映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
毎日のレビューは分かりやすく簡潔な寸評で、週1本の長文映画レビューでは作品をディープに掘り下げます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる公開作品 ◎
「ファミリー・ツリー」「ダーク・シャドウ」「サニー」

アンジェリーナ・ジョリー

映画レビュー「カンフー・パンダ2」

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大ヒットしたCGアクション・アニメの第2弾は、ポーの出生の秘密が明らかに。スピード感と立体感が同居した見事な映像が楽しめる。 【75点】

 小心者で食いしん坊ながらカンフーの達人となったパンダのポーは、仲間であるマスター・ファイブたちと平和の谷を守っていた。だが、そこに孔雀のシェン大老が現れる。シェン大老は、花火を改良した強力な武器を操り、カンフーを脅かす邪悪な強敵だ。しかも、ポーの出生の秘密を握っている様子。ポーたちは中国征服を企むシェン大老の野望を打ち砕くため、戦いを決意する…。

 太った身体にとぼけた性格、コミカルなイメージのパンダがカンフーの達人になるという意外性がウケて、大ヒットとなった前作から、大きく進化したのは、超高速カンフーと3Dが導入された点だ。激しいアクションとユルいギャグが絶妙に交じり合い、実にリズムがいい。ハイテクの武器を持つ敵に対し、仲間との結束で立ち向かうストーリーは、鉄板の展開。そこに武侠アクションの定番である出生の秘密がからむ。

 物語と映像が、大人も子供も同時に満足させるクオリティであるのは、前作と同様だ。民衆が恐怖に支配されているという設定は、中国の政治を暗に批判しているのは明らかだが、同時に圧倒的な物量で相手をねじふせようとするのは、世界中でアメリカがやっている民主化という名の“支配”をも連想させる。このアニメは敵を深読みすればするほど、現代の米中関係が透けて見えて興味深い。とはいえ、物語は、友情と親子愛、主人公の成長に正義の戦いと、きわめてクラシックな展開で安心できる。

 アクションの動きは明らかに前作より進化した。動物特有の動きを考慮しながら、動と静の動きが見事にキマる。特に、孔雀のシェン大老が華麗に羽を広げ、鋭い技を繰り出す美しさはアニメーションならではで、思わず目を見張った。それからこのシリーズの特筆は、背景が超絶的に美しいこと。アジア的な優雅さとでも言うべき渋い色彩に、中国の文化や歴史を感じさせるリアルな街並み、もちろん動物たちの衣装や表情など、すみずみまで目が行き届いている。キャラクターの個性、魅力的なストーリー、最先端のテクノロジーと、三拍子揃った秀作活劇だ。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)映像美度:★★★★★

□2011年 アメリカ映画  原題「KUNG FU PANDA 2」
□監督:ジェニファー・ユー
□出演:(声)ジャック・ブラック、ダスティン・ホフマン、アンジェリーナ・ジョリー、ジャッキー・チェン、他



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カンフー・パンダ2@ぴあ映画生活

ツーリスト

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良くも悪くも古典的なラブ・サスペンス。このメンツで、これでいいのか?!との不満がくすぶる困った作品だ。

傷心を癒やすためにヨーロッパを旅行しているアメリカ人フランクは、ヴェネチアへ向かう列車内で謎めいた美女エリーズに声をかけられる。だが彼は、国際的な金融犯罪者と間違えられ、マフィアから命を狙われるハメに。妖艶なエリーズと行動を共にしながら、危険なアバンチュールに酔いしれるフランクだったが…。

