映画通信シネマッシモ


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

エミリー・ブラント

ガール・オン・ザ・トレイン

ガール・オン・ザ・トレイン ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]
夫トムと離婚し、深い悲しみに沈むレイチェルは、通勤途中の列車の窓から見る幸せそうな“理想の夫婦”の姿を見るのが唯一の楽しみだった。その夫婦を見ては、幸福だった頃を思い出すレイチェルだったが、ある日、理想の妻の不倫現場を目撃してしまう。翌日、電車を降りて彼らの家に向かったレイチェルは、ふいに記憶を失くしてしまう。気が付くとレイチェルは、自分の部屋で大怪我を追って倒れていた。そして間もなく、理想の妻の死体が発見される。レイチェルは、あの日の空白の時間のおかげで、周囲から疑惑の目を向けられてしまう…。

ポーラ・ホーキンズの小説を基にしたミステリー「ガール・オン・ザ・トレイン」。電車の窓から見た不倫現場、その後の殺人、事件に巻き込まれる主人公…というと、何やらヒッチコックの「裏窓」を連想してしまうが、全編を漂う不穏な空気と思いがけない展開は、むしろ「ゴーン・ガール」に近いかもしれない。事件の関係者の思いがけない秘密が次々に露見する展開は、ミステリーのセオリー通りだが、本作がユニークなのは、ヒロインのレイチェル自身が非常に不安定なキャラクターだということだ。夫との離婚で悲しみに沈む彼女は、アルコールに溺れ、自分や他人に嘘をつき、時に記憶障害(ブラックアウト)になるほど情緒不安定である。素人探偵が真相を究明し犯人を捜すというスタイルを取るミステリーだが、もしかして自分が犯人なのでは…という疑惑がレイチェルをより不安定にさせている。主人公がネガティブな上に、不倫、離婚、ストーカー、暴力に殺人と、これでもか、と言わんばかりのドロドロ状況が続くのだが、終始虚ろで悲しげな表情のエミリー・ブラントが怪演に近い熱演をみせて素晴らしい。他の女優陣も皆好演で、不誠実で信用ならない男性キャラという設定と相まって、ユニークな女性映画に仕上がっている。暗いミステリーだが、ラストの衝撃的な決着の付け方は、女性なら、カタルシスを感じてしまうはずだ。ヒロインの心理状態を映すかのような、どんよりと暗く冷たい空気を映した映像が出色だった。
【75点】
(原題「THE GIRL ON THE TRAIN」)
(アメリカ/テイト・テイラー監督/エミリー・ブラント、レベッカ・ファーガソン、ヘイリー・ベネット、他)
(不穏度:★★★★☆)
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スノーホワイト 氷の王国

スノーホワイト-氷の王国- ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]
スノーホワイト(白雪姫)とハンターのエリックによって、邪悪な女王ラヴェンナは滅ぼされた。だがラヴェンナには、強大な魔力を持つ妹フレイヤがいた。かつて、ある事件によって心を閉ざし、氷の魔法を操る力に目覚めたフレイヤは、氷の王国で訓練した軍隊を使って魔法の鏡を奪い、ラヴェンナを復活させて姉妹の魔力で世界を手に入れようと目論んでいた。フレイヤの軍隊で育ったエリックとサラは愛し合っていたが、フレイヤによって引き裂かれる。エリックは、フレイヤの恐ろしい計画を阻止しようと鏡を破壊しようとするが…。

前作「スノーホワイト」の前日譚にして続編となるファンタジー・アクション「スノーホワイト 氷の王国」。前作のヒロインの白雪姫(スノーホワイト)のクリステン・スチュワートの不倫騒動のおかげ(せい?)で、続編である本作にはスノーホワイトは登場しない。戦士エリックが一応主役という位置付けだが、滅んだはずの邪悪な女王ラヴェンナには、実はさらに強大な魔力を持つ妹のフレイヤがいたという、かなり強引なストーリー展開だ。こういう設定なら、妹、弟、兄、姉、従妹…とどこまでも続編が作れるじゃないか…!と心の中でツッコミを入れてしまうが、妹にして氷の女王フレイヤがあまりに「アナ雪」のエルサ的で思わず苦笑する。それでも、ラヴェンナ役のシャーリーズ・セロン、フレイヤ役のエミリー・ブラントの2人の女優が圧倒的に美しく存在感たっぷりなので、ムチャな設定のストーリーも何とかセーフだ。ラヴェンナが金、フレイヤが銀と、ビジュアル的にもゴージャスで、2人が過去の秘密によって激突する終盤のバトルは、VFXの迫力とともにその美しさに目を見張る。この美人姉妹の前では、ハンターのエリックと戦士サラの恋愛模様など、ほとんど付けたしのよう。ストーリーは二の次にして、アクションとビジュアルに比重を置いた作りは、監督のセドリック・ニコラス=トロイアンが視覚効果出身だからだろうか。本作が初の長編監督デビュー。次回作に期待しよう。
【50点】
(原題「THE HUNTSMAN: WINTER'S WAR」)
(アメリカ/セドリック・ニコラス=トロイアン監督/クリス・ヘムズワース、シャーリーズ・セロン、エミリー・ブラント、他)
(ゴージャス度:★★★★☆)
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ボーダーライン

