映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評


【本音で語る新作映画レビュー】
毎日のレビューは分かりやすく簡潔な寸評で、週1本の長文映画レビューでは作品をディープに掘り下げます。
映画評サイトもこのブログで4代目になりました。すべての映画好きを歓迎します!
(点数は100点が、★は5つが満点)
シネマッシモとは、シネマ(映画)とマッシモ(イタリア語でmax,最大)とを組み合わせた造語。
どうぞゆっくり楽しんでください \(^▽^)/

◎ 今週の気になる公開作品 ◎
「ファミリー・ツリー」「ダーク・シャドウ」「サニー」

キアヌ・リーブス

フェイクシティ  ある男のルール

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ジェームズ・エルロイの原案・脚本らしいクライム・サスペンスだ。クールで無表情なイメージのキアヌ・リーブスが、強引な手段で“正義”を行う野生味あふれる刑事を演じるのが新鮮。ロス市警の刑事ラドローは、その過激な捜査で署内でも煙たがられるアウトロー。上司のワンダーだけは彼を理解してかばってくれるが、同僚の死にまつわる謎を探るうちに警察内部の陰謀にかかわってしまう。汚職警官など今更珍しくもない。だが、それにどう対処するかは、いつの時代も興味をそそる命題だ。誰が黒幕なのかは途中で読めてしまうが、主人公の決断と正義のとらえ方は鋭さがある。
【65点】
(原題「Street Kings」)
(アメリカ/デビッド・エアー監督/キアヌ・リーブス、フォレスト・ウィテカー、ヒュー・ローリー、他)
(社会派度:★★★☆☆)

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地球が静止する日

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古典SFのリメイクの一番のウリは文明を破壊しつくす驚愕のVFXだ。任務のために地球に到来したクラトゥは地球外文明の使者。彼の目的は“地球を救うこと”だった。人類から破壊され続ける地球を救うためには人類を滅ぼすしかないという、エコ的極論を展開しつつ、物語は衝撃のディザスター・ムービーへ。

ロバート・ワイズが監督した旧作の拙いビジュアルは、最新技術によってド迫力の映像になった。かつては、地球より数倍進んでいるはずの星からの宇宙船が、出来損ないの目玉焼きのようだったが、今回は謎めいて輝く球体になりその美しさに目をみはる。だが、何十年も前に潜伏していた使者が何の役にもたってないのが大きな疑問。映像はスリリングだが、物語そのものにさしたる工夫はない。「私たちは変われる」との米国大統領選挙のようなセリフには苦笑した。無表情の宇宙人役のキアヌがハマリ役。
【60点】
(原題「THE DAY THE EARTH STOOD STILL」)
(アメリカ/スコット・デリクソン監督/キアヌ・リーブス、ジェニファー・コネリー、キャシー・ベイツ、他)
(カタルシス度:★★★☆☆)

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スキャナー・ダークリー

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近未来を舞台に覆面麻薬捜査官の悪夢的日々を描く異色SFアニメーション。俳優の実写演技にCGの絵を重ねる手法は前作「ウェイキング・ライフ」と同じだが、物語の不条理さで、より幻想的に。このポップで不気味な絵柄が妙に眠気を誘い、困った。
【55点】
(原題「A SCANNER DARKLY」)
(アメリカ/リチャード・リンクレイター監督/キアヌ・リーブス、ウィノナ・ライダー、ロバト・ダウニー・Jr、他)
(ドラッグ感覚度:★★★★☆)

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コンスタンティン

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◆プチレビュー◆
紅蓮の炎の地獄の風景に、被爆地の広島・長崎のイメージが重なってしまった。思わぬところで自分の“日本人”度を再確認してしまった。長〜いエンドロールのあとに大事なワンシーンがあるのでお見逃しなく。

子供の頃から悪魔の姿が見えたジョン・コンスタンティン。彼の仕事は悪魔祓い(エクソシスト)の探偵だ。超常能力を使ってこの世に紛れ込んだ悪魔を地獄に送り返している彼だが、ある日、天国と地獄のバランスが崩れはじめている気配を感じる…。

まるでマンガのような展開だ…と思ったら、やっぱり原作は漫画だった。アメリカンコミックの密かな人気シリーズは、キリスト教の精神を見事に踏襲。天国と地獄、天使と悪魔、神とサタンと、VS形式がすこぶるわかりやすい。微妙なポジションなのが、主人公の探偵コンスタンティンだ。

皮肉屋でなげやりな上に、自己中心的なアンチ・ヒーローのコンスタンティンだが、かつて2分間だけ自殺した“大罪”で地獄行きが決まっている。それを許してもらおうと、せっせとエクソシストをやっているというから、案外小心者で可愛いヤツだ。いや、一度うっかり見てしまった地獄を怖がるオーソドックスな男なのである。