アンジェリーナ・ジョリーとジョニー・デップというハリウッドを代表する美男美女の豪華共演というのが、本作最大にして唯一のウリ。黄金期のハリウッド映画のようにスターだけを強調した、とても21世紀とは思えない“トラッド”な作りだ。アンジーとジョニデの2人が出ているというのに、この平凡な出来ばえは、イエローカードを出したくなる。さらに監督は「善き人のためのソナタ」のフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク。あの感動作の作り手が手掛けた作品がこれでは、やはりイエローではなくレッドカードを出さねばならない。久しぶりに“普通の顔”のジョニデを拝めたのは嬉しいが、エキセントリックな役で持ち味を発揮する彼の演技力が生きる場はほとんどなく、いつもはキレのいいアクションでタフな美女を演じるアンジーも中途半端におとなしい。実は登場人物たちにはさまざまな秘密があって…というミステリアスなストーリーの結末を明かすわけにはいかないが、終わってみれば拍子抜け。ストーリーだけ見れば“まるでヒッチコック映画を見ているよう”だが、これが褒め言葉にならないところが本作のツラいところだ。主演の2人が、無駄にゴージャスな装いで華麗な舞踏会に出席しても、ロマンスとしてどうにも盛り上がらないのである。ポール・ベタニーやティモシー・ダルトンまで出ているというのに、あまりに残念。サスペンスとしてもラブロマンスとしても弱いようでは、パリやヴェネチアの風景を堪能するしかなさそうだ。舞台は、数々の名画の舞台になった、世界一ロマンティックな水の都で、そこに美男美女が収まっている図はまるで絵葉書のように美しい。抜群のロケーションの旅情サスペンスと割り切れば楽しめる。
【50点】
(原題「The Tourist」)
(アメリカ・フランス/フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督/アンジェリーナ・ジョリー、ジョニー・デップ、ポール・ベタニー、他)
(ロマンティック度:★★★★☆)

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映画レビュー「ソルト」

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◆プチレビュー◆
アンジーの七変化が楽しめるスパイ・アクション「ソルト」。リアリティーはないがタフなヒロインの活躍は嬉しい。 【55点】

 CIAの敏腕分析官イヴリン・ソルトは、何者かの企てによってロシアの二重スパイの嫌疑をかけられる。自分の無実をはらすため逃亡を図り、CIAの追跡をかわしながら陰謀の真相を探ろうとするが…。

 映画界では主役のキャスティングが紆余曲折するのは日常茶飯事だ。「ティファニーで朝食を」のヒロインは、最初はマリリン・モンローを念頭に置いていたという。モンロー版ホリー・ゴライトリーを見てみたかった気もするが、今ではオードリー・ヘプバーンで誰も文句はないだろう。主人公のイメージは脚本次第でどうにでも対応できるのだ。そうはいっても、本作はかなりムチャである。何しろ、もともとはトム・クルーズ主演で作られるはずだったという本作、男性でもかなりハードなアクションをそのまま女性に換算してしまうとは。現在の映画界で最もアクションがさまになる女優アンジェリーナ・ジョリーといえども、この展開は“いくらなんでも”だ。

 スパイの疑いをかけられたソルトが、お手製の即席爆弾を作り、周囲の小道具を利用しながら逃げる展開は、同じく“逃げるCIA”ジェイソン・ボーンのようで面白い。だが、高速道路を走るトラックの屋根から屋根へと飛び移り、暴走する地下鉄からジャンプ、エレベータシャフトを降下、屈強な男たちを殴り倒すとなると、いくらアンジーでもフィジカル的に納得しがたい。しかも、ソルトの謎めいた行動で物語は二転三転。米国内でテロを遂行するのはロシア側である証拠だが、ロシア人たちにも平気で銃を向ける。自分を本当に愛してくれる優しい夫をみつめるまなざしはどうやら本物のようだ。謎めくというよりバランスが悪くて落ち着かない。こうなると映画の見方を変えるしかない。

 そこで提案だが、ハリウッドで最もタフで美しい女優アンジェリーナ・ジョリーに焦点を合わせて楽しむというのはどうだろう。金髪から黒髪へ。タイトなグレーのスーツからクールな黒装束、ファー付きのマントへ。瞳の色も変え、ついには顔にラバーを張り付けた男装の変装まで。さしずめアンジー七変化だ。なんだか可笑しなコスプレ映画の様相を呈し始めたところで、意外な人物の正体がわかりクライマックスへと突入する。まったく命がいくつあっても足りないのだが、アンジーだからと居直ってしまえば、ムチャな活劇を楽しむ余裕も生まれよう。逃げるだけでは物足りない、攻めてこそアンジーだ!とテンションを上げてしまえばもうこっちのものだ。ちなみにアクションは、イスラエル生まれの武道“クラヴ・マガ”の技が基本だそう。攻撃や殺人ではなく護身がベースのこの動きは接近戦に向いているので、女性は要チェックである。

