映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
英・仏合作映画「パディントン2」

プチレビュー16下旬

聖杯たちの騎士

聖杯たちの騎士 [Blu-ray]
ハリウッドで脚本家として成功したリックは、華やかで享楽的なセレブの暮らしを送りながらも、心の奥では常に虚しさを感じていた。そんな彼の脳裏に、かつて出会った6人の女性の記憶が蘇る。美しい彼女たちに導かれるように、リックは過去と対峙し、内面に抱えた孤独と向き合っていく…。

ハリウッドで成功した男の心の旅を静かなモノローグと流麗な映像で描く「聖杯たちの騎士」。タロットカートの“聖杯の騎士”にちなみ、物語は章立てで展開する。富と名声を得て享楽的な日々を過ごしながら、崩壊した家族や失った愛を思い、自分はどこで人生を間違ってしまったのか、本当に求めるものとは…と自問しながらさ迷う物語は、テレンス・マリック版の「甘い生活」のようだ。説明らしい説明はほとんどないが、まるで夢のような映像で描かれる抒情詩に、いつしか引きこまれる。ケイト・ブランシェット、ナタリー・ポートマンら、実力派女優が演じる6人の美女は、主人公リックを時に優しく包み、時に見放し、時に導く存在だ。だがリックの思いは満たされることはない。物質的な豊かさで満足できないのと同じように、一人の女性の愛では彼の心は決して満たされないのだ。日本庭園で不要なものは持たずシンプルな生き方を学んでも、教会で苦難は神が与えた愛だと諭されても、それは答えではない。聖杯のタロットカードが正位置と逆位置ではまったく意味が異なり無限の解釈が可能なのと同じように、リックが求める人生の真実もまた、明確な答えはなく、何かを求めてさ迷う心の旅こそが真実となるのだろう。大都会の喧噪、華やかなパーティ、荒々しい荒野、寄せては返す波と包み込むような海と空。撮影監督エマニュエル・ルベツキの、神業の境地に達したカメラワークに酔いしれる至福の映像体験だ。
【70点】
(原題「KNIGHT OF CUPS」)
(アメリカ/テレンス・マリック監督/クリスチャン・ベイル、ケイト・ブランシェット、ナタリー・ポートマン、他)
(映像美度:★★★★★)
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こころに剣士を

こころに剣士を [DVD]
第二次世界大戦中はナチス・ドイツに、末期からはソ連占領下でスターリンの恐怖政治に翻弄されたエストニア。1950年代初頭、秘密警察に追われる元フェンシング選手のエンデルは、エストニアの田舎町に、小学校教師として身を隠す。人々は圧政によって鬱屈とした生活を強いられ、子どもたちの多くは親を奪われていた。最初は子どもが苦手なエンデルだったが、課外授業でフェンシングを教えるうちに、互いに心を通わせ、生きがいを見出すようになる。そんなある日、子どもたちがレニングラードで開催されるフェンシングの全国大会に出たいと言い出す。逮捕されることを恐れ、ためらうエンデルだったが、子どもたちの夢を叶えるため、ついに出場を決意する…。

元フェンシング選手の実話を基に、秘密警察に追われる青年と子どもたちの交流を描く「こころに剣士を」。バルト三国のエストニアのハープサルという小さな町の名前は初めて聞いたが、欧州では美しくのどかなリゾート地として知られているそうだ。そんな場所にも暗く悲しい歴史がある。本作では、フェンシングを通して、勇気と誇りを持つことが希望となるというメッセージが描かれる。主人公エンデルはフェンシングの元スター選手だが、戦時中にドイツ軍にいたため、秘密警察に追われる身。息をひそめる様に逃げ回る人生に嫌気がさしているが、なす術がない。そんな彼を変えるのが、子どもたちの存在だ。圧政によって人々が希望を失っていても、独善的な考えでエンデルを追い詰める校長の理不尽に接しても、未来を担う子どもたちの存在と、騎士道に通じるフェンシングが本来持つ気高さが、行くべき道を示してくれたのだ。スターリンの圧政で親を奪われた子どもたちとエンデルが擬似親子のような関係になる展開もいい。とりわけ、しっかり者で前向きな少女マルタの勇気が感動を呼ぶ。出演している俳優たちは日本ではほとんど知られていないが、その誠実な演技に心を奪われた。「ヤコブへの手紙」など、丁寧な人間ドラマで知られるフィンランドの名監督クラウス・ハロは、スポーツを通して人間が希望を取り戻すというスタンダードな物語を、分かりやすい演出と美しいカメラワーク、あたたかいまなざしで語ってくれた。地味だが心に残る秀作に仕上がっている。
【75点】
(原題「THE FENCER/MIEKKAILIJA」)
(フィンランド・エストニア・ドイツ/クラウス・ハロ監督/マルト・アヴァンディ、ウルスラ・ラタセップ、レムビット・ウルフサク、他)
(勇気度:★★★★★)
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MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間

MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間 ブルーレイ&DVDコンボ(2枚組) [Blu-ray]
ジャズ界の頂点に君臨する天才トランペッター、マイルス・デイヴィスは、1970年代後半、活動を休止していた。腰痛に悩まされ、自宅に引きこもるマイルスのもとに、音楽記者のデイヴ・ブレイデンが強引に押しかける。マイルスは、ドラッグや酒、鎮痛剤で荒れた生活を送りながら、元妻フランシスとの苦い思い出に囚われていた。マイルスとデイヴは行動を共にするうちに、悪辣な音楽プロデューサーが盗んだマスターテープを取り戻すため、危険なチェイスに身を投じていく…。

ジャズの帝王ことマイルス・デイヴィスが創作活動を休止していた70年代の空白の5年間を背景に、彼がもう一度音楽への道を見出していくまでを描く「MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の5年間」。マイルス・デイヴィスがカーチェイスに銃撃戦?!B級アクションのようなビックリ仰天のオープニングから始まるこの映画は、マイルスが公の場から姿を消していた空白の時期を「もし、こうだったら…」という自由な発想…、いや、むしろ妄想に近い演出で描く異色の伝記映画だ。マイルスになりきって熱演するドン・チードルは、これが初監督作だが、脚本、主演も兼ねていて“マイルス愛”がビシバシと伝わってくる。マイルスはこの時期、トランペットや音楽に対する情熱を失っているかに見えるが、取材を熱望する記者デイヴや、自分に憧れる若者と接するうちに、そして未発表の大切なテープが奪われるという重大なアクシデントに遭遇するうちに、いやがおうでも音楽と再び向き合うことになる。美しい元妻との苦い思い出や、彼ほどのスーパースターでさえも経験した人種差別など、エピソードはジャズの即興演奏にも似て散発的に記憶に現れては消えていく。自分の音楽は、ジャズという既成概念で語られるものではない。この強い自尊心が「ジャズと呼ぶな。ソーシャルミュージックだ」との言葉に凝縮されていた。正統派の伝記映画ではないが、空白の時を虚実と愛で埋める奇妙なエネルギーを感じる作品だ。ラストのセッションシーンに登場する、ハービー・ハンコックやアントニオ・サンチェスら、大物ミュージシャンの出演も見逃せない。
【60点】
(原題「MILES AHEAD」)
(アメリカ/スティーヴン・ベーグルマン監督/ドン・チードル、ユアン・マクレガー、エマヤツィ・コーリナルディ、他)
(なりきり度:★★★★★)
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アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場 [Blu-ray]
英国軍の諜報機関の将校キャサリン・パウエル大佐は、最新鋭のドローン偵察機を使い、アメリカ軍と共に英米合同テロリスト捕獲作戦を指揮している。ケニア・ナイロビで過激派組織アル・シャバブのテロリスの隠れ家を突き止め、彼らが大規模な自爆テロを決行しようとしていることを察知。アメリカ・ネバダ州の米軍基地では新人のドローン・パイロットのワッツ中尉らがミサイル発射の準備に入った。だがその時、殺傷圏内に幼い少女がパンを売りに現れる。英米軍は、民間人の巻き添えという予期せぬ事態に、少女の命かテロリストの殺害かの選択を迫られることになるが…。

