映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「カフェ・ソサエティ」「ノーエスケイプ」「追憶」「赤毛のアン」etc.

イ・ビョンホン

マグニフィセント・セブン

「マグニフィセント・セブン」オリジナル・サウンドトラック
ローズ・クリークの町の人々は、冷酷非道な実業家ボーグに支配され、絶望的な日々を送っていた。ボーグに夫を殺されたエマは、なけなしの金で賞金稼ぎのサムを雇う。サムは、ギャンブラーのジョシュをはじめ、スナイパー、暗殺者、流れ者など、腕に覚えのあるものを集める。集まった7人は最初は金で雇われた寄せ集め集団だったが、やがて町を守るための正義の戦いに身を投じるうちに、目的は金だけではなくなっていく…。

黒澤明監督の傑作「七人の侍」と、それをリメイクした秀作「荒野の七人」を原案とした西部劇「マグニフィセント・セブン」。腕の立つ7人の強者たちが町を守るという大筋は同じだが、オリジナルに敬意を払いつつも、随所に現代的な設定が施されている。7人を雇うのは勝気な未亡人で、彼女は「望むのは正義。復讐はその手段」ときっぱりと言い切る気丈な女性だ。リーダー的存在のサムは黒人で、集められるメンバーの人種も多様である。何といってもアクションがド派手だ。圧倒的な人数の敵に対し、拳銃、ナイフ、弓矢はもちろん、創意工夫を施した武器と戦法で応戦。ハリウッド映画名物の大爆発もちゃんと用意されている。だが、アクションの比重が増えた分、人間ドラマはやや薄味になった。村人(本作では町だが…)との交流や恋愛要素はあっさりとカットされているので、一人一人の背景が見えないのは少々残念。それでもアントワーン・フークア監督は、最後に変化球を用意している。凄腕の賞金稼ぎのサムには意外な思惑が。ここで、映画は「七人の侍」からセルジオ・レオーネ監督の「ウエスタン」へと一気に傾く。黒澤映画「用心棒」との因縁があるレオーネ。「ウエスタン」と「荒野の七人」の両方に出演したC.ブロンソン。無名時代、ブロンソン主演の「狼よさらば」にチョイ役で出ていたデンゼル・ワシントン。そして、デンゼル演じるサムが仕事を引き受けボーグを狙う本当の理由。すべてがつながっていて、映画の不思議な連鎖を感じてしまった。マグニフィセント(気高い、崇高な)とは少し違う色合いを帯びるので、複雑な余韻が残るのだが、ラストに鳴り響く「荒野の七人」のテーマソングを聞けば、そんなモヤモヤは一気に吹っ飛んでしまうはず。デンゼル・ワシントンとイーサン・ホークの「トレーニング・デイ」コンビや、いい意味での軽さがあるクリス・プラットは好演だし、イ・ビョンホンも存在感をきちんと示している。西部劇初心者にもおすすめのスター映画に仕上がった。
【65点】
(原題「THE MAGNIFICENT SEVEN」)
(アメリカ/アントワーン・フークア監督/デンゼル・ワシントン、クリス・プラット、イーサン・ホーク、他)
(リスペクト度:★★★★☆)
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メモリーズ 追憶の剣

メモリーズ 追憶の剣 豪華版 Blu-ray BOX
高麗王朝末期、ユベク、ウォルソ、プンチョンの3人の剣士は最強の3本の剣を手に、世を変えるべく反乱を起こす。ユベク、ウォルソは愛し合う恋人同士だった。だが権力に目がくらんだユベクの裏切りによって反乱は失敗する。ウォルソは、命を落としたプンチョンの子を連れて姿を消した。18年後、大きな権力を手にしたユベクは、自ら主催した武術大会でウォルソにそっくりな剣さばきの少女を見つけ、彼女の後を追う。やがてばらばらになった3本の剣が再び揃い、全ての真実が明かされる…。

