映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ドリーム」「亜人」「僕のワンダフルライフ」etc.

アラン・アーキン

ジーサンズ はじめての強盗

ジーサンズ はじめての強盗
ウィリー、ジョー、アルの3人は、慎ましくも幸福な老後生活を送っていたが、長年勤めていた会社から一方的に年金を止めるとの通達を受け、ショックを受ける。愛する家族や仲間たちと、幸せな余生を送りたい。そんなささやかな願いを叶えるため、ジョーはウィリーとアルに「俺たちの年金を取り戻そう!」と銀行強盗を持ちかける。今まで真面目に生きてきた3人は、すべてをかけて人生最大の勝負に挑むが…。

年金を一方的に止められた老人3人が初めての銀行強盗に挑戦するコメディ「ジーサンズ はじめての強盗」。老人の犯罪コメディというよくあるジャンルだが、何しろ演じるのが、モーガン・フリーマン、マイケル・ケイン、アラン・アーキン。主演全員がアカデミー賞受賞の名優なのだから、細かいツッコミどころは、ゆったりとかわして、余裕のお芝居で笑わせてくれる。もっとも内容は、弱者に冷たい高齢化社会を照射したもので、笑いごとではないのだが。無論、銀行強盗は犯罪なので手放しで応援するわけにはいかないが、実際に理不尽な理由で年金を奪われても、なす術がない現実を考えると「こんなこと、やってくれちゃったら最高!」と思わせる、一種のファンタジーと考えれば楽しめる。利益優先なのは、長年勤めた会社だけでなく、銀行も同じ。その銀行で偶然、強盗に遭遇したことから「自分たちにもやれるかも」と思って、ワルに弟子入りするという短絡的な思考が苦笑ものだが、そこは、年金なしでは生きてはいけない老人三人組、失うものなどない!というやけっぱちの強みがある。スーパーでの予行練習(万引き)や射撃のレッスン、指南役の強盗の心得のうんちくなど、おとぼけぶりに笑いながらもフムフムと思わずうなずいてしまった。そして、いよいよ本番へ。それは意外なほど綿密な計画で、楽観的なご都合主義の展開には、最後の最後に粋なプレゼントまであって、嬉しくなる。歌手としても活動している往年の美人女優アン=マーグレットは、今も変わらず美しくてキュートだし、名優3人にそれぞれ見せ場がちゃんと用意されていて、ザック・ブラフ監督が彼らをリスペクトしているのが伝わってきた。行け、ジーサンズ!80歳超えはまだまだ“若い”。
【60点】
(原題「GOING IN STYLE」)
(アメリカ/ザック・ブラフ監督/モーガン・フリーマン、マイケル・ケイン、アラン・アーキン、他)
(痛快度:★★★★☆)
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映画レビュー「アルゴ」

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◆プチレビュー◆
ウソの映画製作で人質を助け出す驚きの実話「アルゴ」。監督ベン・アフレックの緩急をつけた演出が見事だ。 【80点】

 1979年11月4日、テヘラン。イラン革命が激化する中、過激派がアメリカ大使館を占拠し52人が人質となる。混乱の中、大使館員の6名が脱出し、カナダ大使の自宅に潜伏。彼らが過激派にみつかり殺害されるのは時間の問題だった。そんな時、CIAのトニー・メンデスはある奇想天外な救出作戦を提案する…。

 イランの過激派がアメリカ大使館で人質をとり、米国に逃げた前国王の引き渡しを要求するという大事件は世界中が知るところだ。政治的な側面はさておき、この人質救出作戦の顛末は面白すぎる。こんな突拍子もないことをやってのけるCIAという組織の本質を改めて考えてしまうが、この作戦は常識を超えて暗躍するエキスパートの存在があってこそだ。

 その人とは、人質奪還スペシャリストのトニー・メンデス。彼の“名案”とは、嘘の映画製作を企画し、6人をロケハンに来た撮影スタッフに仕立て上げて出国させるという作戦だ。あきれ気味のお偉方を不思議な説得力で説き伏せ、メンデスは、偽の映画製作を実行に移していく。脚本を買い上げ、映画の名をSF超大作「アルゴ」と決定。製作発表、記者会見、プロモーションと、盛大なウソが続くさまはハリウッド的ともいえる痛快さだ。

 一方で、人質たちの緊張感はマックスに達し、アメリカからフォローするはずのCIAは国際情勢に左右されブレまくる。三つのストーリーが同時進行するスリリングな展開は、結果を知っていても手に汗を握る。偽の映画製作を、光と影の幻影にすぎない映画で描くという虚構の複眼が、何より素晴らしい。

