映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
毎日のレビューは分かりやすく簡潔な寸評で、週1本の長文映画レビューでは作品をディープに掘り下げます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる公開作品 ◎
「ファミリー・ツリー」「ダーク・シャドウ」「サニー」

ウィル・フェレル

アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事(デカ)!

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“俺たち”シリーズの新しい主役は、その他大勢の刑事たち。笑いはスベり気味だが、金融業界を悪役にした物語は隠れ社会派だ。ラストに猛毒が仕込まれている。

ニューヨーク市警のテリーとアレンはスーパーヒーローとはほど遠い刑事コンビ。正義感は強いが、熱血が空回りするドジなテリーと、現場よりデスクワークが好きなアレンは、署内でいつもバカにされている。だが、アレンが処理していた書類仕事が、金融界の巨大な不正事件の摘発に発展していくことになり…。

アメリカ映画はヒーローが大好き。スクリーンには超絶的な活躍をするタフな刑事たちが山ほどいる。本作の冒頭でも、サミュエル・L・ジャクソンとドウェイン・ジョンソンのヒーロー・コンビが派手な銃撃戦やカーチェイスで大暴れするが、二人はあっさりと殉職。彼ら亡き後、次期スター候補を狙う“その他大勢(アザー・ガイズ)”は浮き足立つというわけだ。実際、花形刑事の活躍を支えているのは、名もない警官たちなので、目の付け所は面白い。物語は、駄目刑事ぶりを示すエピソードが無駄に多く、アレンの妻で超セクシーなシーラとのやりとりや、テリーが突如踊りだすなど、ほとんど意味のないギャグが満載。だが、そのギャグの合間にテリーとアレンが追う相手がちょっと変わっている。連続殺人犯や麻薬王ではなく、証券マンなのだ。木製のおもちゃのピストルやエコカーを駆使して、すったもんだしながら、結果として投資詐欺の巨悪に立ち向かってしまう。ウィル・フェレルという俳優のギャグは下ネタ系が多いせいか、どうも日本ではウケが良くないし、マーク・ウォルバーグもコメディにはフィットしていない。サービス精神は認めるが何だか消化不良の感があるコメディだなぁ…と思っていると、最後のエンドクレジットに思わぬ“爆弾”が仕掛けてあった。アニメーションを使って、世界不況を招いた金融崩壊の仕組みを巧みに説明し、詳細なデータを明記。おバカコメディのふりをして、根っこは硬派な作品なのである。これだから米映画のコメディは侮れない。
【65点】
(原題「The Other Guys」)
(アメリカ/アダム・マッケイ監督/ウィル・フェレル、マーク・ウォールバーグ、エヴァ・メンデス、他)
(脱力感度:★★★★☆)



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マーシャル博士の恐竜ランド

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ギャグセンスの違いか、言葉の壁か。アメリカでは人気だが日本ではさっぱり不人気のコメディ俳優ウィル・フェレル。ビミョーな立ち位置の彼が主演の本作は、恐竜という“登場人物”のおかげでアトラクション的な楽しさが満載だ。タイムワープの研究が専門で学会の笑い者のマーシャル博士は、彼を信じる女性ホリーや土産物屋のウィルと共に、完成した装置を使って時空間の歪みを通過、異次元世界に迷い込む。そこは、恐竜や類人猿が生息し、あらゆる時代の残骸が混在する摩訶不思議な世界だった。

文明の廃墟のような世界は妙に哲学的。そこで繰り広げられるギャグはチープでおトボケ。なのに、CGで再現された恐竜のリアルさはハンパではない。力の入れ所にメリハリがあるのはいいが、正直、笑いのツボがどこにあるのかと悩んでしまう。この作品のベースになっているという1970年代のTVシリーズ「LAND OF THE LOST」は未見だが、失われた世界と現代社会の残骸、さらには宇宙にまで広がる壮大でハチャメチャな世界観は映画ならでは。ありえない世界にあっさりと順応しながら、ひたすらサバイバルする途中に何度も響く「コーラスライン」のメロディには笑った。終盤の山場である、トカゲ人間が王国を築いているという設定には力が抜けるが、どこかB級映画の名作「大アマゾンの半魚人」を思わせて憎めない。確信犯的おバカテイストと、いたって本気のCG。このあたりのギャップを味わえれば楽しめよう。
【50点】
(原題「LAND OF THE LOST」)
(アメリカ/ブラッド・シルバーリング監督/ウィル・フェレル、ダニー・R・マクブライド、アンナ・フリエル、他)
(シュール度:★★★★★)

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俺たちダンクシューター

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ハジケた笑いに欠ける中途半端なスポーツ系コメディ。70年代に実在したプロのバスケ・リーグABA。パフォーマンス重視のチームが、NBAに吸収され解散直前のリーグで、最後の意地を見せる物語だ。摩訶不思議な技は登場するものの、ダンクや技術はさして重要じゃない。全体的にギャグにキレがないのは、パンチのある悪役の不在と、実話の感動が笑いの温度を下げたためだろう。フェレルのコメディは、おバカに徹っしてこそ評価されるのに。邦題の“俺たち”は同じでもフィギュアスケーターの爆笑にはほど遠い。全編に流れる70年代サウンドと、子グマ対決が貴重な笑い所だ。
【45点】
(原題「Semi-Pro」)
(アメリカ/ケント・オルターマン監督/ウィル・フェレル、ウディ・ハレルソン、アンドレ・ベンジャミン、他)
(キモセクシー度:★★★★☆)