高麗末期を舞台に、愛と復讐に翻弄される4人の男女を描く歴史アクション「メモリーズ 追憶の剣」。国際的に活躍するイ・ビョンホン、チョン・ドヨンに加え、人気グループ2PMのジュノらが共演する華麗な歴史ものだ。ユベクの恋人でその後姿をくらましたウォルソの行動がひねりすぎなので、自分からコトを複雑にしている気がしないでもない。実はウォルソには秘密があるのだが、自ら剣を持って戦うほうが納得できる。だが仲間であるプンチョンの死に責任を感じている彼女は、自らを罰するかのように、より過酷な運命を選び取ったのだろう。このあたり、韓国文化によく登場する恨(ハン)なのだろうか。恨(ハン)という言葉の本質は、深すぎてわかりにくいが、恨むという感情だけでなく、そこには無念さや悲哀、無常観もあるという。ウォルソの行動は、自分に対する恨(ハン)なのかもしれない。ラストのユベクとウォルソの運命は、究極の愛だ。韓国映画のソード・アクションは、本物の武術家が演じることが多い中国映画のそれに比べて、見劣りがするのだが、本作のアクションは、舞踏から生まれたアクション演出だそうで、なかなか見応えがある。盲目となったウォルソを演じるチョン・ドヨンは、演技力に加え、剣さばきや茶を入れる所作の美しさが際立っていた。
【55点】
(原題「Memories of the Sword」)
(韓国/パク・フンシク監督/イ・ビョンホン、チョン・ドヨン、キム・ゴウン、ジュノ、他)
(映像美度:★★★★☆)
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ターミネーター:新起動/ジェニシス

ターミネーター:新起動/ジェニシス [Blu-ray]
人類と機械の闘いを描いた名作SFをリブートした「ターミネーター:新起動/ジェニシス」。本作のサラは可愛いすぎてちょっとイメージが違うなぁ…。

2029年、人工知能の機械軍と人類抵抗軍が壮絶な戦いを繰り広げている世界。人類抵抗軍のリーダー、ジョン・コナーは、敵が母サラ・コナーを抹殺するために殺人マシーン“ターミネーター”を過去へと送り込んだことを知る。ジョンは母を守るため信頼する同志カイル・リースを1984年の過去へと送り込むが、そこでは、か弱いはずのサラはたくましい女戦士に、サラを抹殺するターミネーターT-800は、彼女を守る守護神として存在していた。過去と未来が書き換えらたことを知って驚くカイルだったが…。

SFアクション映画の金字塔である名作をリブートした本作は、J.キャメロンが監督した元祖「ターミネーター」に敬意を払いつつ、このシリーズのファンをのけぞらせるような爆弾を仕込んでいる。人類のリーダーを生む女性サラを抹殺するため過去にターミネーターを送り込むという設定が同じで思わず懐かしくなるが、サラの少女時代の出来事がきっかけで時間がリセットされ、過去も未来も書き換えられたという展開は、タイムスリップものならではの荒業だ。実際、こういう設定ならば話はどうにでもなるというもの。サラとカイル、T-800は、人工知能が再起動するのを防ぐべく再び未来へと向かうが、そこにはT-3000という最強の新型マシーンがいて、これに驚きの秘密が。ネタバレは避けるが、ファンの「えーっ、それってアリ?!」という叫びが聞こえそうだ。この設定を受け入れられれば、楽しめるだろうが、逆にガッカリさせるかも…という諸刃の刃である。それにしても本作は、真面目にやればやるほどおかし味がこみあげる妙な笑いがいっぱいだ。新旧のシュワ対決しかり、サラの守護神となったT-800が時間経過と共に老けるという設定しかり。きわめつけは、有名な決め台詞「アイル・ビー・バック」と言ってみても「はぁ?!」と返されてしまうこと。サラとT-800との擬似父娘関係は、感動というより、かけあい漫才に近い。個人的には、どこまでもクールだったターミネーターが好みなので、少々期待外れだったが、アクションの迫力は文句なしだし、何とかしてオリジナルを超えようとする心意気は評価したい。エンドロールの後に、ワンシーンがあるので、最後まで席をたたずに見ていこう。
【60点】
(原題「TERMINATOR:GENISYS」)
(アメリカ,/アラン・テイラー監督/アーノルド・シュワルツェネッガー、エミリア・クラーク、ジェイソン・クラーク、他)
(コミカル度:★★★☆☆)
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REDリターンズ

REDリターンズ ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]
引退したスパイたちが大暴れする人気アクションの続編「REDリターンズ」。やっぱりヘレン・ミレンの熟女スパイが最高にかっこいい。

引退した元CIAの凄腕エージェントのフランクは、恋人サラと共に平穏な生活を楽しんでいた。そこにかつての仲間のマーヴィンがやってきて、現役時代に自分たちが関わった小型核兵器に絡む極秘プロジェクトに起因したトラブルが発生したと告げる。フランク、マーヴィン、サラの3人は真相を探るためヨーロッパへと飛ぶ。そこには米ソ冷戦時代に核爆弾を作った天才物理学者、英国のMI6、ロシアの諜報機関がからむ陰謀が進行していた…。

