映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「アトミック・ブロンド」「バリー・シール」「あゝ、荒野 後篇」「我は神なり」etc.

オーウェン・ウィルソン

クーデター

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支援事業のため、東南アジア某国に家族と一緒に赴任することになったジャック。ところが到着した翌日に突如クーデターが発生し、政府と外国人をターゲットにした暴徒から命を狙われる。偶然知り合ったハモンドの助けを借りて、ジャック一家は間一髪ホテルから脱出するが、国外に逃げようとする途中で、このクーデターの思いもよらない現実を知ることになる…。

コメディのイメージが強いオーウェン・ウィルソンがクーデターに翻弄される父親をシリアスに演じるサバイバル・スリラー「クーデター」は、冒頭、いきなりの首相暗殺シークエンスで驚かされる。言葉も通じない異国での極限状態で生き抜く逃亡劇だが、映画の裏テーマは、アメリカをはじめとする先進国が弱小の後進国を喰いものにするからくりを痛烈に批判することだ。機内で知り合い、同じホテルに泊まっている現地の事情通のハモンドが告白する内容を聞けば、国民が暴徒化するのも無理はないと思ってしまう。とはいえ暴力や殺人に正統性はなく、ジャック一家が何とか逃げのびてほしいと願うばかり。土地勘もないのにスイスイと動くことや、顔にスカーフをまいただけの変装など、少々浅い描写が気になるが、夫が弱気になれば妻が叱咤し、足手まといな行動ばかりの娘たちが意外なところで踏ん張るなど、家族愛のドラマとしても楽しめる。
【55点】
(原題「THE COUP」)
(アメリカ・オランダ/ジョン・エリック・ドゥードル監督/オーウェン・ウィルソン、レイク・ベル、スターリング・ジェリンズ、他)
(流血度:★★★★☆)
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クーデター@ぴあ映画生活

映画レビュー「ミッドナイト・イン・パリ」

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◆プチレビュー◆
パリを舞台にした幻想的なファンタジー「ミッドナイト・イン・パリ」。ユーモアと皮肉のブレンドが絶妙。 【80点】

 ハリウッドの売れっ子脚本家ギルは、婚約者イネズと共に芸術の都パリにやってくる。作家の夢を捨てきれないギルは、深夜の散歩中に、1920年代の黄金期のパリにタイムスリップ。憧れの作家ヘミングウェイや画家のピカソらと出会う…。

 才人ウディ・アレンがNYの次に愛する都と公言するパリを舞台に、奇想天外にしてロマンティックなファンタジー・コメディーを創り出した。文化・芸術が花開いたゴールデン・エイジのパリで出会うのは、ヘミングウェイ、フィッツジェラルド、ピカソ、ダリ、ブニュエルなど。百花繚乱の天才たちとのおしゃれでアナーキーな会話には、ユーモアと遊び心が満載だ。とりとめのないおしゃべり、そぞろ歩き、自虐的な自己分析といったアレンお得意のエレメントを散りばめて、ウソとマコトが楽しげにシャッフルされる。

 主人公ギルは、コンプレックスを抱えたインテリで、例によってアレンの分身キャラだ。彼は憧れの1920年代で、アドリアナという女性に出会う。彼女はモディリアーニの元恋人で、ピカソの愛人でもあった魅惑的な美女。ギルはたちまち魅了されるが、単純なロマンスへと進まないところがアレンの知的なところだ。現代と1920年代のパリの間で揺れ動くギルは、時代と同様に、婚約者イネズ、芸術家のミューズのアドリアナ、のみの市で出会ったキュートな女性ガブリエルら、魅力的な女性たちの間で揺れ動く。

 俳優たちは今回もまた豪華キャストが集結してにぎやかだ。ギルを演じるオーエン・ウィルソンは、いい意味で軽さがあり、悩める主人公を好演している。何より、アドリアナを演じたマリオン・コティヤールが醸し出す雰囲気がいい。ファンタジックな世界でさまよいながら、幸せを探す主人公に“もうひとつの人生”の素晴らしさと、決して満たされない人生の皮肉の両方を教えるのが彼女なのだ。