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俺たちフィギュアスケーター

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男子フィギュアのペアという暑苦しいアイデアだけで勝ったも同然だ。下ネタ満載で、品位のかけらもないおバカなコメディなので、良識派には勧めない。だが、日頃エラそうにコ難しい映画評をブッている輩(注:筆者含む)に限って、こういう映画が大好きだということを、私はちゃーんと知っている。

ちなみに原題「BLADES OF GLORY」から、ボン・ジョヴィの名曲「BLAZE  OF GLORY」をパロッた内容かと勘違いする音楽ファンがいそうだが、どうも関係ないようだ。むしろ邦題がフェレルの出演作「俺たちニュースキャスター」を安易に踏襲したもので、日本側の扱いの軽さが伺える。

勘違い系のワイルド男チャズと、ちっとも美しくない白馬の王子様系ジミーは共に実力あるスケーターだが、その真逆のキャラが災いし犬猿の仲。大会でダブル優勝したはいいが表彰台で大喧嘩し、スケート界から永久追放されてしまう。規則の盲点をつき、前代未聞の男子ペアとして復帰した彼らだったが…。

日本でも大人気のフィギュア・スケートというのは、ピラピラ・派手派手な衣装に、ビールマンスピンやイナバウワーなどの非常識な体のポーズ、“氷の上”で演技する真意さえ不明のナルシスティックなダンス系競技である。美しさと高度な技術に惑わされるが、落ち着いて考えてみれば、極めて不自然な珍スポーツと言えよう。これをコメディのネタとして再認識した製作者はスゴい。米国では大人気・日本ではさっぱり不人気のウィル・フェレルと、「バス男(原題:ナポレオン・ダイナマイト)」の脱力キャラがハマッていたジョン・ヘダーという絶妙な組み合わせで、とことんおバカな映画を作ってしまった。しかも新旧有名スケーターが惜しげもなくゲスト出演。チョイ役でルーク・ウィルソンの登場もあるサービス精神も嬉しい。こういう映画は、根性もポリシーもいっさい不問で、最高に楽しめるのがイイところなのだ。堅いことを言うのはヤボである。

手先に孔雀の頭を付ける衣装センス、北朝鮮がらみの命がけの必殺技、サーシャ・コーエンの懐の深いバカ演技、あまりにアホらしいSF調ラスト。笑い所を数え上げたらキリがない。あぁ、日本公開、おめでとう!2007年ベスト・コメディはこれで決まりだ。

【75点】
(原題「BLADES OF GLORY」)
(アメリカ/ウィル・スペック、ジュショ・ゴードン監督/ウィル・フェレル、ジョン・ヘダー、ウィル・アーネット、他)
(爆笑度:★★★★★)

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主人公は僕だった

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ただのコメディかと思ったらかなりの秀作で驚き。自分の死にどう向き合うかは普遍的な主題だ。ある日、自分の行動を詳細に説明する声が聞こえた男が主人公。なんと彼は小説の中の主人公だったという発想だけで、勝ったも同然だ。フェレルが苦手な人もぜひ。
【90点】
(原題「STRANGER THAN FICTION」)
(アメリカ/マーク・フォースター監督/ウィル・フェレル、エマ・トンプソン、ダスティン・ホフマン、他)
(おすすめ度:★★★★★)

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奥さまは魔女

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◆プチレビュー◆
元祖サマンサはエリザベス・モンゴメリー。当時の映像との合成でもいいから、ニコールと共演してほしかった。フェレルは米国では大人気コメディアンで、コメディではニコールより格上。

イザベルはTVドラマ「奥さまは魔女」のサマンサ役に大抜擢。ダーリン役のジャックは自分が引き立つために、この役を新人にやらせようとの企みだったが、実はイザベルは普通の恋にあこがれて人間界にやってきた本物の魔女だったのだ…。

フランスでバネッサ・パラディを主演に数年前にリメイクされたのが、往年の人気TVドラマ「奥さまは魔女」。何とも中途半場な駄作に終わった仏版とは違って、今回は、TVドラマとしてリメイクする様子を映画にするという変化球だ。なかなか上手い設定である。

映画の魅力の大半を占めるのは、久しぶりにかわいい役を演じるニコール・キッドマン。鼻をピクピクするお馴染みの仕草と、ポップな色彩の衣装が楽しい。魔女と普通の人間の恋物語だが、ハッピーエンドはもとから読める。ただし、主役二人の恋愛成就以外は、相当にいいかげんな終わり方だ。とりあえずニコールの魅力にひたろう。

旬の女優の肩肘張らない演技を安心して楽しめるが、脇役も実は豪華。特に魔法界のプレイボーイで、イザベルの父を演じるマイケル・ケインが最高だ。スーパーの食料品のパッケージにことごとく姿を変えて現れ、あれこれと会話する場面は一番のお気に入りだ。監督は「ユー・ガット・メール」の女性監督ノーラ・エフロン。いい意味で、頭を使わずに気楽に楽しめる娯楽作と言えるだろう。

□2005年 アメリカ映画 原題「Bewitched」
□監督:ノーラ・エフロン
□出演:ニコール・キッドマン、ウィル・フェレル、マイケル・ケイン、他

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奥さまは魔女@ぴあ映画生活
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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