映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「パッセンジャー」「キングコング 髑髏島の巨神」etc.

プチレビュー17上旬

哭声/コクソン



警察官のジョングが妻子と暮らすのどかな田舎の村に、得体のしれないよそ者が住み着く。山の中に住むその男が何者かは誰も知らなかった。男について様々な噂が飛び交う中、村人が自身の家族を惨殺する事件が多発する。犯人の村人たちには、虚ろな目と湿疹でただれた肌をして、言葉を発することもできない放心状態で現場にいるという共通点があった。ジョングは事件の捜査を担当するが、ある日、自分の幼い娘ヒョジンに同じ湿疹をみつける。ジョングは娘を救うためによそ者を追い詰めるが、そのことがさらなる混乱を招いていく…。

平和な村で起る連続猟奇殺人事件が予想もできない事態を招く骨太なサスペンス・スリラー「哭声/コクソン」。上映時間156分の長尺だが、まったく長さを感じない。映画は、閉塞的なコミュニティーで発生した事件を巡るサスペンスで始まり、噂と疑心暗鬼の心理劇へ向かう。その後、血まみれの惨殺事件は猟奇殺人あるいはゾンビものに変化。さらに祈祷師の登場でエクソシストばりのオカルトへと舵を切る。時折挿入されるドライな笑いも絶妙だ。もはやジャンルという枠からは完全に離脱しつつ、根底には映画冒頭で引用される聖書の言葉の通り“信じるとはどういうことなのか”という命題を常につきつける。「あなたが見ているものは、本当に真実か?」。この言葉があまりに不穏に響くのは、よそ者を怪演する日本のベテラン俳優・國村隼の狂気の熱演によるところが大きい。山中を転げまわり、滝に打たれ、異様な儀式に身を投じる。決して若くはないこの演技派の、身体をはったアクションと役者魂に感動を覚えるだろう。ナ・ホンジン監督は「チェイサー」や「哀しき獣」でも凄惨な暴力や不条理を通して、非情な現実を描いてきたが、本作での底知れない不気味さはもはや別次元だ。結末はぜひ劇場で確かめてほしいが、得体の知れない恐怖に背筋が凍る。祈祷シーンのワンカットでの長回し、ポツンと街灯がついた村道の光と影の対比など、映像的にも見所が多い。観る者をわしづかみにする超ド級の怪作だ。
【75点】
(原題「THE WAILING」)
(韓国/ナ・ホンジン監督/クァク・ドウォン、ファン・ジョンミン、國村隼、他)
(疑心暗鬼度:★★★★☆)
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チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜

映画「チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」オリジナル・サウンドトラック
県立福井中央高校に進学した友永ひかりは、同級生でサッカー部の孝介を応援したいという軽い気持ちでチアダンス部に入部する。だが、そこで待っていたのは、全米大会制覇を目標に掲げた顧問の女教師・早乙女薫の厳しい指導と練習だった。あまりのスパルタぶりに周囲が次々に退部する中、チームメイト・彩乃の存在もあって、ひかりは何とかチアダンスを続けていくが…。

福井商業高校チアリーダー部が全米チアダンス選手権大会で優勝した実話を実写映画化した青春ムービー「チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜」。この長〜い副題が表す通り、奇跡の実話をもとにしている。涙あり、笑いあり、スポ根あり、ラブありの青春映画だが、何しろ日本の一地方の高校が全米王者(これは限りなく世界王者に近いと思う)になったのはスゴイお話で、まさに痛快だ。役柄や設定にデフォルメはあるものの、王道の青春映画は見ていて気持ちいい。なぜ特に才能もないチアダンス初心者のひかりが顧問の目にとまったのかというと、そのナチュラルな笑顔ゆえだ。演じる広瀬すずの笑顔は文句なしに魅力的なのだが、この笑顔というのが誰かを応援し元気にしたいというチアダンスの本質を物語っている。同時に生きる目標や将来への不安を手探りする、自分自身への応援でもあるのだ。コロコロと態度が変わる教頭や、自分に才能があるために上手く踊れない他者を見下す同級生など、悪役キャラも分かりやすい。チアダンスに目覚め、失敗を経験し、仲間を助け、仲間から助けられて、全米大会へ。起承転結もテッパンの流れで、結末が分かっているというのに、クライマックスのダンスシーンの輝くような魅力に目が釘付けになった。思春期の女子の悩みや葛藤、家庭環境による不安や苦悩を乗り越えていけるのは、同じ目標に向かって頑張る仲間がいたから。恋愛要素は薄いが、その分、はつらつとしたガーリー・ムービーに仕上がっている。
【60点】
(原題「チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜」)
(日本/河合勇人監督/広瀬すず、中条あやみ、天海祐希、他)
(元気溌剌度:★★★★☆)
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ボヤージュ・オブ・タイム



