映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
英・仏合作映画「パディントン2」

プチレビュー14下旬

映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!

映画「 妖怪ウォッチ 」誕生の秘密だニャン! [Blu-ray]
妖怪ウォッチ誕生の秘密が明かされる「映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!」。今年のシメはこれで決まりだ!

突然消えた妖怪ウォッチを追って60年前にタイムスリップしたケータは、謎のカギを握る妖怪フユニャンに導かれ、ウィスパー、ジバニャンらと共に、妖怪ウォッチを取り戻そうとする。そこでケイゾウという少年と出会い、妖怪ウォッチの謎を知ることになるのだが…。

もはや社会現象といっても過言ではない「妖怪ウォッチ」。ゲームソフトとして登場し、アニメ・マンガ・おもちゃ・グッズに音楽と、メディアミックスの超ビッグ・コンテンツだ。今さら説明するまでもないが、主人公は、妖怪が見えるようになる不思議な時計“妖怪ウォッチ”を手に入れた小学5年生のケータ。世の中の困った出来事は妖怪のしわざかもしれないという世界が舞台。満を持しての映画版では、キーアイテムである妖怪ウォッチ誕生の秘密にせまり、強大な敵を相手に手に汗を握る大冒険を繰り広げる。映画版では、ユルいギャグばかりではなく、他メディアの人気者をしれっと登場させたり、他アニメを堂々とパロッてみたりとやりたい放題。しかもそれが大人が見て初めて面白さがわかる演出なのだから抜け目がない。小学生中心に人気なのだが、実は大人もハマるというのは、このあたりが理由なのだ。配給会社興行の新記録を樹立し、動員数や興収ですさまじい数字をたたきだしている本作は、紛れもなく映画界の救世主的存在。業界のすみっこにいる身としては、小学生向けの映画とはいえ、今後の展開も踏まえて、どうしても押えておかねばならないとの決意を胸に映画館で鑑賞したが、なるほど楽しい!ラストの主題歌ゲラゲラポーのメロディが流れると、劇場内の熱気は頂点に達し、子供と親が振付付で歌い踊るお祭り騒ぎ。しばしのトランス状態を味わった。やはり2014年を締めくくるにふさわしい映画だ。
【65点】←ホントは採点不能の気分(笑)
(原題「映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!」)
(日本/高橋滋春、ウシロシンジ監督/(声)戸松遥、関智一、小桜エツコ、他)
(楽しさ度:★★★★★)
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映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!@ぴあ映画生活

海月姫

クラゲオタクのヒロインと女装美男子との恋や友情を描く青春ドラマ「海月姫」。オタク女子たちのこだわりと現実逃避の奇行が笑える。

イラストレーターを目指す月海は、クラゲが大好きなオタク女子。男子禁制のレトロなアパート。天水館に住む、オタク女子たちと、オタク道を極めながら、それなりに楽しい毎日を送っていた。ある日、月海は、熱帯魚ショップで騒動を起こしたことから、通りすがりのおしゃれ女子に救われる。だが実はそれは女装が趣味の大学生・蔵之介。彼は男であることを隠して天水館に入りびたり、月海に化粧やおしゃれの喜びを教えていく。一方、天水館取り壊しを狙う計画が動き始めていた…。

原作は東村アキコの同名人気コミック。“男を必要としない人生”を貫こうとするオタク女子の、それなりに幸せな日常が綴られるが、そこに女装美男子と童貞エリートの兄弟が出現することによって、事件が巻き起こるという展開だ。前半の、クラゲオタクの月海と男子禁制の共同アパート・天水館に住むオタクたち“尼〜ず”たちを活写するパートはとても楽しい。鉄道オタクのばんばさん、和物オタクの千絵子、年配の男性にときめく“枯れ専”のジジ様、三国志オタクのまやや。彼女たちを演じるのは、池脇千鶴や太田莉菜たちなどだが、顔はほとんど見えず気配すら消しているので、クレジットがなければ誰だかまったくわからない怪演ぶりだ。主人公を演じる能年玲奈も、持前のとぼけた味わいで見事なオタク女子ぶりだが、恋やおしゃれとは無縁のオタク女子役とはいえ、美しく変身するシーンもあり、いきなりモテる設定も納得の可愛さである。この映画、キャスティングで魅せているといっても過言じゃないのだ。だが、天水館取り壊しの危機を救うためにファッションショーを企画するという展開は、強引すぎる。ショーを中心とした後半のテンポの悪さはちょっと残念。それにしても女装美男子を演じる菅田将暉の美しさには、驚いた。これを見るだけでも劇場に足を運ぶ価値があるかもしれない。
【60点】
(原題「海月姫」)
(日本/川村泰祐監督/能年玲奈、菅田将暉、池脇千鶴、他)
(オタク度:★★★★★)
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海月姫@ぴあ映画生活

