映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ジャスティス・リーグ」「火花」「ギフテッド」「光」etc.

イザベル・ユペール

エル ELLE

Elle [Blu-ray]
ゲーム会社の社長ミシェルは、一人暮らしの自宅にいたところ、覆面を被った男に襲われレイプされる。その後も不審な出来事が続くが、ミシェルは、父親に関係する過去の衝撃的な事件から、警察に関わることを避け、自分で犯人を捜し始める。だが次第に明かされていくのは、事件の真相よりもミシェル自身の驚くべき本性だった…。

レイプ被害者の中年女性が犯人を探し出す過程で、その複雑で恐るべき本性を露わにしていく官能サスペンス「エル ELLE」。原作は「ベティ・ブルー 愛と激情の日々」の作者として知られるフィリップ・ディジャンの小説だ。フランスの名女優イザベル・ユペールは、挑戦的な役柄を演じて評価が高いが、本作もまたしかり。主人公ミシェルは、ちょっとキワどい内容のゲームを作る会社のワンマン女社長で、幼い頃のトラウマとその後の生い立ちの影響で、かなり屈折した性格だ。周囲は敵だらけの強い女性。そのくせ、職場の若手男性社員や秘密の愛人、美形の隣人まで男たちを魅了する熟女。さらには、女性の親友もいてご近所付き合いもそつなくこなす。そんなヒロインをユペールが圧巻の迫力と威厳、知性とユーモアで美しく演じて素晴らしい。

バイオレンスとエロティシズムが持ち味のポール・ヴァーホーヴェン監督が、恐いもの知らずのイザベル・ユペールと組んだのは、必然だったのだろうか。ハリウッドのほとんどの女優がこの役を断ったという逸話の真偽はさておき、高尚なハネケ作品も下世話なヴァーホーヴェン作品も、ユペールは、洗練された美しい変態映画として昇華させてしまう。本作のヒロインに感情移入するのは難しいが、イザベル・ユペールの非凡な才能なしには成立しない逸品なのは確かだ。年齢を重ねるごとに魅力が増すフランスの大女優に脱帽である。
【70点】
(原題「ELLE」)
(フランス/ポール・ヴァーホーヴェン監督/イザベル・ユペール、ローラン・ラフィット、アンヌ・コンシニ、他)
(アブノーマル度:★★★★☆)
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間奏曲はパリで

間奏曲はパリで [DVD]
畜産農家の主婦のアバンチュールを描く大人のラブストーリー「間奏曲はパリで」。パリ観光案内気分を味わえる憎めない小品。

ノルマンディーの片田舎に住む50代の夫婦ブリジットは、夫グザヴィエと共に畜産業を営んでいる。子供も独立し幸福だが平凡な毎日を送っている夫婦だったが、変化を求めるブリジットは隣家のパーティで魅力的なパリジャンの青年スタンと出会い久し振りにときめきを覚える。夫に内緒でパリ行を決行し、魅惑的な街で淡いアバンチュールを求めるブリジットだったが…。

仏を代表する名女優イザベル・ユペールが、いつもの気難しくて狂気をはらんだ役柄から大きくかけ離れた、畜産農家の主婦という素朴で可愛らしい女性を演じているのが、何と言っても新鮮だ。ヒロイン・ブリジットは、実直だが無骨な夫、ハンサムな年下の青年、知的な外国人紳士というタイプの異なる3人の男性の間で揺れ動き、本当に大切なものに気付いていくというストーリー。ブリジットがパリに行くきっかけは、彼女の持病の湿疹なのだが、これはおそらく、ブリジットが何かを渇望している証拠として身体に現われているに違いない。この湿疹に向き合うヒロインは、もう一度女として輝きたいと思っているのだ。ストーリーは、ごく大雑把に言えば、中年主婦の不倫もの。それをこんなにも軽やかに明るく描けるのはやっぱりフランス映画が持つセンスなのだと思う。それにしてもイザベル・ユペールという女優は本当に上手い。ちょっと臆病で平凡な、でも幸福になろうと全力で努力する女性を、何の気負いもなくサラリと演じ、実に魅力的だ。感動的な牛の出産、アクロバットアーティストの息子のファンタジックなトランポリン、ラストの死海に漂う姿と、倦怠感と絆がせめぎあう夫婦のリアルからふっと離れるようなエピソードの挿入が、いいアクセントになっている。
【60点】
(原題「La Ritournelle/PARIS FOLLIES」)
(フランス/マルク・フィトゥシ監督/イザベル・ユペール、ジャン=ピエール・ダルッサン、ミカエル・ニクヴィスト、他)
(夫婦愛度:★★★★☆)
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間奏曲はパリで@ぴあ映画生活

3人のアンヌ

3人のアンヌ [DVD]
韓国の海辺の町を舞台にした、まか不思議なラブストーリー「3人のアンヌ」。仏の大女優イザベル・ユペールの新たな一面が垣間見える。

韓国にある海辺の街モハン。青いシャツを着たアンヌは成功した映画監督。友人で妻が身重の韓国人映画監督から誘惑される。赤いワンピースを着たアンヌは人妻。浮気相手の映画監督と逢引するために町を訪れる。緑のワンピースのアンヌは離婚したばかりの女性。傷心をいやすために、友人の民俗学者の女性に連れられてモハンを訪れる。