 ヒロインの超絶タフネスぶりが際立つこの物語、そもそも特殊機関で教育を受け、何十年も敵国に潜伏して要人暗殺の機会を待つという背景に気が遠くなるが、まるっきり絵空事ではないらしい。つい最近でもスパイ同士の引渡し劇という、まるで映画のような事件が起こったばかりだ。完全に信頼していた人物が実は…というプロットは、スパイものでは定番。こんな荒唐無稽な作品が、計らずも現実とリンクしてしまうところが、映画の面白さであり不確定要素だ。やっぱり映画は“生きもの”なのかもしれない、思ったりするのである。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)女性活劇度:★★★★★

□2010年 アメリカ映画 原題「SALT」
□監督:フィリップ・ノイス
□出演:アンジェリーナ・ジョリー、リーヴ・シュレイバー、キウェテル・イジョフォー、他


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ソルト@ぴあ映画生活

映画レビュー「ウォンテッド」

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◆プチレビュー◆
脳髄を刺激するダイナミックな映像が快感。ハリウッドに進出した暴走系ロシア人監督に大注目だ。 【75点】

 仕事も恋も生活もストレスだらけの気弱な青年ウェスリーは、突如現れた謎の美女フォックスから、自分は凄腕暗殺者の血を引く人間だと知らされ驚愕する。世界の秩序を守る暗殺組織フラタニティにスカウトされた彼だったが…。

 ティムール・ベクマンベトフ。発音すると粘着質な感があるが、この俊英監督が放つ映像は、驚くほどクールでドライだ。米映画とはひと味違う、荒々しい手触りを持つ彼の才覚は、鮮烈な嵐となってハリウッドに降臨する。監督は、カザフスタン生まれで独特のVFXの使い手。役者はハリウッドの有名スターに欧州の気鋭俳優。原作は大人気グラフィック・ノベル。異なる要素が激しくもファンキーな化学反応を起こした。ただごとではない気配とともに。

 太古から続く暗殺組織フラタニティのモットーは“1を殺して1000を救う”なのだが、いくら正義のためとはいえ人殺しには変わりない。だが、この映画は、そんなモラルなど知ったことかと言わんばかりだ。居直り同然の超絶的な設定が、独特のおかし味を持つ世界観へとつながる。限りなくありえない物語の主人公ウェスリーは「アイム・ソーリー」が口癖の“M”なヘタレ君だ。彼が次第に覚醒し、優秀な暗殺者に変貌する様が見るものにカタルシスを与える。ウェスリーを鍛えるのが“超ド級のS”キャラがハマるアンジェリーナ・ジョリーだから、これまた説得力がある。眉間だけでなく鼻の下まで皺を寄せながら発砲する物凄い形相にはちょっぴり引いたが、しなやかな身体の動きはアクション映画に優美なエロスを持ち込んだ。女性も憧れるパワフルな美女アンジーが、本作の大きな魅力であることは間違いない。

 加えて楽しいのは、マンガ的アイデア満載のユニークな映像の数々。曲がる弾道、アクロバティックなカーチェイス、クローズアップでとらえられた工芸品のような弾丸など、シュールな映像に息つく暇もない。特に細かく割れたガラスのモザイクから人物が飛び出す場面はこの映画の白眉だ。さらにスピード感あふれる展開の中に、絶妙に組み込まれるスローモーションがたまらない。かつてサム・ペキンパーは“死の舞踏”と呼ばれるスローモーションを駆使したが、さしずめ本作はリアリティを度外視した“死のオペラ”。時間を自由に引き延ばすそのセンスがあまりにエレガントで、シビれてしまう。 

 運命を変えられると信じ、今とは違う自分を想像するのは、人間なら誰でも見る夢だ。イヤミな上司に啖呵を切り、恋人を寝取った友人を張り倒す。美女と熱く抱き合い、必殺技で悪人の息の根を止める。リンチすれすれの猛特訓はさておき、もしこうだったら…と憧れることばかりではないか。後半にはウェスリーの意外な秘密を用意し、さらに過激なアクションが観客を待ち受ける。ターゲットは“運命のはたおり機”が教えてくれるという、暗殺の中核をなす部分が、もっともうさんくさいところがミソだ。主人公と父親の絆が弱いのは気になるが、そんな不満はラストの決意の弾丸が打ち砕いてくれる。粗野でありながら洗練されているという、ベクマンベトフ監督の矛盾した才能が、新次元のエンタテインメントを誕生させた。この映画、興奮必至である。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)ありえない!度:★★★★★

