映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
英・仏合作映画「パディントン2」

オリヴィエ・グルメ

ルージュの手紙

Sage femme (Original Motion Picture Soundtrack)
パリ郊外で暮らす助産婦のクレールは、女手一つで息子を育て、真面目に生きてきた。そんなクレールの元に、30年前にふいに姿を消した血のつながらない母親ベアトリスから突然連絡が入る。クレールはベアトリスの失踪後に、父が自殺したことから奔放に生きるベアトリスを許すことができなかった。だが末期ガンを患い、すべてを失って戻ってきたベアトリスを、クレールは放っておくことが出来ない。仕方なく、彼女につきあうちに、今まで知らなかったや古い秘密や思いが明らかになり、性格も生き方も正反対の二人は次第に距離を縮めていく…。

対照的な母と娘が再会し絆を育むヒューマンドラマ「ルージュの手紙」。仏映画界を代表する大女優、カトリーヌ・ドヌーヴとカトリーヌ・フロが初共演する人間ドラマだが、真逆の二人が反発しながら次第に溝を埋めていくストーリーは、まるでバディ・ムービーのようだ。助産婦として堅実に生きてきたクレールは、仕事に誇りは持っているが人生を振り返るヒマもない真面目人間。一方、血のつながらない母ベアトリスは、お酒とギャンブルに目がなく、身勝手で自由奔放。対照的な二人を見た目で表すのが、クレールの“ダザい”コートと、ベアトリスの“肉食系”ヒョウ柄の服だ。水と油のような二人が、触れ合うことで、互いの中に自分にない資質を見出していく様が、繊細に描かれる。

猫のように自由な母親が、堅物の娘に人生の喜びを教えるという展開は、よくある母娘もののパターンではあるが、いかにもフランス映画らしいのは、個を大切にしていることだ。ベアトリスもクレールも、互いに歩み寄ることで、本来自分の中にあった“才能”に気付く。ベアトリスは他者への思いやりを、クレールは自分を解放することを学び、自分の中に小さな変化を起こしていくのだ。めんどくさいが、やっぱり愛おしい関係。それが母と娘なのである。二人の偉大なカトリーヌの影に隠れがちだが、クレールを愛するシモンを演じるオリヴィエ・グルメがいい味を出している。男も女も一人では生きていけず、誰かと関わり合って存在しているのだと教えてくれる作品だった。、
【65点】
(原題「SAGE FEMME」)
(フランス/マルタン・プロヴォ監督/カトリーヌ・ドヌーヴ、カトリーヌ・フロ、オリヴィエ・グルメ、他)
(女性映画度:★★★★★)
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ダゲレオタイプの女

ダゲレオタイプの女[Blu-ray]
ダゲレオタイプの写真を撮り続けている風変わりな写真家ステファンのもとで働き始めた青年ジャンは、ステファンの娘で写真のモデルをつとめるマリーに惹かれる。マリーは、写真のために長時間、拘束器具に身を委ねてポーズをとるという苦行に耐えていた。自分の人生を歩みたいマリーを自由にさせたいという思いから、ジャンは、彼女をパリ郊外の古い屋敷から連れ出そうとするが…。

特殊な撮影方法に固執する写真家とそのモデルを務める娘、娘に恋した青年がたどる悲劇的な愛を描く「ダゲレオタイプの女」。独特のホラー映画で世界的にも評価が高い黒沢清監督が、全編フランス語、仏人キャストで撮り上げた初の海外作品だ。ダゲレオタイプとは世界最古の写真撮影法で、長時間の露光を必要とするため、その間被写体を拘束する。直接銅板に焼き付けるのその写真は、世界にひとつしか残らないという。パリ郊外にある古い屋敷にこもり、そんな写真を撮り続けるステファンは孤高の芸術家だが、かつて被写体だった妻ドゥニーズが自殺したことから妻の幻影におびえている。黒沢清作品の特徴でもある、どこか寒々しい空気感と不穏な気配は本作でも健在で、それは、現実と幻影、生と死の境界線を限りなく曖昧にしてしまうのだ。永遠を焼き付けるダゲレオタイプの写真に写る古風な衣装の女性の姿はゴシック・ホラーのようだが、幻影のような存在の女性に愛を捧げる青年の恋は、むしろ、「雨月物語」にも通じる日本の怪談噺を思わせる。マリーを演じる、はかない美しさをたたえた女優コンスタンス・ルソーの姿は、最初に登場したその時から、生死を超えているかのよう。ホラーテイストだが、クラシックな美しさをたたえた恋愛物語に仕上がっている。
【70点】
(原題「THE WOMAN IN THE SILVER PLATE/LA FEMME DE LA PLAQUE ARGENTIQUE」)
(仏・ベルギー・日本/黒沢清監督/タハール・ラヒム、コンスタンス・ルソー、オリヴィエ・グルメ、他)
(ラブストーリー度:★★★★☆)
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ゴー・ファースト 潜入捜査官

ゴー・ファースト 潜入捜査官 [DVD]ゴー・ファースト 潜入捜査官 [DVD]
車好きの仏人リュック・ベッソン率いるヨーロッパ・コープの作品には、荒唐無稽なカー・アクションが多いが、本作は麻薬犯罪ルートを描くリアリズムが新鮮だ。題名のゴー・ファーストとは、最速で麻薬を運ぶ運び屋のこと。パリ警視庁のマレクは麻薬密売組織に同僚を殺される。猛訓練を経て潜入捜査官になった彼は、ゴー・ファーストとして組織に潜入、モロッコからスペイン、さらにフランスへと高速スポーツカーに大量の麻薬を積み込み、危険な任務に出発する。

高級車によるカーチェイスは、米国のそれとは違い派手なCGはなく、あくまでリアル嗜好。麻薬がヨーロッパに持ち込まれるプロセスも、非常に綿密だ。ただ、組織にもう一人いるという潜入捜査官は容易に予想がついてしまうし、主人公マレクの猛特訓も何だか安易。警官になる前に泳ぎくらい習得しとけとツッコミを入れたくなる。それでも、野獣のようなカーアクションと、主役のロシュディ・ゼムの不敵な面構えがいい。実録ものの迫力に加え、潜入捜査という静と、運び屋という動の対比が面白さを生んでいる。
【65点】
(原題「GO FAST」)
(フランス/オリヴィエ・ヴァン・ホーフスタッド監督/ロシュディ・ゼム、オリヴィエ・グルメ、ジャン=ミシェル・フェット、他)
(スピード感度:★★★★☆)

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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