ボーダーライン [Blu-ray]
エリートFBI捜査官のケイトは、巨悪化するメキシコ麻薬組織ソノラ・カルテルを撲滅するため、アメリカ国防総省特別部隊に選抜される。特別捜査官グレイヴァーに召集されたケイトは、謎のコロンビア人・アレハンドロとともに国境付近の捜査を開始。しかしその極秘任務は、仲間の動きさえ把握できず、人の命があまりにも簡単に奪われる、常軌を逸した任務だった。法が機能しない世界で正義を模索するケイトは、非情な現実とアレハンドロがこの作戦に参加した真の目的を知ることになる…。

メキシコの麻薬戦争の実態を圧倒的な臨場感で描くサスペンス・アクション「ボーダーライン」。メガホンを取るのが、秀作「灼熱の魂」や「プリズナーズ」で注目された鬼才ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督ということで、そのドライなタッチや、善悪や正義の概念を揺さぶる問題作であることは容易に想像できる。テーマは、麻薬カルテル撲滅のための最前線での戦いだ。ほとんど実録ものに近い本作の臨場感や緊張感は、ただごとではない。ヒロインのケイトは、正義感が強いモラリスト。そんな彼女は、メキシコ麻薬カルテルとアメリカ合衆国DHS(国土安全保障省)との壮絶な戦いの中、善悪の境界(ボーダーライン)の喪失と、あまりに深い闇を知ることになる。腐敗しきった暴力の世界では、悪は悪をもって征するしかないのか。寡黙で謎めいたコロンビア人・アレハンドロの本当に目的と、彼が背負った過去に、言葉を失う。演じるベニチオ・デル・トロの怪演に近い熱演に圧倒されるが、私たち観客は、FBI捜査官としての正義を、味方からも踏みにじられることになるケイトのとまどいと無力感に共鳴するはずだ。舞台となるメキシコの街フアレスは、みせしめの首なし死体が吊り下がり、常に銃声が鳴り響く、この世の地獄のような場所。そんな場所での命がけの戦いを描いているのに、映像は不思議なほど流麗だ。名カメラマンのロジャー・ディーキンスの手腕が冴えている。
【75点】
(原題「SICARIO」)
(アメリカ/ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督/エミリー・ブラント、ベニチオ・デル・トロ、ジョシュ・ブローリン、他)
(緊張感度:★★★★★)
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イントゥ・ザ・ウッズ

イントゥ・ザ・ウッズ MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
おとぎ話を新解釈し主人公たちのその後を描くミュージカル「イントゥ・ザ・ウッズ」。豪華キャストの歌声が圧巻。

パン屋の夫婦は子供が授からないのは魔女の呪いのせいだと知る。魔女から、森に入り「白い牛、赤い頭巾、黄色い毛、金のように輝く靴」を集めるように言われ、夫婦は願いを叶えたい一心で森に入っていった。時を同じくして、赤ずきん、シンデレラ、ジャック、ラプンツェルらも、それぞれの願いを胸に、森へと向かう。パン屋の夫婦と彼らが出会い、運命は思わぬ方向へと転がり始めるが…。