軍用ドローンの対テロ作戦を通して、無人機を使う現代の戦争の実態と人間の倫理を問う問題作「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」。南ア映画の秀作「ツォツィ」の監督ギャヴィン・フッドの、手堅く緊迫感あふれる演出が光る異色の戦争映画だ。ドローンを使った戦争に携わる人間の葛藤を描いた作品には「ドローン・オブ・ウォー」があり、ボタン一つで人間の命を奪う操縦者のPTSD(心的外傷後ストレス障害)が取り上げられた。本作では、ドローン戦争の詳細な実態を通して、それぞれの国、立場による対テロ戦争の実態と、巻き添えという人道的、倫理的問題を掘り下げている。複数の国が合同で行う作戦は、指揮系統だけでも複雑で作戦は遅々として進まない。英国軍と米国軍、軍人と政治家、現地の工作員、さらにはテロリストの視点までも盛り込む、俯瞰的な群像劇になっている。迷彩服に身を包んだオスカー女優のヘレン・ミレンが演じるのは、強い意志でテロリスト撲滅を指揮する猛々しい女性司令官である。彼女が、責任をとるのを嫌い保身ばかりの政治家にいらつく姿がリアルだ。さらに物語は、罪のない少女の命を犠牲にしてでもテロリストを殺害すべきか、それとも…という命題を突きつけ、映画はにわかに白熱したディスカッション劇へと変貌。このスリリングな展開に、一気に引きこまれる。正義とモラルの狭間で揺れ動く人々の思惑が交錯する中、パウエル大佐が驚愕の案を提示し、自爆テロを食い止めようとする展開は、息詰まるサスペンスのようだ。ドローン攻撃を仕掛ける人間は、安全な場所にいる。だが決して無傷ではいられない。彼らの選択と結果は映画を見て確かめてほしいが、そこには、正解はない。タイトルの“アイ・イン・ザ・スカイ”とは神の目という意味だろう。遥か上空から見ている神と同じく、私たち観客もすべての立場の人間が行う一部始終を目撃する。戦争という大きな罪の、苦い後味が残る秀作サスペンスだ。
【75点】
(原題「EYE IN THE SKY」)
(イギリス/ギャヴィン・フッド監督/ヘレン・ミレン、アーロン・ポール、イアン・グレン、他)
(会話劇度:★★★★☆)
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オアシス:スーパーソニック

オアシス:スーパーソニック(初回生産限定) [Blu-ray]
1990年代最高のバンドであり、2009年に解散したイギリスのロックバンド、オアシス。リアムとノエルのギャラガー兄弟を中心とするこのバンドは数多くのヒット曲と驚異的なアルバム売上で、世界のロック・シーンをけん引した。映画は、兄弟の関係や家族の実情を織り交ぜながら、デビュー前の貴重な映像や、ライブ、メンバーや彼らの周囲の人々へのインタビューを通して、オアシスの音楽性に迫っていく…。

伝説的なバンド、オアシスのリアム・ギャラガーとノエル・ギャラガーが製作総指揮を務める音楽ドキュメンタリー「オアシス:スーパーソニック」。マンチェスターの公営住宅育ちの労働者階級のバンドは、瞬く間に栄光を手にし、頂点に上り詰めて壊れていく。音楽評は専門ではないが、この悪ガキバンドのゴタゴタや、歴史的な野外コンサートなどは、さすがに知っている。もちろん大ヒットした曲は聞き覚えがあるものばかりだ。映画で使われることも多い彼らの楽曲はどれも壮麗なメロディーが耳に残るが、オアシスはその粗暴さ、やんちゃぶりで有名。逮捕や失踪、暴言にドラッグと、スキャンダルまみれのバンドの、それでも美しく荒々しい名曲という、このギャップが興味深い。内容は、デビュー前の映像や「モーニング・グローリー」のレコーディング風景など、よくぞ残っていたものだと感心する映像が満載でファンにはお宝ものだろう。ギャラガー兄弟が製作総指揮を務めるので、当然バンド寄りの作りになっているが、ブリットポップのもう一つの雄、ブラーとの比較や対立などは一切排除した構成が潔い。いつも冷めた目でオアシスというバンドを俯瞰で見ているような印象のノエルがネブワースのライブで「これは歴史だ!」と興奮して叫ぶ。野生児のようなリアムが珍しく冷静に「違う、ただのネブワースだ」と突っ込む。この有名なシーンは、愛憎入り乱れる兄弟の深い絆を感じさせて、何度見ても面白い。単なる音楽ドキュメンタリーとして見ても音楽ファンにとっては貴重な記録映画だが、家族という普遍的なテーマを忘れていない内容だからこそ、誰が見ても楽しめる。伝説的なバンド、オアシスとはいったい何だったのか。再定義する意味でも必見の1本だ。
【70点】
(原題「SUPERSONIC」)
(イギリス/マット・ホワイトクロス監督/オアシス(リアム・ギャラガー、ノエル・ギャラガー他)
(音楽愛度:★★★★★)
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バイオハザード ザ・ファイナル