ビッグバンによって宇宙が誕生し、惑星が生まれて変化を遂げていく中で、生命が宿り育まれてきた。自然科学から見たその年代記を映像でたどりながら、過去、現在、未来への命の歩みの本質にせまっていく…。

巨匠テレンス・マリック監督が、宇宙創生から生命の歩みを描く映像叙事詩「ボヤージュ・オブ・タイム」。宇宙、惑星、生命の誕生、地球の変化、人間の営み。それらが魅惑的な映像で綴られる本作では、オスカー女優ケイト・ブランシェットが語りを担当している。もはやマリックはストーリーを語ることは放棄しているようだが、「ツリー・オブ・ライフ」の冒頭で描いた宇宙や、恐竜や太古の植物などが存在する地球の形成を、より深く、より壮大に、より美しい映像でつきつめたのが本作だ。人間もところどころに登場し、現代社会の病巣をちらりと見せたりもするが、人間は宇宙空間の中では砂の一粒にも満たない大きさ。人間が映像の中心になることは決してない。革新的な映像技術が用いられているが、正直なところ、流麗な映像が連綿と続き、ブランシェットの低い美声を聞いているうちに、抗いがたい眠気に誘われる。だが決して不快ではなく心地よさを感じるものだ。ずっとずっとこの映像に身を委ねていたいというのが本音だが、何事にも終わりがくる。誕生、愛、そして死。そこに人間がどう関わっていくべきなのか。マリックの40年の映画人生の集大成であるこの映画はそれを問いかけているような気がしてならない。
【65点】
(原題「VOYAGE OF TIME」)
(仏・独・米/テレンス・マリック監督/(ナレーション)ケイト・ブランシェット)
(体感型映画度:★★★★★)
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モアナと伝説の海

モアナと伝説の海 オリジナル・サウンドトラック <日本語版>
豊かな自然と数々の伝説が残る南の島モトゥヌイで生まれ育った16歳の美しい少女・モアナ。だが、モトゥヌイには、島を取り囲むサンゴ礁の外へ出てはいけないという掟があった。幼い頃、不思議な体験によって海と運命的な絆で結ばれたモアナは、いつしか海に愛されるという特別な力を持つようになる。ある時、モトゥヌイではココナッツの木が病気にかかり魚が一匹も取れなくなるという不穏な出来事が起こり始める。海に選ばれたモアナは、人々を救うべく大海原へ飛び出し、伝説の英雄マウイと共に、命の女神テ・フィティの盗まれた心を取り戻す冒険の旅に出る…。

