映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「アサシン・クリード」「ラビング」「お嬢さん」etc.

アンジェリーナ・ジョリー

不屈の男 アンブロークン

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1936年のベルリン・オリンピックに陸上選手として出場したルイ・ザンペリーニは、第二次世界大戦がはじまり空軍に入る。だが彼をのせた爆撃機は太平洋上に不時着。サメや嵐に襲われながら、47日間の漂流の末、日本軍に見つかって捕虜として収容所に送られてしまう。そこでルイは、サディスティックな行いで皆から恐れられていた渡辺伍長に目をつけられ、執拗な虐待を受けることになるが…。

第二次世界大戦で日本軍の捕虜となった元オリンピック選手、ルイ・ザンペリーニの実話を描く「不屈の男 アンブロークン」は、人気女優アンジェリーナ・ジョリーの第二回監督作品だ。本作は、日本軍の非人道的な描写が問題視され、反日だと騒がれて日本公開が危ぶまれた経緯がある。精神のバランスを欠いた渡辺伍長が、主人公ルイに病的なまでに執着し虐待を繰り返す描写は、なるほど日本人としては見ていてつらいものがある。だが本作のテーマは、戦時下の日本軍の行いを糾弾することではないのは、映画を見れば明らかだ。大海原での漂流サバイバル、過酷な捕虜生活、理不尽な虐待と、これでもかとばかりに逆境がルイを襲うが、彼は収容所で出会った仲間の「生き抜くことこそが復讐だ」という言葉から、不良少年だった自分に陸上競技への道をひらいてくれた兄の「耐え抜けばやれる。自分から挫けるな」という言葉を思い出して、文字通り、不屈の精神で耐え抜く。復讐ではなく赦しへと至るのは、キリスト教的精神を強く感じるが、むしろ一人の人間が、暗闇の中でも決して人生を否定せずに生き抜く普遍的な物語の印象が残る。現代人にルイと同じ精神力を求めても酷だろうが、戦争という巨大な暴力や理不尽の本質は、今も昔も変わらない。ジャック・オコンネルが誠実にして強靭なルイを熱演するが、ルイの善と対局にある悪である渡辺を勇気をもって演じたミュージシャン・MIYAVIもすごい。逆境の合間の回想シーンで主人公の過去とキャラクターをわかりやすく整理したコーエン兄弟の脚本の上手さ、名手ロジャー・ディーキンスの陰影のあるカメラワークで、奥深い作品になっている。
【70点】(原題「UNBROKEN」)
(アメリカ/アンジェリーナ・ジョリー監督/ジャック・オコンネル、ドーナル・グリーソン、MIYAVI、他)
(祝!公開度:★★★★★)
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不屈の男 アンブロークン@ぴあ映画生活

マレフィセント

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おとぎ話の悪役の視点で真実の愛を描く実写ファンタジー「マレフィセント」。アンジーの魅力で邪悪な妖精はいつしか慈愛の美女へ。

とある王国で待望のプリンセス、オーロラ姫が誕生し、盛大に祝賀パーティーが開催された。大勢の客が城にやってきて祝福する中、招かれざる客で、邪悪な妖精マレフィセントが現れ「王女は16歳の誕生日に永遠の眠りにつく」という恐ろしい呪いをかける。王によって森に隠されたオーロラ姫は、穏やかに美しく成長するが、なぜかマレフィセントはそんな姫をじっと見守っていた…。

おとぎ話や童話を新解釈するのは何も目新しいことではない。だが、ハリウッドのトップ女優アンジェリーナ・ジョリーが、ディズニーの名作「眠れる森の美女」の悪役を演じることで、本作は勝ったも同然の個性を持った。邪悪な妖精マレフィセントは、なぜオーロラ姫に呪いをかけたのか。そして呪いを解く真実の愛とは。この2つのテーマが、映画を現代的にしている。女性主導のストーリーや、真実の愛の答は、おどろくほど「アナと雪の女王」に似ているのだが、決定的に違うのは、生身の美女アンジーの存在感だ。尖った角、高い頬骨、漆黒の衣装と、恐ろしいいでたちなのに、とびきり強く美しいマレフィセントに、観客は魅了されるはず。さらには、オーロラ姫を陰で見守るマレフィセントの母性には、実子、養子を含めて6人の子供を育てる実生活のアンジーが重なって見えるだろう。無論ディズニー映画らしく、幻想的で美しいビジュアルは健在だ。終盤には激しいアクションも用意されていて、物語は怒涛のハッピーエンドへとなだれ込む。ラストはオーロラ姫のくったくのなさで、めでたし、めでたし、という展開だ。それにしても、「アナ雪」といい本作といい、目につくのは王子様の役立たずぶりである。昨今の女性は、出会ったばかりの白馬の王子様なんぞには何も期待していないということか。フェミニズム映画として鑑賞してみるのも一興だ。
【65点】
(原題「MALEFICENT」)
(アメリカ/ロバート・ストロンバーグ監督/アンジェリーナ・ジョリー、エル・ファニング、シャルト・コプリー、他)
(母性愛度:★★★★☆)
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マレフィセント@ぴあ映画生活

