映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週末の公開映画から オススメの1本! ◎
チリ他合作映画「ナチュラルウーマン」

ガス・ヴァン・サント

追憶の森

追憶の森 [Blu-ray]
人生に絶望したアメリカ人アーサーは、死に場所を求めて、日本の富士山の北西に広がる青木ヶ原にやってくる。樹海の奥に分け入ったアーサーは、出口を求めて彷徨う日本人タクミと出会う。タクミは一度は死のうと考えたものの、思いとどまり、妻子のもとに帰ろうとしていた。アーサーは、ケガをしているタクミを放っておけず、出口を求めてさ迷ううちに、2人は、互いのことを語り合う。やがてアーサーも、これまでの人生を見つめなおし、生きるために樹海からの脱出を試みるのだが…。

自殺するために青木ヶ原樹海にやって来たアメリカ人男性の不思議な体験を描く人間ドラマ「追憶の森」。実は日本は、アメリカと並ぶ自殺大国。富士の樹海といえば、言わずと知れた自殺の名所で、そのことはネットを通して全世界中に知れ渡っている“隠れた名所”でもある。日本人にとっては恐ろしく忌まわしい場所というイメージの樹海だが、本作では、その場所は、人生を見つめなおし心を再生させる不思議な空間として描かれていて、そのことが、この映画にちりばめられている、意図的な違和感につながっているのだろう。アーサーが謎めいた日本人タクミに出会って語り合う合間に、喪失感を抱えたアーサーと亡き妻との過去が回想形式で語られていく。物語にはある仕掛けがあるのだが、スピュリチュアルといえば聞こえはいいが、どこか安っぽさは否めない。そもそも、大きな天災を体験した今の日本で、死に場所を求めてさ迷うという主人公に、共感することが難しいのだ。ただ、オスカー俳優のマコノヒーと、ハリウッドやブロードウェイでも活躍する国際派俳優の渡辺謙の演技合戦は見応えたっぷりで素晴らしい。ほぼ出ずっぱり、ほぼしゃべりっぱなしの会話劇は舞台のように緊張感がある。タクミの妻子の名前が不思議な響きなのは、最後の最後になって意味が判明。ちょっとこじつけすぎないか?とも思うが…。ともあれ、サント監督の死生観を描いた「永遠の僕たち」に続き、ここでも日本人俳優がキャスティングされているのが興味深いところだ。
【55点】
(原題「THE SEA OF TREES」)サント監督
(アメリカ/ガス・ヴァン・/マシュー・マコノヒー、渡辺謙、ナオミ・ワッツ、他)
(度:★★★★☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
追憶の森@ぴあ映画生活

プロミスト・ランド

プロミスト・ランド [Blu-ray]
シェールガス革命を背景に信念に目覚める主人公を描く「プロミスト・ランド」。米国農業地帯の自然描写が静謐で美しい。

大手エネルギー会社のエリート社員であるスティーヴは、仕事のパートナーのスーと共にさびれた田舎町マッキンリーにやってくる。農業以外何もなく、経済的に困窮するこの町には、実は良質のシェールガスが眠っていて、スティーヴらの目的は、相場より安く農場主から採掘権を買い占めることだった。簡単な仕事だと思ったその交渉は、化学教師で町の名士のフランクや環境活動家のダスティンの出現によって、思いがけず難航。さまざまな方法でシェールガスをアピールするスティーヴだったが、やがて思いもよらない事実が発覚する…。