「老いてますます盛ん」とは、この映画の登場人物たちにこそ最も似合う言葉ではなかろうか。彼らは引退した(はず)の凄腕スパイだが、昔の習性か、はたまた本来持っている冒険への情熱なのか、平穏な生活では決して満足できない。REDのメンバーの結束は固いのだが、敵味方入り乱れる展開は、前作のスケールを大きく上回る。今回は、フランクの元恋人でロシアの凄腕スパイにキャサリン・ゼタ・ジョーンズ、韓国人のセレブで世界一の殺し屋にイ・ビョンホン、認知症を患う天才物理学者にアンソニー・ホプキンスと、新キャラもこれまた豪華だ。もともとがDCコミック原作のコミカル・アクションなので、なんでもありのド派手な展開は本作でも健在。クレムリンにもやすやすと侵入してしまう。REDの活躍で鍵を握るのは実は女性キャラなのだが、中でもやはりヘレン・ミレンは最高だ。MI6の凄腕女スナイパー、ヴィクトリアは、自然に溶け込む迷彩服で敵を一撃で倒すかと思えば、パロディ色たっぷりの狂った女王役を演じて敵の目を欺く。その一方で、敵だった旧ソ連のスパイとは熱愛中なのだから何とも可愛い。圧巻は疾走する車から二丁拳銃をブッ放して周囲の敵を一網打尽のシークエンスだ。こんな役なのに、常に優雅なのだからほれぼれしてしまう。小型核兵器の謎は二転三転し、意外な展開へと進むのだが、そこは荒唐無稽なアクション。正真正銘のご都合主義のオチがつく。平凡な一般人であるはずのサラの冒険心にも火をつけた本作、さらなる続編も期待できそうだ。
【60点】
(原題「RED 2」)
(アメリカ/ディーン・パリソット監督/ブルース・ウィリス、ジョン・マルコヴィッチ、メアリー=ルイーズ・パーカー、他)
(豪華キャスト度:★★★★☆)
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王になった男

王になった男 プレミアムBOX [Blu-ray]
朝鮮王朝に実在した暴君の影武者を描く歴史フィクション大作「王になった男」。イ・ビョンホンが一人二役で対象的なキャラを熱演している。

1616年、李氏朝鮮第15代王で、暴君と恐れられる光海君は、権力争いの中、毒殺に怯える日々を送っていた。ある時、光海君が突然の病に倒れ、重臣たちは、王に容姿がそっくりな道化師ハソンを王に仕立て上げる。王は偽物ではないかと疑う家臣や、王の変化にとまどう王妃の追求をかわしながら影武者を務めるハソンだったが、偽の王として振る舞ううちに民を苦しめる政治の腐敗を知り、やがて操り人形ではない真の王として周囲を魅了していく…。

光海君は実在の王だが、物語は「もしも…だったら」というフィクション。歴史書の中に記された「隠すべき事は、残すべからず」というわずかな一文から、大きく想像をふくらませた物語である。突然病に倒れた権力者の身代わりを立てるという筋書きはアメリカ映画「デーブ」にそっくりだ。さらに影武者がリーダーシップを発揮して、本物にはない温かさと誠実さで周囲を魅了し、良き指導者となっていくことや、心が通わなくなったファースト・レディーの存在なども同じ。「デーブ」がコメディなのに対し、本作はシリアスな歴史ものだが、そこは韓国映画、サービス精神を発揮して、笑いと人情、アクションまで盛り込んで楽しませてくれる。何より、絢爛豪華な朝鮮王朝の宮廷生活や衣装、家具調度品を再現した美術が素晴らしい。影武者は、その存在そのものが非公式なので、どうにでも料理できる素材だ。暴君と言われる光海君は、近年の研究では、国防を強化し庶民の税負担を軽くするなどの実績が再評価されているそう。自分が病に伏せっていた15日間にハソンが行った言動の記録を読む光海君の表情は、“正しい指導者”そのもの。この物語では、光海君の隠れた資質として、ハソンの持つ優しさを描いているように思う。影武者を描いた多くの作品がそうであるように、一人二役で演じる俳優の芝居のメリハリが映画の質をあげるのだが、初の時代劇挑戦というイ・ビョンホンは、孤独で猜疑心が強い暴君と、心優しい道化を見事に演じ分けている。
【60点】
(原題「MASQUERADE」)
(韓国/チュ・チャンミン監督/イ・ビョンホン、リュ・スンリョン、ハン・ヒョジュ、他)
(リーダーシップ度:★★★★☆)
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悪魔を見た