もともとはブロードウェイの大人気ミュージカル。おとぎ話の主人公たちは“めでたし、めでたし”のその後、さて、どうなったのか。また彼らの本当の願いはなんだったのか。これはそんな“裏おとぎ話”だ。当然、シニカルでブラックである。何しろ、赤ずきんは素直じゃないし、ジャックが豆の木による冒険を望むのはお金のため。シンデレラの結婚は決して単純な幸せではないし、そもそも王子は欠点だらけだ。悪役の魔女の、若く美しくありたいという願いだって決して責められない。こんな内容を、ファンタジックなおとぎ話が十八番のディズニーが映画化するというのだから、まず驚いてしまう。しかもこの映画の後には本家本元の「シンデレラ」の公開が控えていて、夢と現実の両方で勝負するとは、根性が据わっているではないか。映画の方は、おとぎ話につきもののVFXは控えめで、歌の魅力を全面に押し出した形だ。おかげでアドベンチャー要素は薄れ、テンポもちょっと悪いのだが、本作はあくまでも大人向け。やはり元が舞台というだけあって演劇的と解釈するべきだろう。大団円の後のほろ苦い現実。だがそれさえも乗り越えるクライマックスに、不思議な感動がある。メリル・ストリープ、エミリー・ブラントら、実力派俳優たちが披露する歌唱力と演技力を堪能したい。
【65点】
(原題「INTO THE WOODS」)
(アメリカ/ロブ・マーシャル監督/メリル・ストリープ、エミリー・ブラント、ジェームズ・コーデン、他)
(新解釈度:★★★★☆)
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オール・ユー・ニード・イズ・キル

オール・ユー・ニード・イズ・キル ブルーレイ&DVDセット(初回限定生産/2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]
タイムループの能力を手にした主人公が死と覚醒を繰り返しながら戦うSFアクション「オール・ユー・ニード・イズ・キル」。ヘタレのトム・クルーズがハイスピードで成長する姿が見もの。

謎の侵略者ギタイによって滅亡寸前に追い込まれた近未来の地球。戦闘経験のないケイジ少佐は、戦場の最前線に送られるがギタイに襲われすぐに命を落とす。だが落命したその瞬間、ケイジは出撃前に戻っていた。彼は、出撃と戦闘、死と覚醒を繰りかえすうちに、特殊部隊の軍人で“戦場の女神”と呼ばれるリタと出会う。彼女もまたケイジと同じくタイムループに巻き込まれていたのだ。リタの訓練で戦闘技術を磨き、最強の兵士となっていくケイジだったが、ある時、このタイムループから抜けだし、侵略者に打ち勝つ糸口を探り当てる…。

ド派手なハリウッド製映画だが、本作の原作は桜坂洋のSF小説。日本のライトノベルが、日本びいきの大スター、トム・クルーズによってエンタテインメント作品に生まれ変わるという経緯は、それだけで興味をそそる。軟弱な主人公が、死と覚醒を繰り返しながら最強の兵士へと成長していくという、ゲーム感覚たっぷりのストーリーだが、数多くの映画で一流のヒーローを演じてきたトム・クルーズが、腰抜け男の成長物語にピタリとはまっている。最強の美女によって鍛え上げられる“マトリックス”的な展開ながら、同じ日を繰り返すことで学習し、戦闘能力を上げながら屈強な兵士へと変わっていくプロセスには、ほのかなユーモアがあって飽きさせない。ダグ・リーマンらしいスピーディな演出やカット割にもキレがあるし、まるでガンダムのような鋼鉄の戦闘スーツも、ロボットアニメ大国の日本らしさを醸し出している。もちろんトム・クルーズ主演のエンタメ映画らしく、コ難しい理屈は抜きだ。だがドライな死の裏側に、実は独特の“徒労感”があるのは見逃せない。ドラマとしての深みがないのは残念だが、RPG的楽しさを追求するなら間違いなく楽しめる1本。迫力のバトルを堪能するためにも3Dがおすすめだ。
【65点】
(原題「EDGE OF TOMORROW」)
(アメリカ/ダグ・リーマン監督/トム・クルーズ、エミリー・ブラント、ビル・パクストン、他)
(スピード感度:★★★★★)
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LOOPER/ルーパー

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今の自分と未来の自分が出会う前代未聞のSFタイムトラベルの秀作「LOOPER/ルーパー」。最大の見所は無気力な主人公の心の成長だった。

近未来。開発されたタイムマシンの使用は禁じられ、犯罪組織が殺したい相手を証拠を残さずに消し去るため過去に転送する目的で悪用していた。そこでターゲットを消すのはルーパーと呼ばれる殺し屋だ。凄腕ルーパーとして名をはせるジョーは、ある時、いつも通り単純な仕事として請け負った暗殺の仕事で、何と30年後の自分と対峙してしまう。一瞬、引き金を引くことをためらったジョーの不意をつき“未来のジョー”は街へと消える。「奴を殺さなければ自分が消される!」。必死に追跡し、未来の自分を追いつめたとき、彼がこの時代へ来た驚くべき理由が明かされる…。