□2008年 アメリカ映画 原題「Wanted」
□監督:ティムール・ベクマンベトフ
□出演:アンジェリーナ・ジョリー、ジェームズ・マカヴォイ、モーガン・フリーマン、他

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カンフー・パンダ

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タイトルバックも含め、色彩が素晴らしい。中国の平和な村に住むぐうたらのパンダが、成り行きで龍の戦士になり活躍する物語だ。動物たちの個性をいかした本格的なアクションが見事。メッセージは、自分を信じる事と、人まねではないオリジナリティの大切さである。隠れた見所は、師が弟子を導く際のモチベーションの活用だ。亀の導師が言う“物事に偶然はない”との言葉が深い。
【70点】
(原題「KUNG FU PANDA」)
(アメリカ/ マーク・オズボーン、ジョン・スティーブンソン監督/(声) ジャック・ブラック、ダスティン・ホフマン、アンジェリーナ・ジョリー、他)
(映像美度:★★★★★)

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映画レビュー「マイティ・ハート/愛と絆」

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◆プチレビュー◆
パキスタンで誘拐・殺害されたジャーナリストとその妻を描く実録社会派映画。アンジーの熱演が見所。 【70点】

 2002年、パキスタンのカラチで取材中のウォールストリート・ジャーナルの記者ダニエル・パールが誘拐される。妊娠中の妻マリアンヌと友人たちは、地元警察やFBI捜査官らと共に、全力で捜査を開始するが…。

 数々の話題作を配給してきたUIP映画。メガヒット「JAWS/ジョーズ」、名作「レインマン」、最近では、華麗な「ドリームガールズ」や大ヒットSF「トランスフォーマー」などで洋画を牽引してきた存在だ。大作のイメージが強いが「ユナイテッド93」のような小規模な秀作もUIP映画の作品である。この伝統ある配給会社は、2007年末で日本での37年の歴史を閉じる。前置きが長くなったが、同社の最後の配給作品になるのがこの「マイティ・ハート/愛と絆」だ。ブラッド・ピット製作、アンジェリーナ・ジョリー主演と聞けば華やかだが、作品は意外なほど地味で硬派な社会派映画である。英国の実力派マイケル・ウィンターボトム監督は、記録映画のような生々しさと、叙情的な美しさを作品に込めながら、アルカイダと推察されるテロリストによる誘拐事件を、夫の無事を信じ続ける妻の強い愛情を中心に演出した。

 映画の最大の魅力は、マリアンヌを演じるアンジーの、静かな熱演だ。平和活動家でもある彼女には、思い入れの強い役柄だろう。映画製作中にアルカイダから脅迫状が幾度届いてもそれに屈せず、作品を世に出した勇気と、恋愛もアクションもない地味な作品に、損得抜きで全力投球した熱意は本物だ。マリアンヌは、夫が誘拐された時、妊娠5ヶ月。どれほど不安だったか想像もできない。心身ともに極限状態にありながら、決してあきらめない意思の強さは並み外れたものだ。彼女を支えたのはおなかに宿る小さな命。子どもの存在は、それだけで女性を何倍も強くするのだと改めて思う。だが、そんなマリアンヌが、心がくじけそうな時「南無妙法蓮華経」とお題目を唱えるシーンは、感動していた気持ちに水を差した。日本と欧米における創価学会のイメージの差異はひとまず脇に置くとして、実際、宗教はこの誘拐事件を必要以上に複雑にしている悪しき要素なのだ。パキスタンは国民の大半がイスラム教徒。そこにはアルカイダの極端なジハード思想も存在する。おまけにダニエルは彼らが忌み嫌うユダヤ系だ。当時の国際情勢も、インドと敵対するパキスタンの思惑や、アメリカとの関係性など、一筋縄ではいかない。宗教と政治がからみついた時、歴史は常に悲劇を引き起こしてきた。なるほどパール家では、異なる人種や宗教が共存するが、それはごく小さな特殊な世界のこと。神頼みするほどの窮地なのは分かるが、この事件の渦中でジャーナリストが宗教にすがる心情は納得できない。