悪魔を見た スペシャル・エディション [DVD]悪魔を見た スペシャル・エディション [DVD]
復讐ものは韓国映画の十八番。とはいえ、これほど強烈な作品は久しぶりだ。ここにはもはや善も悪もない。国家情報院捜査官のスヒョンは、殺人鬼に最愛の婚約者を殺される。無残なバラバラ死体を見たスヒョンは復讐を決意し、極秘で調査した結果、犯人は凶行を繰りかえすギョンチョルという中年男だと突き止める。スヒョンは彼を追いつめるが、あえてとどめを刺さず、GPSカプセルを飲み込ませ、野に放つ。ギョンチョルが犯行に及ぶ直前に現われ、残虐な制裁を加えるスヒョン。やがて死闘はエスカレートし、予測不能な展開になっていく…。

犯罪者への復讐の成就の基準とはなんだろう。相手を殺すことか、それとも生きながらに苦しめることか、はたまた心から反省して善人になってもらうことなのか。婚約者を奪われたスヒョンは、国家情報院捜査官という仕事柄、武器やGPSカプセルなども使えるし、そもそも卓越した格闘能力で相手に止めを刺すことも可能なのだ。だが彼はそうしない。サイコキラーのギョンチョルに、肉体的な苦痛を与えて追いつめていこうとする算段なのだ。だが物事は思い通りにはいかないもので、このギョンチョルという男、いったいどういう育ち方をしたのか、まったく反省の色がない。“性懲りもなく”とはこの男のためにある言葉で、これでは制裁を加えているスヒョンの方がくたびれもうけに思えてくるほどだ。しかしスヒョンもまた純粋な悪に深くかかわることで、自らも悪の化身になっていくところがこの作品の濃密なところだ。こうなるともう、完全に無法地帯である。そもそも、映画に登場する名悪役は、善悪を超越したところで悟りにも似た静かな境地にいるもの。だがこのギョンチョルときたら、食欲、性欲ともに旺盛で、生々しいことこの上ない。名優のチェ・ミンシクの鬼気迫る名演には、ほのかなユーモアも混じっていて、さすがは韓国映画界一の演技派だと唸ってしまう。ギャアギャアと叫びまくるチェ・ミンシクが“陽”のキャラなら、見た目は冷静だが、中身は完全に狂っているスヒョンを演じるイ・ビョンホンは“陰”のキャラ。そんな二人は磁石のプラスとマイナスのように引かれ合い、相対して決着を着けるときがくる。これがまるで“ソウ”シリーズのような様相を呈するのが違和感があるのだが、こういうけれん味こそが本作の壮絶な復讐劇にはふさわしいのかもしれない。ちなみに、司法の側の人間はいったい何をしているのか?とツッコミを入れたくなるが、韓国映画の復讐ものにそんなヤボは言わないのがお約束だ。
【65点】
(原題「I SAW THE DEVIL」)
(韓国/キム・ジウン監督/イ・ビョンホン/チェ・ミンシク/オ・サナ、他)
(インパクト度:★★★★★)


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アイリス THE LAST

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人気韓国ドラマの映画版で、ファイナルの位置付けだが、この映画版の製作意図がまったく理解できない。ドラマファン、映画ファンの両方を裏切る内容で、ドラマ未見の観客にはさっぱりわからず、ドラマをきっちりみているファンには総集編にもなりきれない内容になっている。韓国国家安全局(NSS)の特殊要員キム・ヒョンジュンは、ハンガリーでの単独任務中に負傷する。上司のペク・サン副局長に助けを求めるが拒絶され、逆に親友チン・サウに命を狙われる。巨大な秘密組織“アイリス”の謎、愛するスンヒとの過酷な運命。ヒョンジュンには、更なる裏切りと衝撃的な運命が待っていた…。

