映画通信シネマッシモ


映画通信シネマッシモは、2018年4月をもって、終了しました。

ブログ終了にあたり、たくさんのあたたかいコメントをお寄せいただき、本当にありがとうございました。
皆さまの映画ライフに少しでもお役に立てたならこれほど嬉しいことはありません。
長い間のご愛顧に心より感謝いたします。

カトリーヌ・フロ

ルージュの手紙

Sage femme (Original Motion Picture Soundtrack)
パリ郊外で暮らす助産婦のクレールは、女手一つで息子を育て、真面目に生きてきた。そんなクレールの元に、30年前にふいに姿を消した血のつながらない母親ベアトリスから突然連絡が入る。クレールはベアトリスの失踪後に、父が自殺したことから奔放に生きるベアトリスを許すことができなかった。だが末期ガンを患い、すべてを失って戻ってきたベアトリスを、クレールは放っておくことが出来ない。仕方なく、彼女につきあうちに、今まで知らなかったや古い秘密や思いが明らかになり、性格も生き方も正反対の二人は次第に距離を縮めていく…。

対照的な母と娘が再会し絆を育むヒューマンドラマ「ルージュの手紙」。仏映画界を代表する大女優、カトリーヌ・ドヌーヴとカトリーヌ・フロが初共演する人間ドラマだが、真逆の二人が反発しながら次第に溝を埋めていくストーリーは、まるでバディ・ムービーのようだ。助産婦として堅実に生きてきたクレールは、仕事に誇りは持っているが人生を振り返るヒマもない真面目人間。一方、血のつながらない母ベアトリスは、お酒とギャンブルに目がなく、身勝手で自由奔放。対照的な二人を見た目で表すのが、クレールの“ダザい”コートと、ベアトリスの“肉食系”ヒョウ柄の服だ。水と油のような二人が、触れ合うことで、互いの中に自分にない資質を見出していく様が、繊細に描かれる。

猫のように自由な母親が、堅物の娘に人生の喜びを教えるという展開は、よくある母娘もののパターンではあるが、いかにもフランス映画らしいのは、個を大切にしていることだ。ベアトリスもクレールも、互いに歩み寄ることで、本来自分の中にあった“才能”に気付く。ベアトリスは他者への思いやりを、クレールは自分を解放することを学び、自分の中に小さな変化を起こしていくのだ。めんどくさいが、やっぱり愛おしい関係。それが母と娘なのである。二人の偉大なカトリーヌの影に隠れがちだが、クレールを愛するシモンを演じるオリヴィエ・グルメがいい味を出している。男も女も一人では生きていけず、誰かと関わり合って存在しているのだと教えてくれる作品だった。、
【65点】
(原題「SAGE FEMME」)
(フランス/マルタン・プロヴォ監督/カトリーヌ・ドヌーヴ、カトリーヌ・フロ、オリヴィエ・グルメ、他)
(女性映画度:★★★★★)
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大統領の料理人

大統領の料理人 [Blu-ray]
仏大統領の専属シェフになった女性の実話を描く「大統領の料理人」。目にも美味しそうなグルメものだが、物語は意外にもビター・テイスト。

仏の片田舎で小さなレストランを経営する女性オルタンスは、突然のスカウトで、仏大統領のプライベートシェフに任命され、大統領官邸にやってくる。そこは完全な男社会で、その上、独特の決まり事や堅苦しいメニューが横行する世界。だがオルタンスは、素朴な料理が食べたいという食通の大統領の希望を知り、自らの料理の腕と確かな素材選びで、官邸の常識を打ち破っていく…。

フランス大統領官邸史上唯一の女性料理人で、フランソワ・ミッテラン大統領のプライベート・シェフを2年間務めたダニエル・デルプシュさんの実話に基づく物語は、なんと南極から始まる。オルタンスは南極基地で働く一流のシェフで、偶然取材にやって来たTV局のクルーたちが、基地の全員から愛される彼女に興味を持つ。「素晴らしい料理を作るこの女性は何者?」。南極基地と大統領官邸であるエリゼ宮を行ったり来たりしながら、少しずつ主人公の過去が語られるスタイルだ。オルタンスは、男性社会の厨房では完全に“招かれざる客”。さまざまな嫌がらせや堅苦しいルールにもメゲずに奮闘する様子は、いわゆる女性の社会進出もの。彼女の料理は、食通の大統領を唸らせ、官邸のお客からも認められる。彼女の熱意と腕前は、確かに官邸に新しい風を吹き込むのだが、政治や経済が第一で、男性社会の大統領官邸でのしきたりはそう簡単には変わらない。オルタンスが南極で仕事をしているその理由というのも、愛と情熱だけでは通用しない世界があるという証拠なのだ。女性が奮闘し周囲を良い方向に変えていく、さわやかな感動ストーリーかと思っていたが、ストーリーの根底にあるのは、挫折と諦観。それでも新世界を目指すヒロインの“その後の行動力”にこそ本当の勇気を見るべきだろう。それにしても、映画に登場する料理は素晴らしく美味しそうで眼福だ。このゴージャスな料理が、フランスではシンプルで素朴な地方料理なのだから、やはり食通の国はレベルが違う。
【60点】
(原題「HAUTE CUISINE」)
(フランス/クリスチャン・ヴァンサン監督/カトリーヌ・フロ、ジャン・ドルメッソン、イポリット・ジラルド、他)
(グルメ度:★★★★★)
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大統領の料理人@ぴあ映画生活

