映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ゲット・アウト」「ブレードランナー 2049」「先生」etc.

イ・ジョンジェ

オペレーション・クロマイト

Battle for Incheon: Operation Chromite [Blu-ray]
1950年。突如北朝鮮が南へ侵攻しソウルを陥落させ、朝鮮半島のほとんどを支配する。事態を重く見た連合国軍最高司令官ダグラス・マッカーサーは、戦局打開のために仁川への大規模な上陸作戦を計画する。戦略的に不可能と思われたその作戦を成功させるには、北朝鮮軍に潜入したチャン大尉率いる精鋭の諜報部隊だけが頼りだった。正体がバレれば即座に処刑されることが確実な極限状況下で、チャン大尉は命懸けの作戦行動を開始する…。

朝鮮戦争の局面を一変させたクロマイト作戦を描く戦争映画「オペレーション・クロマイト」。当初はソ連や中国の支援を受けた北朝鮮が優勢だった朝鮮戦争だが、アメリカを中心とした国連派遣軍が極秘で行った仁川上陸作戦は、自由を守るために北朝鮮に潜入した名もなき韓国軍の兵士たちによって成し遂げられたという内容は、明らかにプロパガンダ色が濃厚だ。分断国家という複雑な状況にある国家の戦争を、単純な善悪では語れないのは承知の上で、あえて愛国心を刺激するエンタメ映画に仕上げているのだろう。マッカーサーが朝鮮半島の平和を願っただけで作戦を決行したとはとても思えないが、それでもこの映画が韓国で大ヒットを記録しているところを見ると、本作は韓国の映画ファンのツボにハマッたようだ。

イ・ジェハン監督は「戦火の中へ」でも朝鮮戦争を題材にしていて、こちらは青春映画の趣が強かった。一方、本作は、北朝鮮の軍人になりすまして作戦を遂行するスパイ映画として、実話に基づいた歴史秘話を描いたエンタテインメント作として、正統派の戦争大作である。明らかに別撮りと判る作りながら、マッカーサーを演じるリーアム・ニーソンは抜群の存在感だし、チャン大尉役のイ・ジョンジェもハードな役を熱演していて好演だ。情報を聞き出すために捕らえた敵兵を“輸送する”場面など、度肝を抜くシーンもあって、なかなか楽しい。激しい暴力描写も多いが、諜報員たちの母や妻子など、家族の存在で涙腺を刺激するのがいかにも韓国映画らしい。北朝鮮側の悪役が驚くほどしぶといのだが、彼が最後に叫ぶせりふの虚しさが余韻のように残ってしまうのは、核ミサイル実験を繰り返す北朝鮮が国際社会を脅かす現状が、現在進行形の出来事だからに違いない。
【60点】
(原題「OPERATION CHROMITE」)
(韓国/イ・ジェハン監督/イ・ジョンジェ、イ・ボムス、リーアム・ニーソン、他)
(愛国心鼓舞度:★★★★★)
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新しき世界

新しき世界 [Blu-ray]
犯罪組織に潜入した警察官の葛藤を描くクライム・サスペンス「新しき世界」。韓国版「インファナル・アフェア」は、男同士の厚い情が見所だ。

警察官のイ・ジャソンは、上司のカン課長の命令に従って、韓国最大の犯罪組織ゴールド・ムーンの潜入捜査官となる。8年もの間に、理事にまでなったジャソンは、兄貴分のチョン・チョンとの間に、兄弟のような絆と情が生まれていた。そんな時、会長の急死によって組織内の後継者争いが勃発。警察はこれを機に犯罪組織粉砕を目論み、潜入捜査を辞めるはずだったジャソンに「新世界」作戦を命じる。ジャソンは、警察に利用されていることに激しい怒りを感じると同時に、チョン・チョンを裏切っていることに罪悪感を覚えていた…。

いわゆる潜入捜査ものは、ヒリヒリした緊迫感と、自分の居場所に対する違和感、組織内で育んだ友情への苦悩が定番のスタイルだ。香港映画「インファナル・アフェア」、そのリメイク「ディパーテッド」、「フェイク」や「ハート・ブルー」などの作品が思い浮かぶ。本作が一番近いのは「インファナル・アフェア」だが、そこに「ゴッドファーザー」的なファミリーものの香りがあるのが特徴的だ。主人公ジャソンにとって冷徹な上司カンは父、自分をブラザーと呼び友情と絆を育むチョン・チョンは兄という位置付けだ。さらにそこには、チョン・チョンは薄々、ジャソンの正体に気付いていて…というサスペンスフルな展開もある。ジャソンとチョン・チョンが韓国華僑であるという同族意識が加わるのは、韓国映画の犯罪ものとしては新しい。これが最後といいながら、いつまでも自分を利用するカンに対する憤りと、チョン・チョンを裏切っている罪悪感の間で、ジャソンの神経は磨り減り、精神的に限界に達していて、ついには究極の選択を迫られることに。内面の葛藤をクールな面持ちで演じるイ・ジョンジェ、ひょうひょうとしながらも男気がにじむファン・ジョンミン、そこにいるだけで凄みを感じさせる名優チェ・ミンシクと、実力派3人の三つ巴の演技は最大の見所である。目を覆いたくなるほど過剰な暴力描写や、情に厚い友情などもまた、いかにも韓国映画らしいテイストだ。終盤の怒涛のシークエンスに、パク・フンジョン監督の、名作「ゴッドファーザー」に対するリスペクトが表れていた。
【65点】
(原題「新世界/NEW WORLD」)
(韓国/パク・フンジョン監督/イ・ジョンジェ、チェ・ミンシク、ファン・ジョンミン、他)
(バイオレンス度:★★★★☆)
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新しき世界@ぴあ映画生活