学園ハードボイルドの佳作「BRICK ブリック」のライアン・ジョンソン監督と主役を演じたジョセフ・ゴードン=レヴィットが再び組んだ本作は、実にユニークなSFアクションだ。“同じ時に同じ者が同時に存在してはならない”というタイムトラベルのセオリーをあっさりと破ってみせるのが刺激的で、物語には、先読み不能の面白さやスリリングなアクション、そして驚愕の結末が混在する。だが実は、本作のキモは、自分本位に生きていた主人公の心の成長にある。凄腕のルーパーのジョーは、犯罪の闇の世界で生きる男で、殺しの仕事や高額の報酬に満足し、他者と真剣に係わることもない。そんな彼が未来から来た自分のある目的を知ることで、自分がたどる運命を知り、負の連鎖を断ち切ることを決意。さらに愛するものを守ろうとするのだから、泣かせるではないか。ヤング・ジョー役のジョセフ・ゴードン=レヴィットは、オールド・ジョーを演じるブルース・ウィリスに、特殊メイクだけでなく、立ち居振る舞いも意識的に似せていて、芸が細かい。しかも本作が、腕力勝負のアクションではなく、人間の心理をつく繊細な物語である点が、旬の俳優ジョセフ・ゴードン=レヴィットの個性に合っている。今の自分は未来の自分を殺せるのか?今の自分が未来の自分に殺されたら、未来の自分は存在しないのだから今の自分は死なないのでは?? 数々の「?」が頭をよぎって悩みはつきないが、そんなことよりもストーリーの意外な方向性の面白さにやられてしまった。
【75点】
(原題「LOOPER」)
(アメリカ/ライアン・ジョンソン監督/ブルース・ウィリス、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、エミリー・ブラント、他)
(スタイリッシュ度:★★★★☆)
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アジャストメント

アジャストメント [DVD]アジャストメント [DVD]
運命に抗う男女の物語は、SFアクション大作として見ると肩透かしをクラう。むしろラブ・ストーリーとして楽しみたい。

若き政治家のデヴィッドは、ある日、エリースという美しいバレリーナと出会いひと目惚れする。だが次の瞬間に、彼は見知らぬ男たちに拉致されてしまう。“アジャストメント・ビューロー(運命操作局)”と呼ばれる男たちは、本来エリースとは恋に落ちる予定ではなく、二度と会えないのだと告げるのだった。2人を引き離し、“運命の書”に従わせることが目的と言われ、デヴィッドは混乱するのだが…。

原作はSF界の巨匠フィリップ・K・ディックの短編小説「調整班」だ。独創的な設定だが、映画を見てみるとスケールは非常に小さく、運命を操作するという超人的な力を持つ“アジャストメント・ビューロー”も、どこか小役人風でさえある。異次元へのキーアイテムが帽子だったり、日常のドアが非日常に続いていたりと、小技が効いているところはいかにもディック風なのだが、物語は「ボーン」シリーズのようなキレのいいアクションとはほど遠いものだ。誰からも支配されない自分自身の“運命”を取り戻す目的も、世界や人類を救うのではなく、あくまでも愛のため。このこじんまりとした物語は、紛れもなく恋愛映画だ。武器は“誰かを強く愛するその思い”なのだから、何ともロマンティックな話ではないか。おかげで映画の焦点は少々ボヤケたが、単身で巨大な力に挑む姿はマット・デイモンの十八番でもある。携帯がいきなり圏外になったり、タッチの差でバスに乗り遅れたり、肝心な時に転んだり。これらがすべて運命操作局のせいだと言われれば不運を嘆く気も失せるが、映画は最終的に、あきらめずに闘えば道は開けるというまっとうなメッセージへと辿り着く。意外なほど健全で前向きな作品なのだ。
【60点】
(原題「THE ADJUSTMENT BUREAU」)
(アメリカ/ジョージ・ノルフィ監督/マット・デイモン、エミリー・ブラント、アンソニー・マッキー、他)
(アクション度:★★☆☆☆)
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ウルフマン

