映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ジャスティス・リーグ」「火花」「ギフテッド」「光」etc.

プチレビュー17下旬

火花

火花
若手お笑い芸人の徳永は、中学時代からの友人と組んで“スパークス”としてデビューするが、まったく芽が出ない。営業先の熱海で、“あほんだら”というコンビを組む、4歳年上の先輩芸人・神谷と出会い、彼の常識外れの漫才に魅了される。徳永は、弟子にしてほしいと申し入れ、神谷はそれを了承し、二人の交流が始まった。拠点を大阪から東京に移し、再会した後も、毎日のように芸の議論を交わし才能を磨き合う徳永と神谷は、仕事はほとんどなくても充実した日々を送っていた。だが、いつしか二人の間に小さな意識の差が生まれ始める…。

お笑いコンビ、ピースの又吉直樹の芥川賞受賞作を映画化した青春ドラマ「火花」。漫才の世界で夢を追い続ける徳永と、強い信念を持つ先輩芸人・神谷の二人が、もがきながら歩み続ける日々を描く。お笑い芸人の現実を描いた作品には「ボクたちの交換日記」があるが、本作は相方とのぶつかり合いではなく、まったくタイプの違う芸人2人の、付かず離れずの不思議な関係性を描くのが面白い。笑いの世界を良く知る板尾創路が監督を務めるが、彼の過去作品が極めて個性的で、見る人を選ぶ作風だったため、鑑賞前は不安があったが、蓋を開けてみると、驚くほど誠実でオーソドックスな青春ストーリーに仕上がっていた。

何しろ、菅田将暉と桐谷健太の二人が、これ以上ないくらいハマリ役である。特に、超がつく売れっ子の菅田将暉は、さまざまな役柄を演じる多忙な俳優だが、演技はいつもハイレベルで、パフォーマンスが落ちないのがすごい。日常のすべてがボケとツッコミという芸人たちの会話や、ネタを探し、笑いを追求するストイックな姿勢、どんなに努力しても成功がすりぬける厳しい現実など、そこにはリアルすぎる葛藤や挫折がある、クライマックスに用意されているステージは、スパークスによる“逆のことを言う”漫才だ。この名シーンには、誰もが笑いながら泣いてしまうはず。漫才界から多くの人材が参加し、大御所のビートたけし(主題歌の作詞・作曲)まで動員した本作は、お笑いの世界に生きるすべての人々に向けた、ほろ苦くも切ない応援歌なのである。
【65点】
(原題「火花」)
(日本/板尾創路監督/菅田将暉、桐谷健太、木村文乃、他)
(ほろ苦度:★★★★☆)
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ジャスティス・リーグ

「ジャスティス・リーグ」オリジナル・サウンドトラック
スーパーマンの死後、世界の秩序が乱れ、危機を感じたバットマンは、ワンダーウーマンを新たな相棒に、特別な力を持つヒーローたちを探して最強のチームを結成するべく、行動を開始する。地球を狙い宇宙からやってきた、邪悪で最強の敵ステッペンウルフに立ち向かうため、バットマンとワンダーウーマンがスカウトしたのは、怪力で無愛想な海洋生物の王アクアマン、地上最速の男フラッシュ、そして全身が機械に覆われている人間デジタルデバイスの男サイボーグ。前代未聞の超人たちの連携チーム、ジャスティス・リーグは、地球崩壊の危機に立ち向かうが…。

DCコミックスのヒーローたちが集結したドリームチームの活躍を描くアクション大作「ジャスティス・リーグ」。マーベルの「アベンジャーズ」シリーズに対抗するようなヒーローチームものだが、DC特有の、暗くシリアスな雰囲気は影をひそめ、明るさやコミカルなテイストが全面に出ていて楽しい。ストーリーもシンプルな勧善懲悪のスタイルで、かなり間口が広くなった印象だ。バットマンとワンダーウーマン以外は、単体での映画がないヒーローたちが加わるが、3人のキャラがすこぶる立っており、しかも役割が明快に分担されてそれぞれの見せ場もきっちり作られている。特に、オタクの現代っ子フラッシュが、いい味を出していて、クセ者揃いのチームの緩和剤になってくれている。そもそもバットマンに「ところであなたの能力って?」と聞けそうで聞けないことをズバリ尋ねるなんて新人ならでは。孤独で他を寄せ付けないバットマンも、自分の能力は「金持ち」と“謙虚に”答えている。

