映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
シネマッシモでは、映画レビューはネタバレなしのヒントあり。映画を見る前と見た後と、2度読んで楽しめます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる映画 ◎
「ジャスティス・リーグ」「火花」「ギフテッド」「光」etc.

ガル・ガドット

ジャスティス・リーグ

「ジャスティス・リーグ」オリジナル・サウンドトラック
スーパーマンの死後、世界の秩序が乱れ、危機を感じたバットマンは、ワンダーウーマンを新たな相棒に、特別な力を持つヒーローたちを探して最強のチームを結成するべく、行動を開始する。地球を狙い宇宙からやってきた、邪悪で最強の敵ステッペンウルフに立ち向かうため、バットマンとワンダーウーマンがスカウトしたのは、怪力で無愛想な海洋生物の王アクアマン、地上最速の男フラッシュ、そして全身が機械に覆われている人間デジタルデバイスの男サイボーグ。前代未聞の超人たちの連携チーム、ジャスティス・リーグは、地球崩壊の危機に立ち向かうが…。

DCコミックスのヒーローたちが集結したドリームチームの活躍を描くアクション大作「ジャスティス・リーグ」。マーベルの「アベンジャーズ」シリーズに対抗するようなヒーローチームものだが、DC特有の、暗くシリアスな雰囲気は影をひそめ、明るさやコミカルなテイストが全面に出ていて楽しい。ストーリーもシンプルな勧善懲悪のスタイルで、かなり間口が広くなった印象だ。バットマンとワンダーウーマン以外は、単体での映画がないヒーローたちが加わるが、3人のキャラがすこぶる立っており、しかも役割が明快に分担されてそれぞれの見せ場もきっちり作られている。特に、オタクの現代っ子フラッシュが、いい味を出していて、クセ者揃いのチームの緩和剤になってくれている。そもそもバットマンに「ところであなたの能力って?」と聞けそうで聞けないことをズバリ尋ねるなんて新人ならでは。孤独で他を寄せ付けないバットマンも、自分の能力は「金持ち」と“謙虚に”答えている。

とはいえ最強の敵ステッペンウルフはやはり桁違いの強敵である。だがそこでヒーローチームは、切り札を使って、離れ業に近い最大の戦力を繰り出し、見るものを興奮させてくれるという筋書きだ。この「ジャスティス・リーグ」、監督の途中降板、交代などゴタゴタが続いたが、「アベンジャーズ」のジョス・ウェドン(脚本)が残りを引き継ぎ、結果的に“チームで戦う”というテーマをより浮き彫りにさせた形となった。ずっと一人で戦ってきた個性派ヒーローたちが、互いに歩み寄り、助け合う。このシンプルなメッセージはいつの時代にも強く響く。「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」でファンをがっかりさせたDCだが、これなら今後も大いに期待できるというものだ。長い長いエンドロールの後に、超・重要なワンシーンがあるので、最後まで席を立たずに鑑賞してほしい。
【80点】
(原題「JUSTICE LEAGUE」)
(アメリカ/ザック・スナイダー監督/ベン・アフレック、ガル・ガドット、ジェイソン・モモア、他)
(コミカル度:★★★★☆)
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ワンダーウーマン

「ワンダーウーマン」オリジナル・サウンドトラック
人間社会から孤立した女性だけの島で育ったダイアナは、好奇心旺盛なプリンセス。最強の戦士になるべく修行に励む毎日だが、ある日、島に漂着したアメリカ人パイロットでエリート・スパイのスティーブを助けたことで、外の世界で大きな戦争が起こっていることを知る。自分自身の力で世界を救いたいと強く願うダイアナは、二度と島に戻れないことを覚悟でスティーブと共にロンドンへ赴くことに。慣れない人間社会に身を置きながら闘うダイアナは、やがて無敵の戦士“ワンダーウーマン”として覚醒していくことになる…。