フランス映画界きっての演技派女優イザベル・ユペールが、3人の異なったアンヌを演じ分ける。映画学校の学生が3人のアンヌが海辺の町で恋をする3つの脚本を書く設定だが、単純なオムニバス映画というわけではない。偶然なのか必然なのか、3人のアンヌは同じライフガードの青年に出会い、同じ淡い恋が繰り返される。傘を借りる、三叉路にやってくる、バーベキューにギターにテントなど、同じ場面とアイテムが意識的に繰り返され、3人のアンヌがいつしか同一人物に思えてくる仕掛けだ。灯台以外にこれといった見るべきものがない寂れた海辺の町では、人は素にならざるを得ない。韓国語、英語、仏語で、とりとめのない会話が交わされるだけの、物語ともいえないストーリーはとてもぎこちないのだが、どこかユーモラスでクスリと笑いたくなるものだ。異国の地・韓国で映画に出演するイザベル・ユペールのとまどいと、彼女がホン・サンス監督や韓国人俳優たちとの新しいコラボレーションを楽しむときめきに、3人のアンヌの姿が重なって見えてくる。撮影前は簡単な設定を伝えるのみ。衣装は自前。脚本は当日渡す。これらからも分かるように、監督のホン・サンスの演出は独特で、偶然やインスピレーションを何より大切にしているのだ。彼が韓国のゴダール、あるいは韓国のロメールと呼ばれるのが納得できる気がする。俳優のさりげない会話やふと見せる素の表情から、心にしみいるような物語をつむぎ出し、のっぴきならない人生の悩みから、アンヌを、いや、私たちをふわりと救ってくれる異色作。こんなにノホホンとして可愛らしいイザベル・ユペールは初めてだ。
【65点】
(原題「IN ANOTHER COUNTRY」)
(韓国/ホン・サンス監督/イザベル・ユペール、ユ・ジュンサン、ムン・ソリ、他)
(のんびり度:★★★★☆)
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3人のアンヌ@ぴあ映画生活

ピアニスト

ピアニスト [DVD]ピアニスト [DVD]
◆プチレビュー◆
有名な、トイレから引きずり出してのキスシーンがすごい。作品のインパクトは最高だ。

中年になった今も厳格な母親に支配され、名門音楽院のピアノ教授として生きるエリカ。恋やおしゃれとは無縁の彼女の前に、若く才能溢れる青年ワルターが現われ一途に求愛する。しかし、エリカには人には言えない秘密があった…。

題名の「ピアニスト」。この何やら美しく甘いタイトルが、誤解を生みそうで心配だ。中年女性と若い青年の年の差を越えたラブ・ストーリーとか、厳格な母親の支配のもとに育った女性が自立していく物語…と思うととんでもないメにあう。

40をとうに過ぎた中年女性のエリカ先生は人生の全てをピアノに捧げて生きてきた。恋や娘らしい服装までも禁じた母親の支配すら生活の一部となっている毎日だが、どうやら本来の夢であったコンサート・ピアニストにはなれず、名門とはいえ音楽院で未来のピアニストを育てる教授という意に沿わぬ職業についている。更に女の細腕ならぬ細い指でアパートの支払いを背負い、芸術とは程遠い経済面の苦労も覗かせる。ストレスの塊のような日々を送るエリカ先生は、ポルノショップや覗き趣味でバランスを保っているからアブナイ。

そこに登場するのがワルター青年。若く美形で音楽の才能にまで恵まれている彼が、なぜイジワル中年女教師のエリカ先生に恋したのかはこの際問題ではない。二人に妥協点はあるのか?エリカ先生の非常識ワールドにワルターが足を踏み入れるのか、それとも中年女エリカ一世一代の決心でフツーの世界の住民となるのか…。愛し方を知らないエリカ先生よ、歪んだ心を抱えてどこへ行く…。まったく展開が見えないストーリーに引きずられて、ラストまでいってしまう。シューベルトを始めとする格調高い調べと共に、激しくもエグい世界が展開。そして余りにも唐突にやってくるラストシーン。

外面的にはSで内面的にはMの中年女性という難役をこなしたイザベル・ユペール。彼女の演技力の高さには驚くが、この役を引き受ける、座った根性がすごい。

母親との確執で深く病んだ心は、他人と関係を結ぶ方法を知らない。彼女が理解できるのは支配と服従のみ。それを愛に当てはめようとする悲喜劇がこの映画のポイントだ。映画の描く結末に観客は頭を抱えること必至。途中で思わずヒイてしまいそうになるのを我慢して見続けたら、気が付いたらハマッていた。そんな作品だ。カンヌの審査員も驚きのあまり3冠を与えてしまったのでは…。

原作はドイツの女性作家エルフリーデ・イェリネクの小説。ほとんど自伝だそうだが、これがホントの話なんて怖すぎないか?他人とうまく関係を結ぶことができない女性の心の闇を浮き彫りにしたこの映画、嫌悪感や違和感を通り越し、観客を引きずり込む、恐ろしくも奥が深い作品だ。

□2001年 フランス・オーストリア合作映画 原題「La Pianiste」
□監督:ミヒャエル・ハネケ
□出演:イザベル・ユペール、ブノワ・マジメル、アニー・ジラルド、他

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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