そのコンスタンティンが天国と地獄のバランスの崩壊を感じはじめた頃、女性刑事アンジェラが双子の妹の自殺の真相を探り、彼の元にたどり着く。きわどいところで恋愛関係にならないのが、この映画の新しさだ。何しろ、異様な容貌の悪魔がひっきりなしに登場するので、ホレたハレたと浮かれるヒマがない。悪魔との対決や意外なところに潜む敵との対峙で、ヒーローになりたがらないヒーローは大忙しなのである。

キリスト教や聖書の知識があるとより楽しめる1本だが、判らなくても雰囲気はつかめるので心配は無用。いわく有り気な小道具が結構アナログなのが楽しめる要因か。デフォルメされたキャラクターや、手抜きナシの美術が功を奏して、アクション・ホラー・ファンタジーとして合格の出来栄えだ。演技うんぬんは問題外という気さえするが、そんな中、天使役のティルダ・スウィントンの中性的な魅力が際立っていた。

□2004年 アメリカ映画  原題「Constantine」
□監督:フランシス・ローレンス
□出演:キアヌ・リーブス、レイチェル・ワイズ、ティルダ・スウィントン、他

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恋愛適齢期

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◆プチレビュー◆
キートンのシンプルなファッションも見所のひとつ。終盤のご都合主義的まとめ方がちょっと惜しい。

若い女性としか付き合わない63歳の独身富豪ハリーは、ひょんなことから恋人の母親エリカに看病されることに。54歳でバツイチのエリカとハリーは反発しあうが、いつしか互いに惹かれていく。一方で30代の美貌の青年医師ジュリアンもエリカに想いを寄せていた。年配の男女と青年の三角関係の行方は…。

年齢を重ねた女性の美しさを表現するのは、欧州出身の女優に限ると今までは思っていたが、ここできっぱりと改めようと思う。いくつになっても持っている恋心のときめきを、嫌味にならずに表現するダイアン・キートンは、まさに大人の女性の鏡だ。熟年の素敵な女優のアメリカ代表は彼女しかいない。仮にこのコミカルな役を、欧州を代表するイイ女カトリーヌ・ドヌーブやシャーロット・ランプリングがやるとしたら…。冗談もほどほどにしよう。想像するのも恐ろしいから。

ハリーが若い女性としか付き合わないのは、ただ一人を愛する本当の恋が怖いから。自分勝手で、それでいて傷つきやすい男性を演じるニコルソンは、予想通りの上手さを発揮している。病院の場面では、お尻を出しての熱演で笑わせるが、対するキートンもチラリとオールヌードを披露するサービスぶり。これが中々美しかったりするので、さすがなのだ。セックスがらみの老人ネタもこの二人にかかると、悲壮さよりもコミカルな味わいに早変わり。二人で海辺を歩くシーンは、恋の喜びに満ちていて、思わず見惚れてしまった。

劇作家エリカの一ファンから彼女自身に惹かれていく青年医師を演じるキアヌは、20歳以上の歳の差をものともせず、積極的にアプローチ。問答無用の一目惚れなので怖いもの知らずだ。だが、オスカー俳優二人に挟まれてのキアヌは、なんと大根なことよ。あきれるほど鈍重な演技で目を覆いたくなるが、共演者の名前を見ただけでこうなることは予測できたはず。そこを敢えてこの大役(?)を引き受けたキアヌの鈍感さ…、いや懐の深さに敬意を表したい。

人生の酸いも甘いもかみ分ける年齢になって、同年代の男性と恋をし、更に年下の男性からも慕われる。女優冥利につきる役柄をこの上なくキュートに演じたキートンが何よりも魅力的だ。歳をとることを怖がる必要はないとエールを送られているようで勇気が出てくる。何だか女性にばかり都合がいい、フェミニスト映画のようだが、決してそうではない。老若男女を問わず楽しめるロマンティック・コメディの好編だ。

□2003年 アメリカ映画  原題「Something's Gotta Give」
□監督:ナンシー・メイヤーズ
□出演:ジャック・ニコルソン、ダイアン・キートン、キアヌ・リーブス、他

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マトリックス レボリューションズ

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◆プチレビュー◆
結構楽しんだクセに、なんだかんだと文句を言うのは心苦しい。でもこれもひとえにマトリックスに対する期待が大きいからなのだ。やっぱり驚きとエンタメ度は第1作が一番だ。

機械vs人間の壮絶な戦闘もいよいよ最終段階へ。人類の救世主として覚醒したネオは、激しい戦いの果ての昏睡状態の後、目を覚ます。自分自身とマトリックスの謎を追求するネオ。一方、人工知能から人類最後の都市ザイオンの場所を特定されてしまい、互いの存亡をかけた戦いが始まる…。