バイオハザード:ザ・ファイナル (初回生産限定) [Blu-ray]
瓦礫の中で目覚めたアリスは、アンブレラ社が開発した人工知能のレッドクイーンから「人類は48時間以内に滅びる」と告げられる。敵側であるはずのレッドクイーンからの救済手段の情報に半信半疑のアリスだったが、アリスはすべての始まりの場所ラクーンシティへと向かう。そのころ絶望的な数のアンデッドが地上を埋め尽くしていた。アンブレラ社の心臓部ハイブにあるのは散布用の抗ウィルス剤。そしてそこには、アリスの宿敵ウィスカーの姿も。しかし、アリスの前には、壮絶なバトルと想像を超える驚愕の真実が待ち受けていた…。

人気ゲームを映画化した大ヒットアクション・ホラー・シリーズの第6弾にして最終章「バイオハザード ザ・ファイナル」。ミラ・ジョヴォヴィッチの当たり役で、彼女が演じる美女アリスの雄姿の見納めかと思うと、何だか寂しくなるが、何事にも終わりはある。完結編ではあるが、ゲームの映画化らしく、障害物をひとつひとつクリアして最終目的地へと向かうプロセスは変わらない。すべてを収束するかのようにポール・W・S・アンダーソン監督は、ヒロインのアリスを、盟友のクレアと共に、始まりの場所であるラクーンシティへと向かわせる。人工知能レッドクイーンが告げるアリスの出生の秘密は、ずっとこのシリーズを見てきたファンには、驚愕の事実というより「あぁ、やっぱりそうか」と思う、いたってまっとうなものだ。ただ、自らの存在意義を模索しながらも、常に戦い続けてきたアリスには、どこから来て(過去)どこへ向かうのか(未来)を見据えた、確かな回答が示されるから、安心してほしい。ちなみに、日本でのみ話題のローラの出演だが、一応セリフはあるものの、あまりにもあっさりと消えてしまうので、肩透かしだった。何はともあれ、因縁の場所で物語が無事に解決するのは、気分的にすっきりして喜ばしい。
【65点】
(原題「RESIDENT EVIL:THE FINAL CHAPTER」)
(アメリカ/ポール・W・S・アンダーソン監督/ミラ・ジョヴォヴィッチ、アリ・ラーター、ショーン・ロバーツ、他)
(有終の美度:★★★★☆)
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土竜の唄 香港狂騒曲

土竜の唄 香港狂騒曲 Blu-ray スペシャル・エディション(Blu-ray1枚+DVD2枚)
交番勤務のダメ巡査から潜入捜査官、通称モグラになった菊川玲二。犯罪組織・数寄矢会に潜り込んだはいいが、クレイジーパピヨンこと日浦匡也と兄弟の契りを交わすハメに。その日浦が日浦組組長となり、玲二は若頭に就任する。さらに最終ターゲットである数寄矢会会長・轟周宝から、極悪非道のチャイニーズマフィア・仙骨竜の撲滅、そして、轟周宝とその娘・迦蓮のボディーガードを任される。その頃、警察では、エリート警察官の兜真矢が、組織犯罪対策部課長に就任し、警察官とヤクザの癒着撲滅をモットーに掲げて、玲二の逮捕に向けて動き出した…。
高橋のぼるの大ヒットコミックを映画化した人気作の続編「土竜の唄 香港狂騒曲」。今回は原作の「チャイニーズマフィア編」がベースになっていて、前作にもまして、三池崇史監督の演出も、宮藤官九郎の脚本もハイテンションである。続編ではすべてにVS(バーサス・対決)の構図が見られるのが特徴だ。正義のモグラの玲二VSエリート警官の兜。クレイジーパピヨンこと日浦VS日浦の元兄貴分で暴走ヤクザのモモンガ。玲二が唯一惚れた婦警の純奈VS轟周宝の娘で奇跡の処女こと迦蓮。全身ヒョウ柄ヒットマン・剣太VSチャイニーズマフィアの美脚ヒットガール・胡蜂。前作からの続投組と新規参入組が入り乱れて、もはやカオス状態だ。宮藤官九郎の脚本は、例によって情報過多でギャグ満載なのだが、一応、チャイニーズマフィアの台頭の裏側でうごめく巨大な陰謀というサスペンス(?!)もある。主人公の玲二は、どこまでも熱血漢で、そんな彼に突如モテ期が訪れるのだが、女優陣のお色気…というより暴走は、男性ファンには目の保養といったところだ。香港狂騒曲という割には、ほとんどがセット撮影で香港は実景部分のみというところが、トホホだが、この“作りもの”テイストが、逆に土竜らしいととらえるべきだろう。例によって生田斗真の捨て身の全裸シーンあり。さらに今回は、虎(注:CG)、女装、宙刷りと、出演者を遊び倒す三池ワールド“バッチ来ーい”である。
【60点】
(原題「土竜の唄 香港狂騒曲」)
(日本/三池崇史監督/生田斗真、瑛太、本田翼、他)
(ド派手度:★★★★☆)
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ぼくは明日、昨日のきみとデートする