ウルフマン ブルーレイ&DVDセット [Blu-ray]ウルフマン ブルーレイ&DVDセット [Blu-ray]
狼男といえば恐怖映画の不動のレギュラーメンバーで、ホラーにもコメディにもなる便利な素材。意外性のあるキャスティングと、格調高く正統派アプローチで描く本作は、さしずめゴシック・ホラーだ。19世紀末、人気俳優のローレンスは生家ダルボット城がある村に帰郷する。到着早々、無残な兄の遺体と対面するが、それは人間以外の魔物の手による犯罪としか思えぬほど切り裂かれていた。村人はウルフマンの仕業として恐れ、犯人の捜索が行なわれるが、ローレンスはウルフマンに襲われた上、自らもウルフマンに変身してしまう…。

ウェアウルフやライカンなど、獣人伝説は世界中のあらゆる時代に存在する。だが科学と魔術が共存する19世紀末の英国はもっともふさわしい舞台のひとつだろう。本来、狼男の物語は、満月の夜になるとおぞましい殺人鬼に変身してしまうという、いわば多重人格の変種のようなもの。普段は押さえ込んでいる本能が目覚めてしまうところから、精神医学的な解釈も多くなされた。だが、映画は主人公の内面の深みにはあまり言及せず、父と息子の確執へと移行する。これがホラー映画から離れてしまった要因なのだが、それはそれで俳優の演技を際立たせた。ウルフマンに変身し苦悩するローレンスを、わざと凶行に走らせた上に警察へ引き渡す父親ジョンの不可解な行動には、25年前の妻の死にまつわる秘密が。それを解き明かす過程はサスペンス、ウルフマンの蛮行はスプラッタ、ローレンスの苦悩と顛末は人間ドラマと、多重性のある物語は、狼男の出自とも重なり合うものだ。狼男映画には、ロン・チェイニー・ジュニアが主演した1941年の決定版「狼男」をはじめ、数多くの作品がある。お勧めはニール・ジョーダンの赤頭巾異聞「狼の血族」だが、ほとんどノーメイクのジャック・ニコルソンが立派に狼男に見える「ウルフ」も捨てがたい。特殊メイクの第一人者リック・ベイカーに、初めてのオスカーをもたらした「狼男アメリカン」も必見だ。本作では、CG全盛の時代に、あえて大部分を、前述のリック・ベイカーによる特殊メイクで表現した。映像と物語とで、変身、救済、再生とが構築される様が興味深い。人の手によるモンスターの創造という意味でも。
【60点】
(原題「THE WOLFMAN」)
(アメリカ/ジョー・ジョンストン監督/ベニチオ・デル・トロ、アンソニー・ホプキンス、エミリー・ブラント、他)
(クラシック度:★★★★☆)

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ヴィクトリア女王 世紀の愛

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19世紀、英国は「太陽の沈まない帝国」と呼ばれるほどの黄金期だったが、その時代に国を治めていたのがヴィクトリア女王である。彼女の若き日を描くこの歴史劇は、真実の愛で結ばれた夫婦の物語だ。英国の王位を継ぐヴィクトリアは窮屈な暮らしにうんざり気味だ。旧態然とした風習に縛られ、自由のない生活を送っているヴィクトリア。王室での権力争いが激化する日々の中で、ドイツ出身のアルバート公と心を通わせ結婚することに。だが、政治家とのかけひきから国民の暴動や、女王を狙った暗殺計画まで起こるようになる…。

王位継承者である苦労は分からなくとも、本物の絆で結ばれた夫婦になる苦労は一般庶民でも理解できる。ヴィクトリア女王といえば、教科書に載る肖像画から、黒いドレスに身を包んだふっくらとした晩年の姿が思い浮かぶが、これは、夫のアルバート公が死去した後、ずっと喪に服した姿なのだ。女王がこれほどまで深く愛したアルバート公は、最初は叔父であるベルギー王に強要されてヴィクトリアに近付くが、やがて彼女を権力の道具としてではなく、人間として愛するようになる。そんなアルバート公は、実の母親との確執や王室での権力争いに苦悶するヴィクトリアにとって、唯一の心の拠り所だったに違いない。ただ、物語は表層的で、女王と公の理想の夫婦像を賛美する内容にすぎず、特別な破綻がない分、興奮もない。強烈な印象を与える敵役がいないのも抑揚に欠ける原因だろうか。ヴィクトリアの統治した期間は、7つの海を支配したと言われた栄光の時代。史実そのものが穏やかなのでは、やむを得ない。映画にするには、静かな平和より、権謀術数の嵐が吹き荒れる戦時の方が盛り上がるというのは因果な話だが。エミリー・ブラントが若い女王を演じるが、最初はどこか頼りなげにみえたが、次第に歴史劇ならではの重厚さを感じさせ、まずまずの好演だ。また、コスチューム劇ならではの豪華な衣装や華麗な家具調度品を楽しみたい。
【50点】
(原題「THE YOUNG VICTORIA」)
(英・米/ジャン=マルク・ヴァレ監督/エミリー・ブラント、ルパード・フレンド、ポール・ベタニー、他)
(新鮮度:★★☆☆☆)