シェールガスは米国のエネルギー政策の救世主と言われているが、本作ではその知られざる負の側面を描いているので、明らかに社会派映画のイメージだ。だがこの映画の軸足は、環境問題や企業の不正告発ではなく、あくまでも一人の男が信念に目覚める心の成長に置かれている。主人公のスティーヴは農業地帯出身だけあって農家の心情には詳しい。不況にあえぐ農場経営も身をもって体験しているし、どうすれば彼らの懐に飛び込めるかも承知している。彼が幹部候補になるほどの成績を上げたのは、そんな農民の心の弱みを知っているからなのだ。大企業の倫理欠如も仕事と割り切っていた男が、あるきっかけで人間性に目覚めるという展開だけなら、よくある話だが、「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」でアカデミー脚本賞を受賞した知性派のマット・デイモンが脚本に参加した本作の終盤には、意外な驚きが隠されている。環境保護活動家ダスティンと敵対し、ついに彼の弱みを握ったスティーヴが知ることになるその事実は、想像もしなかったことで、それは彼が持つ仕事や会社に対する情熱や信頼を、根底から覆すものだ。さらに農家を単純に素朴な善人として描かないところもリアルで、デイモンの脚本家としての腕に感心させられる。シェールガス採掘の悪しき側面の描き方が中途半端に終わっているのがちょっと気になるが、緑豊かな農業地帯と、農民の生活を淡々と描写し、そこに米国の良心を映し出したかのような静かな映像には心惹かれる。劇中に登場するレモネード売りの少女の存在に、米国民が根底に持つ善意を託しているかのような良作だった。
【65点】
(原題「PROMISED LAND」)
(アメリカ/ガス・ヴァン・サント監督/マット・デイモン、ジョン・クラシンスキー、フランシス・マクドーマンド、他)
(社会派度:★★★☆☆)
チケットぴあ

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ←ランキング参加中です!

人気ブログランキング←この記事が気に入ったらポチッとクリックお願いします(^o^)
プロミスト・ランド@ぴあ映画生活

ミルク

ミルク [DVD]ミルク [DVD]
この映画のショーン・ペンは、今まで見たことがないほど可愛らしくて繊細だ。彼は時に過剰なほど凄味のある演技が持ち味だが、軽さや愛嬌がこの俳優をとても魅力的にすると知った。70年代のサンフランシスコで、同性愛であることを公表しながら公職に就き、真正面から政治活動を行なったハーヴィー・ミルクの半生を描く物語は、彼の遺書作りから始まり、やがてくる悲劇へ向かって一歩一歩近づくように進行する。

男同士のラブシーンに最初はとまどうかもしれないが、人生を楽しむミルクの快活な姿や、自由とは他者との違いを認めることという信念で活動する強い意志、時に命の危険にさらされながらも決してひるまない彼の勇気が、見るものにポジティブな感動をもたらしてくれる。そんなミルクの人となりを、久しぶりに王道の映画作りで、丁寧に分かりやすく描いたガス・ヴァン・サント。てらいのない演出は、より多くの人にこの映画を届けたいという決意の表れだ。偏見と戦ったマイノリティを描いたこの作品の訴求力は、初の黒人大統領が誕生した今、決して小さくないだろう。
【75点】
(原題「MILK」)
(アメリカ/ガス・ヴァン・サント監督/ショーン・ペン、エミール・ハーシュ、ジョシュ・ブローリン、他)
(変革度:★★★★☆)

人気ブログランキング用バナー

←この記事が気に入ったら、ポチッとクリックお願いします(^o^)

シネマッシモにようこそ
◇ シネマッシモについて ◇

このブログが気に入ったら、ポチッとクリックお願いします♪
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ

映画レビュー用BRバナー
インフォメーション


映画ライター渡まち子が趣味で運営するセカンド・ブログ「映画の中に猫がいる」もよろしく!【猫目線】で語る映画評で、のんびり、まったり更新中です(笑)。 猫好きの方、映画好きの方、ぜひ遊びにきてください!
こちらからどうぞ!
おすすめ情報
作品検索はこちら
Google
WWW を検索
このブログ内を検索
コメント(承認済)
映画レビュー(長文)索引

    
    
    
    
    
    
    
  
    

A−Z
0−9
カテゴリ
お仕事受注
映画評やコラムの執筆、講演など、映画に関する仕事を承ります。連絡はメールでお気軽にどうぞ。

 メールはこちらから↓
cinemassimo555★jcom.home.ne.jp
(★を@に変更して下さい)

執筆やラジオ出演など、メールと電話で対応可能な場合は、全国から仕事を受注していますので、まずはお問合せください。
プロフィール
プロフィール more
◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
おすすめ情報
おすすめ情報

おすすめ情報

楽天市場
おすすめ情報

Archives
当サイトはリンクフリーです
★相互リンクは設けておりませんが、当サイトはリンクフリーなので自由にリンクしてください。リンクの報告は基本的に不要です。
リンクについて

  ↑ 必ずお読みください。
タグクラウド
  • ライブドアブログ