 どこかスッキリしないこんな思いを一気に吹き飛ばすのが、物語後半に登場するマリアンヌの2つの叫びだ。まず、夫の命が遂に尽きたと知ったときの身を絞るような慟哭(どうこく)。言葉にできない悲しみがスクリーンににじみ、結果を知っていても涙を誘う。もう一つは出産時の生みの苦しみの叫び声だ。激しさは同じだが、死と生、絶望と希望が、表裏一体で呼応している。共にジャーナリストであったダニエルとマリアンヌのパール夫妻は、危険な取材には何度も遭遇しているだろう。色々な意味で、覚悟がなければ務まらない職業で、マリアンヌは今もフランスでこの仕事を続けている。憎しみに負けなかった一人の女性を通して映画が語ったのは、混迷の時代を生きる難しさだ。だが、同時に見えるかすかな希望を私たちは見失いたくない。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)母は強し度:★★★★★

□2007年 アメリカ映画 原題「A MIGTHY HEART」
□監督:マイケル・ウィンターボトム
□出演:アンジェリーナ・ジョリー、ダン・ファターマン、アーチー・パンジャビ、他

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グッド・シェパード

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重厚な演出とギリシャ悲劇のような展開は、「ゴッド・ファーザー」を連想させる。CIA誕生秘話と、組織と家庭の間で苦悩する男の物語だ。非情な世界で人生を狂わせるエリートをマット・デイモンが静かに熱演するが、老け役には少々無理があったか。スパイ活動の先輩英国の役割が興味深い。中盤ややダレるが、冷戦下の国家間の争いから、米国の未来に疑問を投げかける作品の熱意を評価したい。
【75点】
(原題「THE GOOD SHEPHERD」)
(アメリカ/ロバート・デ・ニーロ監督/マット・デイモン、アンジェリーナ・ジョリー、アレック・ボールドウィン、他)
(中だるみ度:★★★☆☆)

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Mr.&Mrs.スミス

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◆プチレビュー◆
ブラピとアンジーの公私混同演技もまた楽し。こんなに激しい銃撃戦なのに、ご近所は平気なのか?!…と、こういうヤボなことを言うヤツには、お気楽娯楽映画を見る資格はない。

ジョンとジェーンは運命的な出会いを経て電撃結婚。幸せな夫婦生活だが、最近ちょっぴり倦怠期。二人は表面は普通の生活をしているが、実はお互いに裏の顔を隠していて、二人とも凄腕の殺し屋なのだ。だが、そんなスゴい秘密を隠しとおせるわけはない…。

スターがスターらしい役柄を演じ、観客はそれを思う存分楽しむ。ハリウッドに昔から存在する映画のスタイルで本作はまさにそれ。いちいち派手に格好をつけながら、お約束のハッピーエンドへと強引になだれ込む。小難しい映画評論家からは鼻で笑われても大衆はこんな作品が大好きだ。そして映画は大衆のためにある。

小さなヒネリはあるものの、ストーリーはいたって単純明快だ。最初と最後をカウンセリング場面にしたのが上手い。観客は主演二人から秘密を打ち明けられているように感じて、ワクワクするだろう。お互いの正体を知った殺し屋は相手を消さねばならないが、この闘いを夫婦喧嘩の拡大版と解釈しているところがおもしろい。

殴り合い、銃撃、爆発、カーチェイスと何でもありだが、基本は強気のジェーンとひょうひょうとしたジョンのかけあいのおもしろさ。表面はアクション映画だが、中身はロマンチック・ラブコメディなのだ。それをブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーという美男美女が演じるのだから、おもしろくないわけがない。

□2005年 アメリカ映画 原題「Mr.& Mrs. Smith」
□監督:ダグ・リーマン
□出演:ブラッド・ピット、アンジェリーナ・ジョリー、ビンス・ボーン、他

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アレキサンダー

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◆プチレビュー◆
一人の人物を真摯に描いているのにますます霧の中…という印象は「ニクソン」を見たときも感じたものだった。美しいバビロン入場のシーンが、アメリカ軍の中東入りに見えてしまうのが、時世の悲しさか。

謎に包まれたマケドニアの王アレキサンダー。史上最大の帝国を築いた若き王は、利己的な父や、息子を支配する母との葛藤に苦しみながら育った。わずか20歳で王になった彼は、世界を統一するという大きな夢を追い続けて、遠くアジアの果てまでも旅を続けるが…。