南太平洋に伝わる伝説をベースに、海に選ばれた少女モアナの成長と冒険を描くアニメーション「モアナと伝説の海」。数々のヒロインを生み出してきたディズニー・アニメーションが放つ新作の主人公は、海を愛し、海からも愛される少女モアナだ。モアナの冒険は、今までの作品と同様に壮大だが、歴代のディズニー・プリンセスと違って、彼女は恋に落ちない。途中で出会う、半神半人の英雄マウイとは、いわば相棒のような関係なのだ。そこがサバサバしていて、小気味よい。とはいえ、モアナは16歳の女の子なので、将来への不安や、自分が何者なのかとの悩みも持ち合わせている。そんな彼女をサポートするのが、海だ。風景や自然が登場人物のような物語は数多いが、ここでの海は、文字通り、ひとつ(一人)のキャラクター。言葉は一言も発しないのに、その感情や意志が見事なまでに伝わってくる。モアナを愛し、励まし、からかったりなだめたりする海は、頼もしくも優しい存在だ。何よりもその映像が見事という他ない。透明感、流麗な動き、輝きと形状変化。色、明度、彩度は状況によって繊細に変化している。実写としか思えないほどのクオリティで目を奪われた。モアナを誰よりも愛してくれたタラおばあちゃんの「自分の心の声に従いなさい」との言葉は、ディズニーらしいストレートなメッセージだ。モアナの勇気を後押しするのがテーマソング「どこまでも(How  Far I'll Go)」の伸びやかなメロディー。誰もが持つ可能性の肯定という前向きなテーマ、非白人の主人公、自然への敬意と、現代に響くタイムリーな作品に仕上がった。
【70点】
(原題「MOANA」)
(アメリカ/ロン・クレメンツ、ジョン・マスカー監督/(声)アウリィ・カルバーリョ、ドゥエイン・ジョンソン、テムエラ・モリソン、他)
(恋愛度:☆☆☆☆☆)
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アシュラ

Asura : The City Of Madness O.S.T
アンナム市の市長パク・ソンべは、立場を利用して、利権と成功のために悪の限りを尽くす悪徳市長。汚職刑事のハン・ドギョンは、そんな市長の悪事のもみ消し役を担っている。一方、市長逮捕に執念を燃やす検事のキム・チャインは、弱みを握ったドギョンを利用して市長の悪事を暴こうと画策。検事と市長の双方から追い詰められたドギョンは、窮地に陥っていく…。

登場人物全員が悪人という韓国発のノワール・バイオレンス「アシュラ」。舞台は韓国の架空の都市。主な登場人事物は、私利私欲に溺れる悪徳市長、正義を捨てた汚職刑事、市長逮捕のためならどんな悪事も厭わない検事の3人だが、脇役すらも全員悪人で、誰もが善悪の見境を失くしている。刑事のハン・ドギョンが市長の後始末と汚職に染まるのは、余命僅かな妻の治療費のためという理由があるが、ズルズルと悪事を続ける彼のモラルはすでに麻痺してしまっているのだろう。この地獄絵図のような物語の中では、妻のためなどという、もっともらしい言い訳も、ささやかな善も、あっという間に泥沼に飲み込まれていくのだ。ひとつの悪事が次なる悪事を生むこの物語、まさに悪の底なし沼で、一度足を踏み入れると抜けだすことは不可能なのである。笑う、泣く、怒る、愛するなど、すべてが過剰なのが韓国映画の大きな特徴だが、本作の暴力描写はとりわけすさまじい。ボコボコに殴られ、流血し、自分も他人も傷つけるバイオレンス描写の連打は、見ていてグッタリと疲れてしまった。主人公を演じるチョン・ウソンの表情が、物語が進むにつれて、焦燥し、歪み、狂気を帯びていくのが見所だ。壮絶すぎる本作だが、落ち着いて考えると、市長、刑事、検事と、皆、公務員。トンデモない!と思いたいが、現在の韓国の政治混迷を見ていると、この修羅の世界もまんざら絵空事ではないということか。
【65点】
(原題「ASURA: THE CITY OF MADNESS」)
(韓国/キム・ソンス監督/ファン・ジョンミン、チョン・ウソン、クァク・ドウォン、他)
(バイオレンス度:★★★★★)
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しゃぼん玉

しゃぼん玉 (新潮文庫)
伊豆見は、親に捨てられ愛情を知らないまま、自暴自棄になって通り魔となる。老人や女性を襲って強盗を重ねて逃避行中の彼は、宮崎県の山深い村に足を踏み入れる。ケガをした老婆スマをなりゆきで助けたのがきっかけで、彼女の家に居候することに。最初は金を奪って逃げるつもりだったが、スマや、村人たちとの交流の中で、伊豆見の心に変化が生まれる…。

