々浮いているエピソードなのは気になるが、それでもその加賀騒動で失墜した藩の権威を取り戻すために催された、武家伝統の豪華なフルコース“饗応料理”を再現した場面は圧巻だ。舟木家が残した江戸時代のレシピ本「料理無言抄」には、能登の豊かな食材、それを最も活かす調理法、健康面や栄養価まで詳細に記されているそう。上戸彩と高良健吾の二人は時代ものには現代的すぎるイメージだが、脇を固めるベテラン俳優が彼らをしっかりと支えている。食は昔も今も生きる基本。日本映画伝統の家族愛を描く作品だが、料理の腕の成長が夫婦として人間としての成長に重なる展開が共感を呼ぶ。
【65点】
(原題「武士の献立」)
(日本/朝原雄三監督/上戸彩、高良健吾、西田敏行、他)
(夫婦愛度:★★★★☆)
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武士の献立@ぴあ映画生活
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プロフィール
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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