ぼくは明日、昨日のきみとデートする Blu-ray豪華版
京都の美大に通う20歳の大学生・南山高寿は、ある日、電車の中で福寿愛美と出会い、ひとめぼれする。高寿は勇気を出して愛美に声をかけ、また会えるかと約束を交わそうとするが、愛美はその言葉を聞いた途端に涙を流す。彼女のこの時の涙の理由を知る由もない高寿だったが、意気投合した二人はその後、交際を始め、周囲がうらやむほどの関係に。すべてが順調に思えたある日、愛美は高寿に、彼が想像もできないほど大きな秘密を打ち明ける…。

愛し合う20歳の男女が遭遇する不思議な運命をファンタジックな仕掛けで描く純愛ラブ・ストーリー「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」。原作は七月隆文の小説で、風光明媚な京都を舞台にした、不思議な恋愛物語だ。これはもはやSFではなかろうか?!と思うほど、ありえない設定なのだが、「時をかける少女」や「ベンジャミン・バトン」を連想させる、その大きな秘密を除けば、すべてがリアルな恋愛模様。それを恋愛映画の名手の三木孝浩監督が、繊細に描いていくのだから、胸キュン度は極めて高い。もちろん京都の素晴らしい風情が大きな魅力のひとつだ。京都はすべての風景が絵になる場所だが、ことさらご当地映画のようにはせず、あくまでも背景として控えめに描写し、その代わりに愛美が抱えるその切ない不思議と呼応するかのように、淡い光を駆使する映像が美しい。美大という設定も効いていて、高寿の親友を演じる東出昌大の個性的かつ愛嬌があるキャラクターも、好感度が高い。本作は、恋人たちの秘密と運命を素直に受け入れられるかどうかで、評価が大きく変わる映画だろう。だが、過去と未来はいつも天秤のようにつながっていて、それを現在が支柱となって、かけがのない“この瞬間”を支えてくれている。そんなことに気付かせてくれる物語だった。
【55点】
(原題「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」)
(日本/三木孝浩監督/福士蒼汰、小松菜奈、東出昌大、他)
(スーパーナチュラル度:★★★★☆)
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ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー MovieNEX(初回限定版) [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
銀河全体を脅かす帝国軍の究極兵器、デス・スター。その設計図を奪うために、反乱軍は、窃盗、暴行、書類偽造などの悪事を重ねてきたジン・アーソに白羽の矢を立てる。彼女と共に闘うのは、情報将校キャシアン、盲目の僧侶で武術の使い手チアルート、チアルートの相棒で巨大銃ブラスターを駆使するベイズ、貨物船の凄腕パイロットのボーディーら。この極秘部隊ローグ・ワンは、困難かつ無謀なミッションに立ち向っていくが、その運命のカギは天才科学者であり、何年も行方不明になっているジンの父ゲイリン・アーソに隠されていた…。

