映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ジャスティス・リーグ」「火花」「ギフテッド」「光」etc.

オマール・シー

あしたは最高のはじまり

南仏できままに暮らすプレイボーイのサミュエル。彼の前に、かつて関係を持った女性クリスティンが生後数ヶ月の娘グロリアを連れて突然現れる。グロリアが実の娘と聞きサミュエルが驚いている間にクリスティンは赤ん坊を置いていなくなってしまい、サミュエルはクリスティンを探しだすためロンドンへ。しかし英語ができない彼はクリスティンをみつけられず、異国で途方にくれているところを、偶然出会ったゲイの敏腕プロデューサー、ベルニーから助けられる。映画のスタントマンとして働き出したサミュエルは、グロリアとベルニーといつしか本当の家族のような絆で結ばれていった。だが8年がたったある日、突如クリスティンが彼らの前に現れる…。

遊び人のシングルファーザーが子育てに奮闘する姿を描くハートウォーミング・ストーリー「あしたは最高のはじまり」。大ヒット映画「最強のふたり」で一躍スターになり、今やハリウッド大作からもひっぱりだこの国際派スターとなったオマール・シーは、ちょっといいかげんだけど明るく前向きなキャラクターが本当に良く似合う。お気楽に過ごしていた遊び人が、突然父親になることで、責任ある大人に変わる成長物語は、ゲイの友人と共に“男手ふたつ”での子育てがユニークだ。風変わりな父娘の絆は強く、成長したグロリアとサミュエルは“最強の”相棒となる。

納得できないのは、母親クリスティンの行動だ。情緒不安定とはいえ、娘を押し付けたり奪ったりでは、あまりに自分勝手で、生みの母である彼女に共感しようがない。ストーリーには、ちょっとご都合主義の展開も。だが、それらすべてを吹っ飛ばしてくれるのが、オマール・シーのはじけるような笑顔と、グロリア役の新人子役グロリア・コルストンのこれまた輝く笑顔である。母親のことをずっと世界を飛び回る凄腕スパイと信じてきたグロリア。後半にはやるせない決断が、そして終盤には思いもよらない悲劇が待ち受ける。少々風変わりな父娘の生き方に、親も子も不完全なのが当たり前、一緒に成長していくものなのだと教えられた。本作の原案は、日本未公開のメキシコ映画で、世界5ヶ国でリメイクが決定しているそう。常識破りの子育てと魅力的な父娘の絆の物語は、国境を越えて人々を魅了したようだ。
【60点】
(原題「DEMAIN TOUT COMMENCE」)
(フランス/ユーゴ・ジェラン監督/オマール・シー、クレマンス・ポエジー、アントワーヌ・ベルトラン、他)
(相棒度:★★★★★)
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ショコラ 君がいて、僕がいる



19世紀末のフランス。田舎のサーカス団にいたカナンガ、後のショコラを、落ち目の道化師だったフティットがスカウトし、コンビを組む。白人と黒人という前代未聞の組み合わせの芸人コンビは人気を博し、やがてパリの名門ヌーヴォー・シルクの専属となって脚光を浴びる。大金を手にし、派手な生活や賭け事にのめり込むショコラだったが、不法滞在の罪で逮捕され拷問を受けることに。釈放後も、コンビの人気は続くが、根深い人種差別に苦悩するショコラは、ますます酒やアヘン、ギャンブルに溺れ、フティットとの溝が深まっていく…。