真夜中の五分前

真夜中の五分前 [DVD]
美しい双子の姉妹と彼女たちを愛した男性たちとのラブ・ミステリー「真夜中の五分前」。繊細で幻想的な物語。

上海で時計修理工として働く日本人青年・良は、美しい女性ルオランと知り合い、彼女の双子の妹ルーメイへのプレゼント選びを手伝う。清楚で質素なルオランと妖艶で奔放なルーメイは、何もかも対照的なのに、双子特有の、同じものを好きになるという特性があった。良は、妹の恋人レオンを愛してしまったルオランを優しく見守り、やがて恋人同士になる。だが、双子姉妹は旅行先のモーリシャスで事故に遭い、一人だけが生き残ってしまう…。

原作は本多孝好の小説。舞台を上海に移して、日本、中国、台湾のコラボによる、アジア展開を視野に入れた意欲作になっている。物語前半は、かつて恋人を失った過去から他人とうまくかかわれない青年が美しい女性と恋に落ちる静かなラブ・ロマンス。後半は、旅先で事故にあった双子姉妹の一人が生き残るが、果たしてそれはどちらなのか…?というミステリー。区別がつかないほどそっくりな双子姉妹は、自分たちでさえも互いの境界線があいまいになっているようだ。事故で生き残ったルーメイは、はたして本当にルーメイなのかという謎の答は前半のさまざまな伏線から推測できるが、興味深いのは、周囲の疑いによって自身の存在があやふやになっていくという事実だ。アジア有数の経済都市・上海の活気や生命力は影をひそめ、行定勲監督特有の、淡く繊細な画面によって、時空を超えた神秘的なムードが漂っている。ほぼ全編中国語という役に挑んだ三浦春馬の静かな熱演とたたずまいが美しい。印象的なタイトルは、主人公の亡き恋人が「時間が得した気分になるから」と腕時計を5分遅らせて使っていたことに由来する。ラスト、良は、不可思議な愛の迷宮のおかげで、縛られていた過去から解放されたのかもしれない。
【60点】
(原題「真夜中の五分前」)
(日本/行定勲監督/三浦春馬、リウ・シーシー、チャン・シャオチュアン、他)
(ミステリアス度:★★★★☆)
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真夜中の五分前@ぴあ映画生活

サンバ

サンバ [Blu-ray]
移民問題を独特のユーモアで活写するヒューマン・ドラマ「サンバ」。「最強のふたり」的なほのぼのより、辛辣さが目立つ。

アフリカからフランスに来て10年になる料理人見習いのサンバは、うっかりビザの更新を怠ってしまい、国外退去を命じられてしまう。職場を追われたサンバは、窮地を打開するため移民支援協会を訪れ、燃え尽き症候群となり大企業を休職中のボランティアのアリスと出会う。厳しい状況でも明るく希望を失わないサンバの周囲には、面倒見のいい陽気なブラジル移民ウィルソンや破天荒な法学生マニュなど、個性的な人々が集まってくる…。

スマッシュ・ヒットを記録した「最強のふたり」の監督と主演の2人が再びタッグを組むと聞いて、いわゆる“イイお話”を期待してしまうと、ちょっと肩すかしをクラう。主人公サンバを演じるオマール・シーの笑顔は魅力的だが、さまざまな問題をはらむ移民問題がテーマだけに、リアルでシビアな側面もあり、ほのぼのばかりもしていられないのだ。そもそもビザのうっかり失効は本人の自業自得だし、ビザなし金なし住所なしでは、法も味方してくれないのも当然だろう。それでもサンバをいつしか応援してしまうのは、自分の方が悲惨な状況なのに、大企業の仕事に疲れ切って精神的にマイッているアリスを「元気?」と気遣ったりする、本能的な優しさがあるからだ。ふだんはボーッとしているのにキレやすい中年女性を演じるシャルロット・ゲンズブールが新鮮だが、問題がある者同士、次第に惹かれ合っていくという展開は、ちょっと安易な気がする。そもそも移民問題と、燃え尽き症候群は、まったく別問題ではないのか? なんだか中途半端な印象が否めない作品だが、ともすれば社会派に傾きがちなテーマを、あえて軽く仕上げた個性は評価したい。
【55点】
(原題「SAMBA」)
(フランス/エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ監督/オマール・シー、シャルロット・ゲンズブール、タハール・ラヒム、他)
(楽観性度:★★★★☆)
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サンバ@ぴあ映画生活