親の愛を知らずに犯罪を重ねて生きてきた若者の心の再生を描く人間ドラマ「しゃぼん玉」。原作は人気作家・乃南アサの小説だ。すさんだ人生を送ってきた若者が、素朴な村とそこに住む人々の優しさに触れて、変化していくストーリーは、一見平凡なようだが、何と言っても、物語の舞台となっている宮崎県椎葉村の風景が素晴らしく、こんな場所ならば心の再生もあるだろうと納得してしまう。この地域は、日本三大秘境と呼ばれていて、椎葉村周辺には多くの神話が伝わり、平家の落人伝説も残る民俗学発祥の地だそう。なるほどその風情は、どこか外界から切り離された隠れ里のようだ。そんな場所に迷い込んだ主人公の伊豆見は、犯罪を重ねる粗暴と、悲しみを内包する繊細が同居する青年である。彼は、天然な老婆スマと暮らし、厳しくも愛情深いじいちゃんを手伝ううちに、自然と共に生きる規則正しい暮らしを身に着け、浄化されていくのだ。10年ぶりに村に戻ってきた女性の過去、道を踏み外した息子を持つスマの寂しさなど、時には厳しい現実もあるが、それでも村人はどこまでも素朴であたたかい。すさんだ都会と純朴な田舎という対比は、ステレオタイプではあるが、伊豆見の再生には、椎葉村の澄んだ空気が必要だったのだ。ラスト、再び村を目指す主人公の未来を応援したくなる。「日本昔ばなし」の声でおなじみのベテラン女優・市原悦子はもちろん、主人公を演じる林遣都も好演だった。
【60点】
(原題「しゃぼん玉」)
(日本/東伸児監督/林遣都、藤井美菜、市原悦子、他)
(再生度:★★★★★)
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マン・ダウン 戦士の約束

アメリカ軍海兵隊員ガブリエルは、故郷に妻ナタリーと幼い息子ジョナサンをおいて、アフガニスタンの戦場へ赴く。妻子との再会だけを心の支えに過酷な任務をやり遂げたガブリエルは、ようやく帰還することに。だが、戻ってみると故郷は荒廃し住民たちの姿もなかった。驚いたガブリエルは、一緒に帰還した友人デビンと共に、妻子の行方を探すが…。

アフガニスタンからの帰還兵が荒廃した故郷をさ迷う異色の戦争映画「マン・ダウン 戦士の約束」。戦争などの過酷な体験によって精神が崩壊するPTSD(心的外傷後ストレス障害)は、米映画以外でも映画化されているが、とりわけ米軍帰還兵のPTSDは深刻である。近年では、実在の人物を扱った秀作「アメリカン・スナイパー」が記憶に新しい。「マイ・ブラザー」(デンマーク映画「ある愛の風景」のハリウッドリメイク)、「告発のとき」、少し古いが「タクシードライバー」なども思い浮かぶ。本作は、主人公ガブリエルがたどってきた現実と妄想が混濁しているのがユニークだ。そのすさんだ心象風景によって、観客はPTSDという病の恐ろしさを擬似体験する。一種のミステリー仕立てになっているので、詳細は明かさないが、親しい人の裏切りと戦場での理不尽な現実によって心を破壊されたガブリエルを待つ運命が、あまりにも哀しい。少々メロドラマに傾くのが気になるが、国家が国民を戦場へ送り込んだあげく人間性を破壊する大罪を、ディストピアのような映像が何よりも雄弁に物語っている。主人公を演じるシャイア・ラブーフは、最近ではもっぱらゴシップばかりが話題になっていたが、久しぶりの熱演だった。帰還兵の5人に1人がPTSD。20万人がホームレスで苦しんでいる。1日に約22人の人間が自殺を図る。ラストに流れるこれらのテロップに心が痛む。
【60点】
(原題「MAN DOWN」)
(アメリカ/ディート・モンティエル監督/シャイア・ラブーフ、ケイト・マーラ、ジェイ・コートニー、他)
(不条理度:★★★★☆)
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ハルチカ