10人の泥棒たち

10人の泥棒たち [Blu-ray]
韓国版「オーシャンズ11」ともいうべき犯罪アクション・エンタテインメント「10人の泥棒たち」。スリリングな物語には愛がからんでいる。

韓国を中心に活動する窃盗団のボス、ポパイは、かつてパートナーだったマカオ・パクから新しい仕事を持ちかけられる。それは世界に一つしかない大粒のダイヤモンド“太陽の涙”を手に入れるというもの。韓国の窃盗団の6人は香港に赴き、そこで中国人の4人組と合流。それぞれの特技を活かした10人がチームを組み、ダイヤ奪取を目指すが、彼らにはそれぞれ異なる思惑や過去の事件のいきさつがあった…。

だましだまされのストーリーはまさにエンタテインメントの王道。中心になるのは、窃盗団のリーダーのポパイと、過去の事件でポパイとは因縁があるマカオ・パクの2人。マカオ・パクがコーディネートした大仕事でチームを組むことになる韓国組と中国組が初めて顔を合わせる際に、ポパイは偽のヒゲを付けている。これは口ヒゲを蓄えることによって貫禄を演出し、相手にナメられないようにとの彼なりの戦略だ。

ヒゲは、くちひげ(髭)、あごひげ(鬚)、ほおひげ(髯)で漢字を使い分けるほど多様だ。中東のイスラム圏などでは宗教的な意味合いもあるが、韓国や中国などの儒教の国では、歳を重ねる“老成”を尊ぶ習慣があるため、権威ある中高年の男性はヒゲをたくわえるのが立派で美しいとする美意識・価値観があるようだ。

ポパイが付けるのは口ヒゲ。実はこのストーリーでは、ある人物がやはり偽のヒゲを付けている。こちらはあごヒゲ。どんでん返しのひとつなので詳細は明かさないが、味方でさえも欺く窃盗団ならではの変装だ。

ダイヤ強奪作戦は、過去と現在の愛が交錯し、意外な方向へと転がっていく。この映画、何しろ女性キャラが美しくカッコいい。美貌の金庫破りペプシを演じるキム・ヘス、抜群のスタイルの良さとアクロバティックなアクションで魅了するイェニコール役のチョン・ジヒョン、中国チームの紅一点ジュリーを演じるアンジェリカ・リーも美形だし、酒浸りの熟女ガムのキム・ヘスクも実にイイ感じだ。犯罪アクションには魅力的な女性キャラは欠かせない。ソウル、香港、マカオ、そしてあっと驚くラストの舞台はプサン。それにしても。日本語も飛び交うストーリーだというのに、このアジア発の痛快エンタメ映画に日本が参加してないのは実に悲しい。

(出演:キム・ユンソク、キム・ヘス、イ・ジョンジェ、他)
(2012年/韓国/チェ・ドンフン監督)


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10人の泥棒たち@ぴあ映画生活

ハウスメイド

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無垢なメイドが禁断の愛から狂気へ至る物語。ベテランメイドの冷徹な観察眼が効いている。韓国の鬼才キム・ギヨンの「下女」(60)のリメイク。

裕福な上流階級の邸宅で住み込みのメイドとして働くことになったウニ。長年勤めるベテランメイドのビョンシクから厳しい指導を受けながら家事をこなし、妊娠中の妻ヘラと6歳の娘ナミの世話をする毎日だ。ある日、ウニの寝室に主人のフンが忍び込み、欲望に身を任せて関係を持ってしまう…。

映画の大半の舞台となる大邸宅は、まるで美術館のように一級の芸術品とモダンな調度品で飾られ、一部のすきもない。自分の望むものはすべて手に入れる主人のフンも、現在の裕福な暮らしに執着する妻のヘラも、ウニのことを見下している。傲慢さの象徴のようなその屋敷の中でそれなりのバランスだった彼らの関係は、主人のフンが、バスルームを掃除するウニの官能的な後姿に目を留めたときから、ゆがみ始める。このときの瞬間の描写が実に効いていて、中央の柱を軸に、左に部屋に妻ヘラ、右側のバスルームにウニという、挑発的な構図だ。二人の女が同時に見える中央の位置に主人のフンがいるわけだが、この主人の後ろに、老メイドのヒョンシクの存在を感じずにはいられない。事実、天真爛漫なウニの妊娠がわかり、それぞれの思惑が交錯し始めたことで、観察者であるビョンシクは初めて自分の意思を明らかにする。ウニの壮絶な決意が分かるのはその直後だ。その“復讐”は、復讐映画大国の韓国にしてみれば、正直生ぬるいと感じてしまったのだが、その後に描かれる金満一家のカリカチュアされた姿に、背筋がゾッとした。額縁に入った絵のような白々しい彼らの姿こそ、最大の衝撃かもしれない。世界が認める実力派女優チョン・ドヨンが、無邪気で官能的なヒロインを危うい魅力で演じて、相変わらず上手い。
【65点】
(原題「下女」)
(韓国/イム・サンス監督/チョン・ドヨン、イ・ジョンジェ、ソウ、ユン・ヨジョン、他)
(サスペンス度:★★★☆☆)



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ハウスメイド@ぴあ映画生活
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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