最愛の大地

最愛の大地 [DVD]
ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争で敵同士となった男女の悲痛な運命を描く「最愛の大地」。初監督作に強いメッセージを込めたアンジーの気合を感じる。

1992年のボスニア・ヘルツェゴビナ。ムスリム系で画家のアイラとセルビア系のダニエルは恋人同士だったが、内戦の勃発により敵同士になってしまう。やがてセルビア兵士によるムスリム系住民の弾圧が始まった。とらえられて収容所に入れられたアイラは、兵士からレイプされそうになるが、セルビア軍の将校になっていたダニエルに助けられる。ダニエル専属の画家になったアイラ。やがて、二人の間に愛情が再燃する。そんな恋人たちの気持ちとは裏腹に、内戦は激化していくのだった…。

ハリウッドのトップ女優であるアンジェリーナ・ジョリーは、国連の親善大使として長く人道支援活動を行ってきた。そんなアンジーだが、国連安保理で、戦時下での女性への性暴力に対し、国連の無策を非難するスピーチを行っている。このことでも判るように、アンジーが自ら脚本を手がけたこの初監督作には、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争が泥沼化したのは、国連の介入の遅れが原因で、そのために多くの女性が犠牲者になったのだとの強い政治的メッセージを感じさせる。自分を含め、ハリウッドの有名スターは起用せず、セルビア系、ムスリム系、それぞれの背景を持つ俳優を使うことで、作品に重厚さが加わった。悲惨な内戦下での非人道的な行為が多く描かれるが、やはり目を引くのは女性に対する屈辱的な扱いである。レイプや罵倒、さらには戦いの最前線でムスリム系女性の身体を、文字通り、盾にする場面はショッキングだ。人種や宗教が異なる女性を道具としか考えない状況には、言葉を失う。物語の中心は、突然敵同士になってしまった恋人たちの悲恋だ。互いに愛し合っているのに、信じることができず、悲劇的な運命にからめとられていく様は、悲しいまでにスリリングだ。多くの映画で強い女性を演じてきたアンジーだが、本作のヒロインのアイラをただの犠牲者、被害者にせず、自ら行動を起こして戦わせる運命を用意しているのが“らしい”ところ。各国の批評で、描き方が偏っているとの批判もあったようだが、監督アンジーの目的は問題を提起すること。その意味では大成功だし、初監督作とは思えない力がみなぎる、硬派な作品に仕上がっている。
【65点】
(原題「IN THE LAND OF BLOOD AND HONEY」)
(アメリカ/アンジェリーナ・ジョリー監督/ザナ・マルジャノヴッチ、ゴラン・コスティック、ラデ・シェルベッジア、他)
(政治的メッセージ度:★★★★☆)
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最愛の大地@ぴあ映画生活

映画レビュー「カンフー・パンダ2」

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大ヒットしたCGアクション・アニメの第2弾は、ポーの出生の秘密が明らかに。スピード感と立体感が同居した見事な映像が楽しめる。 【75点】

 小心者で食いしん坊ながらカンフーの達人となったパンダのポーは、仲間であるマスター・ファイブたちと平和の谷を守っていた。だが、そこに孔雀のシェン大老が現れる。シェン大老は、花火を改良した強力な武器を操り、カンフーを脅かす邪悪な強敵だ。しかも、ポーの出生の秘密を握っている様子。ポーたちは中国征服を企むシェン大老の野望を打ち砕くため、戦いを決意する…。

 太った身体にとぼけた性格、コミカルなイメージのパンダがカンフーの達人になるという意外性がウケて、大ヒットとなった前作から、大きく進化したのは、超高速カンフーと3Dが導入された点だ。激しいアクションとユルいギャグが絶妙に交じり合い、実にリズムがいい。ハイテクの武器を持つ敵に対し、仲間との結束で立ち向かうストーリーは、鉄板の展開。そこに武侠アクションの定番である出生の秘密がからむ。