映画「ハルチカ」 オリジナル・サウンドトラック
気が優しい美少年のハルタと負けん気が強いチカは幼馴染。引っ越しで離れ離れになっていたが、高校入学を機に再会する。チカはフルートを購入して憧れていた吹奏楽部に入部しようと張り切っていたが、部は過去のある事件が原因で廃部寸前だった。あきらめきれないチカは、ホルン経験者のハルタを巻き込んで、部員集めに奔走。ワケ有りのメンバーばかりだが、なんとか人数が集まり、廃部を免れる。吹奏楽部はコンクール出場を目指して猛練習を始めるが、フルート初心者のチカは皆のレベルについていけず、一方ハルタはホルンを続けることに悩んでいた。やがてそれぞれの不満が噴出し、皆の心がバラバラになってしまう…。

幼馴染のハルタとチカが吹奏楽部に入部し、さまざまな困難にぶつかりながら成長していく青春映画「ハルチカ」。原作はテレビアニメ化もされた初野晴の小説なのだが、青春ミステリーという位置付けらしい。どうりで、吹奏楽部に関わるさまざまな人物の秘密や隠された事情が、主にハルタの“名推理”によって解決していくという流れになっている。まぁ、その推理というのがあまりにあっさりと言い当てるので、拍子抜けしてしまうのだが。映画では、ミステリー要素は薄い上に、ハルタとチカの恋愛事情も原作からは改変してある。お約束の壁ドン(正確に言うと窓ドン)も用意されてはいるが、恋愛要素もまた極めて薄い。となると残りは、廃部寸前の吹奏楽部の立て直しとコンクールを目指す音楽映画という路線だが、こちらは、フルート初心者のチカが吹奏楽部を廃部から救い、立て直すという設定がそもそも甘い。猛練習の末に出場したコンクールを経て、ラストの学校内での“感動の演出”が、これまたありえないもので、さすがにそれはない…と心の中でつぶやいてしまった。仲間との絆というメッセージは悪くないのだが…。せめて、音楽によって救われたというチカの思いをもっと強調してほしかった。W主演の佐藤勝利と橋本環奈の二人は、美少年と美少女コンビだけあって、顔のアップがてんこもりで、ファンサービスは抜かりない。何から何までご都合主義のストーリーに苦笑してしまうが、劇中に演奏される音楽の清々しさが救いだった。
【45点】
(原題「ハルチカ」)
(日本/市井昌秀監督/佐藤勝利、橋本環奈、恒松祐里、他)
(恋愛度:★☆☆☆☆)
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お嬢さん

The Handmaiden
日本の統治下にあった1930年代の朝鮮半島。詐欺師たちに育てられた孤児の少女スッキは、伯爵と呼ばれる詐欺師から、世間から隔絶された大邸宅で暮らす日本人の富豪令嬢・秀子のメイドという仕事を依頼される。実は伯爵は、スッキの力を借りて秀子を誘惑し、日本で結婚した後、秀子を精神病院に入れて全財産を奪うという計画を立てていた。スッキは秀子の信頼を得て、計画は順調に進むかに思えたが、スッキは孤独で美しい秀子お嬢様に惹かれ、秀子もまた献身的なスッキに心を開き、いつしか二人は身も心も激しく愛し合うようになる…。