ドラマ版の映画化は、新しい事件のストーリーを提供する以外では、前日談や後日談、あるいは空白の時間を描くことで、ドラマファンと映画ファンの両方を納得させるのが通常のスタイル。決して、何十時間にも渡って描いてきた物語を無理にダイジェスト版にすることではないはずだ。本作は、ラストの数分を除いて、荒っぽいつなぎの総集編の趣しかない。大々的な海外ロケとして、ハンガリー、日本、上海と「ボーン」シリーズ並みに世界を駆けまわる様は、映画で初めてこのドラマに触れる観客に対してスケール感を演出するもの。もっとも、ロケ費用の安い東欧、重要なマーケットである日本、経済発展著しい中国と、商業主義の匂いがプンプンするが。しかも他国であれだけ派手に暴れておきながら、その国の警察組織からはほとんど無視されているから笑いが出てしまう。キャッチコピーには「すべて映画で明かされる」とあるが、国家間の紛争や軍備拡張で莫大な利益を得ている巨大秘密組織“アイリス”の謎は、これで明かされたと言えるのだろうか。一応、サスペンスなので詳細は語れないと言いたいが、ドラマを見続けてきたファンにはまるでデジャヴのようで、ネタバレも何もあったもんじゃないだろう。最後の最後に、主人公を撃つ人物が誰かが分かるのがこの映画最大にして唯一のウリ。だからといってそれが納得できるかどうかは、また別問題だ。この映画は日本最速公開だそうだから、とりあえずアイリスファンは必見。たとえどれほど失望したとしても、見届けておくのがファンの務めなのだ。
【20点】
(原題「IRIS THE LAST」)
(韓国/ヤン・ユノ監督/イ・ビョンホン、キム・テヒ、キム・スンウ、他)
(ダイジェスト度:★★★★☆)

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映画レビュー「グッド・バッド・ウィアード」

グッド・バッド・ウィアード 特別版 (2枚組) [DVD]グッド・バッド・ウィアード 特別版 (2枚組) [DVD]
◆プチレビュー◆
満州が舞台の韓国製ウェスタンは勢いが勝負。レオーネファンとしては苦言を呈したくなる。 【60点】

 日本軍占領下の1930年代の満州。賞金ハンターのパク・ドウォン(グッド)、冷酷なギャングのパク・チャンイ(バッド)、間抜けなコソ泥のユン・テグ(ウィアード)の3人は、謎の宝の地図を巡って争奪戦を繰り広げることになる…。

 「愛してる」だの「死んでも君を守る」だのと言いながら、男女共に涙を流し、四六時中“泣き”が入るのが韓国映画。メロドラマのイメージが強く、敬遠している映画ファンも多いと思うが、そんな先入観を拭い去ってくれるのがこの韓国製ウェスタンだ。キムチ・ウェスタンとでも呼びたい本作は、名匠セルジオ・レオーネのマカロニ・ウェスタン「続・夕陽のガンマン」(1966)にインスパイアされたという。タイプの違う3人の男の宝探しという点はもちろん、随所の描写が酷似しているが、ムチャクチャ感は本作の方がずっと上だ。

 事の発端は日本軍が極秘にしたという宝の地図。その宝の正体は謎のまま、人種のるつぼで混沌極める満州を舞台に、ギャングとコソ泥、日本軍と抗日組織、馬賊までもが地図を奪い合う。そこにクールな賞金ハンターがからみ、ド派手な列車強盗や銃撃戦が繰り広げられるという寸法だ。果たして宝にたどり着けるのか。そしてその宝とは。日本軍や満州の描写はかなりいいかげんだが、そこは無国籍アクション。固いことを言うまい。映画は、活劇に徹し、美人揃いの韓国有名女優さえ物語から締め出すほど、男たちが暴れまくる。

 だが、しかし。設定がムチャクチャなのはいいとしても、こうまで物語の流れにメリハリを欠くのはいかがなものか。メロドラマにせよアクションにせよ、万事が過剰なのが韓国映画の特徴だが、本作も全編これクライマックスといわんばかりに騒がしい。この映画が「続・夕陽のガンマン」の“リメイクもどき”であることはこの際不問だ。レオーネ自身、「荒野の用心棒」で黒澤映画を盗作したと訴えられた経緯を踏まえると、パクリというのも狙ったようで面白い。だが、せっかく抜群の手本があるのだから、騒々しいだけでなく、ドラマに気を配ってほしかったと思うのは、大のセルジオ・レオーネファンの私だけではないはずだ。コソ泥のユン・テグの正体など、宝探しとは別の話。ラストの決闘の場面はそっくりでも、そこに至る道筋が説得力に欠けては何もならない。