とはいえ最強の敵ステッペンウルフはやはり桁違いの強敵である。だがそこでヒーローチームは、切り札を使って、離れ業に近い最大の戦力を繰り出し、見るものを興奮させてくれるという筋書きだ。この「ジャスティス・リーグ」、監督の途中降板、交代などゴタゴタが続いたが、「アベンジャーズ」のジョス・ウェドン(脚本)が残りを引き継ぎ、結果的に“チームで戦う”というテーマをより浮き彫りにさせた形となった。ずっと一人で戦ってきた個性派ヒーローたちが、互いに歩み寄り、助け合う。このシンプルなメッセージはいつの時代にも強く響く。「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」でファンをがっかりさせたDCだが、これなら今後も大いに期待できるというものだ。長い長いエンドロールの後に、超・重要なワンシーンがあるので、最後まで席を立たずに鑑賞してほしい。
【80点】
(原題「JUSTICE LEAGUE」)
(アメリカ/ザック・スナイダー監督/ベン・アフレック、ガル・ガドット、ジェイソン・モモア、他)
(コミカル度:★★★★☆)
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こいのわ 婚活クルージング



突然、会社から社長を解任された門脇誠一郎は、65歳にして、残りの人生を共に過ごすパートナーを探すために婚活に励む。だが、最初の見合いの相手で、35歳の美人編集者の山本ナギと会って早々に大喧嘩。とはいえ、リッチな誠一郎のもとにはさまざまな境遇の女性たちが群がってきた。一方、ナギも年下のイケメンに言い寄られるが、誠一郎のことが気になってしかたがない。誠一郎とナギの婚活は複雑な思惑が絡むが、そんな中、豪華クルーズ船・銀河での一大婚活イベントがはじまる…。

65歳の富豪のバツイチ男性と35歳の独身女性が婚活に奮闘するラブ・コメディー「こいのわ 婚活クルージング」。結婚離れや少子化対策の一環として、広島県庁が手掛ける婚活事業“こいのわ”は、相手と出会う場を提供する結婚支援プロジェクト。約9000人が登録し、100組近い男女が成婚に至っているのだそうだ。広島カラーを全面に打ち出した本作は、700人もの市民エキストラが参加し、広島市をはじめ、尾道、呉、福山、今治などでもロケを敢行。瀬戸内海の美しい海に、おいしそうなレモン、極めつけは、真っ赤に染まる広島カープ愛だ。

初老の誠一郎が婚活するのは、将来、自分を介護してくれる伴侶を探すため。富豪の彼のもとには、バツイチシングルマザー、トランスジェンダー、後妻業の女などが群がってくる。美人でスタイル抜群のナギは、雑誌の取材も兼ねて婚活に参加しているが、かつてカープのマスコットガールとして注目されて一度は女優になったものの芽が出ず、東京の小さな出版社で働く35歳で、どこかで「私の人生、こんなはずじゃなかった…」との思いがある。最悪の出会いから、最高の恋愛へ。ラブ・ストーリーのセオリー通りに進む物語だが、ラストには思わぬどんでん返しも。大きな感動や驚きとは無縁だが、婚活をテーマに、これでもか!とばかりの広島愛で押し通すこのご当地映画は、広島県民とカープファンには微笑ましい小品といえようか。
【50点】
(原題「こいのわ 婚活クルージング」)
(日本/金子修介監督/風間杜夫、片瀬那奈、海老瀬はな、他)
(広島愛度:★★★★★)
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ローガン・ラッキー

Logan Lucky
仕事も家族も失った炭鉱夫ジミーは、一発逆転を目論み、シャーロット・モーター・スピードウェイでまもなく開催される全米最大のモーターカーイベントNASCARのレース中に金庫から大金を盗み出すという前代未聞の強奪計画を企てる。だが、足が不自由なジミーと、戦争で片腕を失った弟クライド、そして美容師でカーマニアの妹メリーという、不運続きのローガン一家だけでは何とも頼りない。そこで伝説の爆破犯ジョー・バングに協力を仰ぐことに。服役中のジョーを一時的に脱獄させ、コトが終わったら刑務所に戻すという奇想天外な作戦は順調に進むかに思えたが、予想外の事態に直面することになる…。