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映画レビュー「サンシャイン・クリーニング」

サンシャイン・クリーニング [DVD]サンシャイン・クリーニング [DVD]
◆プチレビュー◆
作り手のまなざしがあたたかい「サンシャイン・クリーニング」はヒューマン・ドラマの佳作。欠点だらけの家族を応援したくなる。 【70点】

 シングルマザーの姉ローズとフリーターの妹ノラは、生活を立て直そうと、ワケありの清掃業を始める。犯罪や事件の現場をクリーニングするその特殊な仕事に、最初はとまどいながらも何とか慣れていく二人だったが…。

 負け組。イヤな言葉だが、この物語の主人公・ローズを端的に表すには最もふさわしい。ハイスクール時代は学園のアイドルだった彼女だが、30歳を超えた今では、他人の家の掃除専門の仕事をしながら一人息子を育てるシングルマザー。かつての恋人とはズルズルと不倫関係を続けている。高校時代の栄光からはほど遠い日々だ。父親は一攫千金を狙っておかしな商売に手を出すし、妹はキレやすくバイトさえ続かない。幼い息子は問題児扱いされて小学校を退校に。こんながけっぷち人間を、負け組と呼ばずして何と呼ぼう。

 だが、お天道様はローズを見捨てはしなかった。高額のギャラが稼げる事件現場の清掃は、いわゆる隙間産業。この奇妙な仕事が人生の転機となる。まるっきり素人の姉妹は、血と異臭漂う現場で仕事のノウハウを覚え、少しずつ変化していく。ヤバそうな商売だが物語に犯罪の香りはない。その代わり、常に寄り添う死の気配は、姉妹のトラウマである亡き母の記憶を呼び覚ますことに。そんな時、ノラが不注意から依頼先の家を全焼させる。トラブルばかり起こす妹にローズの怒りは爆発。ノラの不満も噴出し姉妹はケンカ別れしてしまう。

 またしても行き詰るかに見えたが、この大喧嘩こそが二人に必要なカンフル剤だった。結婚も仕事も成功したかつてのクラスメイトへのローズの見栄と、自殺した母の記憶から他人との関係に臆病なノラの意地。どちらも褒められたものではないが、映画はこんな二人を責めたりしない。それどころか、本音でぶつかりあった後、姉妹が歩み寄り絆を深めていく展開は、作り手が、不器用な彼女たちに「君は一人じゃないんだよ」と励ましているかのよう。特に、ツイてない人生で心が頑なになっていたローズが、車の無線で亡き母へと語りかけるシーンは、長年のわだかまりが夜空に溶けていくようで心に残る。

 ただ、脚本にはほころびも。まず姉妹を助ける掃除道具屋が片腕という設定が物語にほとんと活きてない。特殊な外見ではなく、冴えない男の優しさがあれば十分なのに。ノラが、遺品を渡すために近付いた女性リンと分かりあえなかったのも気になるところ。それでも、清掃の仕事と、母親の死という心の染みを“クリーニングする”二重の浄化に免じて不満はきれいに洗い流そう。

 この映画の手触りは、厳しい現実と戦いながら懸命に生きる人間を明るく描いた名匠フランク・キャプラを思わせる。アメリカ映画は、キャプラスク(キャプラ特有の楽観的ヒューマニズム)を現代風にアレンジし、ちゃんと受け継いでいるのだ。サンシャイン・クリーニングとは、ローズが始めた清掃会社の名前。いろいろあったけど、見上げれば今日も太陽は輝いている。サンシャインという言葉には日光、日差しの他に「幸せの源」という意味があるのだそう。ローズとノラの人生にも温かなお日様が照り始めた。さぁ、しまっていこう。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)ほろ苦度:★★★★☆

□2008年 アメリカ映画 原題「Sunshine Cleaning」
□監督:クリスティン・ジェフズ
□出演:エイミー・アダムス、エミリー・ブラント、アラン・アーキン、他


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