 物語と映像が、大人も子供も同時に満足させるクオリティであるのは、前作と同様だ。民衆が恐怖に支配されているという設定は、中国の政治を暗に批判しているのは明らかだが、同時に圧倒的な物量で相手をねじふせようとするのは、世界中でアメリカがやっている民主化という名の“支配”をも連想させる。このアニメは敵を深読みすればするほど、現代の米中関係が透けて見えて興味深い。とはいえ、物語は、友情と親子愛、主人公の成長に正義の戦いと、きわめてクラシックな展開で安心できる。

 アクションの動きは明らかに前作より進化した。動物特有の動きを考慮しながら、動と静の動きが見事にキマる。特に、孔雀のシェン大老が華麗に羽を広げ、鋭い技を繰り出す美しさはアニメーションならではで、思わず目を見張った。それからこのシリーズの特筆は、背景が超絶的に美しいこと。アジア的な優雅さとでも言うべき渋い色彩に、中国の文化や歴史を感じさせるリアルな街並み、もちろん動物たちの衣装や表情など、すみずみまで目が行き届いている。キャラクターの個性、魅力的なストーリー、最先端のテクノロジーと、三拍子揃った秀作活劇だ。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)映像美度:★★★★★

□2011年 アメリカ映画  原題「KUNG FU PANDA 2」
□監督:ジェニファー・ユー
□出演:(声)ジャック・ブラック、ダスティン・ホフマン、アンジェリーナ・ジョリー、ジャッキー・チェン、他



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カンフー・パンダ2@ぴあ映画生活

ツーリスト

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良くも悪くも古典的なラブ・サスペンス。このメンツで、これでいいのか?!との不満がくすぶる困った作品だ。

傷心を癒やすためにヨーロッパを旅行しているアメリカ人フランクは、ヴェネチアへ向かう列車内で謎めいた美女エリーズに声をかけられる。だが彼は、国際的な金融犯罪者と間違えられ、マフィアから命を狙われるハメに。妖艶なエリーズと行動を共にしながら、危険なアバンチュールに酔いしれるフランクだったが…。

アンジェリーナ・ジョリーとジョニー・デップというハリウッドを代表する美男美女の豪華共演というのが、本作最大にして唯一のウリ。黄金期のハリウッド映画のようにスターだけを強調した、とても21世紀とは思えない“トラッド”な作りだ。アンジーとジョニデの2人が出ているというのに、この平凡な出来ばえは、イエローカードを出したくなる。さらに監督は「善き人のためのソナタ」のフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク。あの感動作の作り手が手掛けた作品がこれでは、やはりイエローではなくレッドカードを出さねばならない。久しぶりに“普通の顔”のジョニデを拝めたのは嬉しいが、エキセントリックな役で持ち味を発揮する彼の演技力が生きる場はほとんどなく、いつもはキレのいいアクションでタフな美女を演じるアンジーも中途半端におとなしい。実は登場人物たちにはさまざまな秘密があって…というミステリアスなストーリーの結末を明かすわけにはいかないが、終わってみれば拍子抜け。ストーリーだけ見れば“まるでヒッチコック映画を見ているよう”だが、これが褒め言葉にならないところが本作のツラいところだ。主演の2人が、無駄にゴージャスな装いで華麗な舞踏会に出席しても、ロマンスとしてどうにも盛り上がらないのである。ポール・ベタニーやティモシー・ダルトンまで出ているというのに、あまりに残念。サスペンスとしてもラブロマンスとしても弱いようでは、パリやヴェネチアの風景を堪能するしかなさそうだ。舞台は、数々の名画の舞台になった、世界一ロマンティックな水の都で、そこに美男美女が収まっている図はまるで絵葉書のように美しい。抜群のロケーションの旅情サスペンスと割り切れば楽しめる。
【50点】
(原題「The Tourist」)
(アメリカ・フランス/フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督/アンジェリーナ・ジョリー、ジョニー・デップ、ポール・ベタニー、他)
(ロマンティック度:★★★★☆)

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映画レビュー「ソルト」

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◆プチレビュー◆
アンジーの七変化が楽しめるスパイ・アクション「ソルト」。リアリティーはないがタフなヒロインの活躍は嬉しい。 【55点】