おやすみなさいを言いたくて

おやすみなさいを言いたくて [DVD]
世界に現状を訴える女性報道カメラマンの生き様を描くヒューマン・ドラマ「おやすみなさいを言いたくて」。ヒロインを一種の戦争中毒と解釈する監督の視点がリアルだ。

レベッカは、世界各地を飛び回り、紛争地域の現状を訴える報道カメラマン。自分の仕事に情熱と誇りを持っているが、ある取材中に命を危険にさらす事故に巻き込まれ、アイルランドに住む夫と子供たちから、二度と危険な戦場には行かないと約束させられてしまう。平和な暮らしの中で、自分の仕事が愛する家族を長年苦しめていたことを知り、葛藤するのだが…。

エーリク・ポッペ監督は、自身が報道写真家として世界各地で活動していたという異色の経歴を持つ映画監督だ。本作の主人公は女性だが、おそらく監督自身の姿や思いが投影されているに違いない。冒頭、中東で自爆テロを行う女性たちを取材するレベッカの緊張感がすさまじいが、爆発に巻き込まれて瀕死になるという死と隣り合わせの危険は、報道カメラマンの過酷な現状をリアルに伝えてくれる。だが本作のテーマは、そん危険で崇高な仕事を賛美することではない。レベッカが仕事に打ち込めるのは、アイルランドに残した家族が彼女を支えているからだ。とりわけ海洋学者の夫は母親レベッカの代わりに家庭を守り子供たちの面倒も見ている。レベッカの仕事に理解を示す一方で、彼女の不在中に常に心配し心労を重ねるという犠牲を払っている。仕事か家庭か。この選択を迫られるヒロインが出す結論が、実にシビアだ。ポッペ監督自身が、レベッカを一種の戦争中毒であると解釈していることからも分かるように、彼女の選択に善悪はない。埃っぽい中東と澄んだ空気のアイルランド。命がけの毎日と平和ボケの日々。あらゆる局面で対比が効いている。印象的なタイトルは、シェークスピアの「ロミオとジュリエット」からとられている。「何千回ものおやすみを」の言葉が、家族への愛と世界への愛に引き裂かれるレベッカの姿に重なってみえる。
【70点】
(原題「A THOUSAND TIMES GOOD NIGHT」)
(ノルウェー・アイルランド・スウェーデン/エーリク・ポッペ監督/ジュリエット・ビノシュ、ニコライ・コスター=ワルドー、ラリー・マレン・ジュニア、他)
(家族愛度:★★★★☆)
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おやすみなさいを言いたくて@ぴあ映画生活

あと1センチの恋

あと1センチの恋 [Blu-ray]
運命のいたずらに翻弄され12年間もすれ違いを続ける男女のラブストーリー「あと1センチの恋」。主演2人のみずみずしさが魅力。

イギリスの片田舎に住むロージーとアレックスは、幼馴染で、友達以上恋人未満の関係。いつか2人の故郷を出て、アメリカのボストンの大学に進もうと約束していた。だが高校卒業を前に、クラスの人気ものの男の子とを軽い気持ちで一夜を共にしたロージーの妊娠が発覚。アレックスはアメリカへ、地元に残ったロージーは一人子育てに奮闘する。再会を誓いつつ、互いを想う言葉を口にできないままの2人は、それから12年もの間、すれ違いを繰り返すことになる…。

原作は「P.S.アイラヴユー」の作者セシリア・アハーンの小説「愛は虹の向こうに」。友達以上恋人未満の男女の恋、あるいは友情というテーマは、「恋人たちの予感」を例に出すまでもなく、ずっと論じられてきた。本作もその流れをくむラブ・ストーリーだが、これでもか!というくらいすれ違いが繰り返される。そもそも最初の“すれ違い”は、自分の思いを隠すテレから始まっているのだが、それよりも、お互いを思っているのに口に出すことで、今のいい関係が壊れてしまうのが怖いのだ。アメリカにいようとイギリスにいようと、いつも連絡をとりあっている彼らは、本当に愛している人が誰なのかわかっているのに、近くにいる誰かへの愛に流されてしまうという弱さもある。ものごとは何につけタイミングが大事。それにしてもこの恋愛、一度タイミングを逃すと軌道修正するのに12年もかかってしまうとは、いくらなんでも遠回りしすぎだろう。話そのものは新鮮味はないが、主演2人のみずみずしさが魅力になっている。特にティーンエイジャーから母親まで一人で演じきったリリー・コリンズの、ちょっとコミカルな演技が光っていた。
【60点】
(原題「LOVE, ROSIE」)
(独・英/クリスチャン・ディッター監督/リリー・コリンズ、サム・クラフリン、クリスチャン・クック、他)
(遠回り度:★★★★★)
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幸せのありか