「スター・ウォーズ」(以下、SW)サーガのスピンオフ作品「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」。「エピソード4」でレイア姫がR2-D2に託した帝国軍の究極兵器デス・スターの設計図が、いかにして反乱軍にもたらされたかを語るアナザー・ストーリーだ。何しろ、配給会社から、最上級のセキュリティとネタバレ禁止令が出ているので、物語の詳細は明かせない。ただ、今まで語られてきた、スカイウォーカー家や、ジェダイという特別な力を持つキャラクターではなく、名もない人々の勇気を描くこの物語は、多くの観客の共感を呼ぶのは間違いない。ヒロインのジン・アーソをはじめ、ローグ・ワンのメンバーたちは、生きるために時には犯罪にも手を染めてきた無法者だ。そんな彼らが銀河の平和と希望を信じて命がけで戦う姿と、SWの通奏低音である家族の物語に胸が熱くなる。クライマックス、ローグ・ワンの死闘とその先の運命は、興奮と感動で満たされるだろう。映像は文句なしに素晴らしいが、何よりもドラマ・パートが秀逸なのである。劇中には数々の小ネタのお楽しみも用意されていてSWファンには嬉しいかぎり。お決まりのセリフ「嫌な予感がする」もちゃんと登場する。ディープなファンはもちろん、独立した物語のため、SW初心者にも楽しめる作りなので安心してほしい。SWは最先端テクノロジーの映像メディアによる現代の神話だ。例えば、ギリシャ神話や三国志に、多くの英雄や豪傑がいて、魅力的なエピソードが多数あるように、SWの本流の周辺には、星屑にも似た数限りない物語が存在している。それらこそ、SWを輝かせる、かけがえのないスターダストなのである。
【85点】
(原題「ROGUE ONE A STAR WARS STORY」)
(アメリカ/ギャレス・エドワーズ監督/フェリシティ・ジョーンズ、ディエゴ・ルナ、ドニー・イェン、他)
(家族愛度:★★★★☆)

海賊とよばれた男

海賊とよばれた男(完全生産限定盤) [Blu-ray]
1945年、東京。敗戦の焼け跡の絶望の中、石油会社・国岡商店を率いる国岡鐵造(くにおかてつぞう)は、日本人としての誇りを胸に前進しようと社員を激励する。戦後の混乱期にもかかわらず、誰も解雇せず、独自の経営哲学と破天荒な行動力で数々の苦境を乗り切る国岡は、事業を拡大していった。やがて欧米の石油メジャーも国岡を警戒し、その強大な包囲網によって国岡の石油輸入ルートはすべて封鎖されてしまう。ついに、国岡は、会社の至宝である日承丸をイランに送ろうと決意するが…。

明治から昭和にかけて石油事業に尽力した男の生き様を描く、骨太な人間ドラマ「海賊とよばれた男」。原作は百田尚樹の同名ベストセラー小説で、モデルとなったのは、出光興産創業者の出光佐三氏だ。まだ石炭が主流の時代にいち早く石油の可能性を信じた主人公の国岡は、常に未来を向いて行動する人物である。彼の前には、日本の敗戦、国内石油販売への理不尽な妨害、欧米石油メジャーからの輸入ルート封鎖と、桁外れの困難が立ちはだかる。それでも国岡がくじけないのは“士魂商才”の志があったからだ。劇中に会社内に掲げられているこの言葉は、武士の精神と商人の才能を併せ持つことを意味する。現実的な商売はするが侍魂とも呼べる誇りを失わないという志なのだ。確かに国岡の生き方を表す言葉だが、それならなぜ海賊なのか。それは、若き日の国岡が海上で石油を売った型破りな商売のやり方に起因する。自由で勇敢で誰にも支配されない“海賊”の国岡には、かけがえのない沢山の仲間がいたのだ。若き国岡を支援した実業家から、国岡を慕って集まった社員たち、英米を敵にまわす命がけの日承丸の船長まで、すべてが、国岡に惚れていて、その熱が見ている観客にも伝わってくる。物語の中心になるのは60代の国岡鐵造。主演の岡田准一は、青年期から90代までを一人で演じ切って、見事だ。個人的には、最初の妻・ユキをはじめとする女性の描き方が浅いのが少し残念なところである。「永遠の0」の作者、監督、主演が再び集結しているが、VFXの使い手の山崎貴監督がロケ撮影を駆使しているところに注目したい。特に海のシーンがいい。どんな苦境にもチャレンジ精神を忘れず立ち向かった主人公には、潮風が香る大海原が良く似合う。
【70点】
(原題「海賊とよばれた男」)
(日本/山崎貴監督/岡田准一、吉岡秀隆、染谷将太、他)
(チャレンジ度:★★★★☆)
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プロフィール
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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