 CIAの敏腕分析官イヴリン・ソルトは、何者かの企てによってロシアの二重スパイの嫌疑をかけられる。自分の無実をはらすため逃亡を図り、CIAの追跡をかわしながら陰謀の真相を探ろうとするが…。

 映画界では主役のキャスティングが紆余曲折するのは日常茶飯事だ。「ティファニーで朝食を」のヒロインは、最初はマリリン・モンローを念頭に置いていたという。モンロー版ホリー・ゴライトリーを見てみたかった気もするが、今ではオードリー・ヘプバーンで誰も文句はないだろう。主人公のイメージは脚本次第でどうにでも対応できるのだ。そうはいっても、本作はかなりムチャである。何しろ、もともとはトム・クルーズ主演で作られるはずだったという本作、男性でもかなりハードなアクションをそのまま女性に換算してしまうとは。現在の映画界で最もアクションがさまになる女優アンジェリーナ・ジョリーといえども、この展開は“いくらなんでも”だ。

 スパイの疑いをかけられたソルトが、お手製の即席爆弾を作り、周囲の小道具を利用しながら逃げる展開は、同じく“逃げるCIA”ジェイソン・ボーンのようで面白い。だが、高速道路を走るトラックの屋根から屋根へと飛び移り、暴走する地下鉄からジャンプ、エレベータシャフトを降下、屈強な男たちを殴り倒すとなると、いくらアンジーでもフィジカル的に納得しがたい。しかも、ソルトの謎めいた行動で物語は二転三転。米国内でテロを遂行するのはロシア側である証拠だが、ロシア人たちにも平気で銃を向ける。自分を本当に愛してくれる優しい夫をみつめるまなざしはどうやら本物のようだ。謎めくというよりバランスが悪くて落ち着かない。こうなると映画の見方を変えるしかない。

 そこで提案だが、ハリウッドで最もタフで美しい女優アンジェリーナ・ジョリーに焦点を合わせて楽しむというのはどうだろう。金髪から黒髪へ。タイトなグレーのスーツからクールな黒装束、ファー付きのマントへ。瞳の色も変え、ついには顔にラバーを張り付けた男装の変装まで。さしずめアンジー七変化だ。なんだか可笑しなコスプレ映画の様相を呈し始めたところで、意外な人物の正体がわかりクライマックスへと突入する。まったく命がいくつあっても足りないのだが、アンジーだからと居直ってしまえば、ムチャな活劇を楽しむ余裕も生まれよう。逃げるだけでは物足りない、攻めてこそアンジーだ!とテンションを上げてしまえばもうこっちのものだ。ちなみにアクションは、イスラエル生まれの武道“クラヴ・マガ”の技が基本だそう。攻撃や殺人ではなく護身がベースのこの動きは接近戦に向いているので、女性は要チェックである。

 ヒロインの超絶タフネスぶりが際立つこの物語、そもそも特殊機関で教育を受け、何十年も敵国に潜伏して要人暗殺の機会を待つという背景に気が遠くなるが、まるっきり絵空事ではないらしい。つい最近でもスパイ同士の引渡し劇という、まるで映画のような事件が起こったばかりだ。完全に信頼していた人物が実は…というプロットは、スパイものでは定番。こんな荒唐無稽な作品が、計らずも現実とリンクしてしまうところが、映画の面白さであり不確定要素だ。やっぱり映画は“生きもの”なのかもしれない、思ったりするのである。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)女性活劇度:★★★★★

□2010年 アメリカ映画 原題「SALT」
□監督:フィリップ・ノイス
□出演:アンジェリーナ・ジョリー、リーヴ・シュレイバー、キウェテル・イジョフォー、他


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ソルト@ぴあ映画生活

映画レビュー「ウォンテッド」

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◆プチレビュー◆
脳髄を刺激するダイナミックな映像が快感。ハリウッドに進出した暴走系ロシア人監督に大注目だ。 【75点】

 仕事も恋も生活もストレスだらけの気弱な青年ウェスリーは、突如現れた謎の美女フォックスから、自分は凄腕暗殺者の血を引く人間だと知らされ驚愕する。世界の秩序を守る暗殺組織フラタニティにスカウトされた彼だったが…。