 華やかなパリとその周辺の観光スポットをたっぷりと取り込みながら、それを物語に絶妙に生かす美技に酔いしれるのは、観客にとって至福だ。クセがあるコメディ・センスと大量のセリフ、皮肉と自虐が満載のアレンの作品は、見る人を選ぶ。だが本作は、アレン初心者にも優しい、ソフトな作りなので、安心して楽しんでほしい。夜な夜なタイムスリップを繰り返しながら、主人公が知るのは、過去がどんなに素晴らしくても、自分は現在を生きるしかないということ。“今”にこそ希望がある。なかなか筋が通ったメッセージが込められているのだ。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)ロマンティック度:★★★★★

□2011年 スペイン・アメリカ合作映画 □原題「MIDNIGHT IN PARIS」
□監督:ウディ・アレン
□出演:オーウェン・ウィルソン、マリオン・コティヤール、レイチェル・マクアダムス、他
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ミッドナイト・イン・パリ@ぴあ映画生活

映画レビュー「カーズ2」

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◆プチレビュー◆
スリル満点の物語「カーズ2」の主役は、レッカー車のメーター。スパイ映画的な内容はむしろ大人向けだ。 【65点】

 天才レーサーのマックィーンは、親友でレッカー車のメーターら仲間とともに、ワールド・グランプリ・レースに参戦する。だがそこには、世界征服をもくろむ、恐ろしい陰謀が隠されていた…。

 車たちの世界を描いた傑作アニメ「カーズ」の5年ぶりの続編だ。故郷ラジエーター・スプリングスでのほのぼのとした物語だった前作とは一転、日本、イタリア、イギリスと舞台を変えながら、世界征服をもくろむ陰謀に立ち向かうストーリーは、さながらスパイ映画のよう。実際、007のパロディが多く盛り込まれた内容は、明らかに子供より大人の観客を意識している。

 主人公のマックィーンと相棒のメーターは大親友だが、ワールド・グランプリという華やかな舞台はそんな2人の友情に亀裂をもたらす。マックィーンとケンカ別れし、しょんぼり帰国しようとしていたメーターが凄腕スパイに間違われてからは、むしろ、おんぼろレッカー車のメーターが主役だ。監督のジョン・ラセターをはじめ、このシリーズのスタッフが、メーターをいかに愛しているかが分かる。新型燃料と石油をめぐる陰謀を阻止するため、そして親友を助けるため、大活躍するメーターの雄姿に、誰もがワクワクするだろう。

 スピード感やスリル、スパイ映画のパロディに各国お国自慢のカーキャラたちと、十分に楽しめる内容だ。世界の都市をカラフルな色彩で描いた映像は一級品で目を見張る。それでもこの続編に不満が残るのは、前作に比べて物語の熟成度が明らかに足りないからだ。友情やエコロジーなどのテーマは分かるが、深い洞察を持ったメッセージには至っていない。目まぐるしい展開は、じっくりと人間描写(車だが)に向き合う時間を与えてくれない。車体の傷やへこみを誇るメーターの言葉に、わずかにセンスを感じはしたが。

 とはいえ、手に汗握るアクション・エンタテインメントは、スクリーンに釘付けになるほど魅力的だ。二転三転するストーリーと熱い友情の物語を存分に楽しんだ後に、贅沢だと分かっていても、不満が沸き上がってくる。何といってもピクサー/ディズニー映画は傑作揃いなのだ。どうしてもより高みを求めてしまう。これもまた作品を深く愛するファン心理なのだろうか。

(シネマッシモ評価:★5つが満点)スピード感度:★★★★★

□2011年 アメリカ映画 原題「CARS 2」
□監督:ジョン・ラセター、ブラッド・ルイス
□出演:(声)オーウェン・ウィルソン、ラリー・ザ・ケイブル・ガイ、マイケル・ケイン、他
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カーズ2@ぴあ映画生活

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幸せの始まりは

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ラブコメかと思いきやハジケる笑いは得られず、人間ドラマかと思いきや深みに欠ける。キャストやスタッフは魅力的なのに、物語に観客を引っ張る力がない。女子プロソフトボールチームのキャプテンのリサは31歳。ソフトボールにすべてを注いできたというのに、非情にもチームから戦力外通告を受けてしまう。人生最悪の時に、友人から紹介された男性ジョージとデートすることに。ジョージもまた実の父親から裏切られ詐欺の主犯として訴えられる寸前のどん底状態だった。リサは、愛しているかどうかもはっきりしないボーイフレンドで、花形野球選手のマティのセレブアパートに転がり込むが、ジョージの繊細な優しさに惹かれている自分に気付く…。