本作の主人公アレキサンダーは、歴史の教科書にも登場する有名人物。実在ながら伝説の英雄アキレスの子孫であると全編に暗示がある。舞台は神話の世界と同じくらい遠い昔だ。記録が少ない人物を描写するのは、逆に言えば自由に構築できるということ。だが、この作品では“結局、彼のことはよくわかりませんでした”と言われているようで何とも釈然としない。

難点は、狂言回しを務めるアンソニー・ホプキンスが映画の中で浮いてしまったことだ。大王の部下で後のエジプト王プトレマイオスが王の生涯を記録するという形で物語が進行するが、老プトレマイオスに戻るたびに話が中断され、違和感を感じてしまう。おかげで映画を見終わった後に記憶に残るのが、マザコンと同性愛嗜好ばかりなのだ。

評価すべきはアンジェリーナ・ジョリーで、息子を支配しようとする母親を、妖気と愛情に溢れる演技で熱演。このキャラは見ようによってはかなり笑えるシロモノで、注目だ。ペルシャ軍を打ち破った戦闘場面やインドでの象を使った戦いは、監督得意の凄惨な戦争映画のノリで見応えがある。だが、肝心の主人公の人物造形に深みがない。アレキサンダーが本気で信じた民族融合による平和な世界は、今の世の中では、原理主義という形でしかお目にかかれないのだ。ならば、伝説の英雄は魅力溢れる人物であってほしいし、そうでなくては映画の主人公は務まらない。

オリバー・ストーンがライフワークとしてベトナム戦争を描き続け、映画でアメリカの過ちを検証していることは自他ともに認めるところ。この人の演出手腕は、やはりアメリカ現代史において最も冴える。素材と調理法の両方を誤ってしまった、料理人の一皿を食すような映画だった。しかも、本当は腕がいいことを誰もが知っているだけに、大いに悔やまれる。

□2004年 アメリカ映画  原題「ALEXANDER」
□監督:オリバー・ストーン
□出演:コリン・ファレル、アンジェリーナ・ジョリー、ヴァル・キルマー、他

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トゥームレイダー

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◆プチレビュー◆
モノトーンの服に身をつつむ強気モードのララ。映画的な中身は全くない。

ララ・クロフトは財宝探検家。ある日、失踪した父クロフト卿の不思議な時計を発見。その時計は時を支配する秘宝の手がかりだった。だが、邪悪な秘密結社のイルミナーティも世界を征服するために秘宝探索に乗り出していた。かくして、ララと宿敵のバトルが世界中を駆け巡る。果たして、ララは世界を救えるのか?

スーパーヒロインが大活躍の冒険物語。A.ジョリーは文句なくピッタリで、天賦の才と強烈なボディ、脅威の運動神経という三拍子そろったヒロインを演じて、それぞれ心の中に思い描く主人公がいるゲームファンをも、納得させた。彼女のフェロモンを十分すぎるほど楽しめるのが本作。

そもそもこの映画の原作は、記録的なヒットをとばす超メジャーな大人気ゲーム。世界で最も有名なゲームヒロインがララ・クロフトその人。ゲーマーには既に大まかな設定が把握できているというわけだ。おかげで物語の核になる人間関係の描写はほとんど手抜き状態。当然、話に深みなどあるはずもなく、ララが戦うのは、世界を救うという目的よりも、むしろ戦うことそのものが好きという印象。このあたりが実にゲームっぽい。

ゲーマーの楽しみは、どんなに不完全でも、自分でストーリーを作っていくこと。たとえそれが、実はクリエーターの作った話の流れを追うことだとしても。また、ゲームオーバーでもリトライできるという楽しみもある。いわば習得する喜びだ。一方、映画を見る観客は、完成されたストーリーを、十分に味わうことを期待する。それも、きちんと構築されたストーリーとキャスティング、映像と音楽、そしてセリフの深みまで総合した完成品でなくてはならない。もちろん、ゲーマーと映画鑑賞者の年齢層の違いもあるが、むしろ、メディアの質と求めるものの違いに気づくべき。要は、ゲームを映画化するという企画そのものに、無理があるのだ。これがゲームの実写化の壁でもあるし、逆に将来への期待とも言えるだろうか。

□2001年 アメリカ映画 原題「Tomb Raider」
□監督:サイモン・ウェスト
□出演:アンジェリーナ・ジョリー、ジョン・ボイド、イアン・グレン、他

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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