監督引退宣言をしていたスティーヴン・ソダーバーグの復帰第1作となる犯罪コメディー「ローガン・ラッキー」。ツキに見放されたローガン家の面々が悪運を跳ね返すため、大胆な大金強奪計画に挑む姿を描く。複数のメンバーで完全犯罪を目論むストーリーは、ソダーバーグの代表作「オーシャンズ」シリーズによく似ている。「オーシャンズ」がゴージャスでスタイリッシュでド派手なのに対し、本作はユルくてアナログ、垢ぬけない印象だ。だが、これが、肩の力がうまい具合に抜けていて、なかなか面白い。ローガン家はもちろん、爆発のプロのジョーとそのおバカすぎる弟たちは何ともマヌケで不器用、でも愛すべきキャラクターたちだ。不測の事態やとぼけたミスでハラハラさせ、それでも巧妙に進む計画を見ていると、いつのまにか“呪われたローガン”を応援してしまう。

危なっかしいのに実は緻密な犯罪計画は、資金や最先端の武器の代わりに、知恵と度胸と愛嬌で勝負だ。チャニング・テイタム、アダム・ドライバーなど俳優陣が皆、適役だが、何と言っても爆発犯を怪演するダニエル・クレイグが、クールなジェームズ・ボンドとは真逆の魅力を見せて最高だ。物語のキーとなるのが劇中に効果的に使われる名曲「カントリー・ロード」。その曲は“カントリー・ロード、私がいるべき場所、故郷に連れて行っておくれ”と歌う。ソダーバーグがいるべき“ふるさと”は、やっぱり映画だ。おかえりなさいと迎えたい。
【80点】
(原題「LOGAN LUCKY」)
(アメリカ/スティーヴン・ソダーバーグ監督/チャニング・テイタム、アダム・ドライヴァー、ダニエル・クレイグ、他)
(爽快度:★★★★☆)
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KUBO/クボ 二本の弦の秘密

Kubo and the Two Strings (Blu-ray + DVD + Digital HD)
遠い昔の日本。クボは、三味線の音色で折り紙に命を与え、自由に操ることができる不思議な力を持つ少年。かつて闇の魔力を持つ祖父に狙われ、彼を助けようとした父親は命を落とした。母と共に最果ての地まで逃げたクボだったが、祖父が放った更なる刺客により母までも失ってしまう。追手から逃れながら父母の敵を討つことを誓ったクボは、面倒見のいいサルと弓の名手であるクワガタと共に旅に出る…。

折り紙を操る不思議な力を持つ少年クボが自らの出自を探りながら壮大な冒険を繰り広げるファンタジー・アニメーション「KUBO/クボ 二本の弦の秘密」。「コララインとボタンの魔女」などを手掛けたアニメーションスタジオのLAIKA制作によるストップモーションアニメは、圧巻の映像美で見るものを魅了する。日本に固執すると「?」な部分もあるのだが、ここは正確な描写ではなく、昔話やおとぎ話の中の日本というとらえ方がが正解だろう。そこに欧米特有の神話的なファンタジーが加わる。抽出されるエキスは、わび・さびのテイストだ。

独眼の少年クボの敵討ちの冒険の旅は、優しさと強さを兼ね備えたサルに母性を、お調子者だがいざという時には頼りになるクワガタに父性を投影しながら、いつしか最愛の母がかつて犯した悲しい罪と深い愛にたどり着く。単なる悪者退治や復讐ではなく、許しというフィルターを経て、物語を語り継ぐことの素晴らしさに至るストーリーは、近年のアニメーションの中でも出色だ。芳醇なヴィジュアルはため息が出るほど素晴らしい。幻想的な折り紙や切り絵が流麗に舞う様は、浮世絵や黒澤映画、宮崎アニメの影響も見られ、日本文化へのリスペクトが感じられる。3秒作るのに1週間かかるというストップモーションアニメは、気が遠くなるような職人技に支えられている。極上の芸術品に酔いしれる103分だ。
【80点】
(原題「KUBO AND THE TWO STRINGS」)
(アメリカ/トラヴィス・ナイト監督/(声)アート・パーキンソン、シャーリーズ・セロン、マシュー・マコノヒー、他)
(イマジネーション度:★★★★★)