 それでも、リアル嗜好のアクションが大迫力なので退屈とは無縁だ。全方向地平線の満州は、中国のゴビ砂漠での過酷なロケのたまもので、素晴らしい舞台装置となった。馬やバイクで縦横無尽に暴れる韓流スターの姿は、見ていてスカッとする。特にチョン・ウソンがいい。全力疾走で馬を駆りながら、ウィンチェスター銃をぶっ放す様は、イケメンのウソンならではの絵になる構図だ。

 「続・夕陽のガンマン」の伊語原題は「Il Buono, il brutto, il cattivo(いい奴、悪い奴、汚い奴)」。“汚い”とはいったいどんな行為なのかを考えさせるところに深みがあった。韓流ウェスタンの快作はその域には至らなかったが、まずは韓国映画のイメージを打ち破った、スケールの大きな痛快エンタメ活劇の誕生に拍手をおくるべきだろう。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)トンデモ度:★★★★☆

□2008年 韓国映画 原題「The good,The Bad,The Weird」
□監督:キム・ジウン
□出演:イ・ビョンホン、チョン・ウソン、ソン・ガンホ、他

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G.I.ジョー

G.I.ジョー [DVD]G.I.ジョー [DVD]
世界を救っているのか、ブッ壊しているのか、区別がつかない超ド級のアクション映画は、人気ミリタリー・フィギュア・シリーズの実写映画化。近未来を舞台に、破壊兵器ナノマイトを奪った悪のテロ組織コブラに、国際機密部隊G.I.ジョーが立ち向かう。だが、隊員のリーダーのデュークには、コブラに所属する美女バロネスと浅からぬ因縁が。悪徳武器商人や謎の科学者などが入り乱れ、エジプト、パリ、北極と、世界中で激しい攻防を繰り広げる。

これだけ目立っておいて、G.I.ジョーのどこが“機密部隊”なのかと言いたくなるが、ヘンテコ日本描写など、ツッコミどころは山ほどあって、きりがないので止めておく。長所は、ハイ・スピードで話が進むのに、キャラが抜群に分かりやすいので混乱がないことだ。タフガイで正義感の主人公を中心に、ジェット機操縦の名人、頭脳明晰な美女、寡黙なニンジャといった具合。敵側も負けずに個性的だ。韓流スター、イ・ビョンホンが悪役で米映画進出を果たしているのは目を引く。ヘタな成長物語や中途半端な心理描写をバッサリ切り捨てて、アクションに徹しているのが何より潔い。花の都パリを舞台にした大乱闘や、海中の秘密基地でのバトルは荒唐無稽を絵にかいたよう。登場人物がハイパー・スーツを着用し、数々のガジェットを駆使して超人的に活躍する図を見ていると、もはやストーリーなど二の次に思えてくる。破壊度ばかりが高く、見終わって何も残らないが、このテの映画ではかえってそれが心地よいというものだ。
【55点】
(原題「G.I. Joe: The Rise of Cobra」)
(アメリカ/スティーヴン・ソマーズ監督/チャニング・テイタム、シエナ・ミラー、イ・ビョンホン、他)
(男子映画度:★★★★☆)

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アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン

アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン 通常版 [DVD]アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン 通常版 [DVD]
監督が映像美で鳴らすトライ・アン・ユンで、米・韓・日のイケメン俳優競演とくれば、期待するファンも多かろう。だが、残酷描写やグロテスクなオブジェが登場するハードな内容なので要注意だ。心に傷を抱える探偵クラインが探すのは、謎の青年シタオ。一方、香港マフィアのボスも溺愛する愛人を探す過程で彼を追っていた。

シタオは他人の傷を引き受けるキリストのような存在だが、探偵やマフィアの救いにはならない。無慈悲な傷を受けながら何度でも生き返るが、結局誰の人生にもかかわらない。これがキムタク・キリストの限界か。第一、救世主を信じる地盤がこの物語にはない。“痛み”をテーマに宗教的な深読みもできるが、単純にキワモノとして見るに限る。何もかもちぐはぐなこの話は、トライ・アン・ユンの新しい挑戦なのだから。
【45点】
(原題「I come with the rain」)
(フランス/トラン・アン・ユン監督/ジョシュ・ハートネット、イ・ビョンホン、木村拓哉、他)
(流血度:★★★★☆)

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プロフィール
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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