 ティムール・ベクマンベトフ。発音すると粘着質な感があるが、この俊英監督が放つ映像は、驚くほどクールでドライだ。米映画とはひと味違う、荒々しい手触りを持つ彼の才覚は、鮮烈な嵐となってハリウッドに降臨する。監督は、カザフスタン生まれで独特のVFXの使い手。役者はハリウッドの有名スターに欧州の気鋭俳優。原作は大人気グラフィック・ノベル。異なる要素が激しくもファンキーな化学反応を起こした。ただごとではない気配とともに。

 太古から続く暗殺組織フラタニティのモットーは“1を殺して1000を救う”なのだが、いくら正義のためとはいえ人殺しには変わりない。だが、この映画は、そんなモラルなど知ったことかと言わんばかりだ。居直り同然の超絶的な設定が、独特のおかし味を持つ世界観へとつながる。限りなくありえない物語の主人公ウェスリーは「アイム・ソーリー」が口癖の“M”なヘタレ君だ。彼が次第に覚醒し、優秀な暗殺者に変貌する様が見るものにカタルシスを与える。ウェスリーを鍛えるのが“超ド級のS”キャラがハマるアンジェリーナ・ジョリーだから、これまた説得力がある。眉間だけでなく鼻の下まで皺を寄せながら発砲する物凄い形相にはちょっぴり引いたが、しなやかな身体の動きはアクション映画に優美なエロスを持ち込んだ。女性も憧れるパワフルな美女アンジーが、本作の大きな魅力であることは間違いない。

 加えて楽しいのは、マンガ的アイデア満載のユニークな映像の数々。曲がる弾道、アクロバティックなカーチェイス、クローズアップでとらえられた工芸品のような弾丸など、シュールな映像に息つく暇もない。特に細かく割れたガラスのモザイクから人物が飛び出す場面はこの映画の白眉だ。さらにスピード感あふれる展開の中に、絶妙に組み込まれるスローモーションがたまらない。かつてサム・ペキンパーは“死の舞踏”と呼ばれるスローモーションを駆使したが、さしずめ本作はリアリティを度外視した“死のオペラ”。時間を自由に引き延ばすそのセンスがあまりにエレガントで、シビれてしまう。 

 運命を変えられると信じ、今とは違う自分を想像するのは、人間なら誰でも見る夢だ。イヤミな上司に啖呵を切り、恋人を寝取った友人を張り倒す。美女と熱く抱き合い、必殺技で悪人の息の根を止める。リンチすれすれの猛特訓はさておき、もしこうだったら…と憧れることばかりではないか。後半にはウェスリーの意外な秘密を用意し、さらに過激なアクションが観客を待ち受ける。ターゲットは“運命のはたおり機”が教えてくれるという、暗殺の中核をなす部分が、もっともうさんくさいところがミソだ。主人公と父親の絆が弱いのは気になるが、そんな不満はラストの決意の弾丸が打ち砕いてくれる。粗野でありながら洗練されているという、ベクマンベトフ監督の矛盾した才能が、新次元のエンタテインメントを誕生させた。この映画、興奮必至である。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)ありえない!度:★★★★★

□2008年 アメリカ映画 原題「Wanted」
□監督:ティムール・ベクマンベトフ
□出演:アンジェリーナ・ジョリー、ジェームズ・マカヴォイ、モーガン・フリーマン、他

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カンフー・パンダ

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タイトルバックも含め、色彩が素晴らしい。中国の平和な村に住むぐうたらのパンダが、成り行きで龍の戦士になり活躍する物語だ。動物たちの個性をいかした本格的なアクションが見事。メッセージは、自分を信じる事と、人まねではないオリジナリティの大切さである。隠れた見所は、師が弟子を導く際のモチベーションの活用だ。亀の導師が言う“物事に偶然はない”との言葉が深い。
【70点】
(原題「KUNG FU PANDA」)
(アメリカ/ マーク・オズボーン、ジョン・スティーブンソン監督/(声) ジャック・ブラック、ダスティン・ホフマン、アンジェリーナ・ジョリー、他)
(映像美度:★★★★★)

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映画レビュー「マイティ・ハート/愛と絆」

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◆プチレビュー◆
パキスタンで誘拐・殺害されたジャーナリストとその妻を描く実録社会派映画。アンジーの熱演が見所。 【70点】

 2002年、パキスタンのカラチで取材中のウォールストリート・ジャーナルの記者ダニエル・パールが誘拐される。妊娠中の妻マリアンヌと友人たちは、地元警察やFBI捜査官らと共に、全力で捜査を開始するが…。