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泥棒役者

映画「泥棒役者」オリジナル・サウンドトラック
金庫破りの名人の泥棒だった過去がある溶接工員の青年・はじめは、今は足を洗い、真面目に働きながら、優しい恋人と、ささやかながら幸せな日々を送っている。そんなはじめの前に、昔の泥棒仲間の則夫が現れ、恋人に過去をバラすと脅されて渋々盗みを手伝うことになる。絵本作家・前園俊太郎が住む豪邸に忍び込んだ2人だったが、はじめはそこで、家主の前園や女性編集者、セールスマンなどから、編集者や絵本作家、屋敷の主人など、別人に間違えられてしまう。その場限りの嘘で各人物に成りきりながら、それらしく振舞ってごまかすはじめだったが…。

「小野寺の弟・小野寺の姉」の西田征史監督が2006年に作・演出した舞台を、自ら映画用に脚本化したコメディー「泥棒役者」。元泥棒で人が良すぎる青年が、忍び込んだ豪邸で次々に別人に間違えられ、泥棒であることを隠すために、間違えられた役柄を役者のように演じていくハメになる様を描く。偶然に偶然が重なり、嘘を隠すためにさらに嘘を重ねる。綱渡りのような展開は、最初は笑いを誘い、少しずつ嘘にほころびが生じ始めると、それぞれの人物の事情が明らかに。泥棒が逃げ切れるのか?というスリルもさることながら、登場人物たちに芽生えた奇妙な絆が見所だ。

元が舞台というだけあって、物語のほとんどが絵本作家の家の中だけで展開する、ワンシチュエーション・コメディーなので、俳優の演技力やせりふの掛け合い、脚本の面白さが問われるが、これがなかなかよく練られた脚本で飽きさせない。主人公はじめを演じる丸山隆平(関ジャニ∞)は、少しとぼけた天然の魅力で好演しているし、市村正親や高畑充希ら、実力ある豪華キャストが脇を固めている。勘違いやすれ違いを経て、はじめが変化していくプロセスは、喜劇であると同時に成長物語でもあるのだ。劇中に登場する絵本「タマとミキ」の“秘密”が、すべての人々に希望を届けてくれる。クセもの8人のすったもんだは、時にご都合主義があっても、いつしか心がほっこりあたたまるものだ。うまくいかないこともある人生だけど「まだ終わってないニャー」!。そうそう、エンドロールの後、監督ゆかりの“あの人たち”に会えるので、最後まで席を立たずに見てほしい。
【60点】
(原題「泥棒役者」)
(日本/西田征史監督/丸山隆平、市村正親、石橋杏奈、他)
(コミカル度:★★★★☆)
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GODZILLA 怪獣惑星

アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』オリジナルサウンドトラック
半世紀にわたる巨大生物“怪獣”とその怪獣さえ駆逐する究極の生物“ゴジラ”との戦いの末、敗走を続けた人類は、2048年、ついに地球を脱出する。だが、人工知能によって選別された者たちが恒星間移民船でたどり着いた星は、人類が生存できる環境ではなく、人々は再び地球を目指すことに。移民船に乗る青年大尉ハルオは、幼い頃に目の前でゴジラから両親を殺され、20年間、地球に戻ってゴジラを倒すことだけを考え続けてきた。だが危険な長距離亜空間航行を決断してまで帰還した地球は、既に二万年もの歳月が経過し、地上はゴジラを頂点とした生態系による未知の世界になっていた…。

日本で生まれ世界中から愛される“ゴジラ”を初の長編アニメーションで描く「GODZILLA 怪獣惑星」。今まで多くの作品で描かれてきたゴジラとはまったく違う、予想もしない進化を果たしたゴジラは、かなり衝撃的だ。世界観もビジュアルも、過去のどの作品とも異なり、本作に登場する地球はもはや人類のものではない。そんな絶望的な状況の中、ゴジラに復讐を誓うハルオを主人公に、過去に地球に飛来した異星人種たちや、旧世代から新世代への交代を目論む司令官、学者や戦闘のスペシャリストなどが入り乱れて、まるで太古の世界のような地球を舞台に、超進化生命体ゴジラに対峙、激しい戦闘を繰り広げる。