19世紀末から20世紀初頭に実在した芸人コンビで、フランス初の黒人芸人ショコラと、相方の白人芸人フティットの軌跡を描く「ショコラ 君がいて、僕がいる」。サーカスの道化師として人気を博したこのコンビだが、もともとすでに実績があったフティットについては多くの資料が残っているのに、ショコラは歴史から忘れ去られていた。本作は、すべてが正反対の二人の芸人の友情の物語であり、芸人コンビの栄光と転落の物語でもある。と同時に、ショコラという黒人が、人種差別や偏見に苦しみ続けた、苦悩を描くものだ。奴隷の子どもとしてハバナで生まれ、スペイン、フランスへとたどり着き、芸人として大成功するショコラは常に向上心を持って生きる強さがある。一方で、酒やアヘン、ギャンブルに溺れる脆さも併せ持つ多面的な人間だ。そんなショコラが人々に愛されながらも、不当な差別を受け、忘れ去られる運命は、サーカスがやがて映画の誕生によって衰退していく運命とも、どこか重なって見える。ショコラは芸名で、本名はラファエル・パディーヤ。陽気で刹那的なショコラ役のオマール・シーと、舞台を降りたら笑顔が消える内向的で孤独なフティットを演じるジェームズ・ティエレ(チャップリンの実孫)のコンビの相性が良く、道化師の哀愁をよく表していた。二人の当たり芸とショコラの存在は、映画の父リュミエール兄弟が撮ったフィルムに刻まれていて、本物の彼らの姿が映画のラストで登場し、感動の余韻を残してくれる。
【65点】
(原題「CHOCOLAT」)
(フランス/ロシュディ・ゼム監督/オマール・シー、ジェームズ・ティエレ、クロティルド・エスム、他)
(コンビ愛度:★★★★☆)
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ショコラ 〜君がいて、僕がいる〜|映画情報のぴあ映画生活

サンバ

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移民問題を独特のユーモアで活写するヒューマン・ドラマ「サンバ」。「最強のふたり」的なほのぼのより、辛辣さが目立つ。

アフリカからフランスに来て10年になる料理人見習いのサンバは、うっかりビザの更新を怠ってしまい、国外退去を命じられてしまう。職場を追われたサンバは、窮地を打開するため移民支援協会を訪れ、燃え尽き症候群となり大企業を休職中のボランティアのアリスと出会う。厳しい状況でも明るく希望を失わないサンバの周囲には、面倒見のいい陽気なブラジル移民ウィルソンや破天荒な法学生マニュなど、個性的な人々が集まってくる…。

スマッシュ・ヒットを記録した「最強のふたり」の監督と主演の2人が再びタッグを組むと聞いて、いわゆる“イイお話”を期待してしまうと、ちょっと肩すかしをクラう。主人公サンバを演じるオマール・シーの笑顔は魅力的だが、さまざまな問題をはらむ移民問題がテーマだけに、リアルでシビアな側面もあり、ほのぼのばかりもしていられないのだ。そもそもビザのうっかり失効は本人の自業自得だし、ビザなし金なし住所なしでは、法も味方してくれないのも当然だろう。それでもサンバをいつしか応援してしまうのは、自分の方が悲惨な状況なのに、大企業の仕事に疲れ切って精神的にマイッているアリスを「元気?」と気遣ったりする、本能的な優しさがあるからだ。ふだんはボーッとしているのにキレやすい中年女性を演じるシャルロット・ゲンズブールが新鮮だが、問題がある者同士、次第に惹かれ合っていくという展開は、ちょっと安易な気がする。そもそも移民問題と、燃え尽き症候群は、まったく別問題ではないのか? なんだか中途半端な印象が否めない作品だが、ともすれば社会派に傾きがちなテーマを、あえて軽く仕上げた個性は評価したい。
【55点】
(原題「SAMBA」)
(フランス/エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ監督/オマール・シー、シャルロット・ゲンズブール、タハール・ラヒム、他)
(楽観性度:★★★★☆)
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アンタッチャブルズ

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フランス発の刑事アクション・コメディ「アンタッチャブルズ」。意外性はないが、コミカルなムードが楽しいバディ・ムービーの小品。

フランス郊外、ボビニー市の集合住宅地にある古びた闇賭場のそばで、大企業の社長ジャン=エリック・シャリニの妻エポニーヌの死体が発見される。犯罪多発地区のボビニー市警察経済課のウスマヌ・ディアキテは、ボビニー市郊外での“闇取引”についての調査を行っていたが、この事件が何か関連があると睨む。ディアキテは、パリ警視庁犯罪捜査課長官のモンジュに強引に共同捜査を申し出、二人はぶつかりあいながら捜査を進めていくのだが…。