韓国人の詐欺師が企てる日本の華族令嬢の財産強奪計画とその顛末を描く、エロティック・サスペンス「お嬢さん」。原作はサラ・ウォーターズの小説「荊の城」だが、舞台をヴィクトリア朝ロンドンから、1930年代の日本統治下の朝鮮半島に置き換えている。物語は3部構成になっていて、それぞれ3つの視点が用意されているストーリーは驚きの連続だ。パク・チャヌクお得意のエロスとバイオレンスが登場するが、特筆すべきは、日本人にしか味わえない怪しげな“日本と日本語”の可笑しみだ。秀子お嬢様が住む大邸宅は、和洋折衷型の豪邸で、その地下には支配的な叔父・上月が膨大な官能小説の蔵書を収集した秘密の空間がある。そこで美女や幼い少女に、大声で卑猥な言葉の文学を朗読させ、男たちが興奮するという悪趣味に絶句するが、それがエロティックというより笑いを誘うものなのがミソ。しかもこだわり抜いた美術は耽美主義の極みなのだ。変態とアートを平気で同居させるのがパク・チャヌクらしい。こんな奇妙な世界の中では、淫靡な言葉の連打もBGMに聞こえてしまいそうだ。日本人という設定なのに、たどたどしすぎる日本語は微苦笑を誘うが、それも二転三転する騙し合いと、主演女優2人の大胆過ぎるラブシーンの熱演ぶりを見れば、すぐに気にならなくなる。とはいえ、せめて秀子お嬢様の役は、日本人女優に演じてほしかったのが本音だ。言葉の問題ではなく、こんな挑戦的な役だってこなせる!という心意気の問題として。登場時間は少ないが、名女優ムン・ソリの存在感も忘れがたい。富豪令嬢、詐欺師、孤児の少女、それぞれの思惑は、欲望と純愛が入り混じった復讐劇へと昇華していく。最後に残るのは、女たちのしたたかさと、男たちの愚かさだ。145分の長尺だが、摩訶不思議な世界にどっぷり浸る、得がたい映像体験である。
【70点】
(原題「THE HANDMAIDEN」)
(韓国/パク・チャヌク監督/キム・ミニ、キム・タエリ、ハ・ジョンウ、他)
(摩訶不思議度:★★★★☆)
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アサシン クリード

Ost: Assassin's Creed
謎めいた施設に連れてこられた、記憶をなくした死刑囚カラム・リンチは、遺伝子操作装置のアニムスにより、DNAに眠る祖先の記憶を追体験させられる。カラムの祖先は、ルネサンス期のスペインでテンプル騎士団に立ち向かった伝説のアサシン(暗殺者)教団の一員で、禁じられた秘宝“エデンの果実”のありかを知る、歴史上最後の人物だった。カラムは、遺伝子を研究し暴力を廃絶しようとする博士のソフィアらが開発したアニムスを使って、現在と過去を行き来し歴史に隠された謎に取り組むうちに、アサシンとして覚醒していく…。

世界的なヒットを記録した大人気アクション・ゲームを映画化した「アサシン クリード」。物語は、現代と1491年のスペインを行き来しながら、進んでいく。ざっくりとした世界観は、人間の自由意志を守ろうとするアサシン教団VS自由を制限することで人類を支配しようとするテンプル騎士団という構図のようだ。勝負の行方を握るのが、禁じられた秘宝“エデンの果実”とそれに秘められた真実というわけである。中世ヨーロッパの入り組んだ街を、アクロバティックな動きで駆け巡る疾走感と、高い尖塔から飛び降りる垂直落下の感覚が、今までにないアクションのテイストで見ていて面白い。アクションはパルクールを取り入れた躍動的なもので、スタントの頑張りには目を見張る。アルハンブラ宮殿や古い建物が残るマルタ島でロケされた映像も見所だ。だが、砂埃の広場や、薄暗い路地を縦横無尽にかけめぐるアサシンたちはフードを被っている上に、闇の中で戦うという設定上、人物の表情が読みにくいのが難点。加えて、アクション・ゲームの映画化に、マイケル・ファスベンダー、マリオン・コティヤールの「マクベス」夫妻コンビというキャスティングにも首をかしげる。物語は、まったく自覚がなかったカラムが突如としてアサシンとして覚醒するなど謎が多いのだが、この穴だらけ、かつ不親切なストーリーは、どうやら三部作の第一章ということが原因らしい。ともあれ、ラストも含めて、もやもやとした印象だけが残ってしまった。
【55点】
(原題「ASSASSIN'S CREED」)
(アメリカ/ジャスティン・カーゼル監督/マイケル・ファスベンダー、マリオン・コティヤール、ジェレミー・アイアンズ、他)
(不完全燃焼度:★★★★☆)
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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