ゴジラといえば、特撮映画。そのゴジラをアニメで見るという体験そのものが新鮮なのだが、人類、異星人、ゴジラの三つ巴の状態で進むストーリーは、かなりシリアスでハードなものだ。随所に驚きの設定があって、それは映画を見て確かめてもらいたいが、本作は、全3部作の第1章に当たるので、物語はまだまだ未完の部分が多い。圧倒的な存在であるゴジラとはいったい何かという問いの答えも、先に持ち越されている。正直、この第1章は、ゴジラファン、アニメファンの両方にとってかなりフラストレーションがたまる内容なのだが、次章以降、“シン・ゴジラからアニゴジへ”のキャッチコピーに違わぬ、アニメならではの展開に期待したいところだ。
【50点】
(原題「GODZILLA 怪獣惑星」)
(日本/静野孔文、瀬下寛之監督/(声)梶裕貴、櫻井孝宏、杉田智和、他)
(新鮮度:★★★★☆)
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不都合な真実2:放置された地球

An Inconvenient Sequel: Truth to Power [Blu-ray] [Import]
元アメリカ副大統領アル・ゴアが、地球環境問題を訴える講演旅行を記録して、ヒットした前作「不都合な真実」から10年が経ち、地球温暖化は改善するかと思われたが、地球はさらなる危機に瀕していた。時に声を荒げ、必死の形相で環境問題を人々に訴えるゴア氏の姿と、地球温暖化対策の国際的枠組みであるパリ協定の実現に向け奔走した人々の姿を追う…。

元アメリカ副大統領アル・ゴアの地球温暖化に関する講演を追い、アカデミー賞2部門を受賞したドキュメンタリー「不都合な真実」の続編「不都合な真実2:放置された地球」。前作はオスカーを受賞し、アル・ゴア自身はノーベル平和賞を受賞するという、これ以上ない評価を受けたというのに、10年後、地球温暖化はさらに危機感を増している事実に気持ちが沈む。前作が地球環境問題の入門編だとしたら、本作は地球環境問題改善がいかに難題かを突きつける実践編と言えよう。

講演会と講演旅行を記録したシンプルかつユニークなスタイルだった前作と違い、本作ではますます深刻となった異常気象とハリケーンなどによる大災害の被害の数々を生々しくスクリーンに映し出して、地球の危機をより強く訴えている。だが、石炭エネルギーを手放さない大国の言い分は、先進国には耳が痛いものだった。パリ協定に向けて懸命に戦う姿が描かれ、協定実現が本作のひとつのクライマックスになっているのだが、映画には、地球温暖化はでっちあげと言い切ってパリ協定離脱を決めたトランプ政権がゴアの努力をあっさりと無にしてしまう事実も盛り込まれている。温暖化を止めなければならないとの思いに共感しても、いつしか諦めの境地に達するのも事実だ。だからこそ、それでも希望を捨てずに闘いを続けるアル・ゴアの、まっすぐな生き様に感動を覚えてしまうのである。地球温暖化への警鐘よりも、アル・ゴアの人間性が前面に出ている映画の是非は別として、では私たち個人はいったい何ができるのかと、改めて考えさせられた。同時に、映画に何ができるのかという問いも。まずは見てほしい。その後に考えてほしい。そんなゴアの声が聞こえてくる1本だ。
【65点】
(原題「AN INCONVENIENT SEQUEL:TRUTH TO POWER」)
(アメリカ/ボニー・コーエン、ジョン・シェンク監督/アル・ゴア、他)
(危機感度:★★★★★)
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ロダン カミーユと永遠のアトリエ



1880年、彫刻家オーギュスト・ロダンは、国からの受注で大作“地獄の門”の制作に取り掛かっていた。この時期に、ロダンは弟子入りを願う若い女性カミーユ・クローデルと出会う。才能あふれるカミーユにロダンは魅せられ、自分の助手として雇い、すぐに激しく愛し合う関係になる。ロダンには内妻ローズがいたが、10年に渡って情熱的に愛し合ったロダンとカミーユは、互いを尊敬しつつも、才能ある芸術家同士として複雑な関係を築くことになる。創作活動にのめり込むロダンだったが、彼が作る作品は賛否両論、時には酷評されることに。やがて二人の関係にも変化が訪れる…。

近代彫刻の父オーギュスト・ロダン没後100年を記念して作られた伝記映画「ロダン カミーユと永遠のアトリエ」。ロダン美術館全面協力のもとに描かれているが、偉大なロダンを美化することなく、芸術家としての苦悩や矛盾をはらんだ人間性を静かなタッチで描写している。中心になるのはロダンだが、もう一人の主人公と言えるのが、弟子で愛人だったカミーユ・クローデルだ。この女性彫刻家に関してはイザベル・アジャーニとジェラール・ドパルデューという仏映画界の2大スターが共演した「カミーユ・クローデル」がある。