 数々の話題作を配給してきたUIP映画。メガヒット「JAWS/ジョーズ」、名作「レインマン」、最近では、華麗な「ドリームガールズ」や大ヒットSF「トランスフォーマー」などで洋画を牽引してきた存在だ。大作のイメージが強いが「ユナイテッド93」のような小規模な秀作もUIP映画の作品である。この伝統ある配給会社は、2007年末で日本での37年の歴史を閉じる。前置きが長くなったが、同社の最後の配給作品になるのがこの「マイティ・ハート/愛と絆」だ。ブラッド・ピット製作、アンジェリーナ・ジョリー主演と聞けば華やかだが、作品は意外なほど地味で硬派な社会派映画である。英国の実力派マイケル・ウィンターボトム監督は、記録映画のような生々しさと、叙情的な美しさを作品に込めながら、アルカイダと推察されるテロリストによる誘拐事件を、夫の無事を信じ続ける妻の強い愛情を中心に演出した。

 映画の最大の魅力は、マリアンヌを演じるアンジーの、静かな熱演だ。平和活動家でもある彼女には、思い入れの強い役柄だろう。映画製作中にアルカイダから脅迫状が幾度届いてもそれに屈せず、作品を世に出した勇気と、恋愛もアクションもない地味な作品に、損得抜きで全力投球した熱意は本物だ。マリアンヌは、夫が誘拐された時、妊娠5ヶ月。どれほど不安だったか想像もできない。心身ともに極限状態にありながら、決してあきらめない意思の強さは並み外れたものだ。彼女を支えたのはおなかに宿る小さな命。子どもの存在は、それだけで女性を何倍も強くするのだと改めて思う。だが、そんなマリアンヌが、心がくじけそうな時「南無妙法蓮華経」とお題目を唱えるシーンは、感動していた気持ちに水を差した。日本と欧米における創価学会のイメージの差異はひとまず脇に置くとして、実際、宗教はこの誘拐事件を必要以上に複雑にしている悪しき要素なのだ。パキスタンは国民の大半がイスラム教徒。そこにはアルカイダの極端なジハード思想も存在する。おまけにダニエルは彼らが忌み嫌うユダヤ系だ。当時の国際情勢も、インドと敵対するパキスタンの思惑や、アメリカとの関係性など、一筋縄ではいかない。宗教と政治がからみついた時、歴史は常に悲劇を引き起こしてきた。なるほどパール家では、異なる人種や宗教が共存するが、それはごく小さな特殊な世界のこと。神頼みするほどの窮地なのは分かるが、この事件の渦中でジャーナリストが宗教にすがる心情は納得できない。

 どこかスッキリしないこんな思いを一気に吹き飛ばすのが、物語後半に登場するマリアンヌの2つの叫びだ。まず、夫の命が遂に尽きたと知ったときの身を絞るような慟哭(どうこく)。言葉にできない悲しみがスクリーンににじみ、結果を知っていても涙を誘う。もう一つは出産時の生みの苦しみの叫び声だ。激しさは同じだが、死と生、絶望と希望が、表裏一体で呼応している。共にジャーナリストであったダニエルとマリアンヌのパール夫妻は、危険な取材には何度も遭遇しているだろう。色々な意味で、覚悟がなければ務まらない職業で、マリアンヌは今もフランスでこの仕事を続けている。憎しみに負けなかった一人の女性を通して映画が語ったのは、混迷の時代を生きる難しさだ。だが、同時に見えるかすかな希望を私たちは見失いたくない。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)母は強し度:★★★★★

□2007年 アメリカ映画 原題「A MIGTHY HEART」
□監督:マイケル・ウィンターボトム
□出演:アンジェリーナ・ジョリー、ダン・ファターマン、アーチー・パンジャビ、他

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グッド・シェパード

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重厚な演出とギリシャ悲劇のような展開は、「ゴッド・ファーザー」を連想させる。CIA誕生秘話と、組織と家庭の間で苦悩する男の物語だ。非情な世界で人生を狂わせるエリートをマット・デイモンが静かに熱演するが、老け役には少々無理があったか。スパイ活動の先輩英国の役割が興味深い。中盤ややダレるが、冷戦下の国家間の争いから、米国の未来に疑問を投げかける作品の熱意を評価したい。
【75点】
(原題「THE GOOD SHEPHERD」)
(アメリカ/ロバート・デ・ニーロ監督/マット・デイモン、アンジェリーナ・ジョリー、アレック・ボールドウィン、他)
(中だるみ度:★★★☆☆)

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プロフィール
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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