重度の障害を持つ主人公の人間ドラマ「幸せのありか」。独自の視点で世界をみつめる語り口が絶妙。

1980年代のポーランド。重度の障害を持つ幼い少年マテウシュは、医者から、知的障害で植物状態と診断される。だが本当は、手足も言葉も不自由ながら、彼は知性や感情を持ち合わせていた。やがてマテウシュは成長と共に家族から疎まれ、ついには知的障害者向けの病院に入れられてしまう。憤りと不満の中、美しい看護師マグダと出会い心を通わせていく…。

ハンディキャップを持つ人間を描く映画は、とかく過度の感動やお涙頂戴物語に傾く傾向があるが、本作はまったく違う。ポーランドが民主化へと大きく揺れ動いた時代を背景に、一人の脳性マヒの青年が、自分には意志があることを周囲に伝えるまでの長い長い道のりを描いた物語は、実話がベースだそう。映画は主人公・マテウシュのナレーションで進むので、言葉を話せず身体を動かすことさえ難しいマテウシュが、実は健常者と同じように“心を持っている”ことがすぐにわかる。しかも女性の胸をみつめたり、美人に目がなかったり、障碍者の性という難しい問題にも、ユーモラスな視点で切り込んでいくのがいい。愛情深い父の突然の死、初恋の少女との別れ、家族から疎まれる苦悩など、マテウシュが経験する様々な出来事は、時には耐えがたいものだが、彼はどんな時も希望を捨てず、父から教わった、星空を見上げる喜びも忘れなかった。決して絶望しないマテウシュがついに伝達手段を見つけた後、障害に無理解な周囲を鋭く批判するエピソードを挿入するなど、物語は実に目配りが効いている。主人公を演じるダヴィッド・オグロドニックの熱演が素晴らしく、肉体改造や障害の演技より、その毅然としたまなざしが印象に残った。安易な同情はいらない。生きることへの共感を求めている作品だ。
【80点】
(原題「LIFE FEELS GOOD/CHOCE SIE ZYC」)
(ポーランド/マチェイ・ピェプシツァ監督/ダヴィッド・オグロドニック、カミル・トカチ、アルカディウシュ・ヤクビク、他)
(お涙頂戴度:★☆☆☆☆)
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毛皮のヴィーナス

毛皮のヴィーナス [Blu-ray]
演出家の男と女優との駆け引きを描く舞台劇の映画化「毛皮のヴィーナス」。エマニュエル・セニエって、こんなに上手い女優だったのか!

舞台のオーディションに遅刻してきた女優のワンダは、演出家にオーディションをしてほしいと強引に頼み込む。高慢で自信家の演出家トマは、しぶしぶ承知。舞台にたったワンダは、最初のがさつで粗野な印象とは裏腹に、役を理解し気品ある演技でトマを魅了する。やがて役柄を越えてワンダに支配されることに喜びを感じ始めるトマだったが…。

原作はマゾヒズムの語源となったレオポルド・フォン・ザッヘル=マゾッホの小説「毛皮を着たヴィーナス」からインスパイアされた舞台劇。女優と演出家のたった2人だけの出演者による会話劇は、キャスティングと俳優の演技力がすべてと言っても過言ではないが、本作は大成功といえる。マチュー・アマルリックは若き日のポランスキーによく似ていて、監督の分身のようだし、監督の妻のエマニュエル・セニエは肉体的な魅力だけでなく、知性のかけらもない女優と品格ある女性の二役を完璧に演じきって素晴らしい。舞台と現実の虚実が混濁し、2人の力関係が次々に入れ替わる展開もスリリングだ。さらに、演技の間にときどきワンダが披露する登場人物に対する鋭い分析が、コミカルなツッコミにも似て笑いを誘うのだから、まったく飽きさせない。マゾッホが支配と服従をテーマにしたように、ポランスキーもまた「赤い航路」などで同じテーマを扱ってきた。激動の人生をおくってきた80歳を越えた老巨匠がたどりついた“女性の本質の不思議”の答は、映画のラストに用意されている。
【70点】
(原題「VENUS IN FUR」)
(仏・ポーランド/ロマン・ポランスキー監督/エマニュエル・セニエ、マチュー・アマルリック、他)
(スリリング度:★★★★☆)
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バンクーバーの朝日

バンクーバーの朝日 Blu-ray 通常版
20世紀初頭のカナダに実在した日系移民たちの野球チームを描く「バンクーバーの朝日」。野球映画というよりヒューマン・ドラマとして味わいたい。

