映画通信シネマッシモ


映画通信シネマッシモは、2018年4月をもって、終了しました。

ブログ終了にあたり、たくさんのあたたかいコメントをお寄せいただき、本当にありがとうございました。
皆さまの映画ライフに少しでもお役に立てたならこれほど嬉しいことはありません。
長い間のご愛顧に心より感謝いたします。

カン・ドンウォン

隠された時間

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母親が他界し、義父と共に離島に引っ越してきた少女スリンは、家にも学校にもなじめず、孤独な毎日を送っていた。そんなある日、ソンミンという少年と出会う。親がおらず施設で暮らすソンミンと次第に心を通わせるようになったスリンは、ソンミンと彼の友人らと一緒に、立入禁止区域にある洞窟に足を踏み入れることに。だが、ソンミンを含む少年3人が一瞬にして姿を消す謎の失踪事件が発生する。手掛かりもなく捜査は難航するが、ある日、スリンの前にソンミンと名乗る見知らぬ青年が現れる…。

孤独な少女と、満月の夜に行方不明になり突如大人の姿になって現れた少年の交流を描くラブ・ファンタジー「隠された時間」。神隠しやパラレルワールドなどの不思議要素を含むが、違う姿で現れた少年を、孤独な少女が唯一の理解者として守ろうとするピュアな初恋の物語だ。謎めいた洞窟と卵型の不思議な物体は、異世界への入り口なのだが、行った先は時間が止まった世界。なぜ3人の少年たちが選ばれたのか、時間経過に気付く月の変化がなぜ起こったのか、などの理由は曖昧なまま。スリンとソンミンという、共に孤独な子どもたちの淡い初恋を際立たせるために、ご都合主義の設定が続いていく。

本作の主要な見所は、イケメンスターのカン・ドンウォンが、外見は大人だが心は13歳の少年というピュアな難役を演じることで、それはなかなかフィットしていた。子どもが大人になる設定の映画では、名作「ビッグ」がすぐに思い浮かぶ。大人と子ども、男と女、人間と動物が入れ替わるといった、いわゆる“入れ替わりもの”では、そのギャップで笑わせるコメディーが多いのだが、本作はどこまでもシリアスで笑いの要素はない。新人監督のオム・テファは、あくまでも繊細さや純粋さを描こうとしたのだろう。スリンの人生には常にソンミンが寄り添い、時空を超えて二人は共にある。カン・ドンウォンのファンにはたまらないであろう、ロマンティックな作品だ。
【50点】
(原題「VANISHING TIME」)
(韓国/オム・テファ監督/カン・ドンウォン、シン・ウンス、キム・ヒウォン、他)
(ファンタジー度:★★★★★)

☆タグ:映画 隠された時間 オム・テファ  カン・ドンウォン
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カメリア

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タイ、日本、韓国の3つのアジアの才能が結集し、釜山を舞台にした3話オムニバス映画が出来上がった。テーマは愛。過去、現代、未来と、時を飛び越えるように展開する物語は、無国籍な都市の空気を醸し出している。

第1話「IRON PUSSY」:1979年、タイから来て、女装して釜山でスパイ活動をしているアイアン・プッシーは、ある時、韓国人男性ジホンと恋に落ちる。だが次なる暗殺のターゲットは、ジホンその人だった…。第2話「Kamome」:映画の撮影で釜山にやってきたカメラマン、ヨンスは、夜、裸足で街をさまよう美少女カモメと出会う。不思議な雰囲気の少女に付き合って歩き回るうちに、やがてほのかな恋心を抱くのだが…。第3話「LOVE FOR SALE」:近未来の釜山では、脳から愛の感情と記憶を取りだして売り買いするビジネスが流行。かつてこのビジネス組織から愛する人との仲を引き裂かれたジェイは、復讐を誓い、すべてを賭けて闇の組織に立ち向かう…。