思い切りよく広げた大風呂敷をいったいどうやって畳むのか。もはや興味はこの一点につきると言っても過言ではない。ネオの運命は。トリニティーとの愛は。人工知能と人類の闘いの勝者はいったいどちらなのか。その全てに明確な答えを出し、スッキリさせてもらえるかと思ったら、そうは問屋がおろさない。シリーズ最終章ともなれば、なんとかして辻褄を合わせねばならないからツラいのは判るが、禅問答のような会話の連続で、決定的にアクション不足なのである。主要キャラであるネオ、トリニティー、モーフィアスの3人は、殆ど職務怠慢で、寝そべっていたり、怪しげな駅に閉じ込められていたり、せいぜい宇宙船ホバークラフトを操縦するくらい。身体をはったアクションの割合は前2作に比べて飛躍的に落ちてしまった。

アクションの山場のひとつは、流線型の動きも見事なイカ型ロボット、センティネルズと人類最後の地下都市ザイオンの軍の激闘。すさまじい物量作戦で、迫力のバトルを繰り広げる。ネオが救世主であることが確定しない以上、勝敗の行方は謎で、思わず手に汗を握るのだが、落ち着いて考えてみれば、このテの戦闘シーンは普通のSF映画のバトルと同じ展開なのだ。カンフー重視のマトリックス的興奮とは別モノなので、何も固唾を飲んで見守るほどのことではない。

魅力的にデフォルメされた数多くの新キャラが多く登場したリローデットと違い、本作では新顔は僅かだ。元々リローデットとレボリューションズはひとつの作品で、無理に2つに分けたという事情を考慮すると、これはいたしかたないことだろう。レボリューションズの数少ない新キャラのひとつであるデウス・エクス・マキナは、いわば機械の大ボス。この究極のマシンとの取引により、セッティングされるのが、ネオと宿敵エージェント・スミスとの対決だ。このあたりの脚本は巧みである。

暴走プログラムであるスミスの正体が判るのは本作の大きな収穫で、豪雨の中での二人の対決はビジュアル的にも文句がない出来栄えだと思う。ブレッド・タイム、いわゆるマシンガン撮影を駆使した全方位型のアクションは、大胆で繊細な水の描写とともに、観客の期待に十分に答えていた。マトリックスは何でもありの仮想空間なのだから、どんな非常識な動きも美しければノー・プロブレムである。結局このシリーズの最大の魅力は、凝りに凝った映像で魅せる超絶技のアクションなのだ。それが見たくて観客はこの映画を見るのであって、細かくて回りくどい理屈はウザいだけだ。

人間をエネルギー源とする人工知能が、それを悟られないために築いた仮想空間がマトリックス。リアルとバーチャルの2つの世界が同時に存在し、その位置関係やシチュエイションが画期的なのだが、レボリューションズでは2つの世界をつなぐ中間地帯の存在である駅が登場する。モバイル・アベニュー(携帯通り)と名付けられているのが、現実と妙にリンクしているようで興味深い。綿密に計算してプログラムしたつもりでも、不意に湧き出る人間の不確定要素は、犠牲や共存というバージョンアップを繰り返しながら存在しているのである。

一種の大団円ともいえるラストに向かって加速する物語の隙間に、しばしば出てくる言葉が“愛”と“選択”。人はある局面に立ったとき何らかの選択を迫られるが、その判断を正しいと確信するためには愛が不可欠なのだ。そうでもなければこのシリーズに落とし前は付かない。多分にキリスト教的なネオの運命は十分に予測可能なものだろう。“愛は世界を救う”などというスベりそうなオチじゃないだけ救われるが、最後に打ち上げられた花火は案外地味で平凡だったというワケだ。あぁ、祭りのあとの寂しさよ。

□2003年 アメリカ映画  原題「The Matrix Revolutions」
□監督:ウォシャウスキー兄弟
□出演:キアヌ・リーブス、キャリー・アン・モス、ローレンス・フィッシュバーン、他

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◆映画ライター、映画評論家
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新聞、雑誌、インターネットで、映画評、映画コラム、DVD紹介などを執筆。他にも、映画コメンテーターとしてラジオ出演、大学での公開講座や企業主催の映画セミナーなど、映画に関する幅広い仕事をこなしながら活動中です。
◆青山学院文学部史学科卒業。西洋史が専攻で、卒業論文はベネチア史。学んだことを生きている間に有効に活かせるのだろうか…と、かなり心配。
◆エトセトラ:
古今東西の映画をこよなく愛す、自他ともに認めるシネフィル(映画狂)です。時に苦言を呈すこともあるその映画批評の基本は、映画へのあふれる愛情と自負しています。どんなダメ映画でも必ずひとつはあるイイところを発見するのが得意技。大のサッカー好きで、欧州リーグからJリーグまでTPOに合わせて楽しんでます。
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