スマッシュヒットをはなった「最強のふたり」で、貧民街出身で富豪を介護する青年を演じて高い評価を得たオマール・シー。車椅子の大富豪とスラムの青年という異形の名コンビが光っていたが、本作では刑事ものの枠内で、やはり全く異なる世界に住む2人のコンビが協力し理解しあっていく姿を、軽やかに演じている。事件は、巨大な影響力を持つ大企業の、社長夫人変死事件が、労組問題とからみ、貧富の差が激しいフランスの社会問題にも言及するが、基本は、丁々発止のやりとりが楽しバディムービー。今回はパリのエリート刑事モンジュが相棒だが、彼もまた出世街道を歩むのにやるせない苦労をしている。少しずつ事件の核心に迫る中で、夜のパリの怪しいムードも味わえる趣向だ。お調子者だが正義感が強いディアキテは、どうやら刑事ドラマや映画の大ファンのようで、エディ・マーフィーやジャン・ポール・ベルモンドに憧れているのだが、相棒は絶対に見捨てないというセリフを実行するのは、いつのまにかディアキテの術中にハマって熱い刑事魂を発揮し始めたモンジュの方だ。激しいカーアクションを自らこなしているというオマール・シーの熱意は買うが、すべてがハリウッドの模倣にすぎず、ストーリーは大きな破綻がない分、こじんまりとまとまって印象は薄かった。文化も教養も環境もまったく違う刑事コンビを肯定するのは、いかにも移民の国フランスらしい。
【50点】
(原題「DE L'AUTRE COTE DU PERIPH」)
(フランス/ダヴィド・シャロン監督/オマール・シー、ローラン・ラフィット、サブリナ・ウアザニ 、他)
(バディムービー度:★★★★☆)
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アンタッチャブルズ@ぴあ映画生活

映画レビュー「最強のふたり」

最強のふたり [DVD]最強のふたり [DVD]
◆プチレビュー◆
車椅子の大富豪と貧しい黒人青年の友情物語「最強のふたり」。実話をベースにした笑って泣ける愛すべき佳作だ。 【70点】

 事故で全身麻痺になった大富豪フィリップ。気難しい彼の介護人の面接に、スラム出身の黒人青年ドリスがやってくる。彼の目的は不採用になって失業手当をもらうことだったが、なぜか採用されることに。社会的立場、性格、好みまですべてが正反対の二人は、最初は反発するが、次第に心を通わせていく…。

 日本で知名度があるスターは皆無のこの仏映画の小品は、第24回東京国際映画祭では最優秀作品賞(東京サクラグランプリ)と、主演のフランソワ・クリュゼとオマール・シーが最優秀男優賞をW受賞するという快挙を成し遂げた。それもそのはず、障害と介護というデリケートな素材を扱いながら、ドライなユーモアにあふれ、最後にはほろりと泣けるスグレモノなのだ。健常者や障害者という言葉使いにさえ、過剰反応してしまう“臆病な”日本では、まず生まれないタイプのコメディである。

 インテリでシニカルな全身不随の大富豪のフィリップが、なぜ粗野でお調子者のスラム育ちの黒人青年ドリスに興味を持ったのか。それはたぶん、ドリスの持つ、障害者を障害者として扱わない“有意義なタブー”を見抜いたからだ。案の定、ドリスは介護人にあるまじき遠慮のない言動で周囲をハラハラさせるが、腫れ物にさわるような同情にウンザリしていたフィリップには、ドリスの存在は光明だったに違いない。経済力や文化的背景など、正反対の二人は、その衝突をプラスのエネルギーに変え、共に、生きる希望を取り戻していく。

 屋敷に引きこもるフィリップを、ドライブやカフェに連れ出し、恋愛の手助けまでするドリスは、フィリップに対し、大富豪の病人ではなく、対等な友として真摯に接した。スラム育ちゆえに何かとトラブルが多いドリスを、フィリップもまた、友達として助けていく。数々の笑えるエピソードは、人間を豊かにするために本当に必要なのは、同情や階級主義ではなく、誇りと信頼なのだと教えてくれる。

 映画は、でこぼこコンビのかけあいが楽しくて、笑いが絶えないが、気付けばしっかり感動している自分がいた。これは、典型的な“いい話”で、一種のおとぎ話かもしれない。だが、本作が実話に基づくストーリーだと知れば、奇跡の友情はにわかに真実味を帯びる。障害や失業といった“ハンディキャップ”を笑いのパワーで包み込むそのセンスこそ、最強の所以(ゆえん)だ。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)笑いと涙度:★★★★☆

□2011年 フランス映画 □原題「UNTOUCHABLE」
□監督:エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ
□出演:フランソワ・クリュゼ、オマール・シー、アンヌ・ル・ニ、他

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
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新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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