1900年代初めのカナダ・バンクーバー。多くの日本人が新天地を求めて移住してきたが、そこで彼らを待っていたのは、貧困、差別、過酷な労働など、厳しい現実だった。そんな中生まれた、日系人野球チーム「バンクーバー朝日」は、はじめは弱小チームだったが、やがて巧みな戦術とフェアプレーで勝ち進み、日系移民たちの希望となっていく…。

戦前のカナダ・バンクーバーに実在した日系人野球チーム「朝日」の存在をこの映画で初めて知った。地元のアマチュアリーグでは弱小だったが、体格やパワーではかなわない白人チームに対し、フェアプレーを貫きながら、バントや盗塁などテクニックと頭脳プレーの戦術で戦い、やがて白人社会からも認められて優勝争いまで演じる展開は、スポーツ系サクセス・ストーリーと言っていい。だが本作を野球映画として見ると、少々物足りなさを感じてしまうだろう。スポーツ映画特有の汗臭さや必死な形相などは見当たらない。主人公を演じる妻夫木聡の終始うつむいた姿は、ただ野球だけに熱中していれば良かった時代ではなかったことを物語る。移民として差別に耐えていた彼らには、太平洋戦争勃発という、より過酷な運命が待っているのだ。映画は、野球そのものよりも、日系移民たちの過酷な生活や彼らの複雑な心情、とりわけチームそれぞれの家族ドラマの方に軸足がが置かれている。チームのほとんどが他界した後にカナダ野球の殿堂入りを果たしたというエピソードが哀愁を誘うが、それでも本作で多くの人が「朝日」を知る。そのことがこの映画の一番の使命だ。現在、海外で活躍する日本人野球選手は多いが、そんな彼らの活躍の素地ともいえるのが無名の「朝日」のメンバーなのだから。戦前のバンクーバーの日本人街を再現した広大なセットが見事だった。
【65点】
(原題「バンクーバーの朝日」)
(日本/石井裕也監督/妻夫木聡、亀梨和也、勝地涼、他)
(歴史秘話度:★★★★☆)
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ベイマックス

【Amazon.co.jp限定】ベイマックス MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] (オリジナルイヤホンジャック付) [Blu-ray+DVD]
天才少年ヒロがケア・ロボットと共に世界の危機に立ち向かう「ベイマックス」。大切な人を守るという最高の勇気に感動必至。

14歳のヒロは発明の天才だが、唯一の理解者にして最愛の兄タダシを突然の事故で失って以来、心を閉ざしてしまう。そんなある時、タダシが開発したケア・ロボットのベイマックスが現われる。心の痛みを感じ取り、献身的にケアするベイマックスと触れ合ううちに、ヒロは次第に元気を取り戻していく。タダシの死に隠された真相に気付いたヒロは、ベイマックスと共に謎の敵・歌舞伎マンと戦うことになるのだが…。

真っ白でふわふわ。鈴のような顔は無表情なはずなのに限りなく優しい。その大きな腕で抱きしめられるとなんと心がほっこりすることか。ケア・ロボットのベイマックスは、主人公ヒロの痛みを10段階で測定するが、心の傷を癒すためのケアは、数字ではなく、「泣きたい時は泣いてもいいんですよ」の言葉なのだ。大ヒット作「アナ雪」のディズニーの新作だが、「アナ雪」が姉妹を通して女性の新しい生き方を応援する映画だとするならば、本作は兄弟愛、勇気、そして友情の物語である。原作は意外なことにマーベル・コミックの「Big Hero6」。何でもマーベルはディズニー傘下になったとのことだから、ここには大人の事情もありそうだが、ともあれ映画は少年版トニー・クラークのような発明の天才ヒロが、最愛の兄の事故死の謎をとくというスーパーヒーロー的なストーリーになっている。ヒロにはマスクや武器はなく、心を癒すのが仕事のケア・ロボットのベイマックスという相棒がいるだけ。だが、どこまでもヒロを守りぬくベイマックスの無償の愛こそが、最大の“武器”であり、本作の核心だ。嬉しいのは随所に日本への愛が垣間見えること。舞台の架空都市サンフランソウキョウには日本語の文字がいっぱい。主人公ヒロとその兄タダシは明らかに日本系。随所に日本のポップカルチャーへの愛情が散りばめられている。ディズニー・アニメで、これほど日本を意識した作品は初めてで、何とも誇らしい気持ちになった。
【75点】
(原題「BIG HERO 6」)
(アメリカ/ドン・ホール、クリス・ウィリアムズ監督/(声)ライアン・ポッター、スコット・アツィット、T・J・ミラー、他)
(日本愛度:★★★★☆)
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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