3話とも釜山を舞台とするが、いわゆる観光案内的な映像がないところがいい。共通するのは、男のピュアな愛情だ。「IRON PUSSY」は、女装するスパイが若くも美しくもないのに、レトロシックな装いでキメキメなのが妙に可笑しい。デタラメさが魅力のコメディかと思いきや後半は不必要にシリアスになるのが残念。一方、行定勲の「Kamome」が、とても綺麗にまとまっているのが、いかにも真面目で“日本的”だ。なりきり俳優として知られる名優ソル・ギョングの無骨さに、ふわふわしたイメージの吉高由里子がうまくマッチング。この物語のオチは予想できるが、それでもピュアな切なさが残る好編だ。面白いのは「LOVE FOR SALE」。イケメン俳優カン・ドンウォンが愛に翻弄される姿は、ファンにはたまらないだろう。釜山らしさはあまり感じないが、愛の記憶を売り買いするというアイデアは、ハリウッドが買いそうなプロットで、冴えている。3人の監督は、いずれも釜山国際映画祭と縁がある監督たちだ。オムニバス映画としては荒削りで、決して洗練されているとは言い難いが、こういう形でアジアの才能がコラボする企画は大歓迎。都市を変え、作り手を変えての次回作を期待したい。
【60点】
(原題「Camellia」)
(タイ・日本・韓国/ウィシット・サーサナティアン、行定勲、チャン・ジュナン監督/ミシェル・シャオワナサイ、キム・ミンジュン、ソル・ギョング、吉高由里子、カン・ドンウォン、ソン・ヘギョ、他)
(男の純情度:★★★★☆)



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カメリア@ぴあ映画生活

義兄弟 SECRET REUNION

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互いに敵同士の男たちの不思議な絆を、緊張感の中にユーモアとペーソスを盛り込んで活写した、南北ドラマの佳作だ。国家の裏切者を葬るため、北朝鮮の工作員として韓国に潜入していたジウォン。彼らの計画を嗅ぎ付け現場を指揮した国家情報員ハンギュは、市民の生活を脅かした銃撃事件にまで発展した責任を問われて組織を追われる。探偵まがいの仕事で生計を立てていたハンギュは、偶然の出会いから潜伏してたジウォンと仕事をすることに。互いの正体を知りながら寝食を共にするうちに二人は次第に心を通わせていくが…。

韓国映画界を代表する俳優で、シリアスもコミカルも自在に操る演技派ソン・ガンホと、若手イケメン俳優カン・ドンウォンとの相性が意外なほど良い。ドンウォンは役柄上、ほとんど笑顔を見せないが、命を削る緊張の日々の中で、北に残した家族への思い、任務への責任、本来は敵である南の男への持ってはならない親近感という葛藤を、静かに熱演している。緩急をつけた演技が持ち味のソン・ガンホと共演した俳優は、男優も女優も必ずレベルアップするように思う。今回のガンホも実に上手い。何しろこの人は“顔”だけで語って見せる上手さがある。物語は腹の探り合いのような心理ドラマの側面があり、特に、互いの正体を知りながら行動を共にして、先祖への供養の場面でついに本心を明かす場面の緊張感はただごとではない。イデオロギーの違いはあるが、それぞれが共にいられない家族を思う気持ちを抱える2人は、北と南との境界を越えて、分かり合う“同志”に思えた。ただ、自由な南にあっさりとなじむ工作員という設定には疑問も。工作員のレベルでは情報戦は案外活発なのだろうか。クライマックス、男たちのやるせない思いが激しいアクションと共に描かれて切なくなる。ラストはご都合主義に走る部分もあるが、こうあってほしいという作り手の思いが描きこまれているのだろう。現在進行形の南北問題を、意外性のあるユーモアを交えて描く本作の後味は悪くない。
【65点】
(原題「THE SECRET REUNION」)
(韓国/チャン・フン監督/ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、他)
(緊張感度:★★★★☆)

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