ロダンは40歳を超えてようやく仕事が安定してきた遅咲きの天才。なかなか世間に認めてもらえない悔しさ、もどかしさを誰よりも知っていて、そのためか仕事への執着、芸術への妥協のない姿勢は尋常ではない。一方で、女性関係は奔放かつ優柔不断で、人間的にも誠実とは言い難い面も。内妻と別れられないロダンは結局カミーユとの悲劇的な破局を迎えるのだが、女性が社会で活躍するのが難しい時代、ロダンという偉大な才能に嫉妬しながら大きく影響される彼女に対して、最終的に「芸術家としての君は脅威。君にはロダンは必要ない」と言う。それは、愛人関係の終焉を意味しながらも、同時に、カミーユを解放する一言にも聞こえる。ロダンの複雑な人間性を丁寧に追った伝記映画だが、ジャック・ドワイヨン監督の演出は、いささか真面目すぎて、起伏に乏しいのが残念。巨匠ロダンは、芸術に人生を捧げ、愛に苦悩し、それを作品という形で昇華した孤独な天才だった。名作の制作秘話も数多く登場する本作を見れば、日本でも見ることができる彼の代表作を、また別の視点から鑑賞できるはずだ。
【60点】
(原題「RODIN」)
(フランス/ジャック・ドワイヨン監督/ヴァンサン・ランドン、イジア・イジュラン、セヴリーヌ・カネル 、他)
(苦悩度:★★★★☆)
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密偵

The Age of Shadows [Blu-ray]
日本統治下の1920年代の朝鮮半島。朝鮮人でありながら日本警察に所属するイ・ジョンチュルは、部長のヒガシから、武装独立運動組織“義烈団(ウィヨルダン)”を監視するよう特命を受ける。義烈団のリーダー、キム・ウジンに接近し、懇意になったジョンチュルだったが、それは義烈団の団長チョン・チェサンが、ジョンチュルを義烈団に引きこむために仕組んだ餌だった。日本警察の中でジョンチュルを見張るライバルや、それぞれの組織に潜入させた情報屋などが流す出所不明の情報が飛び交う中、義烈団は、上海から京城(現ソウル)へ向かう列車に大量の爆薬を運び込むことに成功する。誰が敵で誰が味方か判らない探り合いの状況の中、列車は国境を越えて京城へと向かうが…。

韓国の独立運動をめぐる秘密諜報戦の駆け引きを描く歴史サスペンス・アクション「密偵」。日本警察で働く主人公ジョンチュルは、独立など夢と諦め、権力側についた“売国奴”だが、心の底では愛国心を失っておらず、義烈団の行動や理念を知れば知るほど、ジョンチュルの意識と心情は揺れ動く。一見、日本を悪役にした抗日愛国映画のスタイルだが、時の権力におもねる者、保身に走る者が韓国の側にもいた事実を冷静な視点で盛り込んだ点は、評価したいところだ。裏切りや内通などが繰り返され物語はスリリングに進んでいくが、裏切る側の理由をきちんと描いているので、観客の感情に訴える内容になっている。

ハリウッドにも進出したキム・ジウン監督は、主人公を複雑な内面を抱える人間として描き、戦争が時に人間性を破壊する様や、裏切りや騙し合いの中でも決して奪えない誇りがあることを訴える。思わず目を背けたくなるような残虐な拷問シーンや殺戮シーンもあるのだが、基本は娯楽サスペンスなので、演出はスピーディーだ。名優ソン・ガンホはさすがの名演を見せるし、人気急上昇のコン・ユが、動く密室の列車の中で攻防を繰り広げるシークエンスは、彼が出演した大ヒット映画「新感染」を彷彿とさせる。ジウン監督作品の常連イ・ビョンホンも美味しい役で貫禄たっぷり。1920年代の衣装や家具調度品などが美しく、艶やかで湿度を帯びたダークな映像が歴史ものらしい重厚感を与えている。
【65点】
(原題「THE AGE OF SHADOWS」)
(韓国/キム・ジウン監督/ソン・ガンホ、コン・ユ、ハン・ジミン、他)
(スパイ映画度:★★★★☆)
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プロフィール
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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