 ベン・アフレックは、本作が監督第3作。今回は脚本こそ担当していないが、その演出力は確かで、才能は疑いがない。人質救出というヒロイックな事件は、社会派サスペンスにもなる固い素材だが、とぼけたユーモアを漂わせるセンスには感心した。これには、嘘っぱちに慣れ切ったハリウッドの映画人役に、ジョン・グッドマン、アラン・アーキンなどの渋い脇役をキャスティングしたことが効いたと見る。「嘘の映画製作?まかせろ!」には笑った。

 アフレック自身が演じる主人公は、もっさりとした風貌の寡黙な人物だ。今見るとどうにもダサい70年代ファッションに身を包んだメンデスは喜怒哀楽が乏しく、笑顔もほとんどない。そんな彼が「何としてでも6人の命を救う」と決意する瞬間に、静かなヒロイズムが炸裂する。派手な銃撃戦や爆発などないのに、尋常ではない緊張感が漂う脱出劇のクライマックスは、間違いなく一級のサスペンス。隠し味は映画愛なのだから、映画好きにはこたえられない。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)荒唐無稽度:★★★★★

□2012年 アメリカ映画 □原題「ARGO」
□監督:ベン・アフレック
□出演:ベン・アフレック、アラン・アーキン、ブライアン・クライストン、他
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映画レビュー「サンシャイン・クリーニング」

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◆プチレビュー◆
作り手のまなざしがあたたかい「サンシャイン・クリーニング」はヒューマン・ドラマの佳作。欠点だらけの家族を応援したくなる。 【70点】

 シングルマザーの姉ローズとフリーターの妹ノラは、生活を立て直そうと、ワケありの清掃業を始める。犯罪や事件の現場をクリーニングするその特殊な仕事に、最初はとまどいながらも何とか慣れていく二人だったが…。

 負け組。イヤな言葉だが、この物語の主人公・ローズを端的に表すには最もふさわしい。ハイスクール時代は学園のアイドルだった彼女だが、30歳を超えた今では、他人の家の掃除専門の仕事をしながら一人息子を育てるシングルマザー。かつての恋人とはズルズルと不倫関係を続けている。高校時代の栄光からはほど遠い日々だ。父親は一攫千金を狙っておかしな商売に手を出すし、妹はキレやすくバイトさえ続かない。幼い息子は問題児扱いされて小学校を退校に。こんながけっぷち人間を、負け組と呼ばずして何と呼ぼう。

 だが、お天道様はローズを見捨てはしなかった。高額のギャラが稼げる事件現場の清掃は、いわゆる隙間産業。この奇妙な仕事が人生の転機となる。まるっきり素人の姉妹は、血と異臭漂う現場で仕事のノウハウを覚え、少しずつ変化していく。ヤバそうな商売だが物語に犯罪の香りはない。その代わり、常に寄り添う死の気配は、姉妹のトラウマである亡き母の記憶を呼び覚ますことに。そんな時、ノラが不注意から依頼先の家を全焼させる。トラブルばかり起こす妹にローズの怒りは爆発。ノラの不満も噴出し姉妹はケンカ別れしてしまう。

 またしても行き詰るかに見えたが、この大喧嘩こそが二人に必要なカンフル剤だった。結婚も仕事も成功したかつてのクラスメイトへのローズの見栄と、自殺した母の記憶から他人との関係に臆病なノラの意地。どちらも褒められたものではないが、映画はこんな二人を責めたりしない。それどころか、本音でぶつかりあった後、姉妹が歩み寄り絆を深めていく展開は、作り手が、不器用な彼女たちに「君は一人じゃないんだよ」と励ましているかのよう。特に、ツイてない人生で心が頑なになっていたローズが、車の無線で亡き母へと語りかけるシーンは、長年のわだかまりが夜空に溶けていくようで心に残る。

 ただ、脚本にはほころびも。まず姉妹を助ける掃除道具屋が片腕という設定が物語にほとんと活きてない。特殊な外見ではなく、冴えない男の優しさがあれば十分なのに。ノラが、遺品を渡すために近付いた女性リンと分かりあえなかったのも気になるところ。それでも、清掃の仕事と、母親の死という心の染みを“クリーニングする”二重の浄化に免じて不満はきれいに洗い流そう。

 この映画の手触りは、厳しい現実と戦いながら懸命に生きる人間を明るく描いた名匠フランク・キャプラを思わせる。アメリカ映画は、キャプラスク(キャプラ特有の楽観的ヒューマニズム)を現代風にアレンジし、ちゃんと受け継いでいるのだ。サンシャイン・クリーニングとは、ローズが始めた清掃会社の名前。いろいろあったけど、見上げれば今日も太陽は輝いている。サンシャインという言葉には日光、日差しの他に「幸せの源」という意味があるのだそう。ローズとノラの人生にも温かなお日様が照り始めた。さぁ、しまっていこう。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)ほろ苦度:★★★★☆

□2008年 アメリカ映画 原題「Sunshine Cleaning」
□監督:クリスティン・ジェフズ
□出演:エイミー・アダムス、エミリー・ブラント、アラン・アーキン、他


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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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