最悪の出会いから、最高の恋愛へ。これはハリウッドが昔から得意とするラブコメのセオリーだ。物語はコメディーが上手いリース・ウィザースプーン扮するヒロインのリサが、人生の曲がり角にぶち当たり、どう再生していくかを描いていく。彼女は2人の男性の間で揺れ動くが、リサが何ともはっきりしない性格なら、恋人候補の2人も“悪い人じゃないけれど…”というインパクトのなさだ。プレイボーイで、すべてに軽い男マティには、くったくのない明るさがある。一方、ジョージは、もしかしたら無実の罪で刑務所行きかも…という状態だが、今まで出会ったことがない繊細なタイプ。どちらも、ヒロインを虜にするほどの強烈な魅力は感じられないのだ。普段はキレキレのジャック・ニコルソンも中途半端な存在感でしかない。そもそもジョージが詐欺で訴えられるという設定が、リサの側の物語にまったくからまないので、興味を引かないのだ。名優ニコルソンを活かしきれてないことも含めて、これは脚本のミスという気がする。この物語は、サイアクの状態の時でも、現実から逃げずに、自分の責任で“選択”すれば、きっと幸せのスタートラインが見えるというもの。テーマは至極まっとうなものだというのは分かるのだが、映画の魅力として跳ね返ってこなかった。監督のジェームズ・L・ブルックスは「愛と追憶の日々」でオスカーを獲得した実力者。ふとしたことから人生が違ったものになる物語はこの人の十八番だが、今回は、投資詐欺やスポーツ選手の寿命というネタを恋愛にからめようとしてテンポを悪くしてしまったか。消化不良の感は否めないが、人生に迷うことを責めない“優しい”ストーリーと見れば、味わいを感じるかもしれない。
【45点】
(原題「HOW DO YOU KNOW」)
(アメリカ/ジェームズ・L・ブルックス監督/リース・ウィザースプーン、オーウェン・ウィルソン、ポール・ラッド、ジャック・ニコルソン、他)
(消化不良度:★★★★☆)


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幸せの始まりは@ぴあ映画生活

マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと

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問題児ならぬ問題犬に悪戦苦闘しつつ主人公が成長する、あたたかい物語だ。ラブラドール・レトリバーのマーリーは、家中をメチャメチャに荒らす困った犬だが、いつしかかけがえのない家族になっていく。やんちゃ犬・マーリーを飼うことを子育ての予行練習とすることは、案外奥深い方法だ。なぜなら、マーリーのしつけがうまくいかないことと同様に、子供を“飼いならす”ことなど無理だし、してはいけないことなのだから。なのに、マーリーが育児に与えたであろう影響はほとんど描写されないのが残念。動物好きの私としてはマーリー自身の心情を知りたいところだが、犬を擬人化しないことがこの作品のクレバーなところである。マーリーとの別れの場面は思わず涙した。
【60点】
(原題「MARLEY AND ME」)
(アメリカ/デヴィッド・フランケル監督/オーウェン・ウィルソン、ジェニファー・アニストン、エリック・デイン、他)
(動物好きにお勧め度:★★★★★)

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ダージリン急行

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不思議なユーモアが漂うが、それには、インドという舞台設定が何より効いている。ちぐはぐな3兄弟が自分探しと兄弟の絆を確認するロード・ムービーだ。個性的な顔つきの俳優、おそろいのスーツケース、顔の包帯など、ビジュアルもインパクトがあって面白い。亡くなった父に修道院にいる母と、そこにいない家族を見つめている点はアンダーソンのお約束。明確な結論もさしたる成長もなく、ぼんやりと終わるが、なぜかほのぼのしてしまう。
【65点】
(原題「THE DARJEELING LIMITED」)
(アメリカ/ウェス・アンダーソン監督/オーウェン・ウィルソン、エイドリアン・ブロディ、ジェイソン・シュワルツマン、他)
(混沌度:★★★★★)

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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
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新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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