女性だけの島で育った美しいプリンセスが、人類の争いを止めるためにワンダーウーマンとして立ち上がる姿を描いたスーパーヒーロー・アクション「ワンダーウーマン」。マーベルVSDCでは、今までのところ圧倒的にマーベル有利だったが、本作の最強美女戦士ワンダーウーマンは、それを覆すパワーを持っている。ミス・イスラエルの美貌と、兵役経験によって鍛えられたアクションの力強さを併せ持つガル・ガドットが素晴らしく、彼女が演じるワンダーウーマンは、文句なしに魅力的だ。しかもワンダーウーマンはただ強く美しいだけではなく、天然でどこかコミカルなキャラであり、親しみをも感じさせる。第一次世界大戦下のロンドンで、回転ドアに戸惑い、アイスに感動する姿は最高にチャーミングだ。もちろん、ここぞという時にあのテーマソングが流れれば、一気にシリアスモードに。無敵の戦士としてしなやかに戦うワンダーウーマンの雄姿は、観客の心を鷲づかみにするだろう。

本作はアマゾン族のプリンセス・ダイアナがワンダーウーマンとして覚醒する、誕生と成長の物語。来たるべき「ジャスティス・リーグ」をバットマンと共に引っ張るのは間違いなくこのワンダーウーマンだ。アメコミ史上初の女性ヒーロー(ヒロイン)キャラ、女性監督の実写作品としてNo.1ヒットという輝かしい記録など、女性映画としての立ち位置も確立している。実際、悪を成敗しつつ葛藤する他の男性ヒーロー像と異なり、ワンダーウーマンは“人類は守るに値する存在なのか?”と自問し、人間の未熟さを知った上で、世界の争いをなくそうと決心した。最強美女戦士の深い慈愛という通奏低音が、本作を崇高なヒーローアクション映画に引き上げている。
【85点】
(原題「WONDER WOMAN」)
(アメリカ/パティ・ジェンキンス監督/ガル・ガドット、クリス・パイン、ロビン・ライト、他)
(痛快度:★★★★★)
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クリミナル 2人の記憶を持つ男

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CIAロンドン支局のエージェント、ビリーが、国際秩序崩壊を狙うテロリストを追う任務中に命を落とす。ビリーはアメリカ軍の核ミサイルを遠隔で操作することが可能な天才ハッカー、ダッチマンの居場所を唯一知る人物だった。ダッチマンと接触することを企てるテロリストより早くダッチマンを探し、世界の危機を救う。そのためは、禁断の脳移植手術によってビリーの記憶を他人の脳に移植しなければならない。移植の対象に選ばれたのは、凶悪犯の死刑囚ジェリコだった。記憶が失われるまでのタイムリミットは48時間。ジェリコは凶悪犯の自分と、CIAエージェントのビリーの2つの人格に引き裂かれながら、テロリストとの壮絶な闘いに巻き込まれていく…。

殉死したCIAエージェントの記憶を脳に移植された死刑囚が、テロリストを追うスパイ・アクション「クリミナル 2人の記憶を持つ男」。記憶をモチーフにした映画は数多くあるが、本作は脳移植によって2つの人格がせめぎあい、さらに記憶が失われる48時間以内にテロを阻止するという、タイムリミット・サスペンスだ。人間らしい感情が欠落しているという条件ゆえに、他人の記憶を埋め込まれる死刑囚ジェリコを演じるのがケヴィン・コスナーだ。悪役を演じてもどこか“イイ人”を感じさせるコスナーだけに、1人の人間の中に善と悪が同居するという難役でも、善の部分が徐々に際立って共感を得るキャラクターに仕上がっている。事件解決のため、時に非情な手段に出るロンドン支局長とは対照的に、実験段階だった脳移植手術を強引にやらされる医師は、まだ未完成の施術に悩みながら、ジェリコを気遣う優しさがある。それぞれをゲイリー・オルドマン、トミー・リー・ジョーンズという名優たちが演じているのも贅沢だ。実際この地味な作品は、意外なほど豪華キャストが顔を揃えていて、ちょっと驚いてしまう。脳と記憶の移植というのはあくまでSFのレベルだが、善悪はおろか、感受性も心さえも持ち合わせていないジェリコが、人間性に目覚めていく展開は、現代のフランケンシュタインのようでもある。スパイアクションとしては少々物足りないし、ラストはご都合主義にも思えるが、人とは呼べなかった人間が、魂を獲得する心の旅路としてみれば、なかなか味わい深い。
【60点】
(原題「CRIMINAL」)
(米・英/アリエル・ヴロメン監督/ケヴィン・コスナー、ゲイリー・オールドマン、トミー・リー・ジョーンズ、他)
(スパイもの度:★★☆☆☆)
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◆ペンネーム:渡まち子
◆映画ライター、映画評論家
◆こんなお仕事やってます:
新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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