譜めくりの女

譜めくりの女 デラックス版 [DVD]譜めくりの女 デラックス版 [DVD]
女二人の心理サスペンスだが、仕掛けられた罠はあまりに残酷だ。音楽への夢を断たれたメラニーは、復讐のため高名なピアニストのアリアーヌに近づく。復讐といっても心理的に追い詰めるもの。ヒロインの音楽への思いが何もないので単なる逆恨みに見えなくもないが、静かなたたずまいが、幼い頃に受けた傷の深さを際立たせる。親しみやすくコミカルな演技が持ち味のフロが、珍しくシリアスで情緒不安定な役。この女優は本当に上手い。
【60点】
(原題「LA TOURNEUSE DE PAGES」)
(フランス/ドゥニ・デルクール監督/カトリーヌ・フロ、デボラ・フランソワ、パスカル・グレゴリー、他)
(初志貫徹度:★★★★☆)

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地上5センチの恋心

地上5センチの恋心
仏映画は大人向けラブコメが本当に上手い。楽天的な主婦オデットは大ファンの大衆小説作家と共同生活することに。夢のような気分をフワッと浮く映像で表すのがポップで楽しい。カトリーヌ・フロが天下一品のハマり役で、可愛くユーモラス、かつ慎み深くて美しい。主人公は低俗なロマンス小説を熱愛するのに、愛する音楽はジョセフィン・ベイカーというセンスがたまらない。日常に小さな幸せを見出すヒロインは生きる達人。見習いたいものだ。
【75点】
(原題「ODETTE TOULEMONDE」)
(フランス・ベルギー/エリック=エマニュエル・シュミット監督/カトリーヌ・フロ、アルベール・デュポンテル、ファブリス・ミュルジア、他)
(大人の可愛さ度:★★★★☆)

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女はみんな生きている

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◆プチレビュー◆
原題の“カオス”とは、ギリシャ語で混沌、秩序が生まれる前を指す言葉。無駄のない脚本といい、笑いのセンスといい、近年見たフランス映画では5本の指に入る秀作。お母さん役のリーヌ・ルノーは実は超有名なシャンソン歌手だ。

エレーヌは平凡な主婦。経済的にも恵まれ、一応仕事もしているが、身勝手な夫とわがままな息子の世話をやきながら漠然とした毎日を送っている。ある日、路上で怪しげな男達に追われる血まみれの娼婦から助けを求められるが、やっかいごとが嫌いな夫は車のドアをロックしてしまう。エレーヌはなぜか彼女のことが気になって、翌日からパリ市内の病院をあたってその女性を探しはじめるが…。

最近はハリウッド調のアクション映画なども作っているが、フランス映画といえば、伝統的に会話中心で人間心理を探る作風のものが多い。思わず眠気を催す人がいるのも判る気がするが、この映画は違った。何しろテンポが抜群にいい。女二人が起こしたレボリューションは、売春組織への復讐と大金を巡る極上のエンタテインメントへと発展する。

エレーヌの懸命の看病のおかげで、ノエミという名の娼婦は意識を回復。徐々に自分の生い立ちを語り始める。信じられないほど困難な人生を生き抜いてきたノエミの話を聞き終わる頃には、エレーヌの心の中でダメ亭主とドラ息子を捨て去る決心がついていた。だいたい二人して母親に居留守を使うなど、許すまじ!である。とりあえず一時帰宅、礼儀正しくブチキレてからは、スリルに満ちた冒険の日々の始まりだ。誰かに必要とされていると自覚することで、生き生きと輝き出す瞬間が眩しい。

出会うはずのない人間との出会いは、何かが変わるきっかけだ。だが、自分自身を変える大きな転機になるそのことに気付くためには、自らの心の声に忠実でなければならない。エレーヌは娼婦ノエミを見捨てるなという声を聞き、その声に従う勇気を持っていた。立場は違うが、彼女たちはそれぞれ、女を食い物にする男たちに虐げられてる。二人揃ったのが運命ならば、宣戦布告は当然の結果なのだ。

前半の女たちの出会いから後半はいっきにサスペンスタッチへ。ノエミを演じるラシダ・ブラクニは文句なく美しいが、やはり本作を魅力的にしているのは、エレーヌ役のカトリーヌ・フロ。男たちに革命を起こすのが丸顔でほのぼのとしたオバサンというところがウケる。ノエミが語る娼婦流男のオトし方も仏映画らしくてよろしい。物語は全編コミカルながら社会性もあり、アラブ社会の男尊女卑や移民問題、娼婦の実態、麻薬中毒など、シリアスな問題もきっちり盛り込んである。

登場する男たちが揃いも揃ってダメ人間ばかりなので、カップルで観るには不向きだが、女性にとってこれほど痛快な映画はまれじゃなかろうか。かといって一方的な女性賛美のフェミニズム映画ではないところが本作の優れたところだ。ラストに並ぶ4人の姿が印象的で、ここには血のつながった家族とは別の次元の結びつきが感じとれる。21世紀の人間関係の方向性を教えてくれる実に貴重な作品なのだ。

□2001年 フランス映画  原題「Chaos」
□監督:コリーヌ・セロー
□出演:カトリーヌ・フロ、ラシダ・ブラクニ、ヴァンサン・ランドン、他

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